センスのいい家族が暮らす家【Vol.29 アートに囲まれ、あたたかい距離感を築く家・蓮沼千紘さん邸】 | HugMug
大人も子どもも、家族みんなが過ごしやすい家づくりに大切なことってなんだろう? Vol.29では、ニットアーティスト・蓮沼千紘さんのお宅を訪問。自身のアトリエと居住空間をセパレートしつつ、家族ともコミュニケーションがとりやすい空間づくりが魅力です。独創的なご自身の作品のほかアートに囲まれ、機能性にも富んだお部屋に一歩足を踏み入れて、子育ても家事もおしゃれもはかどる、理想の住まいのヒントを探りましょう。
profile
Instagram:@knitchihiro
FAMILY:3人家族(パパ・ママ・子ども)
HOUSE TYPE:マンション/賃貸
HOUSE DETAIL:居住歴3ヵ月/約56㎡/2LDK+ベランダ
AREA:神奈川県
こだわりの住まいについて
子どもと大人の心地よい距離を築ける家
今年の2月に引っ越したばかりと話す蓮沼さん。
「純喫茶だったり、昔ながらの個人経営の飲食店も多く、落ち着いた雰囲気で好きなんですよね」と、以前からこのエリアが好きだったそう。今の住まいはマンションの一室で、広々としたLDKに、各8畳の2部屋。その2部屋をそれぞれアトリエ、子ども部屋兼寝室として使っている。
「アトリエにはカーテンを取りつけ、子ども部屋も扉があるのでプライベートな空間もつくれるように。オープンにしておけば、LDKからアトリエはひとつづきで大きなワンルームのようになるんです」。アトリエで作業をしたり、来客があり打ち合わせをしたりすることも多い蓮沼さん宅。その際は、カーテンを閉めてアトリエをクローズ空間にできたり、子ども部屋の扉を閉めて、お子さんは遊びに集中できる時間に。壁の向こうにお互いの存在を感じ合いつつ、個々の時間も豊かに保つことができているのだそう。
「今の家は白壁が多いので、自分の作品やアートを飾ってギャラリーのように使えるのもいいですね」。蓮沼さんのニットワークや、刺しゅう作家のアートが存在感のあるインテリアとして飾られている。ルーマニアなど東欧系のラグや、実家から譲り受けたテーブルなど、どこか懐かしい雰囲気のするアイテムと混ぜ合わせているのも特徴だ。「機能面も重視したいので、〈IKEA〉や〈ダルトン〉の収納を使いますが、古い家具も好き。新しいものと古いもの、さらに色もたくさん使っていますが、落ち着いたトーンを選んで、調和させています」
LIVING
柄のラグで華やかに
リビングは、蓮沼さんの作品であるニットタペストリーやクッションカバー、ランプカバーを部屋の随所にトッピング。コントラストのある配色が美しい、感度の高い空間に仕上げている。ニットやファブリック、木だけではなく、〈IKEA〉や〈ダルトン〉のスチールやプラスチックアイテムを組み合わせて、ほっこりしないようにスタイリングしているのが要。また、壁面活用を楽しんでいるのにも注目。
「今までは角部屋が多かったので、広い白壁がなかったんです。この家は白壁の面が多いので、ギャラリーのように使えるのが嬉しいですね。今は、ニットタペストリーと、フランス・モンマルトル美術館のミュージアムショップで購入した虫の立体アートパズルを組み合わせて飾っています」
ラグは、福岡にある〈Magazyn〉で買ったもの。ルーマニア産ならではの複雑で豊かな色調や柄は、深い伝統から生み出されたぬくもりがある。「〈Magazyn〉は、お気に入りのショップのひとつで、東欧のものがお手頃な価格で手に入るんです」。音漏れ防止に、クッションフロアを敷くのも蓮沼さんのルール。落ち着いたダークトーンのクッションフロアを選んだことで、カラフルながらしっとりとした色使いのインテリアと好相性。「ニットを扱っているので、ちょっとしたゴミやほこりが出やすいのですが、暗い色の床だと目立つので掃除がしやすいんです(笑)。
子どものアレルギー予防にもなりますね」
〈IKEA〉のソファはアルミ製フレームで、空間を引き締めてくれる効果も。収納がついているので、絵本をしまうのにもちょうどいい。「娘とソファやラグの上に座りながら、パラパラ絵本をめくるのもいい時間です。一緒にアイスを食べることもあります」
