天ぷら屋で衣をはがす客へ「お引き取りください」店主の行為は法的に許されるのか?
飲食店と客との間では「店が飲食のサービスを提供し、これに対して客がお金を払う」という契約が成立します。今回のケースは、この契約解釈の問題となります。
この点に関して、上記契約に「客は店の指示する食べ方に従わなければならない。」ということが社会通念上含まれているとはいえませんので、店が飲食サービスの提供を拒否して退店を命じることは債務不履行(契約不履行)に該当すると思われます。
店主のこだわりについては理解し得るところですが、そのようなこだわりがあるならば、飲食サービス提供前に上記食べ方について説明しておく、貼り紙等で客に告知しておく等しておかなければなりません。
このように説明・告知しておけば、「客は店の指示する食べ方に従わなければならない。」ということが契約内容に含まれますので、店は客に退店を命じることが可能となります。余談ですが、飲食サービス提供契約には「他の客に迷惑をかけてはならない。」ということが社会通念上含まれていると解されますので、他の客に迷惑をかけるような行為をした客に対しては、契約違反として退店を命じることができます。」
客からの慰謝料請求も認められない
川浪弁護士:「以上を踏まえて、今回のケースでは客は債務不履行を主張することが可能ですが、店は「代金はいりません。」