佐藤勝利&原菜乃華が声で紡ぐ、不器用なヒーローと儚いヒロイン。長岡花火の“想い”を未来へ
(撮影/梁瀬玉実)
アニメのキャラクターを等身大で演じられそうなビジュアルの佐藤勝利と原菜乃華。7月17日公開のアニメーション映画『君と花火と約束と」で声優に挑戦し、キャラクターに瑞々しく命を吹き込んだ。平和への祈りが込められた新潟・長岡花火を題材とした青春ラブストーリーへの起用は、原作者の真戸香も太鼓判を押す念願のキャスティングだ。戦争を二度と繰り返さぬように語り継ぎ、未来へと平和を繋げていくこと――。長岡まつりで夜空に打ち上げられる美しい花火への願いを知ってもらうため、大切に役に声をあてたというふたりが解像度高く表現した今作の魅力を語ってもらった。
ふたりが等身大で向き合ったキャラクターの魅力
――佐藤さんはアニメーション映画初主演、原さんは「すずめの戸締まり」などでアニメ映画の声優の経験がありますが、まずは最初にこの作品への出演が決まった時のご心境から聞かせて下さい。
佐藤勝利(以下・佐藤)僕は声優をいつかやってみたいという思いがあったので、アニメーション映画が決まった時は、本当に嬉しかったです。初めて声優に挑む不安はありましたけど、素敵な物語の声を務められることが楽しみでしたね。
原菜乃華(以下・原)台本を読んで素敵なストーリーだったので、煌というキャラクターに声を吹き込めることの嬉しさと同時に責任を感じました。プレッシャーもありましたが、やっぱりこの作品に携わりたいという気持ちが大きかったので、アフレコが楽しみでした。
――原作は、真戸香による小説「君と花火と約束と」です。日本三大花火大会のひとつである「長岡まつり大花火大会」の花火が描かれた一枚の絵がつなぐ、時を越えた切ないラブストーリーですが、最初に台本読まれた時、どんな感想を持ちましたか。
佐藤本当にまっすぐで純粋な物語だなと思いました。添加されていないオーガニックな感じがすごく好みなんですよね。平和への想いを込めた花火が軸になっていて、花火の綺麗さがこの映画の魅力になっています。自分の声が映画館にどのように流れるのか想像つかなかったですけど、台本が素敵で完成が楽しみになりました。
原青春ラブストーリーの印象が強い中、長岡の花火が受け継がれてきた想いをすごく丁寧に描いてる作品だなと思いました。長岡花火は、主人公の誠と煌だけではなく、いろんな人たちの思いが繋がって、今があって。それって奇跡みたいなことだなと思いますし、尊いことだなということを改めて実感できる作品で、温かい気持ちになりました。伝えたいメッセージがまっすぐ胸に届く作品という印象です。
――佐藤さんは高校の入学式で煌と知りあう誠、原さんはしっかり者で明るく友達も多く、周りから慕われている煌を演じています。高校入学直後に出会った誠と煌は、次第に惹かれあう関係性になっていきます。それぞれご自身が声をあてたキャラクターをどう捉えたのでしょうか。
佐藤原作の真戸さんが新しいヒーロー像にしたいとおっしゃっていたんですが、誠はクラスの中でも端っこにいるタイプで内気な少年。
やりたいこともみつけられない。でも、人にちゃんと手を差し伸べられる人なんですよね。クラスの人気者で、「俺がみんなを救うぜ!」というタイプだけがヒーローじゃない。誠のように正義感を持っていて、大事な人を傷つけないという男の子がヒーローでもいいんじゃないかと思いましたね。
原煌は才色兼備でクラスの中心にいる人気者という言葉が似合うような華やかな女の子なんです。でも、陰と陽のどちらも持ち合わせてるキャラクターで。明るさの中にも危うさや儚さ、弱さみたいなものが見え隠れするんですよね。誠と一緒にいる時の煌と、みんなに見せる顔の区別をどういう風につけるか、意識して繊細に演じようと心掛けました。
――キャラクターに命を吹き込むのは、難しかったですか?
