2019年12月12日 06:00
想定される医療費負担増…75歳以上も10年以内に「3割」か
「75歳以上の高齢者の医療費自己負担額(窓口負担額)は、現行1割。しかし、これを2割に引き上げる法案を、政府が国会に提出する準備を進めていることが11月ごろから報道されました。じつは高齢化が進む日本において、医療費が抱える財政問題は、年金と同じくらい“深刻”。75歳以上の後期高齢者だけでなく、すべての国民にとって自己負担額の引き上げは、避けて通れそうにないのです」
そう指摘するのは、経済評論家の加谷珪一さん。冒頭の法案については、12月4日に、来年1月の通常国会に提出することが“見送りになった”と一部で報じられた。だが、負担額引き上げの見送りは“一時的”なものにすぎないと加谷さんは語る。
「従来の人口予測や、政府が発表している“かなり甘め”な経済予測を前提に、現状の物価ベースで試算しても、医療費はこれから20年で約10兆円上がる計算です。こうなると、いよいよ現行では財政が立ち行かなくなる。
解決策の一つとして、政府は現役世代の給料から天引きされる『保険料率』を段階的に引き上げるのではないでしょうか」
※70歳以上が3割負担になるのは、「課税所得」が145万円を超えた場合
現在、健保組合の保険料は全国平均9.2%、自営業者などが加入する協会けんぽの保険料率は10%。