弁護士に聞いた!刑務所の失態で脱走した受刑者が犯罪…被害者は損害賠償を請求することができる?
本件では、刑務所の施設の現実的な管理方法ですとか、実際執務にあたっていた公務員の管理の内容などが争点となるでしょう。また、実際に生じてしまった損害との因果関係も争われるでしょう。たとえば、近隣の飲食店が損害を主張しても、しっかり公務員が管理していれば、損害は発生しなかったんだとの因果関係を肯定できなければなりません。
実は、管理をしていた公務員個人に対しては原則として責任追及ができません。これを認めてしまうと、公務の委縮を招いてしまうからです。
ともあれ、今回のような刑務所からの『脱走者』は、怖い存在ですよね。管理側の請求をするにはハードルがありますが、あきらかにこれによって損害が生じたのであれば、国への賠償請求も視野に入るでしょう。
刑務所関係者には脱走者をこれ以上出さないようしっかりと管理してもらい、国には被害に遭われた方に対する謝罪と賠償をしっかりと行ってもらいたいものですね。
(齋藤先生)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)