ソファ横のデッドスペースには、ヴィンテージショップの〈シャークアタック〉で購入したトランクを配置。収納としても活用しているのだとか。トランクの上には、〈THE STAND fool so good(s)〉で買ったランプが存在感を放つ。「このランプは、骨董品の壺をリメイクしてつくられたもの。一点ものというところにも惹かれました」
ラタン素材の小さな椅子は〈IKEA〉のもの。
なかはちょっとした収納にもなり、子どもが靴下を履くときに腰掛けたりと使い勝手も抜群。その上には、蓮沼さんの作品であるニットスターを置いて。「こちらは、昨年展示で制作した4mのクリスマスツリーのトップに飾っていたもの。気に入っているので、自宅でも飾っています」
DINING&KICHEN
生活感を極力なくした空間
リビング、ダイニング、キッチンとひとつの大きな空間になっている蓮沼さん宅。ダイニングスペースは、実家から譲り受けたというテーブルを中心にスタイリング。「椅子も友人からいただいたものをありがたく使っています。使い込まれた家具の雰囲気が好きなんです」。仕事の打ち合わせや商談で自宅を使うことも多いので、なるべくキッチンの生活感はオフ。
ダイニングの壁もギャラリースペースに。左の2点は、友人である刺しゅう作家のまるやあさみさんの作品。「キッチン側の壁にある刺しゅう作品は、居酒屋のワンシーンを描いたのがユニークで気に入っています。昭和っぽいタッチで、渋さとポップさがMIXされていてその独特な作風が好きです」。右2点は、江上秋花さんの猫モチーフのテキスタイルアート。「クッションのような生地を使った、立体感のあるアートが可愛くて。実家で三毛猫を飼っているのですが、その子にも似ていたので購入しました」
自宅から譲り受けたダイニングテーブルは、蓮沼さんの母がオーダーメイドしたもの。八角形の天板や、猫足デザインがこだわり。
「2脚の緑のソファ椅子は喫茶店から譲り受けたもの、木製椅子と白い椅子は友人からのいただきものです。大事に使わせてもらっています」
この新しい家で始めたのが、コーヒーライフだと語る蓮沼さん。「今までは時間がなくてインスタントコーヒーが多かったのですが、ハンドドリップの道具やコーヒーマシンを揃えました」。〈ダルトン〉のグリーンの棚に布をかけ、冷蔵庫を隠し収納。「冷蔵庫も日立製のコンパクトなサイズのものを選んでいます」
コーヒーグッズは、MOMAストアで購入できる〈bodum〉のもので統一。イエロー×グリーンのポップな配色や、ころんとした丸みのあるデザインで、見ているだけで気分が上がる。自然とコーヒーを飲む回数が増えたのだそう。
コーヒーグッズとともにディスプレイしているのが、お気に入りの器たち。パリなどの旅先や作家ものが主。「古着が好きでよく買いますが、器や雑貨もヴィンテージが好き。妹家族がパリに住んでいるので、仕事も兼ねて遊びに行くことも。パリの蚤の市でも購入します」
キッチンでは〈ダルトン〉の収納棚が大活躍。シンク前に配して、アイランドキッチン風にレイアウトしている。ホーローの花器は、〈NODA HORO〉のもの。フラワーベースに挿したビーズ製のお花は、フランスで購入したものだそう。「下段の花器は、友人のショップ〈woo〉で手に入れたヴィンテージのものや、子どもがビンにペイントしたものを陳列しています」
WORKROOM
〈Magazyn〉のデスクが主役
色とりどりの毛糸やビーズ、美しい資材にあふれた蓮沼さんのアトリエルーム。この家に引っ越したときに新調したという大きな作業台が、存在感を放つ。「私の仕事は、椅子に座って作業することがメイン。健康を配慮し座りっぱなしにならないよう、立っても仕事できるようにショップの店主が足を接木して高さを調整してくれたんです。思い入れの強いインテリアのひとつですね」。材料だけではなく、自身が制作した衣装も収まるこの部屋は、自身のニットワークへの愛おしさや思い入れが詰まっている。「子どもが小さい頃から目の前で作業をしているからか、ここにあるものが私にとってとても大切なものというのが伝わっているのかもしれません。だからか、子どもは全然触ろうとしないんですよ」
