2020年4月27日 06:00
石橋蓮司 夫婦の力関係「酒とタバコで、妻によく叱られます」
「寒い時期の撮影で、体はキツいし、お酒は飲めない。主演といっても何もいいことなかった(笑)」
そう語るのは、『一度も撃ってません』(近日公開)で約18年ぶりに映画の主演を務めた石橋蓮司(78)。ハードボイルド気取りの売れない小説家・市川進をときに渋く、ときにコミカルに演じている。サングラスやトレンチコートがこれほど似合う役者はいないと感心しつつも、まるで時代遅れの主人公に思わずクスッと笑ってしまう。
「市川には昭和の男のこだわりみたいなものがあって、時代に合わせて自分自身の路線を変えられない。非常に不器用だと思いますが、それも昭和の人間のよさだと思って面白がってくだされば、と」
さらに、本作は’70年代を生きた人間たちの群像劇とも語る。まだ30代だった当時を振り返った。
「あの時代の若者は、日米安保条約に対する反対運動が盛んな社会情勢にあって、自分の居場所を模索していました。
作家や建築家など表現者ともなればなおさら、自分のスタイルを作ろうと必死でしたよ。自分たち役者も、自分が何者であるかを自身の表現で主張しないと相手にしてもらえなかった。そういう意味では、個性が際立つ、セクシーな時代だったと思います」