《「愛子天皇」を支持》皇室ジャーナリスト・久能靖さんが逝去…昨春本誌に明かしていた“皇室存続”への危機感
昨年沖縄県を訪問されて天皇皇后両陛下と愛子さま(写真:JMPA・2025年6月5日)
元日本テレビアナウンサーで、本誌にもたびたびコメントを寄せてくれていた皇室ジャーナリストの久能靖さんが、5月2日に亡くなった。90歳だった。久能さんは1960年に日本テレビに入社、アナウンサーや報道局記者として活躍し、日本中を震撼させた1972年のあさま山荘事件では、警察の突入前後の実況中継を担当したことでも知られる。
1990年に退社してフリーになってからもお昼の情報番組にキャスターとして出演し、皇室番組では皇族方のインタビュー行うなど、亡くなるまで皇室ジャーナリストとして精力的に取材を続けていた。
いつも長年の皇室取材で蓄えた豊富なエピソードを明かしながら、優しく本誌記者の取材に応じてくれていた久能さん。昨年、朝日新聞4月3日付の「声」欄に、《皇位継承、今こそ国民的な議論を》と題して投稿し、一部で注目を集めていた。
《そもそも現在検討されている2案は、一時しのぎの改革案にすぎない》
久能さんが投書した当時から現在に至るまで国会では、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する案と、旧宮家の男系男子の養子縁組を可能にして皇族に復帰させる案の2案を軸に、皇族数確保策を巡る議論が続いている。久能さんの投稿から1年ほど経ち、今国会中の皇室典範改正がなされるか注目が集まっている。
投稿の掲載後、本誌は久能さんに思いを聞いていた。
「皇室の危機を、国会議員だけで決めてよいのかと危機感を抱き、投稿という形を取りました。そもそも今論じられているのは、皇族数の減少を食い止めるという議論だけです。
旧宮家の男系男子を対象とした養子縁組案も、戦後に皇室を離脱し、私たちと同じ国民として自由な生活を送ってきた旧皇族の子孫の方が皇室に入ることを、そもそも国民は納得できるのでしょうか」(以下、久能さん)
さらに、現在の皇位継承のあり方も含めて、次のような危機感も明かしていた。
「ほとんどの党と会派は、悠仁さままでの皇位継承の流れは揺るがせにしない、ということを議論の前提としています。しかし恒久的に安定した皇統の継承のあり方について議論を始めるのがいつになるのか。その時点で、皇位を継承できる方が悠仁さまお一人になっている可能性も十分にあり得ますし、悠仁さまとお妃となられる方の間に男の子のお子さまが生まれる保証はありません。その時に手を打とうとしても、すでに遅いのです。
皇位を男系で継承していく困難さは、明治22年に皇室典範が制定されて以降、構造的に抱えている問題といえます。制定に際した議論でも、女性天皇を容認すべきかどうかという議論がなされています。まだ側室制度もあり、現代社会と比べても女性の権利が大きく制限されていた明治時代に、そういった意見があったことを私たちはいま一度考えなければいけないと思います。
少子化が進み、子どもは1人、多くても3人ほどというこの令和に、政治家や保守系の論客が危機感を抱かず問題を先延ばしにしようとしていることこそが問題なのです」
■「愛子天皇」、そして日本国民への期待
ご公務での華々しいご活躍から愛子さまへの声望が日に日に高まる昨今、「愛子天皇」の実現を望む国民も徐々に増えている。久能さんも、愛子さまのご即位を願う言葉を語っていた。
「これまでにも、8代10人の男系の女性天皇がおられます。いま、愛子さまという男系の内親王がいらっしゃり、国民から大きな支持を得られています。私は、男性であれ女性であれ、天皇のお子さまが皇位を継いでいかれる形が望ましいと考えています。
振り返ると、2006年に当時の小泉政権下では、皇位継承順位を性別に関係なく長子優先とする皇室典範改正案を提出する直前までいきました。いまから20年ほど前にそういった議論があり、女性天皇・女系天皇容認という結論も出ていたのですから、決して不可能なことではないのです」
国民一人一人に訴えていかなければならないと、本誌記者に話しつつ、こう続けた。
「いまの政治家が進めている方向性では、皇室が直面している問題の根本的な解消には至らないでしょう。もっと国民一人一人が、皇室のあり方について問題意識を持ってほしいですし、いろいろな意見を聞いていく機会を設けていくべきだとも思っています。新聞に投稿したのも、こういった情報に日々アンテナを立てている人々に問いかけたいという目的もあったからです。
ともかく、国会議員は国民の信託を得ているとはいえ、何から何まで決めていいとは思いません。皇室の未来を守っていくためにも、今こそ国民の声を聞く必要があると考えます」
久能さんが語っていた危機感と期待。国民一人一人に、その思いが届くことを願ってやまない。