Wienners、新体制で踏み出した『OVER THE TOP TOUR 2026』 藤咲彩音&眉村ちあきと鳴らした新たな旅の号砲
Photo:かい
Text:小川智宏Photo:かい
2026年1月に新ボーカリスト・YUURIが加入してから早8カ月。新体制となったWiennersが、いよいよ新曲「OVER THE TOP」を引っ提げてツアーに出た。8月24日東京・Spotify O-WEST、『OVER THE TOP TOUR 2026』初日。藤咲彩音と眉村ちあきという、昨年ゲストボーカルで参加したことも含めて、Wiennersと縁もゆかりもありまくりのふたりを対バン相手に迎えた3マンライブは、彼らが築き上げてきた軌跡と、ここから始まる予測不可能な未来の可能性を十二分に感じさせる、「初日にしてこんなに飛ばして大丈夫?」とこっちが余計な心配を抱くくらいのハイテンションなものとなった。その模様をレポートする。
◼︎藤咲彩音
トップバッターを飾ったのは元でんぱ組.incのピンキー!こと藤咲彩音。玉屋2060%が作ったでんぱ組.incの名曲「でんぱれーどJAPAN」でいきなりO-WESTをコールと歓声渦巻く最高潮へと引っ張り上げると、「めっちゃみちみちやん!みんな生きてるか!」と叫ぶ。昨年ゲストボーカルとしてWiennersに参加したことを振り返り「こんな続きがあるのか」と笑顔を見せると、そこから、ステージに登場したDJとともにでんぱ組.incメドレーを披露していく。
「ONE NATION UNDER THE DEMPA」に始まり、「サクラあっぱれーしょん」「でんぱっていこーぜ!!」「でんぱーりーナイト」「絢爛マイユース」などなど、畳み掛けられる楽曲はもちろん全部玉屋が提供したもの。矢継ぎ早に繰り出されるキラーフレーズに瞬時に反応してリアクションをするオーディエンスもさすがである。ただでさえ情報量の多い楽曲が次々と畳み掛けられ、会場はオーバーフロー状態だ。
メドレーを終えて「こんなに最高でこの先大丈夫かな」と呟くピンキー!。でもすぐに自分で「大丈夫!」とキュートな声をあげると、「そろそろ始まる」と手にしたのは新体操のリボンだ。そして投下されるのは……そう、「でんでんぱっしょん」である。瞬間、電気ケトルのように沸騰したフロアからポンポンとクラウドサーファーが発生する。まだまだ今日の1組目なのだが、どうやら今日のフロアには後先考えない連中しかいないようである。
そんなフロアを前に藤咲のパフォーマンスもさらにボルテージを上げ最後の曲へ。「プレシャスサマー!」の炸裂するビートとシンセリフが場内の空気をどこまでも熱くして、バトンを続く眉村ちあきにつないだのだった。
◼︎眉村ちあき
その眉村は全身スパンコールのクールな衣装を着てステージに登場。アコースティックギターを手にすると、1曲目「悪役」からパワフルで伸びやかな歌声を響かせる。「眉村ちあきです、よろしく『OVER THE TOP』!」、そう叫ぶと、ハンドマイクで飛び跳ねてフロアを煽りながら歌う「幸福ミュージック」へ。ステージから身を乗り出すようにしてパフォーマンスする彼女に、オーディエンスは手拍子や声で全力で応える。続く「THE スーパーグルグルフィジカルジンジャーエール」では会場全体を巻きこみ、みんなで手をスイング。気がつけばあっという間にステージでひとりPCからトラックを流し、ギターを弾いて歌って踊るこの人にくびったけである。
やはりライブアーティストとしての眉村ちあき、圧倒的だ。
「いつも玉屋さんがこの曲好きって言ってくれるので持ってきました」と歪んだエレキギターをかき鳴らして始めたのは「ピッコロ虫」。曲中で「OVER THE TOP」のコール&レスポンスを生み出したばかりか、歌詞にWiennersの名前を織り込みシンガロングを巻き起こすと、続けてスピーカーからは4つ打ちのビートが鳴り響いた。「この音でわかった人いるかな?」。もちろんフロアはすぐに反応。「玉屋さーん!」と舞台袖から玉屋を呼び込んでふたりでパフォーマンスするのはコロナ禍の2020年に眉村が玉屋とコラボして生まれた「偏差値2ダンス」だ。一緒にフロアに飛び込み、オーディエンスの上を転がるふたりを歓声が包み込む。Wiennersとの関係と「心の底から尊敬しようかなと迷っている」という玉屋へのリスペクトを語ると、ラスト2曲。
「許されたことがある」を弾き語りで披露すると、最後は「想いの力はすごいぞ」。ぐんぐん転調していく「すごいぞ」のリフレインがO-WESTを揺らすと、大きな拍手が巻き起こった。
◼︎ Wienners
そしていよいよWiennersの出番。SEにのってメンバーが登場する。玉屋が「人生を変える旅が始まってしまう。もっと近く来いよ!」と叫ぶと、YUURIは大旗を振ってフロアを煽る。この日出演した2組に「地球最大のリスペクトを!」と告げると、いきなり1曲目に「OVER THE TOP」をぶちこんでくるWienners。「この世でいちばん大きな産声が聞こえますか?」というフレーズでこの最新曲を終えると、「Cult pop suicide」に「何様のラプソディ」とキラーチューンを畳み掛ける。
どちらの曲でもシンガロングが巻き起こり、ステージのこっちから生まれるエネルギーとあっちで生まれるエネルギーがちょうど真ん中でぶつかり合って眩い光を放つ。これがWiennersの新たな始まり、ビッグバンである。