原いえ、あまり人に弱みを見せられないという部分は自分と少し似ているので。いろんな顔があって違う顔を見せるという部分も難しいとは思わなかったです。
佐藤僕は声優に初挑戦だったので、もう何もかも難しかったですね。そもそもアニメの台本を見たこともなくて、読み方が分からなかったくらいなので(苦笑)。そこから始まっているので、大変さはありましたけど、役については原さんと同じで僕も誠とそんなに遠くなかったこともあって、自然に演じられたかなと思います。僕も誠と一緒で正義感は持っているけど、少し引っ込み思案で自信のないタイプなのでそこは似ているな、と。
初共演のふたりが語る、お互いの声の「ハマり役」な理由
――お二人は今作で初共演ですが、お互いの声の印象と、ここが役にハマっているなと思う点を教えてください。
佐藤原さんの声は、幻想感があるっていうか、ちょっとフワッとしてますよね。
貴重な声ですよ。比喩が思いつかないんですけど、浮遊感のある声の人って、なかなかいないじゃないですか。掴んでは消えちゃいそうな煌にぴったりなイメージなんじゃないかな。
原えっ、嬉しいです!
佐藤原さんの煌は、嬉しそうに話している時の声もちょっと切なさや影みたいなものが内包されている感じがさすがだなぁって。
原ありがとうございます!佐藤さんのお声は、すごく柔らかくて、包み込んでくれるような感じがしますね。遠くから見守ってくれているような優しさを感じるというか。誠のキャラクターにピッタリだなって思いましたから。
佐藤良かったです!(笑)。
原誠の不器用ながらも一生懸命に手を差し伸べようと助けようとする優しいキャラクターで佐藤さんのすごく柔らかくて優しい声は、まんま誠という感じです。で、すごくもう。アフレコ自体は別々にしたので、まだ全編を通して誠の声を聞けていなく、完成したものを観るのが楽しみです。
――大きな瞳が愛らしい役のキャラクタービジュアルを見て、お二人にそっくりだと思いました。
佐藤いや、原さんはそっくりですけど、僕はこんな目がキラキラ大きくて、青色の目してないですよね(笑)。髪型も僕とは違いますし、眉がこんな細くないかも!?
原あはは。煌みたいな可愛らしいキャラクターに似てるって言ってもらえるなんて、めちゃくちゃ嬉しいです。
――お二人は別々にアフレコに挑まれたとのことですが、そもそもお互いにどんな印象を持っていらっしゃったのか、知りたいです。
佐藤原さんは僕の声が入ってない時にアフレコしてますけど、僕は原さんの声を聞いてアフレコに挑んだので、スタッフさんと楽しそうに話している姿を見て、「煌の声の人にやっと会えた」と思いました。ずっと煌の声を聞いていたので、実在する人だったんだと思ったくらい(笑)。
原え、そうなんですか? 佐藤さんはバラエティ番組での印象では、クールな方なのかなという印象が勝手にあったんですけど。お会いしてみたら、すごく優しくて、フレンドリーで。
佐藤いやいや、フレンドリーって言ってもらえて、嬉しいです(笑)。クールに見られやすいんですけど、じつはコントをやっているくらいお笑い好きなんで。
原そうなんですか? 劇場にも観に行ったこともあったりします?
佐藤ありますね。まぁ、僕は静かな時もあるんですけど、お笑いが好きなんですよ。
原そうだったんですね。今日の撮影で私がちょっと困っていたら、「大丈夫ですか?」って声をかけて下さって、本当に頼もしいお兄様だなと思いました。
佐藤そう言ってもらえて本当に良かったです!
原初めましてなので、対談の中でお互いを知っていく不思議な時間になりましたね(笑)。
戦後から続く「長岡花火」の平和への祈りを次世代へ
――これまで映画やドラマなど数多くの作品に出演してきたお二人にとって、今作で声だけの演技を経験して、どんなところに難しさや楽しさを感じましたか。
佐藤僕は、過去に黒柳徹子さんとの朗読劇「ハロルドとモード」(2022年)をやったことがあって。その時も声だけのお芝居だったので、今回と近いかもしれないです。アニメのアフレコを初めて経験をしてみて、目のちょっとした動きとか、表情のお芝居ができないのが、映像や舞台のお芝居との違うところだと思いました。練習の時は、最初、海外に行って言葉が分からない時の感じの感覚に(笑)。
――右も左も分からないような?
