年金、年1万1484円実質負担増!金額は上がるも物価上昇には追いつけず
スーパーを視察した岸田首相。今ごろは「裏金」問題で頭いっぱいのはず…(写真:時事通信)
《年金支給額を2.7%引き上げ、バブル期並み高水準…厚生年金はモデル世帯で月23万483円》
厚生労働省が発表した2024年度の公的年金支給額を報じた、読売新聞の記事の見出しだ(1月19日付)。
まるで大幅に年金が増額された喜ばしい報道に見えてしまうが、
「じつは、マクロ経済スライドという制度によって、実質、もらえる年金は目減りしているのです」
そう語るのは、YouTubeで「年金博士・北村庄吾の年金チャンネル」を持つ、社会保険労務士の北村庄吾さんだ。
「かつては、物価や賃金が上がれば、同じように年金支給額が上がっていました。インフレに強い制度だったんです。
ところが2004年にマクロ経済スライドを導入。物価や賃金が上昇しても、その上昇率から“調整率”を引いた分でしか、年金支給額が上がらない制度ができたのです。
しかも調整率を反映しきれなかった場合、次年度以降に未調整分を持ち越しできるキャリーオーバーという制度も、あとから追加されています。年金支給額が増えるのでわかりづらいですが、物価上昇に追いついていかないので、年金の価値は下がっているわけです」