干しシイタケを戻すなら、冷水と常温どっち? プロが教える『正解』は
煮物やだしに欠かせない干しシイタケ。急いでいる時はお湯でサッと戻している人も多いのではないでしょうか。
実は、干しシイタケは戻し方1つでうまみの出方が大きく変わるといわれています。
そこで、干しシイタケを製造、販売する株式会社姫野一郎商店(以下、姫野一郎商店)に、正しい戻し方や戻し汁の活用方法を教えてもらいました。
お湯はNG!うまみを引き出すのは『冷水』
干しシイタケの代表的なうま味成分は『グアニル酸』です。生のシイタケにはほとんど含まれていませんが、乾燥させることで細胞膜が壊れ、酵素がリボ核酸に働きかけてグアニル酸が生成されるようになります。
※写真はイメージ
そのグアニル酸をしっかり引き出すカギが『水温』です。
お湯や室温の水で戻すと、グアニル酸を作り出す酵素だけでなく、その酵素やグアニル酸を分解する酵素も活発に働いてしまいます。
そのため、加熱時に生成されるグアニル酸の量が少なくなり、うま味が損なわれてしまうのです。
また、水戻しが不十分になることで、食感にも影響しかねません。
一方、約5℃の冷水でじっくり戻すと、グアニル酸のもととなるリボ核酸が十分に引き出されます。
その後、調理で60~70℃程度まで加熱すると酵素が働き、グアニル酸が効率よく生成されるそうです。
このように、低温でじっくり戻してから加熱することが、うま味を生かすコツといえます。
正しい戻し方は『冷蔵庫で一晩』
姫野一郎商店に、戻し方のポイントを教えてもらいました。
1.干しシイタケを流水でさっとすすぐ。
2.ボウルやジッパーつき保存袋に入れ、水をひたひたになるまで注ぐ。
3.約5℃の冷蔵庫で一晩置く。
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干しシイタケには『どんこ』と『香信(こうしん)』の2種類があります。
戻し時間の目安はそれぞれ異なり、香信は6時間以上、肉厚などんこは12時間以上かけるのが理想だそうです。
それほど時間が取れない場合でも、少なくとも香信は4時間、どんこは6時間は冷水に浸けておきましょう。グアニル酸は戻し始めてすぐに増えるわけではなく、4~5時間ほど経過してから生成され始めるためです。
また、どんこは肉厚で食べ応えがあるため煮物に、香信は比較的薄くやわらかいため天ぷらや炒め物に向いています。
料理に合わせて使い分けると、それぞれの特徴を生かせるでしょう。
なお、夏場は常温で戻すと傷みやすいうえ、温度が高いとグアニル酸を分解する酵素も働きやすくなってしまいます。
うま味をしっかり引き出すためにも、季節を問わず冷蔵庫で水戻しするのがおすすめです。
時短したい時はどうする?
「毎回、一晩かけて戻すのは難しい」という場合、うまみを逃さず短時間で戻す方法を取り入れることをおすすめします。
水戻しを始めて1時間ほどしてシイタケが少しやわらかくなったら、身や石突部分をカットして再び水に戻すと多少の時短になるでしょう。
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電子レンジを使う方法や、砂糖をひとつまみ加えて浸透圧を利用する方法など、時短で戻す方法もあります。
ただし、お湯を使って戻す時と同様に、風味やうま味が損なわれる場合があるため注意が必要です。
干しシイタケのおいしさを十分に引き出すなら、冷水でじっくり戻す一手間を大切にしたいですね。
戻し汁は『だし』として活用しよう
冷水でじっくり戻したら、戻し汁も捨てずに活用しましょう。うまみ成分が豊富に溶け出しており、だしとして活用できます。
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昆布に含まれるグルタミン酸はアミノ酸系、干しシイタケに含まれるグアニル酸は核酸系のうまみ成分です。
これらを組み合わせると『うまみの相乗効果』が生まれ、単独で使うよりもうまみを強く感じられるといわれています。
特に昆布と干しシイタケの組み合わせは相性がよく、戻し汁を煮物や汁物のだしに加えるだけで、料理に深みのある味わいをプラスしてくれるそうです。
また、保存する場合は冷蔵で5日程度を目安にしましょう。
すぐに使わない時は、一度煮立てて灰汁を取り除いてから製氷皿などで冷凍しておくと、必要なぶんだけ取り出せて便利ですよ。
正しい下準備でシイタケをおいしく食べよう
干しシイタケは戻し方次第で、うまみや風味の感じ方が変わります。
普段何気なく行っている下準備を見直して、干しシイタケのおいしさを存分に味わってみてはいかがでしょうか。
[文・取材/ブリジア構成/grape編集部]