サントリー美術館では、2023年4月22日(土)より『吹きガラス妙なるかたち、技の妙』展を開催する。
ドロドロに熔けた熱いガラスに息を吹き込み、風船のようにふくらませて、素早くかたちを成形していく吹きガラス。その歴史は古く、西洋では紀元前1世紀に登場し、ガラス容器の生産・流通が開始された。同展は、この吹きガラスの「かたち」と、それを表現するために使用された「技」にフォーカスした展覧会。古今東西の特色ある吹きガラスが、一堂に集結する。
まず紀元前1世紀ローマ帝国下の東地中海沿岸域に始まる西洋の吹きガラスは、重力や遠心力を活かした、自然な曲線美とのびやかな装飾が印象的。その表現は、熔解炉で熔かした熱いガラスを成形・加工するホットワークにより洗練され、15~17世紀頃のイタリア、ヴェネチアで頂点に達した。
一方、東アジアの吹きガラスは、5世紀頃に西方からの影響のもとで始まったと考えられるが、西方のような道具や設備がなかったために、かえって素朴で儚げな、東方ならではの情緒あふれる美しい吹きガラスが発達。
その製法は日本にも伝わり、江戸時代には、サントリー美術館が誇る《藍色ちろり》などの傑作を生んだ。