【夏の甲子園】1回戦・東筑 - 神村学園 両校の地方大会戦績を紹介
第108回全国高校野球選手権大会は8月6日、阪神甲子園球場で第2日を迎える。16時から1回戦第1試合として東筑(福岡) - 神村学園(鹿児島)が行われる。
9年ぶり7度目の出場となる公立の進学校・東筑と、4年連続9度目の神村学園。全国での実績も大会前の評価も対照的な両校だが、それ以上に違うのは地元での勝ち上がり方だ。東筑が1点差を含む接戦を積み上げて131チームの頂点に立ったのに対し、神村学園は5試合すべてを4点差以上で制し、そのうち4試合を完封している。試合を前に、両校が地元でどんな戦いをしてきたのかを振り返る。
◆東筑(福岡)― 私学を次々と倒し、9年ぶりに戻ってきた古豪
福岡大会 全戦績
3回戦(7月12日) 東筑 12-3 戸畑工※7回コールド
4回戦(7月15日) 東筑 13-4 福岡第一※7回コールド
5回戦(7月17日) 東筑 1-0 沖学園
準々決勝(7月20日) 東筑 5-1 八女工
準決勝(7月23日) 東筑 5-3 九州国際大付
決勝(7月25日) 東筑 3-2 希望が丘
【通算】6戦全勝 39得点・13失点(1試合平均6.5得点・2.2失点)
序盤はコールド発進、5回戦から一変した試合展開
福岡大会には131チームが参加し、東筑はシード校として3回戦から登場した。戸畑工、福岡第一を相手に序盤2試合はいずれも7回コールド勝ち。
流れが変わったのが5回戦の沖学園戦だ。7回に挙げた1点を守り抜き、エース右腕・深町光生(3年)が完投で完封。185センチの体格から最速147キロを投げ込む深町は、ここから終盤3試合の要になっていく。準々決勝の八女工戦は2年生右腕・加納迅が1失点完投し、4回と6回に計4点を奪って5-1とした。
準決勝は9回に3点、主将のバットで神宮王者を倒した
準決勝の相手は、昨秋の明治神宮大会を制した九州国際大付。東筑は梶原大和から深町へつなぐ継投で食い下がり、6回に1点を返して同点とすると、8回にも1点。しかしその裏に勝ち越されて2-3で最終回を迎えた。
9回表、四球と相手の失策で無死一、二塁とすると、主将・平山護が左中間を破る2点二塁打を放って逆転。さらに失策と安打で一死満塁とし、内野ゴロの間にもう1点を加えて5-3とした。土壇場での3得点で、春夏連続出場を狙った神宮王者を退けた。
決勝の希望が丘戦も僅差だった。0-0で迎えた4回、四球と安打、失策で無死満塁の好機をつくると、5番・河野咲郎(2年)が走者一掃の3点三塁打。6回に2点を返されたが、先発の加納から深町へつなぎ、1点のリードを守り切った。河野は準決勝でも同点本塁打を放っており、下級生ながら大一番で結果を残している。
指揮を執るのは山下聖士監督。
◆神村学園(鹿児島)― 5試合で50得点3失点、鹿児島大会4連覇
鹿児島大会 全戦績
2回戦(7月12日) 神村学園 10-0 喜界※5回コールド
3回戦(7月17日) 神村学園 11-3 鹿児島南※7回コールド
準々決勝(7月19日) 神村学園 13-0 錦江湾※5回コールド
準決勝(7月23日) 神村学園 7-0 尚志館※7回コールド
決勝(7月25日) 神村学園 9-0 鹿児島実
【通算】5戦全勝 50得点・3失点(1試合平均10.0得点・0.6失点)
失点したのは1試合だけ
2回戦から登場し、初戦の喜界戦をいきなり5回コールドで一蹴。3回戦の鹿児島南戦で喫した3点が、鹿児島大会で許した唯一の失点だった。準々決勝の錦江湾戦は13-0の5回コールドで、ここまで3試合はいずれもコールド勝ちである。
準決勝の尚志館戦は、エース右腕・龍頭汰樹(3年)が7回を投げて無失点。
