コロナ新薬ゾコーバ緊急承認も「医療ひっ迫は変わらない」と医師が警鐘
11月22日に緊急承認された新型コロナの飲み薬「ゾコーバ」(写真:時事通信)
「こうした飲み薬を広く普及することで、国民の安心を確保して、ウィズ・コロナをさらに進める」
11月22日、新型コロナウイルス感染症の経口治療薬「ゾコーバ」(塩野義製薬)を、国は緊急承認。25日の衆院予算委員会で、岸田文雄首相はコロナ治療薬として初の“国産飲み薬”で緊急承認制度適用第1号となった同薬について「大きな意義がある」と強調したのだ。だが、はたして新薬の登場は私たちに安心をもたらしてくれるのだろうかーー。
埼玉医科大学総合医療センター総合診療内科・感染症科の岡秀昭教授は「新薬ゾコーバには、それほど大きな期待はできそうにありません」として、解説する。
「まずゾコーバを服用できる対象は12歳~60代で、重症化リスクが低い人がメインです。飲まなかった人より半日~1日ほど回復が早まる効果が認められましたが、致死率が劇的に下がるような効果は証明されていません」
また、ワクチン接種では高確率で実証されている重症化や後遺症のリスク軽減効果も「ゾコーバでは証明されていない」と話す。
しかも、妊婦や妊娠の可能性がある人は服用できず、高血圧や痛風、糖尿病などの基礎疾患がある人の飲み薬とは併用できないため、服用できるケースは限定的だ。