台風で隣の家の物が飛んできて愛車に傷…修理代は請求できる? 弁護士の回答は
台風が通過した翌日、外に出てみたら、『隣の家の植木鉢やトタン板が飛んできて、大切な車に傷がついていた』という事態が起こることもあるかもしれません。
このような場合、飛んできた物の持ち主に修理代を請求することはできるのでしょうか。
飛来物で車に傷…修理代は請求できる?
そこで本記事は、強風で飛んできた他人の所有物によって車が傷ついた場合、修理代を請求できるのか、Authense法律事務所の武富弁護士に話を聞きました。
――隣の家の物が飛んできて車に傷がついた場合、隣人に修理代を請求できるのでしょうか。
隣人に修理代を請求できるかどうかは、ケースバイケースです。
法律では原則として、想定外の自然災害によって発生した損害は『不可抗力』とみなされ、誰かの責任を問うことはできないという考え方があります。
そのため、自然災害によって生じた損害の賠償を求めるのは、ややハードルが高いといえるでしょう。
※写真はイメージ
――以前から「飛ばされそうで危ない」と感じていた場合でも、修理代を請求するのは難しいのでしょうか。
飛んできた物によって事情が変わります。
『屋根瓦』のような建物の一部と、『植木鉢』のように建物の外に置かれている物とでは、法律上の考え方が少し異なるのです。
――どのように異なるのでしょうか。
法律(民法)では『土地の工作物の設置または保存に瑕疵(かし)があることによって他人に損害を生じた時』に、『その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う』と定められています。
例えば、以前から瓦が浮いたり、ガタついたりしていたにもかかわらず、そのままにしていたとします。
その瓦が台風で飛んで車を傷つけた場合は、「工作物の設置または保存に瑕疵があった」とみなされ、建物の居住者や所有者が責任を問われる可能性があります。
つまり、屋根瓦のような建物の一部については、台風が来る前から適切に管理されていたかどうかがポイントになるのです。
――では、植木鉢の場合はどうでしょうか。
植木鉢のように建物の一部ではない物の場合は、その物自体の状態ではなく、持ち主に落ち度があったかどうかが問題になります。例えば、台風が来ることが分かっていたにもかかわらず、屋外に置いた植木鉢を片づけなかった場合などです。事前に必要な安全対策をしていたかどうかが、判断のポイントになります。
そして、この場合は、相手に落ち度、つまり『過失』があったことを、被害に遭った側が証明しなければなりません。
※写真はイメージ
被害に遭った時のためにできる備え
――被害に遭った場合、まず何をすればよいでしょうか。
まずは、被害の状況を写真や動画で記録しておきましょう。
ご近所同士の関係を考え、責任を追及することをためらうのは無理もありません。しかし、後になって「やはり弁償してほしい」と思っても、証拠がなければ請求が難しくなる可能性があります。
――事前にできることはありますか。
自動車の場合は、台風による飛来物の被害が補償の対象となる車両保険に加入しておくのも1つの方法です。
保険で対応できれば、相手と直接やり取りをせずに済むため、精神的な負担を軽減できるでしょう。
誰もが安心して暮らせる街づくりのために
こうしたトラブルは、被害が起きてから対処するだけでなく、事前にできる対策をしておくことが大切です。
屋根など建物の状態を定期的に確認する。台風が近づいてきたら庭やベランダを点検し、風で飛ばされそうな物は室内に片づける。できることは、決して難しいことばかりではありません。
自分の家だけでなく、近隣の人への被害を防ぐためにも、台風が近づいてきたら身の回りを一度確認しておきたいですね。
取材協力武富 俊
Authense法律事務所弁護士。不動産や企業法務に強い実力派弁護士。
丁寧な対話と説得力のある主張で最善を尽くす親身な姿勢に定評がある。一般民事事件からビジネスの課題解決まで幅広く取り扱う。
[文・取材/LUIS FIELD構成/grapeライフハック編集部]