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高市内閣の経済政策を経済ジャーナリスト萩原博子が辛口採点、「最も腹立たしい」と酷評した政策は?

女性自身
高市内閣の経済政策を経済ジャーナリスト萩原博子が辛口採点、「最も腹立たしい」と酷評した政策は?

経済ジャーナリスト・荻原博子さん(写真:本誌写真部)



2026年2月8日の衆議院選挙は、「日本列島を、強く豊かに」というスローガンのもとで、自民党が憲政史上初となる316議席を獲得。歴史的大勝利を収めました。

その後、高市早苗内閣の支持率が大きく落ち込むこともなく……。

しかし2月28日、アメリカとイスラエルがイランに軍事行動を起こしました。ホルムズ海峡が事実上封鎖されガソリン価格が急騰。株価も乱高下を繰り返しています。

私たちの生活も無傷ではいられません。緊急事態がひたひたと近づくなか、生活に直結する政策について、現時点までの高市政権を採点してみたいと思います。


【1】ガソリン価格の高騰

高市首相は2025年末に、50年以上続いたガソリンの暫定税率を廃止。1リットルあたり25.1円の減税となり、2026年1月にはガソリン価格が155円台になりました。

国民がホッとしたのも束の間、イラン危機でガソリン価格が値上がりし、3月16日に1リットル190.8円になったのです(経済産業省)。

こうした情勢のなか、高市首相の決断は早かったと思います。3月11日には「政府や民間が持つ備蓄を16日に放出する」と表明。その際「補助金を使ってガソリン価格を1リットルあたり170円程度に抑える」方針も示しました。

実際、民間備蓄は16日、国家備蓄は26日から放出しています。

また、ガソリン補助金は3月19日から実施。
補助額は毎週見直され、19日からは1リットルあたり30.2円、26日からは48.1円を補助しています。ガソリンの店頭価格もそろそろ170円程度に落ち着くでしょう。こうした決断の早さを評価して60点とします。

ただ心配なのは、補助金の財源です。片山さつき財務相は、1リットルあたり30円の補助が1カ月続くと3千億円必要と発言。当初は補助金基金にある2千800億円を充てるつもりが1カ月もたないことが判明しました。その後は2025年度の予備費8千億円を利用すると閣議決定。今は参議院で2026年度予算を審議中ですが、ガソリン補助金の財源は軍事行動の終結が見えない限り増え続けるいっぽうです。
長期化した場合、財源が底をつくリスクも否定できません。【2】電気・ガス代の高騰

ガソリン価格の高騰は、さまざまな商品やサービスに波及します。なかでも、生活に影響が大きいのは電気・ガス代でしょう。

電気・ガス代は、2026年1~3月まで補助金が出ていました。一般的な家庭で、3カ月で7千円程度。これが4月からはありません。

電気・ガス代は、ガソリン価格高騰の2~3カ月後に上昇するので、今の高騰は6月の電気・ガス代に反映されます。6月といえば日中はエアコンを使う日が多く、さらに、2026年の夏も記録的猛暑になるとの予想があります。


猛暑なのに「電気代が高いから」とエアコン利用を控えると、熱中症のリスクが高まります。適切にエアコンを利用するために国の補助金が必要ですが、今のところ対策はありません。0点ですね。

■高額療養費の自己負担上限は年7万2千円の負担増に

【3】物価高

イラン危機により、ホルムズ海峡は事実上の封鎖状態です。日本は原油の約9割を中東から輸入するため、多大な影響を受けます。電気・ガス代に続いて、紙類やプラスチック製品、洗剤などに値上げの波が押し寄せるでしょう。

世界的に見ても、原油と液化天然ガスの約2割がホルムズ海峡を通過するといわれ、供給量の減少は免れません。そこで注目されているのがバイオエタノールです。


バイオエタノールは植物資源から作られる燃料で、今は増産体制にまっしぐら。そのため原料である穀物の価格が上昇し、穀物を食べて育つ肉類の価格も上がります。

さらに、世界の肥料の3分の1がホルムズ海峡を通過するといわれ、それが足止めされ、肥料の高騰や不足により穀物の作付けができない事態も。

国連世界食糧計画は17日「軍事行動が2026年6月まで続くと、新たに約4千500万人が飢餓状態に陥る」と警告しました。

高市首相は物価高対策を最優先課題として、ガソリンの暫定税率撤廃や年収の壁の引き上げなどを実現してきました。ですが、今後は物価高への追加支援が必要です。現時点では20点です。

