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現代日本にも通じる“格差と悲劇”。ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』開幕 小林亮太・山田健登、渡邉蒼・島太星のWキャストで描く双子の数奇な運命

ぴあ
現代日本にも通じる“格差と悲劇”。ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』開幕 小林亮太・山田健登、渡邉蒼・島太星のWキャストで描く双子の数奇な運命


双子として生まれたミッキー(マイケル)とエディ(エドワード)の、数奇な運命を描いたミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』。1983年のイギリス初演以来、世界各国で繰り返し上演されてきた傑作の日本最新版が幕を開ける。ミッキー&エディに小林亮太・山田健登と渡邉蒼・島太星を2コンビとして起用、彼らをはじめ、確かな演技力とミュージカルらしい華を併せ持つキャストを擁して、演出・日澤雄介が日本に放つ物語とはどのようなものか。開幕前日に行われた囲み取材、そして同日の小林・山田の“こばやま”コンビのゲネプロの模様もお伝えする。

悲劇ではあるけれど、心を豊かにしてくれる作品を届けるために


初めにミッキー&エディの役同士、そしてコンビ同士での絆について問われた小林・山田・渡邉・島。「この4人で男子中学生のように、楽しく、作品を創るために遠慮なくいられた」(小林)、「同年代の友情が描かれていて、本当に笑えたり本当に嫉妬し合ったり、リアルに育める」(渡邉)、「何が起こるかわからないけど、大丈夫だろうっていう感情が芽生えている」(山田)、「いっぱい話したり遊んだりして、すごく楽しい毎日を過ごしている、その空気感をお届けできる」(島)と、互いの信頼関係の強さを伺わせた。

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小林亮太、山田健登
「蒼くんがどんどん心を開いてくれて、それがすごくいい作用をしている」(小林)、「ミッキーはすごくやんちゃな子で町の人にとっては厄介だけど、エディとかリンダやお母さんには好かれている、その魅力を亮太くんは100%体現している」(渡邉)、「自分じゃ思いつかない角度から芝居をするので、いいなと思う瞬間がいっぱいある。天性の才能みたいなものを太ちゃんのエディには感じる」(山田)、「健登のエディは、エディそのもので何回観ても大好き。
だからこそ勉強になるし、自分はWキャストの意味を考えて自分なりのエディを創り上げてきた」(島)と、それぞれ役への取り組みも伝わってきた。

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島太星、渡邉蒼
そんなミッキー&エディに愛されるリンダを演じる小向なるも、「エディのふたりは本当に全力で、天井の低い稽古場で手や頭をぶつけても何事もなかったかのようにお芝居を続けている頑張りが応援したくなる。ミッキーのふたりは本当に真面目で繊細。稽古の前後に細かく確認をしていて、本当にこの作品を大切にしていることが伝わってきた。島くんが歌いながらこけちゃって、それで蒼くんが吹き出しちゃったりして、稽古場でも笑いが絶えなかったし、そういう部分も含めて憎めなくて愛おしい人たち。私自身も本当に一緒にやる人たちによって全然違う感覚を覚えるので、ぜひ両チーム見ていただきたい」と熱く語る。

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小向なる、瀬奈じゅん
今回、ナレーターという役柄を演じる東山は「時には牛乳配達人、そして時には産婦人科医、そしてある時は高校の先生、果たしてその実態は天使か悪魔か、というような、今回の『ブラッド・ブラザーズ』の人々に寄り添い、そしてお客さんと話を繋ぐ」というこの役どころを「紙芝居のおじさんみたいな感じ」と例えて取材陣の笑いを誘う。さらにミッキー&エディの生みの母であるミセス・ジョンストンを演じる安蘭けい、エディの育ての母であるミセス・ライオンズを演じる瀬奈じゅんは、共に宝塚歌劇団OGだが在団当時、そして退団後も共演の機会がなく、今回初共演となった。
「初共演とは思えないくらい、息が合ってます」(安蘭)、「4人が『男子学生のように』って言ってたけど、私たちも女学生のように楽しんでいます」(瀬奈)と息の合ったところを見せつつ、息子役の4人は7歳を演じるところから始まることにふれ、最初は成人男性の彼らが児童を演じることに戸惑いながらも、現在は「かわいらしくて本当に息子みたい」(瀬奈)、「2幕で大人になるとそちらが不自然に感じるくらい、本当にかわいい」(安蘭)と“母”の顔になっていた。