佐藤そんな感じです。それがアフレコをやるうちにどんどん掴めていく面白さを感じられました。音響チームの方と話していたら、「アニメの場合、シーンが変わると感情や展開もガラッと変わる場面があって、映像をやってきた人はそこに違和感を感じる人がいるんですよ」って。僕はコロコロと感情が変わるような演劇をやってきたからか、違和感はなくて。舞台で経験してきたことが役に立って良かったなと思いました。
――原さんはいかがですか?
原アニメ作品は、3作目になりますが、やっぱり声優のお仕事は好きだなと思いました。もともとアニメが大好きなので、アニメーションというものに携われることがまず嬉しいですし、アフレコブースに入って声をあてることも好きだなと再確認しました。とはいえ、何度やってもアフレコは慣れないし、始まる前は本当に緊張して……。これでいいのかなって毎回思いますし、不安な気持ちは拭えないですけど、やるたびに新しい発見があって面白いです。台本を違和感なく読めるようになってきたり、動いてる時の息遣いだったり、そういうことが意識せずとも少しずつできるようになったことを3回目にして感じられました。
――手応えや楽しさを感じられるようになったんですね。
原そうですね。実写のお芝居だと全身を使うので、表情だったり、動きだったり、お芝居が分散されると思うんですけど、声だけに集中して全てを伝えるのが声優で。息遣いだったり、0.1秒単位の間の取り方だったり、そういうもので全てが変わるんです。より集中して息の吸い方ひとつでも繊細に丁寧に、ちゃん意図を持ってやることが、すごく難しいところ。でも、できなくてもできないなりに試行錯誤してやるのが楽しいなって。自分が思ってもいなかった表現になることもありますし、声のお芝居は楽しくて好きです。
――「長岡まつり大花火大会」は例年10万人の人々が観に訪れる大切な伝統行事です。本作の舞台となる新潟や長岡花火にどんな印象を持っていますか。
佐藤長岡花火の存在は、もちろん知ってました。花火が開催される時期は、宿の予約がとれないって聞いていたので、そんな人気の花火大会にいつか行ってみたいなと思いました。新潟へはライブで何度か行ってますが、会場の外に出かけられないので、観光をしたことはあまりなくて。新潟で用意していただいたケータリングのご飯がとても美味しいなっていう印象ですかね(笑)。
原私は台本を読んで初めて長岡花火というものがあるのを知ったんです。私と同じように、長岡の花火に込められた思いみたいなものをまだ知らない人もきっとたくさんいるだろうなと思うので、若い世代の方にもこの作品を通じて知ってもらえたら嬉しいです。
佐藤そうですよね。僕もこの花火大会が、1945年8月1日に発生した長岡空襲で命を落とした犠牲者たちの慰霊の意味を込めて、始まったということをこの作品に出演することになって知りました。戦後から続く平和への祈りのための花火大会があることを観て下さる皆さんにも知ってもらえる映画になったんじゃないかなと思います。
<作品情報>
『君と花火と約束と』
2026年7月17日(金) 公開
©映画「君と花火と約束と」製作委員会
佐藤勝利(timelesz) 原菜乃華
原作:真戸香「君と花火と約束と」(小学館「ガガガ文庫」刊)
監督:鈴木慧
脚本:森こうへい
キャラクターデザイン:渡辺裕二
キャラクター原案:あかもく
企画プロデュース:梅澤道彦
脚本原案:細谷まどか/michi
企画制作:シンエイ動画
アニメーション制作:SynergySP/アンサー・スタジオ
配給:松竹/シンエイ動画
宣伝協力:ショウゲート
後援:新潟県/長岡市/新潟県観光協会
©映画「君と花火と約束と」製作委員会
公式サイト: kimi-hana-movie.com
公式 X: @kimi_hana_movie(https://x.com/kimi_hana_movie/)
公式 Instagram: @kimi_hana_movie(https://www.instagram.com/kimi_hana_movie/)
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【ストーリー】
「本当に出会ったね、私たちー」
高校入学直後のある日、初めて出会った同級生の煌に声をかけられた夏目誠。
煌は幼少の頃から曽祖母より、一枚の花火の絵と共に「いつか夏目誠と出会う」と聞かされていたという。
誠には覚えのないその絵の秘密を探る誠と煌。そこにはかつて交わされた大切な”ある約束”が込められていたのだったー
撮影/梁瀬玉実、取材・文/福田恵子