2023年8月31日 17:00
多層的な面白さ。劇団アンパサンド『地上の骨』9月1日開幕
9月1日(金)より、劇団アンパサンド『地上の骨』が三鷹芸術文化センター星のホールで開幕する。24回目を迎える「Mitaka “Next” Selection」の1団体として選ばれたもので、アンパサンドにとっては劇団史上最大規模の公演となる。
今回の物語の舞台は会社のようだ。劇場のサイトに書かれたあらすじには「とある契約社員がいつものように忙しさに翻弄されつつお昼ご飯を口にした途端、契約社員の苦悩が具現化され、同僚たちの日常を変えてしまう」とある。ざっと読むと見落としてしまいそうになるが、気になるのは「苦悩が具現化」のところだ。
劇団アンパサンドが描く世界のはじまりはいつも、なんでもない日常の風景だ。家族と自宅で過ごす朝の時間であったり、同僚たちと仕事に勤しむ職場であったり。登場人物たちはどこかちょっとクセがあるけれども、どこかにはいそうな雰囲気の人たち。
その、自然なテンションの会話についつい引き込まれていく。ちょっとした会話のニュアンスに笑いながら彼らの日常を垣間見る面白さ。しかし、その風景に次第に非現実的な展開が混ざり込んでいく。あり得ない展開に戸惑ったり立ち向かったりするそれぞれの振る舞いは、見たことのないものでありながら彼らにとっての日常の延長線上でもある。