2020年11月1日 11:00
義足のモデル・海音語る覚悟「見てくれる人に勇気を与えたい」
精巧なうえにモデル仕込みの歩き方で、義足に気づかれない。
暗闇のステージが、音楽のスタートとともに、青と白の照明に彩られた。舞台袖ではモデルの海音(19)が、右足の膝下に装着した銀色に光る義足を見やる。
義足の女性が出演する「切断ヴィーナスショー」のトップバッターを任されたけど、気負いはない。直前に「緊張はない?」と聞かれても「全然」と笑顔で即答した。ステージに歩み出ると、久々のスポットライトを浴びて、ランウェイに進んだ。前の晩は“義足、合わへんかったら、どうしよう”って心配だったけど、大丈夫だ。
厚底の靴でもしっかり歩ける。
コロナ禍で、ランウェイの両サイドにお客さんの姿はない。でも、カメラマンの向こうに、大勢の人が見えた。今、強く思える。
“義足も含めて私を見て”と――。
海音は幼いころからキッズモデルとして活動し、小学生からアイドルグループに所属。原宿を歩けばスカウトが行列をなすこともあったほど。将来は、芸能の道に進もうと夢を抱いていた。
だが、小4から体調の変化が起き、小6で右足の激痛に見舞われ、難病だと判明したときには右足先が壊死し、切断しか選択肢が残されていなかった。
「義足を人に知られるのが怖かった。