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安蘭けい、東山義久
さらに、長く愛され続ける本作の魅力について、「1960年代のリバプールの物語を、僕たち俳優がどこまで実感を持って演じられるか、深め甲斐がある役。演出の日澤さんをはじめ全員で今の時代に響く作品として創ってきた。それに音楽も素晴らしくて、悲劇ではあるけどすごく心を豊かにしてくれる作品」(小林)、「スピーディーに進んで、各年代それぞれの痛々しさを描いていく。一貫して痛みを描きながらその形がどんどん変わっていくのがすごく面白くて、それも演じる国の人とか演出してくださった国の人それぞれの価値観によって変わる。だから間違いなくここだけの、シアタークリエだけの『ブラッド・ブラザーズ』ができている」(渡邉)、「子どもの頃から大人になるまでを描いているので、ミッキーやエディでも、その他の人物でも、お客様がどこかしらの場面で『こういうことがあったな』と共感する部分がある。それぞれの人生の中で重なる部分があるから(上演が)続いてるのではないか」(山田)とそれぞれの想いを口にする。

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その一方で、島から「主人公は誰なのかなって思ってました」と衝撃的なひと言が。
すかさず小林が「太星」と言うと、「俺ですか!?……俺です!」と宣言した。「一人ひとりにスポットライトが当たっていて全員がすごく輝いているので、観ている皆さんもたぶん目がひとつでは足りない。沢山観に来ていただきたいと思える作品だし、魅力がそこらじゅうに転がっているので、宝探しのように観ていただければ面白いと思います」(島)またコンビの違いは「“あおしま”はすごく話し合いを重ねていて、努力と頭で考えて実行したうえのミッキー&エディのお芝居がある。輝かしい青春の光があって、本当に“愛おしい”に尽きる」(小林)、「“いい凸凹感”。年齢がちょっと離れているので人生経験に関しては差があって、だからこそそれが合わさった時に面白い化学反応を起こしている」(山田)、「“こばやま”のお兄さん方も稽古場で話し合って、亮太くんの台本なんか書き込みで真っ黒で、それだけ考えているのにそれがなかったかのように本当に放り出された子どもたちのように無邪気に舞台上を駆け回る。これってすごい技術だし、かっこよく真似したい」(渡邉)、「僕たちとは全然違うふたりで、本当に尊敬しています。すごく仲いいのはもちろん、しっかりとした力があるのでどんな方も安心して観られると思います」(島)などと互いへのリスペクトが伝わる語り口だった。

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そして「毎日同じ人間がいますがお味が違うと思いますので、たくさん味わいに来ていただけたら嬉しいです」(島)、「ここまで大切にみんなで作ってきたので、これを大千秋楽までみんなでつないでいけたらと思います」(山田)、「優しくて面白いパートナーなんです、太星くん。
僕たちはお互いにコンプレックスを持っていて、それをお互いにさらけ出し合うことがミッキー&エディの関係性に繋がっている。人間としてとても解放される稽古期間だったし、大変いい双子と、いい双子と、いいカンパニーがこれから世に放たれます」(渡邉)、「この3人がいなかったら今の自分がいないなって思うくらい、いろいろなものに気づかせてくれました。カンパニーのみなさんと日澤さんはじめスタッフの皆様と必死に新しい『ブラッド・ブラザーズ』を創ってきたつもりですが、それぞれの選択であったりとか、どう生きていこうみたいな活力とか、何が皆様に届くのかは僕にはわかりません。ぜひ皆様の目で、心で、この物語を受け取っていただけたら嬉しいと思います」(小林)と締めくくった。

圧倒的なリアリティーと魅力的なメロディーで紡ぐ物語の世界


そして行われた、小林・山田の“こばやま”コンビのゲネプロ。囲み取材でも語られていたように、確かに舞台は1960年代のイギリス・リバプールだが、経済的格差、母子家庭の貧困、犯罪など、驚くほど現在の日本にも通じるものが感じられる。もちろんそれはカンパニーの狙い通りでもあるのだろうが、もともとこの作品に内包されている普遍性ゆえのことだろう。それを背負っているかのように、ミッキーの兄・サミーは犯罪に走り、ミッキーもまた工場をリストラされどん底の状態に陥っていく。


現代日本にも通じる“格差と悲劇”。ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』開幕 小林亮太・山田健登、渡邉蒼・島太星のWキャストで描く双子の数奇な運命


そんな彼が、経済的にも社会的にも恵まれているエディに向ける妬ましさや憎しみは、あまりにも生々しい。それを表現しきっている小林の演技もまた、観る者の胸を容赦なくえぐるものがある。一方のエディも、恵まれた環境で育ったがゆえの真っ直ぐさと、だからこそ無意識に発揮される、ある種の傲慢さ。それもまた、山田は爽やかな立ち姿の中にさまざまな要素を嫌みなく同居させていて説得力があった。