「LOVE ME TENDER」の大合唱がO-WESTを揺らしたあと、「やってきました初日!」と玉屋。2組に「やってくれたな!」とうれしそうだ。「でももっと先に行こう」という彼に「いくよな」と聞かれたYUURIは「いきまーす!」と絶叫する。もちろんこっちもそのつもりである。というわけでここからは文字どおりの怒涛。「MY LAND」に「TRADITIONAL」、そして「レスキューレンジャー」に「WINNER!ゴジュウジャー!」。
真ん中で全身全霊で歌うYUURIの姿には気合とパッションがみなぎっている。
この体制のWiennersを観るのはYUURIのお披露目となった初ライブ以来だが、YUURIのフロントパーソンとしての成長ぶりには目をみはるものがある。WWW Xのときは緊張ものぞかせていた彼女だが、あのときよりも広いステージで縦横無尽に飛び跳ね、腕を広げ、オーディエンスとしっかり目を合わせながら煽る姿は、彼女が今のWiennersの「顔」であることをはっきりと示していた。さらにすばらしいのは、彼女の放つ明るいヴァイブスに引っ張られて、玉屋や∴560∵のパフォーマンスもアッパーになっているところだ。彼女が真ん中にいることで、バンド全体がパワーアップしているのである。
「伝説が始まってる、ヤバい!」。そんな玉屋の言葉どおり、ここからの後半、ライブはとんでもないスケールを股にかけて展開する。「BIG BANG」で宇宙にぶっ飛ぶと、「ANIMALS」で母なる大地アフリカへ。
生命力そのものみたいなサウンドが会場の野性を呼び覚まし、Wiennersはインドに上陸する。「こっからもっとギアあげちゃっていいですか?」というYUURIの言葉とともに鳴り響くのは「TOKYO HOLI」だ。そして「SOLAR KIDS」が真夏のビーチへと誘う。盆踊りとサンバ、もう国境も時代も関係ない、全部がごた混ぜになってひとつになっていく。要するに「ここは地球ってことでよろしいですね」(玉屋)ということだ。そしてエスペラントが歌詞に取り入れられた「HORO NOVA AZIO」が始まる。「音楽ですべてを解放しよう。そして大きなひとつの輪になれ!」。さまざまな仲間たちと紡いでいくこの新たな旅の始まりに誓いを立てるような玉屋の言葉に声を合わせて応えるオーディエンス。ライブはもう終盤だが、O-WESTはどんどん、みんなで一緒に辿り着くべき高みへと近づいている。
「目まぐるしい毎日を過ごして、気づいたら初日を迎えていました。なんか、ちょっと今日のWiennersは飛ばしすぎたかもしれないね。でもこんなもんでしょ、勢いのあるバンドって」。そう笑った玉屋は、この3組でツアー初日をできたことに改めて感謝を伝える。藤咲と眉村がゲストボーカルとしてWiennersで歌ったことに触れながら、YUURIは「こんなにすごい方々のバトンを今私は受け取ってるんだな」と感服している。去年このふたりがWiennersに参加したときのライブを彼女は観ていたそうで、そのときは震え上がっていたそうだが、今は違う。「このバトンを誰にも渡さないで、もっともっと高い未来に繋げていくんで。今後も期待していてください!」という堂々たる宣言に、オーディエンスからは大きな拍手が送られた。
そしてライブはクライマックス。「UNITY」の大合唱がこの日最高の一体感を作り上げる。「GOD SAVE THE MUSIC」を経て最後はもう一度「OVER THE TOP」。1曲目のときよりも明らかに力強さを増したサウンドと歌が、この日のライブでWiennersが手にしたものを物語っていた。
バンド初の公式チャント「VAMOS WIENNERS」をオーディエンスが歌うなか、ステージに戻ってきたメンバー。ファイナルシリーズの対バン相手を発表すると、ゲストとともにこの日だけのアンコールが始まっていく。まず登場したのは藤咲だ。彼女がカフェでWiennersの楽曲を聴き返して号泣しながら選んだという1曲は「十五夜サテライト」だ。向かい合って歌う彼女とYUURIの姿に、さきほどYUURIが言っていた「バトン」という言葉がそのまま具現化したような光景はたまらなくエモーショナルだった。続いては眉村。なぜか出てくるなりキレ散らかしている。「あー、ムカつく!よすぎてムカつく!」と、要するにWiennersのライブで感動したのだ。ゲストボーカルで2回一緒にライブをしたWiennersを冗談めかして「元彼」と呼びつつ、その悔しさをバネに曲を書く!と叫ぶ眉村である。そんな彼女が歌うのは「TOKYO HOLI」。本編とは一味も二味も違う、このコラボでしか作り出せない「TOKYO HOLI」、最高だった。
そして最後は全員で「GOD SAVE THE MUSIC」。Wiennersが誇る音楽讃歌、ライブハウス讃歌が、最強のボーカリスト3人によるスーパーバージョンで響き渡る。これから始まるツアーの、これ以上ない号砲だ。そして最後の最後に「よろこびのうた」を届けると、ステージにもフロアにも笑顔が溢れかえる中、Wiennersのツアー初日は幕をおろしたのだった。
<公演概要>
『Wienners OVER THE TOP TOUR 2026』
2026年8月24日東京・Spotify O-WEST