男性の育児休暇取得は難しい? イケメン弁護士が答えます
今回は刈谷弁護士
子育てに関して、昔は「女性が家にいて、男性は外で働く」という文化があったためか、男性が育児休暇を取得することはあまり一般的であるとは言えなかったようですが、現代においては、子育てに関しても家事に関しても夫婦で分担する家庭も増えてきました。
そうした時代の変化に対応する形で、法律も変わっていき、今では男性にも育児休暇が認められるようになりました。ただ、産休については、現在でもなお男性が取得することについて法律に組み込まれるまでには至っていません。ただ、男性社員にも産休を認める企業もあるようですし、諸外国の中でも男性に産休を認める国がありますから、もしかしたら日本でも法律上男性に産休が認められる日も近いかもしれません。
さて、本題に戻りますと、育児休業については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(育児・介護休業法)が、原則として1歳に満たない子を育てる労働者は、会社に対して育児休業することを申し出て育児休業を取得することができると規定しています。
そして、育児休業の申し出を受けた会社は、基本的にこの申し出を拒むことはできないとされています。
つまり、働く者は、男性であれ女性であれ法律上の要件を満たす者であれば、育児休業を取得することができるのです。ただし、この法律上の要件は、かなり細かく定められていますから、ご自分が該当するかどうかは厚生労働省のホームページ等で確認された方がいいでしょう。
と、あたかも最近になってようやく男性にも育児休暇が認められたかのように話を進めてきましたが、実は、男性の育児休暇というのは特別な概念ではなく、育児・介護休業法では、制定された平成4年当時から、男性も女性も区別せず「労働者」の権利として育児休業を規定されていました。
にもかかわらず、昔はなかった、最近になってようやく男性にも育児休暇が認められたと間違った認識をしている方が多いのは、やはり時代背景によるものでしょう。メディアなどの情報発信をする側が男性の育休にスポットをあて、特集を組んで報道することは、育休をとりずらい流れや固定観念を少しは変える効果があると思っています。
「主夫」や「イクメン」という言葉も、そうした男性の子育てへの参入社会を端的に表現している言葉だと思います。
今回のケースでは、相談者さんの旦那さんは会社に育児休業の申し出を却下されていますが、法律上では、原則として育児休業の申し出を却下することは許されません。このことは、たとえ就業規則上で育児休暇を取得できるのが女性に限定されていたとしても同様です。
男性が育児休業を取得することは法律上の正当な権利ですから、お子さんのためにもきちんと労働者としての権利を行使して、しっかりと休みましょう!
育休がとりずらい環境の中、勇気ある行動をとった旦那さんをきっかけに、企業のスタンスも変わるよう周りもサポートしていきたいものです。
アディーレ法律事務所
刈谷龍太弁護士(東京弁護士会所属)
中央大学法科大学院卒業。司法修習第64期。弁護士法人アディーレ法律事務所で、パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を専門に扱う部署に所属。問題点を的確につく仕事ぶりは、評価が高い。趣味はサッカー・フットサル。特技はモノマネ。テレビも大好きで、ニュースだけでなくドラマからバラエティ番組まで幅広くチェックしている。
公式ブログ「こちら弁護士刈谷龍太の労働相談所」では、労働問題などの気になる記事を「実おもニュース」(実におもしろいニュース)として、独自の視点から解説している。
●刈谷龍太プロフィールページ
http://www.adire.jp/profile
/kariya_b.html
●労働トラブル解決サイト
http://www.adire-roudou.jp/
●こちら弁護士刈谷龍太の労働相談所
http://ameblo.jp/ryota-kariya/