2023年11月17日 13:00
人体の筋肉からヒントを得て、無人惑星探査車のスリップ状態を検知するシステムを開発
一方、核袋線維は筋線維の伸張速度を検出し、身体の動的状態を検出するのに役立っています。
本研究では、人間の筋肉との類似性を利用して、ひずみとして現れるローバーのシャーシの形状の変化を、ひずみの変位とひずみの振動変化の2つに分類しました。ひずみの変位データを核鎖線維解析で、ひずみ速度を核袋線維解析で調べました。核鎖線維解析により、鉛直方向とローバーの進行方向に働く力がひずみによって変化することが明らかになりました。そのため、ひずみの変位をモニタリングすることで、力の変化を検出することができ、最終的にローバーの走行状態を示すことができるようになりました。さらに、核袋線維の分析を通じて、ひずみの振動変化率が、ローバーの滑りの程度とその後の走行状態の変化を効果的に測定できることを発見しました。
このデータを使用することで、システムはローバーの状態をリアルタイムで判断することができ、潜在的なスリップ事故を回避するために必要不可欠な操作をローバーが行えるようになります。
■今後の展望
本研究では、岩や石などの環境障害物を検出する能力もシステムに組み込まれており、ローバー操作の安全性と効率を高める可能性が示されています。