決勝は初回3点、2回に5点で勝負あり
決勝の相手は鹿児島の名門・鹿児島実。神村学園は初回に3点を先制すると、2回にも5点を奪って序盤で試合を決めた。6回にも1点を加えて9-0。龍頭は準決勝に続く2試合連続の完封で、この日は被安打2、四死球0という内容だった。鹿児島大会は4連覇となる。
打線はチーム打率4割超と厚く、U-18代表候補の主将・梶山侑孜外野手(3年)、4番の川崎怜央外野手(3年)が中心。
今春の選抜大会では、1回戦で優勝候補の横浜と対戦し、龍頭が128球6安打完封。2-0で下している。続く2回戦は智弁学園に1-2で敗れたが、龍頭は延長10回まで投げ抜いた。昨夏は組み合わせ上の「49校目」として初戦から勝ち上がりチームと当たり、創成館に0-1で完封負けを喫している。2023年、2024年と2年連続で4強に進んだチームにとって、昨夏の初戦敗退は宿題として残ったままだ。
平均値だけを並べると神村学園の圧勝に見えるが、東筑の数字は序盤2試合の25得点7失点に引っ張られている面がある。5回戦以降の4試合に絞れば東筑は14得点6失点で、1試合平均3.5得点・1.5失点。派手さはないが、競った展開で崩れないチームだ。逆に神村学園は準々決勝以降の3試合が29得点0失点で、勝ち上がるほど数字が良くなっている。
投手起用は対照的だ。東筑は深町、加納、梶原の3人を試合ごとに組み替え、決勝も準決勝も継投で締めた。一方の神村学園は龍頭が終盤3試合を1人で投げ抜いており、完投・完封型である。
1回戦の見どころ
第1のポイントは、龍頭がどこまで投げるかだ。
第2に、東筑が接戦に持ち込めるかどうか。福岡大会で東筑が挙げた6勝のうち、2試合が1点差、1試合が2点差だった。九州国際大付を9回に、希望が丘を4回の1イニングで仕留めたように、少ないチャンスを一気に得点に変える集中力がこのチームの持ち味だ。ただし神村学園は鹿児島大会で一度もリードを許していない。序盤に主導権を渡せば、東筑の得意な展開には持ち込みにくくなる。第3に、ブランクの差も見ておきたい。神村学園は昨夏、今春に続く3季連続の出場で、阪神甲子園球場での戦い方を知っている選手が多い。対する東筑は9年ぶりで、2017年を経験した部員はもういない。大会2日目の第1試合という早い登場が、どちらに転ぶか。
大会は8月5日から22日までの18日間(休養日3日を含む、雨天順延)。この試合は16時プレーボールの予定だ。
なお「バーチャル高校野球」では、開会式と開幕試合から決勝までの全48試合を無料ライブ配信する。
文:SPORTS BULL(スポーツブル)編集部
9年ぶり7度目の出場となる公立の進学校・東筑と、4年連続9度目の神村学園。全国での実績も大会前の評価も対照的な両校だが、それ以上に違うのは地元での勝ち上がり方だ。東筑が1点差を含む接戦を積み上げて131チームの頂点に立ったのに対し、神村学園は5試合すべてを4点差以上で制し、そのうち4試合を完封している。試合を前に、両校が地元でどんな戦いをしてきたのかを振り返る。
◆東筑(福岡)― 私学を次々と倒し、9年ぶりに戻ってきた古豪
福岡大会 全戦績
3回戦(7月12日) 東筑 12-3 戸畑工※7回コールド
4回戦(7月15日) 東筑 13-4 福岡第一※7回コールド
5回戦(7月17日) 東筑 1-0 沖学園
準々決勝(7月20日) 東筑 5-1 八女工
準決勝(7月23日) 東筑 5-3 九州国際大付
決勝(7月25日) 東筑 3-2 希望が丘
【通算】6戦全勝 39得点・13失点(1試合平均6.5得点・2.2失点)
序盤はコールド発進、5回戦から一変した試合展開
