2023年4月11日 06:00
神宮外苑再開発は東京五輪の“負の遺物”環境より商業エリアやビル賃料で企業利益優先か
神宮外苑は国内外の人々から大人気だ(写真:時事通信)
3月22日に神宮第二球場の解体工事が始まり、ついに“神宮外苑再開発”が着手されてしまった。
“神宮外苑再開発”とは、東京の明治神宮外苑に建つ歴史的建造物、秩父宮ラグビー場や神宮球場を取り壊し、位置を入れ替えて新築する計画のこと。これに伴い、外苑の杜に息づく約1千本の樹木が切られ、市民が無料で憩えるオープンスペースも減らされる。その代わりに建つのが、80~190mの高層ビルなのだ。
東京新聞の報道によると、都民の約7割が反対している。2月には、周辺住民らが開発差止訴訟も起こしている。その原告団長の実業家、ロッシェル・カップさんと、原告のひとりでもある著名な経済思想家の斎藤幸平さん(東京大学准教授)が、本紙に次のように語った。
■100年受け継がれてきた先人たちの思い
「神宮外苑は今から100年ほど前、〈東京を世界に誇れる伝統と文化の街にしよう〉という“百年の森構想”のもとで、市民らが何万本も献木して植樹を行い、造られた世界的にも貴重な森です。
そんな先人の思いが結実した今、SDGs(持続可能な社会にするための取組)を掲げる企業が何も考えずに破壊するのは愚の骨頂です」