必要なときにすぐ手に取れるように、材料や書類は〈ダルトン〉の収納を活用。「材料入れは、中身がわかるようにクリアなものを使うこともあります」。開放的な窓には、手製のカーテンをかけて。自身の展示会で使うため、原宿にある〈coromoza〉というショップで発注したものだ。「自分の子ども時代の写真を転写プリントしてつくりました。仕上がりが気に入ったので、展示が終わった後も自宅に引き取り、使っています。レースカーテンのような雰囲気で、薄く光が入ってくるのも素敵です」
リビングと同様にラグは〈Magazyn〉のもの。コントラストのある色使いの東欧デザインがアトリエの雰囲気にマッチする。「ラグだけではなく、ブランケットなど布ものはどれも可愛いんです。キリムなどに飽きた方はぜひ」
〈シャークアタック〉で購入した本棚は、オランダ製のもので、小学校で靴箱として使われていたそう。各棚には番号が振ってあって、子どもたちが使っていた様子がうかがえる。本棚には、デザインに関する書籍だけではなく、文学や哲学など多分野の本が並ぶ。「本やアートなど、インスピレーションに触れるものは見えるように収納したいんです。リビングのソファもそうですが、すぐ手にとれるディスプレイ収納にしています」
クローゼットには蓮沼さんの作品アーカイブを収納。以前の家では外のラックにかけ、オープンにしていたけれど、今回は扉を閉めてきちんと保管できる場所があるのが、入居の決め手だったそう。「クローゼットは奥行きがあるので、衣装ラック2本を入れています。両開きなので、全体を見渡せ、衣装を把握できるのがポイントですね」
リビングから見ると、空間をセパレートし、自分たちの時間を楽しめる構造ができているのがわかる。アトリエルームの入り口は〈ダルトン〉のカーテンを引き、子どもでも気軽に入れるように。子ども部屋は、ドアを閉めれば、お友だちと子どもだけの世界で遊びに集中することも可能。個の時間を深めながら、壁の向こうにあたたかな存在を感じ合える家づくりだ。
KIDS ROOM
アイディアたっぷりの収納テク
寝室と兼用になっている子ども部屋は、東向きの窓でいつでも明るいのが嬉しい。「通りを挟んで向かいに白い建物があって。白壁がレフ板効果なのか? いつもきれいな日の光が差し込むんです」。機能性とルックスのよさを重視しながら収納アイテムを選び、子どもが自分で片付けられるように工夫している。「〈IKEA〉のベンチとリンゴの木箱を組み合わせた収納は私も気に入っています」。
中央にある水色のテーブルも〈IKEA〉のもので、大好きなシルバニアファミリーの人形を広げたり、お絵かきやぬりえをするのに大活躍しているそう。子どものオモチャと、蓮沼さんがチョイスしたインテリアが混ざり合った、ポップでぬくもりを感じられるキッズルームだ。
マガジンラックは〈アマゾン〉で購入したもので、子どものお絵かき作品も飾っている。「どれを貼る? と子どもに聞きながら、飾る絵を決めています」。シンプルながらイエローの針が映える時計は、〈ZOZOTOWN〉で買ったもの。
〈楽天市場〉で購入したリンゴの木箱の上に〈IKEA〉のベンチを積み重ねて、子どもが取り出しやすい高さに調整。「リンゴの木箱は丈夫で空間に馴染むので、キッチンの収納にも使っています。場所を問わず使えるような機能的なアイテムが好きですね。木箱と本棚の間にも画用紙などを収納して、デッドスペースを有効活用しています」
キャスター付きの収納は〈無印良品〉、子どものドレスラックはアマゾンで購入。花柄のキルトカバーはペルー製で、上石神井にある〈おかっぱちゃんハウス〉で見つけたもの。「〈おかっぱちゃんハウス〉は古民家を改造したイベントスペースで、アーティストのポップアップで購入。キルトカバーはリバーシブルで、裏面には植物と鳥、犬、猫などの模様が施されていて、子どももお気に入りです」
ENTRANCE
収納ツールを使ってすっきりと
「収納ツールを駆使して、スペースを活用しています」。玄関の収納に活躍しているのは、山崎実業の収納アイテム。アウターは玄関で脱ぎ、部屋には持ち込まない仕組みに。さらに、アンティークのバッグフックも、バッグだけでなくキャップや軽アウターのかけ収納に便利。〈ZARAホーム〉のミラーも空間を彩るアクセントに。
見た目だけではなく、機能的なアイテムを選びながら、お部屋づくりを楽しんでいる蓮沼さん。間取りも利用して、親と子ども、互いの距離感を大切につくられた家を実現しています。家族が心地よく過ごせる家づくりのアイディア、ぜひ参考にしてみてくださいね。