『碁盤斬り』白石和彌監督インタビュー。目指したのは「荒々しさよりも美しさ」
草彅剛は「いつの間にか“その時代の人”になっている」
白石監督が語る通り、本作の主人公・柳田格之進は、いわゆる浪人ものによく出てくる“穏やかだけど、実はスゴ腕”におさまり切らない人物だ。穏やかに見えるが、情熱や過去への想いは消えることはなく、ある局面では“一線を越える”こともある。単なる善人やヒーローではない、危険な魅力があるのだ。そんな振れ幅の広い役柄を草彅剛が見事に演じている。
「とても穏やかでマイルドな人で、格之進のように真面目で仕事に対して一途なんです。その点で草彅さんはこの役にピッタリなんですけど、内在している情熱のような、爆発する想いのようなものも、普段なかなか見えないですけど持っていると思うんですよ。だから、草彅さんの中にある熱だったり、危うさのようなものは撮りながら少し感じることがありましたね。
あと驚くのは、いつの間にか“その時代の人”になっていること。
ちょっと時間が空くとギターを弾いてたりするんですけど(笑)、ふっと気がつくと役になりきっていて、いつの間にかその世界を支配している。その境目が本当にわからない。本当にすごい俳優です」
物語の中で格之進は次々に苦しい局面に立たされる。