戸田菜穂 今でも続く「親戚の集まりのような」ショムニ同窓会
喫茶店でストローの袋の紙をどう扱うのかというような、細かなことまで演技指導を受けました」
田中裕子が出演した『家族の肖像』(’93年・TBS系)などの向田邦子作品が演技の教材だった。
「向田さんの物語は、日常生活を丁寧に描きながら、母親がふと見せる“女の顔”など、男女の機微や情念みたいなものを表現しています。“いつか向田作品に出てみたい”という夢を抱いていました」
その夢も『言うなかれ、君よ別れを』(’96年・TBS系)でかなえ、正統派女優としてステップアップしていった。
そんななかで、『ショムニ』は異色の作品だったという。
「コメディの作品はあまりやったことがなかったので、刺激的でした。それまでは自然な演技をするように指導されていたのに、コメディはオーバーな演技が求められます。バラの花をくわえてカルメンを踊ったのは、かなり恥ずかしかった……」
女性の社会進出がうたわれる一方で、女性が責任ある仕事を任されることが少なかった時代。ショムニのメンバーが活躍する姿に、視聴者が声援を送った。
「毎回のように、おちこぼれOLが集まるショムニ(庶務二課)を仕切る江角さんと、秘書課の私が侃々諤々にやり合って、顔がくっつくほど近づいてにらみ合うシーンがあるんです。