本田圭佑が日本代表監督に“立候補”、JFAは「将来的に」と反応——カギは「JFA Proライセンス(旧S級)」
サッカー元日本代表の本田圭佑(40)が7月2日、自身のX(旧ツイッター)で日本代表監督への就任に名乗りを上げた。日本サッカー協会(JFA)が森保一監督に1年契約での続投を打診していると報じられたことを受け、「次の監督候補が見当たらないなら、自分を1年試してほしい。アジア杯で負けたら問答無用でクビにしていい」という趣旨を投稿。“逆オファー”とも言える異例の立候補は瞬く間に拡散し、「本田監督」「本田ジャパン」がトレンド入りするなど大きな反響を呼んだ。
反応は分かれた。ライト層を中心に歓迎の声が上がる一方、「まずはクラブで実績を」「ライセンスがネック」といった現実的な指摘も少なくない。同じ2日、W杯から帰国した日本代表の会見に臨んだJFAの山本昌邦技術委員長は、本田の立候補について意気込みや才能を評価しつつ、「すぐに返事はできないが、将来的に目指してほしいタレントの一人」と述べ、次期監督は多角的な検証とステップを踏んで決まっていくと説明した。森保監督への続投要請は、来年1〜2月のアジアカップを見据えた1年程度の短期契約を軸に、調整が進むとされる。
壁となる「JFA Proライセンス」とは
もっとも、この立候補には資格上の高い壁がある。日本代表の監督を務めるには、JFAが発行する最上位の指導者資格が必要だ。かつて「S級ライセンス」と呼ばれたこの資格は、2024年10月に「JFA Proライセンス」へと名称変更された。Jリーグやなでしこリーグ(WEリーグ)、そして日本代表の監督に就くための“必須免許”である。そして本田は、これを持っていない。
取得への道のりは長い。指導者ライセンスはD級・C級・B級・A級と段階に分かれ、下位を取らなければ上へは進めない。その頂点がPro(旧S級)だ。
しかも、この“研修”の中身は年度ごとに見直されている点は押さえておきたい。たとえば2023年度の要項には海外プロクラブでの研修(2週間以上)が盛り込まれていたが、近年の要項では国内トップチームでの実地研修が中心で、必ず海外研修があるとは限らない。受講料も数十万円規模で年度によって変わり、加えて交通・宿泊・研修にかかる費用は自己負担となる。1990年代半ばごろまでは2週間ほどの集中講義で取得できた時代もあったが、いまや長期にわたる難関へと様変わりした。森保監督をはじめ、近年の代表やJリーグの指揮官は、みなこの関門をくぐってきている。
近道はある、それでも足踏みするワケ
面白いのは、本田のような元スター選手には“近道”も用意されている点だ。
真の障壁は、本田自身の“信念”にある。本田はかねて現行制度を「既得権益」などと批判し、資格取得には後ろ向きな姿勢を示してきた。ライセンスの取得を必須ではなく任意にすべきだと訴え、指揮官を務めたカンボジア代表でも、ライセンスを持つ監督を立てて自らはGMなどの立場で采配に関わる"実質的な監督"を務めた。制度が変わるか、本人が翻意して講習を受けるか――ルールが今のままなら、“本田ジャパン”は一枚の免許の前で足踏みを続けることになる。
解説ブースでの鋭い語りは、多くのファンをうならせた。
反応は分かれた。ライト層を中心に歓迎の声が上がる一方、「まずはクラブで実績を」「ライセンスがネック」といった現実的な指摘も少なくない。同じ2日、W杯から帰国した日本代表の会見に臨んだJFAの山本昌邦技術委員長は、本田の立候補について意気込みや才能を評価しつつ、「すぐに返事はできないが、将来的に目指してほしいタレントの一人」と述べ、次期監督は多角的な検証とステップを踏んで決まっていくと説明した。森保監督への続投要請は、来年1〜2月のアジアカップを見据えた1年程度の短期契約を軸に、調整が進むとされる。
壁となる「JFA Proライセンス」とは
もっとも、この立候補には資格上の高い壁がある。日本代表の監督を務めるには、JFAが発行する最上位の指導者資格が必要だ。かつて「S級ライセンス」と呼ばれたこの資格は、2024年10月に「JFA Proライセンス」へと名称変更された。Jリーグやなでしこリーグ(WEリーグ)、そして日本代表の監督に就くための“必須免許”である。そして本田は、これを持っていない。
取得への道のりは長い。指導者ライセンスはD級・C級・B級・A級と段階に分かれ、下位を取らなければ上へは進めない。その頂点がPro(旧S級)だ。
受講するには、A級(Aジェネラル)を取得後1年以上などの条件を満たし、選考のトライアルを突破しなければ講習会に参加すらできない。定員は20人ほどという狭き門で、合格後も宿泊を伴う長期の集合講習や、プロ・トップレベルのチームでの実地研修、筆記・指導実践・口頭試験などを経て、ようやく認定となる。
しかも、この“研修”の中身は年度ごとに見直されている点は押さえておきたい。たとえば2023年度の要項には海外プロクラブでの研修(2週間以上)が盛り込まれていたが、近年の要項では国内トップチームでの実地研修が中心で、必ず海外研修があるとは限らない。受講料も数十万円規模で年度によって変わり、加えて交通・宿泊・研修にかかる費用は自己負担となる。1990年代半ばごろまでは2週間ほどの集中講義で取得できた時代もあったが、いまや長期にわたる難関へと様変わりした。森保監督をはじめ、近年の代表やJリーグの指揮官は、みなこの関門をくぐってきている。
近道はある、それでも足踏みするワケ
面白いのは、本田のような元スター選手には“近道”も用意されている点だ。
国際Aマッチ20試合以上、あるいはプロ公式戦300試合以上の出場といった実績があれば、上位の講習へ早くたどり着けるルートがある。長年、代表とプロの第一線で戦ってきた本田なら、この出場実績の条件はまず問題なくクリアできる。つまり、彼の輝かしい選手キャリアは、監督への障壁ではない。
真の障壁は、本田自身の“信念”にある。本田はかねて現行制度を「既得権益」などと批判し、資格取得には後ろ向きな姿勢を示してきた。ライセンスの取得を必須ではなく任意にすべきだと訴え、指揮官を務めたカンボジア代表でも、ライセンスを持つ監督を立てて自らはGMなどの立場で采配に関わる"実質的な監督"を務めた。制度が変わるか、本人が翻意して講習を受けるか――ルールが今のままなら、“本田ジャパン”は一枚の免許の前で足踏みを続けることになる。
解説ブースでの鋭い語りは、多くのファンをうならせた。
その熱量がベンチへ向かう日は来るのか。派手な立候補劇の裏側には、静かで、しかし高い壁の話がある。