“70代の中学生”働きづめの10代から憧れた教室は「輝いとった」
ひとつに束ねた長い黒髪をなびかせて、耳には大ぶりのリングのピアス、白いカッターシャツに黒のパンツ姿で颯爽と、赤いママチャリに乗ってやってきた村田さんは、81歳とは思えないほどはつらつとしていた。
夜間中学は、義務教育を受ける年齢を超えた人に小・中学校の教育を保障する学校だ。’50年代半ばには全国で89校、5千208人が在籍した。その後は減少傾向にあるものの、現在も10都道府県で34校、約千700人が学んでいる。
夜間中学は「社会を映す鏡」でもある。戦後の混乱期に始まった夜間中学は当初、経済的理由で働かねばならず、学校に通えなかった人たちのための学校だったが、’70年代に入ると、差別や貧困で通学できなかった在日韓国・朝鮮人の入学者が増加。日中国交正常化に伴う中国からの帰国者も多数、通った。
90年代に入ると、仕事などで来日した外国人の入学者が急増。
現在は約8割が外国籍の生徒で占められ、最近では、時代を反映して、いじめなどで不登校になった生徒や、ヤングケアラーとなり学べなかった人たちが入学するケースも増えている。「さつき学園の夜間学級は’73年スタートです。