【Ringwanderung ライブレポート】4年ぶりのバンドセットで魅せたツアー初日 生音と歌声が生んだ圧倒的なグルーヴ
Text:斉藤貴志Photo:ヤギタツノリ(たつのん)
ピアノやオルガンをフィーチャーした楽曲のクオリティとメンバーのボーカル&パフォーマンス力の高さから、音楽性の優れたアイドルの代表格になっているRingwanderung(リングワンデルング)。全国6都市で7公演を巡るツアーの初日が8月16日にSpotify O-EASTで行われた。東京だけのバンドセットでのステージで、いっそうの高揚感と彼女たちの本物ぶりも際立ち、夏のかけがえのない思い出となった。
赤ずくめの衣装の5人が手拍子に乗ってステージに現れ、円陣を組む。合わせた手を跳ね上げると、前方に歩み出て横1列に並ぶ。シンセリフのSEが流れる中で頭上でクラップ。バックのTHE VORTEX BANDはツインギターにベース、ドラム、キーボードに加え、サックス、2本のトランペット、トロンボーンのホーン隊と重厚な編成だ。
幕開けでホーンが華々しく鳴り響き、レトロタッチの「ROULETTE」に突入。
篠田百音の歌い出しから寺尾音々、辺見花琳……と入れ替わり前に出てボーカルを取り、ほかのメンバーは腕を回したりと激しく踊って、狂おしいラブソングをスリリングに展開していく。サビでは佐藤倫子が力強く歌い、間奏のダンスからは増田陽凪が4人に囲まれて甘めの声を。グイグイ盛り上がって、最後は佐藤のフェイクでキメた。
間髪入れず「メロドラマ」に「燃える火曜日」と軽快なピアノロックをたたみ掛け、フロアも爆発的なコールで沸く。トランペットとカッティングギターが絡む「ユレ↑ル↓ナ→」にメロウな「夜彩」と、バンドセットならではのグルーヴが気持ちいい。
5人はV字、逆V字、前2人・後ろ3人など1曲の中でも目まぐるしく、かつ流れるようにフォーメーションを変えながら、躍動的なダンスを見せる。波が次々と寄せては返すように。その中でボーカルもリレーのように繋げていき、5人それぞれに聴き入らせる。
楽曲派アイドルとして名高いリンワンだが、ライブで観るとパフォーマンス力も圧倒的。生バンドのサウンドで、さらに勢いが加速するステージになった。
「皆さん楽しんでますか?最高の波を起こしましょう!」と増田が呼び掛けたディスコナンバー「waving」では、ギターやサックスのソロ演奏も織り交ぜつつ、5人が人差し指を突き上げて振って「踊れー」と歌う。ゴキゲンな夜だ。
怒涛の6曲連発後のMCでは、バンドとのリハーサルで増田がずっと「お腹が空いた」と言っていたと、篠田が指摘。増田が「5〜6時間ぶっ通しだからペッコペコで……」と言うと、「何回もマイクにお腹の音が入っているのを聞いた」と追い打ちを掛けられた。
佐藤が「皆さんと“ひゅるりら”したいと思います」と「風」で次のパートに。緩やかなピアノのイントロから、恋人との間にすきま風が吹いているような想いを、5人でしっとりと歌い上げていった。
一転、ドラムビートからアップテンポな「空蝉」へ。疾走感のあるサウンドに乗りながらもゆらゆら揺れて踊り、夏の匂いを漂わせていく。
叩きつけるようなピアノのフレーズが印象的な「パルス」から、リンワンらしい曲を続けていくが、今回のステージではブラスサウンドでジャジーな味付けが加わった。「共謀者」もイントロからサックスがブロウ。アーバンで大人な恋愛ソングで歌に哀感が漂う。ステージを縦横無尽に動き回るパフォーマンスで、歌割りではソロパートも多いリンワンだが、サビできれいなハーモニーを聴かせた。
エレアコが奏でられるビターなミドルチューン「Lily」では、「飲めなかったビールも少し残した酎ハイも」などとアイドル曲らしからぬ歌詞で、佐藤を中心にハイトーンの応酬を繰り広げる。佐藤はその高いキーでのロングトーンでも沸かせた。
ここまで7曲連続で、息つく間もなく引き込まれた。
