「国がリスクを知らなかったはずない」被害事業者は怒り…閉幕から8カ月も解決見えない総額10億円超の“未払い問題”

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「国がリスクを知らなかったはずない」被害事業者は怒り…閉幕から8カ月も解決見えない総額10億円超の“未払い問題”

大阪万博を主導した大阪府の吉村知事。現在、その目は副首都構想に向けられているが……(写真:時事通信)



「大阪・関西万博」の閉幕から、8カ月。現在もなお、解決の糸口が見えないのが“万博・未払い問題”だ。

6月10日、「万博工事未払い被害者の会」のメンバーは国会を訪れ、未払いの解決を求める3万3569人分のオンライン署名を国土交通省と経済産業省に提出した。被害を訴える事業者は30社を超え、総額は10億円以上にのぼるとされる。

一方で、ここにきて、さらに新たな問題も露呈しているーー。

6月11日の参議院内閣委員会で明らかになったのは、万博協会は事前に「未払のリスク」を知りながら、中小事業者を募集したのではないか、という点だった。

■大手ゼネコンは「未払のリスク」を懸念して撤退

この日、質疑に立ったのは、共産党の大門実紀史参議院議員(70)だった。大門議員は、まず「未払い問題の発端を振り返る必要がある」と指摘。
万博の開幕前、海外パビリオン建設をめぐって大手ゼネコンが相次いで撤退した経緯に、こう言及した。

「2~3年前、海外パビリオン建設から大手ゼネコンが次々と工事から手を引いていきました。万博協会や大阪府は、このままでは開幕に間に合わないと危機感を強め、急きょ工事を請け負う事業者の募集を行ったのです。その結果、多くの中小事業者が万博工事に参加することになりました。しかし、その後、大量の未払い問題が発生したのです」

実際に大阪府の吉村洋文知事(50)は2023年8月9日、大阪府庁の定例記者会見で「このままでは開幕に間に合わない。建築に協力してもいいという事業者の方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡を頂けたらと思っています」と中小事業者に協力を呼びかけていた。

大門議員は、「そうした経緯がある以上、まず確認しなければならないのは、なぜ大手ゼネコンが海外パビリオン建設から撤退したのかという点だ」として、経済産業省側に説明を求めた。

これに対し、経産省の浅井俊隆審議官は、「担い手不足や資材価格の高騰、工期の問題があった」と説明。


しかし大門議員は、「報道では、大手ゼネコンは『資金回収リスクがあるから撤退した』とはっきり述べている」と指摘。海外の政府や企業との契約では、代金回収が困難になるリスクがあることは業界では知られた話だ、としたうえで、「万博協会も経産省も、その事実を把握していたはずだ」と迫った。

■「未払いリスクは説明したのか」に答えられず

大門議員が問題視したのは、そのリスクを後から参加を募った中小事業者に説明していたのかという点だった。

浅井審議官は当初、「説明会を開催した」「工事の円滑な実施に向けた各種支援に取り組んできた」などと述べ、質問の核心には踏み込まなかった。しかし、大門議員が「未払いリスクについて説明したのか」と重ねてただすと、「資金回収の問題についても一つの論点として認識されていた」と答弁。「契約内容を十分確認し、当事者が納得したうえで契約することが前提」と繰り返したものの、少なくとも資金回収リスクそのものは認識していたことを認める形となった。

これに対し大門議員は、「資金回収リスクを知りながら、それを説明せずに『万博成功のために協力してほしい』と募集したのであれば問題だ」と指摘。「重要なリスクを伝えないまま事業者を募集したのであれば、説明義務違反や信義則違反など、法的責任が問われる可能性がある」と追及した。


一方、浅井審議官は最後まで、「海外パビリオン建設は参加国と事業者との契約に基づくものであり、リスクは当事者同士が判断したもの」との説明を繰り返した。

かみ合わないやり取りが続くなか、大門議員は「答弁書を読むのではなく、自分の頭で考えて答えてほしい」と苦言。「これは単なる民間同士のトラブルではない」と強調し、万博協会や国の責任について改めて検証する必要があるとの認識を示した。

■フードコートでも8200万円の未払いが発生

さらに質疑では、新たな未払いトラブルも浮上。大門議員によると、万博会場内のフードコートに出店した飲食店テナントが、内装工事を請け負った業者に対し、工事代金約1億8000万円のうち約8200万円を支払っていないという。

工事の途中で追加工事や設計変更を繰り返し依頼したにもかかわらず、後になって「当初の見積もりに含まれていた」と主張しているというのだ。

被害業者は当初、万博協会にも相談していたが、現在は「民間同士の契約問題だから、これ以上連絡してこないでほしい」と言われているという。

しかし大門議員は、「万博協会は出店前に事業者の審査を行っているはず。
8200万円もの未払いを起こす事業者を認めておきながら、後は民間同士の問題だというのは無責任ではないか」と批判した。

大手ゼネコンがリスクを理由に撤退するなか、それでも工事を引き受けた中小事業者がいたからこそ万博は開幕にこぎ着けたのだ。しかも万博協会は、「約370億の黒字が見込まれる」と発表している。

大阪府の吉村知事や政府は、これまで「民民の問題」として切り捨ててきた。だが、大門議員は「万博協会自身が、重要なリスクを承知しながら十分な説明を行わず事業者を募集したのであれば、損害賠償責任を問われる立場になり得る」として、早急な救済措置を求めた。

「万博工事未払い被害者の会」代表のAさんは、「経産省が未払いのリスクを知らなかったはずはない」として、こう怒りを露わにする。

「そもそも軟弱地盤の問題で工事が難航し、工期が大幅に遅れたことが元凶でした。本来なら、最初の段階で計画を見直し、事業者の審査や契約環境も整えるべきだった。
でも、無理なスケジュールのまま進めた結果、そのしわ寄せが現場の中小事業者に集中してしまったのです。私たちは万博を成功させるために工事を引き受けました。働いた分の代金を払ってほしい。それだけなんです」

未払い問題の発生から1年以上。被害事業者たちは今も解決を待ち続けている。

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