2021年4月25日 13:23
たくさんの思い出は、生きていく力の一つ いま、この一瞬を大切に過ごしていくこと
吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
思い出をつくる時間
3ヶ月に一度、父の病院の検査、診察に付添います。待ち時間の長い二つの科を受診するので、その日はほぼ1日仕事になることは覚悟です。
そんな病院通いの日のお楽しみは、帰りにおいしいものを食べること。外食しづらいこの状況の中、一人暮らしの父の気分転換にもなるようです。
これまで何度か病院に付き添い、食事をして帰りました。あるとき、ふと思ったのです。
もしかしたら、これは父と過ごせるいい時間なのかもしれない。もしかしたら、かけがえのない時間なのかもしれないと思いました。
時間は限られています。お互いに、いつ何があるかわからない。私たちはそんな不確実な時間を生きているということを忘れてしまいます。
90歳の父は、おそらく自分に残された時間について切実に考えているでしょう。