バンドセットライブは4年ぶり。2年前に加入した篠田は初めてで、MCで「リンワンの曲はめっちゃムズそうじゃないですか。人間が弾けるのかしらと思っていたら、すごい演奏をしていただいて楽しいです」と声を弾ませた。
佐藤は「よーし!まだまだ行けますか?」と観客に語り掛け、「みんな、マジ声デカいね。めっちゃ聞こえてくるんだけど」とも。「みんなに届くように歌います」と告げるとステージが暗くなり、切々と「さよなら誰より愛しい人…」と「アッチェレランド」を歌い出す。
今回のライブでは、6月にリリースされた4年ぶりのフルアルバム『SYNCHRONICITY』の収録曲も多く披露されたが、この名盤のリードトラックだ。
学校が舞台の失恋ソング。ステージを右へ左へと5人で動きながら、繊細に歌を紡ぎ、想いが溢れるサビでは左右に跳ねるステップ。オチサビではバックが無音になって、佐藤が深々と歌い胸を震わせた。
レーザーが飛び交う中で5人が走り回ると、キラーチューンの「LV」を繰り出す。「君を愛してあげるアゲルよ」との歌詞のまま、会場の熱気をアゲていく。飛び跳ねる増田のポニーテールが大きく揺れ、寺尾は髪をかき上げて歌う。フロアでは「ウー!ホー!」とコールと手拍子が爆発し、ステージと引っ張り合うように一体となってヒートアップ。
さらに「声出していきますよ!」「こんなもんじゃないよね!」と煽りながら、リズミカルな「Adam」やかわいさをのぞかせる「魔界X」など定番曲を次々にぶち込み、疾走が止まらない。
バンドの生のビート感とも相まって、恍惚レベルの高揚に持っていかれた。
それにしても、5人は多彩なフォーメーションで動き続け、歌いながらバリエーションの多いダンスもノンストップ。シャープにダイナミックに、笑顔も浮かべて。しなやかな迫力は圧巻で、なんてアイドルだと思わずにいられない。
今度は9曲連続となる「Last Summer Daydream」は、きらびやかな速弾きのピアノが映えるアップチューン。四つ打ちのビートに舞うように体を翻して腕を回し、エモーショナルに歌っていく。
急にステージが暗転して静まり、スポットライトを浴びた佐藤が「最高と最低が今一瞬の発想で散った」としみじみ歌い切る。再び照明がついて激しいドラミングから、サヨナラと幻想を全員で歌い、ドラマチックな展開に。
ラララララ…と会場一体となって手を左右に振って、ラストまで駆け抜けると、「せーの」と全員でジャンプし、5人はステージを後にした。
すかさず大音量のアンコールがかかり、再登場した5人は円になって回りながら散らばり、篠田の歌い出しからロマンチックな「starry night」へ。軽やかに跳ねて歌って、心地良い夏の夜を演出した。
寺尾が「アンコールありがとう。これからもリンワンが皆さんにもっともっと刺さりますように」と披露したのは「ササル」。歌の節回しが速いピアノロックで爽快に高まり、コール&レスポンスも沸き上がった。「みんな、まだ声出せますか?」と佐藤が問いかけると、オーッと大歓声が返り、「マジすごい。一緒に声を聞かせてくださいね」と、オーラスに持ってきたのは「アンビバレンス」。
高速ピアノのイントロに冒頭からコールが起こり、篠田から辺見、佐藤とボーカルを回して、駆け出す振りからターン。サビでは一斉に拳を回して歌う。佐藤がフロアにマイクを向けると「ウォーッ、ウォーウォー」と大合唱に。
オチサビのクールダウンから、またテンポアップすると最後までコールが止まない。ステージの5人も全力のダンスを続け、「ありがとうございました!」と疾走からゴールを切り、そのまま突き抜けたようなフィナーレとなった。
リンワンのツアーは北海道、大阪、愛知、石川、広島と続き、9月23日(水・祝)の最終公演では再びO-EASTへ。去り際に佐藤がまたファンとの約束のように「未来で待ってる!」の言葉を残した。
<公演概要>
Ringwanderung TOUR『GROOVE』
8月16日 東京・Spotify O-EAST