【4】防衛増税

食品消費税ゼロは遅々として進みませんが、防衛増税はすんなり決まりました。
2027年から「防衛特別所得税」として始まります。

これまで東日本大震災の復興財源だった「復興特別所得税」2.1%のうち1%を防衛特別所得税に充てます。そのため、私たちの納税額は変わりません。ただし復興特別所得税は2037年が期限でしたが、防衛特別所得税は2047年まで。納税期間が10年延長になったので、結果的に負担増です。これを「国民の負担は変わりません」と帳尻を合わせて切り抜けようとするのが×。0点です。

【5】高額療養費制度の自己負担上限を引き上げ

私がもっとも腹立たしく思うのは、高額療養費制度の自己負担上限の引き上げです。
2025年の石破茂政権下でも同様の議論がありましたが、そのときは野党が猛反発。少数与党だった石破政権は、全面見送りを決め、「私の判断が間違っていた」と首相が謝罪しました。

しかし“数の力”を持つ高市政権は、予算案などと共に高額療養費制度改革もサクッと衆議院を通過。全国保険医団体連合会は25万筆もの反対署名を集めましたが、患者の反対などどこ吹く風です。

今後、少数与党である参議院で否決されても、衆議院で再可決して法案を成立させるのでしょう。

高額療養費制度の改革で影響が大きいのは70歳以上の高齢者です。「外来特例」という通院での医療費負担を抑える仕組みを見直すからです。たとえば年収200万~370万円の70歳以上の人は、現在、外来特例の自己負担上限は年14万4千円。2年後には年21万6千円と、年7万2千円も引き上げられます。高齢者に大きな負担を強いる改悪は0点です。

【6】トランプ会談

高市首相は3月20日アメリカのトランプ大統領と会談しました。

繰り返し報じられたのは、高市首相の「世界に平和をもたらせるのはトランプ大統領だけ」という発言やハグやダンスなど。一部には「媚びすぎだ」「品位がない」と不評でしたが、私は「うまい」と思いました。これらのおかげで、トランプ大統領の機嫌をとる“爺転がし”に成功したのですから。

おかげで、ホルムズ海峡への自衛隊派遣を約束させられなかったのは大きな成果です。60点!

【7】国民負担の増加(「子ども・子育て支援金」など)

4月から「子ども・子育て支援金」の徴収が始まります。未婚者も後期高齢者も負担するため、「独身税」と揶揄されるものです。

徴収額は、年収600万円の会社員なら月575円、年間6千900円。2027年度、2028年度と負担が上がります(子ども家庭庁)。

高齢者にとっては、先の高額療養費制度に加えて、子ども・子育て支援金など負担が積み重なります。高齢者をねらい打ちしているのではという疑念も込めて40点。

【8】食品消費税ゼロ

衆議院選挙の前に高市首相は食品消費税ゼロを「私の悲願」と言いました。ですが、与党が大多数を占める国会ではなく「社会保障国民会議」で、「給付付き税額控除」と共に議論するようです。

高額療養費制度を“数の力”で押し切ったのなら、食品消費税問題も同様にさっさと押し切ればいいものを、やる気がないのではないかといぶかしく思います。

イラン危機が長期化し、ガソリン高騰による補助金が増え続ければ、消費税減税の財源が枯渇するかもしれません。食品消費税ゼロが実現するかはまったく不透明で、採点できません。

高市首相は2世議員ではなく、男性優位の政界で女性初の総理大臣です。はっきりした物言いで人気があるのは理解できます。

しかし、負担増の嵐では、人気も陰るのではないでしょうか。厳しい目で見守りたいと思います。

【PROFILE】

おぎわらひろこ

家計に優しく寄り添う経済ジャーナリスト。著書に『65歳からは、お金の心配をやめなさい』(PHP新書)、鎌田實氏との共著『お金が貯まる健康習慣』(主婦の友社)など多数

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