2020年9月17日 15:58
愛猫が旅立って飼い主が『知ったこと』に涙 10年間を振り返ると…
2020年5~8月にかけて、ウェブメディア『grape』では、エッセイコンテスト『grape Award 2020』を開催。
『心に響く』と『心に響いた接客』という2つのテーマから作品を募集しました。
『grape Award 2020』心に響くエッセイを募集!今年は2つのテーマから選べる
今回は、応募作品の中から『生まれてはじめて』をご紹介します。
生まれて初めての経験は、必ずしも意図して起こるものではないということ。
彼は突然やってきた。私が小学6年の冬、下校して家に辿り着くと、近所では見かけることのなかった一匹の猫が、玄関の前にお行儀よく座っていた。まるで「中にいれて!」と言っているかのように。
その日から、彼は毎日やってきては家の中に入れてもらうのを待っているようだった。
とても愛くるしい顔で。
すぐに彼は我が家の食卓の話題となった。「不思議な子だね、これも何かの縁だと思うし飼ってあげようか」母のその一言によって、大の猫嫌いである父の反対を押し切り、その日から家族が1人増えた。
「彼」は「みーしゃ」になった。みーしゃは本当に人懐っこくて、誰にでもすりすりした。一緒に眠りにつくのもしょっちゅうだった。