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どうしてもつらい面が目につきがちだが、この作品の普遍性は影の部分だけではない。親子、友情、愛情といった陽の部分にも貫かれている。それが端的に表れているのは、ミセス・ジョンストンではないだろうか。貧しく子だくさんのシングルマザーという、すさんでしまっても無理はない境遇ながら、どこか図太く、明るく、たくましい。
そして子どもたちに向ける愛情には何の噓偽りもない。そうした“肝っ玉母ちゃん”の姿を、安蘭は見事に体現している。「ミッキー!」とドスを効かせて息子を呼ぶシーンなどは客席からも笑いが起こっていた。特に男の子のいる母親にとっては「そうだよね」というリアリティーがあるのではないだろうか。

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また、もうひとりの母であるミセス・ライオンズも非常にリアリティーあふれる造形だ。夫との子どもがほしい、でも恵まれない。思いつめて双子のひとりをもらい受けて自分の子として育てるものの、エディへの愛情がある分不安も大きく、次第に追い詰められていく。観客にネガティヴな感情を抱かせかねない役どころだが、瀬奈の繊細な演技と彼女の柔らかな女らしさのためか、シンパシーを誘いヘイトまでは至らないであろう見事なバランスに収まっている。


現代日本にも通じる“格差と悲劇”。ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』開幕 小林亮太・山田健登、渡邉蒼・島太星のWキャストで描く双子の数奇な運命

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ミッキーとエディのふたりから愛されるリンダも、気が強く面倒見のよい女の子が、成長するにしたがってストレートに愛情を表現し、ミッキーと結ばれるもののつらい現実が待っている。そうした少女時代の溌溂さと結婚後の懸命にミッキーを支える姿を、小向はいきいきと表現していてこちらも適役だ。

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このように、登場人物はいずれも非常にリアルに胸に迫る。それこそが“傑作”といわれる理由なのだと実感させる舞台となっている。

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そうした物語の強さはもちろんのこと、繊細なメロディーの数々はミュージカルとしても十二分に魅力的で、耳に残る。バンドメンバーが奏でるサウンドも、時には演出効果も担い、この舞台の世界観を形作っている。楽曲では、ミセス・ジョンストンが自身の身の上を表現する「マリリン・モンロー」、ミッキー&エディの素直な思いを訴える「長い長い日曜日」「ベスト・フレンド」、そしてエディがリンダへの切ない想いを訴える「言わない気持ち」などが特に耳に残る。

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さらに、物語上でもイレギュラーな存在であるナレーターが不穏な宣告を繰り返すかのような「テーブルの上の靴」も忘れ難い。東山がスタイリッシュに、そしてコミカルに、だが不穏な部分ではとことん無慈悲に、物語の枠の内と外を自在に行き来して語りかける。その存在感は圧倒的だ。彼が何者なのかはわからない、いや、何者でもないのかもしれない。そんな不可思議な役どころを、東山がとてつもなく魅力的に体現している。

普遍的なテーマと魅力的な楽曲で観客を物語へと引き込む本作。渡邉蒼・島太星による“あおしま”ペアがどのようなミッキー&エディを立ち上げるのかにも注目したい。

★“あおしま”ペア(渡邉蒼・島太星)の舞台写真も到着!

現代日本にも通じる“格差と悲劇”。ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』開幕 小林亮太・山田健登、渡邉蒼・島太星のWキャストで描く双子の数奇な運命

写真提供:東宝演劇部
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写真提供:東宝演劇部
取材・文・撮影:金井まゆみ一部写真提供:東宝演劇部

<公演情報>
ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』

脚本・作詞・作曲:ウィリー・ラッセル
演出:日澤雄介

【キャスト】
ミッキー:小林亮太/渡邉蒼(Wキャスト)
エディ:山田健登/島太星(Wキャスト)
リンダ:小向なる
サミー:秋沢健太朗
ナレーター:東山義久
ミスター・ライオンズ:戸井勝海
ミセス・ライオンズ:瀬奈じゅん
ミセス・ジョンストン:安蘭けい

菊地まさはる白鳥光夏菅井理久田代明※千葉由香莉花咲まこと※平山トオル(※スウィング)

2026年3月9日(月)~4月2日(木)
会場:東京・シアタークリエ

■ツアー公演
2026年4月10日(金)~12日(日)
会場:大阪・サンケイホールブリーゼ

関連リンク
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/bb2026/(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2563485&afid=P66)

公式サイト:
https://www.tohostage.com/blood_brothers/

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