2021年9月2日 07:00
玉三郎と仁左衛門のお岩と伊右衛門『東海道四谷怪談』ほか、歌舞伎座「九月大歌舞伎」開幕
ほろりとさせる新歌舞伎に舞踊、そして時代物狂言、生世話狂言と、彩り豊かな演目が出そろう9月の歌舞伎座。六世中村歌右衛門二十年祭、七世中村芝翫十年祭と銘打った第一部から幕を開ける。
第一部『お江戸みやげ』
酒が好きなおゆうと、一切酒を飲まずに金勘定ばかりのお辻。中年の女行商人ふたりが江戸へやってくる。江戸みやげにと、江戸で評判の役者・坂東栄紫の「お染の七役」を観ることに。堅物のお辻がなんと栄紫にほれ込んでしまう。そして彼女が「一生に一度」と手にした江戸のみやげとは。ほろ苦く、そして心温まる作品だ。
父である七世中村芝翫の当たり役であったお辻を、当代の芝翫が初役で、おゆうにはこちらも初役で中村勘九郎。息の合ったコンビが見どころだ。
そして『須磨の写絵行平名残の巻』。海女の松風と村雨の姉妹は、須磨へ配流となった在原行平に恋慕する。だが都へ戻ることになった行平の烏帽子、狩衣をまとった松風は狂乱となって……。能の『松風』をもとに作られた清元の舞踊劇。行平に中村梅玉、海女松風に中村魁春、海女村雨に中村児太郎。
第二部『近江源氏先陣館盛綱陣屋』
近江国坂本城(京)と鎌倉・平時政との間に戦が起こる。