「まったく萎縮していない」米国から制裁されたICC・赤根所長 オランダで面会した山尾志桜里氏が明かす「赤根さんが喜んだ手土産」

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「まったく萎縮していない」米国から制裁されたICC・赤根所長 オランダで面会した山尾志桜里氏が明かす「赤根さんが喜んだ手土産」

検察官として後輩と先輩の関係でもある、山尾氏と赤根所長(山尾氏のXアカウントより)



「赤根さんはものすごくお元気でした。お食事もご一緒しましたが、食欲もあり、変わらず裁判業務を続けています」

こう話すのは、「人権外交を超党派で考える議員連盟」(共同会長、中谷元氏・68、舟山康江氏・60)の山尾志桜里顧問(52)だ。

山尾顧問は28日午後(現地時間)、オランダ・ハーグにあるICC(国際刑事裁判所)本部で赤根智子所長(70)と面会、現在の状況などを聞いた。

赤根所長は18日、米国のトランプ政権から制裁対象に指定され、米国内での資産凍結、入国禁止、米国人・米国企業との取引遮断の対象とされた。

同議連は米国の措置を「最も強い言葉で非難」し、日本政府には「米国の新たな制裁の撤回を求め、ICCへの揺るぎない支持と支援の表明を強く要請」する内容で緊急声明を出した。

すると、世間でも署名活動やSNSでの書き込みが広がりを見せ、大きな関心を呼んだ。当初は「残念」とだけ発していた高市首相も、25日には「今回の措置は日本の立場と相容れるものではなく、大変深刻に受け止めている」と“言い直し”たのだった。

28日午後(現地時間)に渦中の赤根所長と面会を終えたばかりの山尾顧問が、振り返る。


「米政権からの制裁が発表された後、ICCの方々がどのように職務を続けているのかを、私自身の目で確かめたいと思いました。そこで、以前から親交がある赤根所長から快諾をいただき、面会が実現したんです。

もともと私は衆議院議員を辞めた後、国際法を学ぶため慶應義塾大学大学院に入りました。そこで赤根所長(当時ICC裁判官)が授業に来られたんです。赤根さんは検察の先輩であり、ICCで誠実に仕事をされている姿に、私は強い敬意を抱いてきました」

面会では、「近況の確認を含めて意見交換」をしたという。

「人権外交議連の顧問としては、議連での声明の趣旨や日本での状況をICC側にお伝えし、赤根所長がいま何を考え、何を求め、何を大事にしているのかをうかがいました」

そこでは、どんな意見交換があったのだろうか?

「赤根所長はご自身の言葉を非常に大切にされる方ですので、『私(山尾顧問)はこう受け止めた』という形でお答えさせてください。全体的な印象としてまず強く感じたのは、赤根所長も職員の方々も、士気が非常に高いということです。制裁にも、まったく萎縮していません。
裁判官18名のうち、半数の9名が制裁対象となり、ICC全体では全13名が制裁を受けていますが、それでもICCはいままでどおり裁判業務を続けています。

世界中で被害者を保護・支援し、裁判を進め、犯罪被害者への資金援助も続けている。制裁下でも『法の支配を守る』という本分を果たし続けている姿を、この目で確認できたことは非常に大きかったです。もちろん、さらなる制裁拡大のリスクも現実的に視野に入れておられると思いますが、萎縮はまったくありません。同時に、制裁下での実務的な備えも、着実に進めている印象でした」

赤根所長以外の職員からも、話を聞いたという。

「驚いたのは、昨年から続く一連の制裁が、これだけ大きなニュースになっているにもかかわらず、ICCで働きたいという勤務希望者がむしろ増加しているということです。

また、日本人職員の方々とも話しましたが、赤根所長が制裁対象となったことで不安が広がっているのではないかと思いきや、むしろ『日本人職員をICCで増やすにはどうすればいいか』という前向きな議論が多かった。外務省や日本の大学との連携、ローマ規程(国際刑事裁判について定めた国際条約)をどう若い世代に伝えるかなど、非常に前向きな話ばかりでした。


混乱も萎縮もなく、士気が高く、粛々と仕事を続けている――それが面会で最も強く感じたことです」

■日本での署名活動は「とても力になっている」

心配なのは、赤根さんの心身の健康状態だが……。

「実際にお会いしてみて、ものすごく元気でした。以前とまったく変わらないという印象です。食事もご一緒したんですが、食欲もしっかりあり、会話も明るく、健康を維持するためのケアも十分されていると感じました。

日本での署名活動についても『とても力になっている』『勇気になる』と繰り返しおっしゃっていました。本当に『日本の市民社会からの支援』を喜んでおられました」

一方、山尾顧問は、ある“お土産”を手渡したそうで……。

「じつは……高市首相のお菓子(さなえちゃんラングドシャ)をお土産としてお渡ししたんです。とても喜んでくださり、笑顔が印象的でした。


お土産に首相のラングドシャを選んだ意味? 高市首相の『今回の措置は日本の立場と相容れるものではなく、大変深刻に受け止めている』という発言の翌朝(26日朝)、茂木敏充外務大臣(70)から赤根所長に電話があったとも聞いていましたので、日本政府が支える姿勢であるということも伝えたいと思ったんです」
ただ、赤根さんは個人的な不便については「口にしない」のだという。

「個人的な不便――たとえばクレジットカードが止まった、口座がどうなった――といった話をほとんどされません。むしろ『日本が世界から信頼される、法の支配の守り手であることが大事』とか、『日本には大きな期待が寄せられている』という大きな視点に立って話されていました。

ご自身の状況よりも、つねに『法の支配』と『日本の役割』を語る。その姿勢に、私自身も本質を見つめ直す思いでした」

そこに、赤根さんの変わらぬ信念があると山尾顧問。

「赤根所長は『私が死んでも裁判官の代わりはいる』という彼女の名言があるように、個人の不便を大きく語る方ではありません。しかし、私の受け止めとしてですが、実際の影響は言葉にできないほど深刻ではないかと思います。

じつは、赤根所長は2023年、ロシアのプーチン大統領らに逮捕状を出し、世界から賞賛を受けました。
しかし報復として2025年12月、ロシアから欠席裁判で有罪判決を受けています」

ICCとしては、世界中で裁判を行う必要があるのだが、ロシアと犯罪人引き渡し条約を結んでいる国にはトランジットも入国もできない状態なのだという。

「そのような状態に、今回の米国制裁が加わったわけですから、生活・移動・金融・通信など、想像を絶する圧力がかかっているはずです。それでも赤根所長は萎縮せず、職務を続けています。その強さを改めて感じました」

赤根さんとの面会を経て、山尾顧問があらためて日本政府に訴えたいこととは。

「まず日本企業に対して『米国の大統領令や制裁に従う法的義務はない』と明言してほしいと思います。これはICCと赤根所長、そして日本の主権を守る大きな力になります。

また、米国政府に対しては、制裁拡大を防ぐよう主張すること。さらに金融庁に働きかけて、二次制裁のリスクを回避し、日本の金融機関が赤根所長との取引を継続できるようにすること――これらは高市首相にしかできません」

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