福岡大会には131チームが参加し、東筑はシード校として3回戦から登場した。戸畑工、福岡第一を相手に序盤2試合はいずれも7回コールド勝ち。
この2試合で25得点を挙げ、打線に力があることを見せつけた。
流れが変わったのが5回戦の沖学園戦だ。7回に挙げた1点を守り抜き、エース右腕・深町光生(3年)が完投で完封。185センチの体格から最速147キロを投げ込む深町は、ここから終盤3試合の要になっていく。準々決勝の八女工戦は2年生右腕・加納迅が1失点完投し、4回と6回に計4点を奪って5-1とした。
準決勝は9回に3点、主将のバットで神宮王者を倒した
準決勝の相手は、昨秋の明治神宮大会を制した九州国際大付。東筑は梶原大和から深町へつなぐ継投で食い下がり、6回に1点を返して同点とすると、8回にも1点。しかしその裏に勝ち越されて2-3で最終回を迎えた。
9回表、四球と相手の失策で無死一、二塁とすると、主将・平山護が左中間を破る2点二塁打を放って逆転。さらに失策と安打で一死満塁とし、内野ゴロの間にもう1点を加えて5-3とした。土壇場での3得点で、春夏連続出場を狙った神宮王者を退けた。
決勝の希望が丘戦も僅差だった。0-0で迎えた4回、四球と安打、失策で無死満塁の好機をつくると、5番・河野咲郎(2年)が走者一掃の3点三塁打。6回に2点を返されたが、先発の加納から深町へつなぎ、1点のリードを守り切った。河野は準決勝でも同点本塁打を放っており、下級生ながら大一番で結果を残している。
指揮を執るのは山下聖士監督。
東筑は今春の福岡大会でも決勝に進み、飯塚に0-1で敗れて準優勝。昨秋も8強に残っており、この世代は着実に力を積み上げてきた。夏の甲子園は2017年以来で、その時は1回戦で済美(愛媛)に4-10で敗れている。夏の甲子園での最後の白星は1996年の1回戦・盛岡大付戦(2-0)までさかのぼり、30年ぶりの1勝がかかる。
◆神村学園(鹿児島)― 5試合で50得点3失点、鹿児島大会4連覇
鹿児島大会 全戦績
2回戦(7月12日) 神村学園 10-0 喜界※5回コールド
3回戦(7月17日) 神村学園 11-3 鹿児島南※7回コールド
準々決勝(7月19日) 神村学園 13-0 錦江湾※5回コールド
準決勝(7月23日) 神村学園 7-0 尚志館※7回コールド
決勝(7月25日) 神村学園 9-0 鹿児島実
【通算】5戦全勝 50得点・3失点(1試合平均10.0得点・0.6失点)
失点したのは1試合だけ
2回戦から登場し、初戦の喜界戦をいきなり5回コールドで一蹴。3回戦の鹿児島南戦で喫した3点が、鹿児島大会で許した唯一の失点だった。準々決勝の錦江湾戦は13-0の5回コールドで、ここまで3試合はいずれもコールド勝ちである。
準決勝の尚志館戦は、エース右腕・龍頭汰樹(3年)が7回を投げて無失点。
7-0の7回コールドで決勝に進んだ。龍頭は鹿児島大会で21回3分の2を投げて自責点0という数字を残しており、この夏の鹿児島でほぼ完璧な投球を続けたことになる。
決勝は初回3点、2回に5点で勝負あり
決勝の相手は鹿児島の名門・鹿児島実。神村学園は初回に3点を先制すると、2回にも5点を奪って序盤で試合を決めた。6回にも1点を加えて9-0。龍頭は準決勝に続く2試合連続の完封で、この日は被安打2、四死球0という内容だった。鹿児島大会は4連覇となる。
打線はチーム打率4割超と厚く、U-18代表候補の主将・梶山侑孜外野手(3年)、4番の川崎怜央外野手(3年)が中心。
プロ注目の大砲や剛腕がいた近年のチームとは色合いが違い、切れ目のない打線とエースの安定感で押し切る形になっている。龍頭以外では140キロ右腕・松永遥斗(3年)も台頭してきた。小田大介監督のもとで、昨夏から3季連続の出場となる。
今春の選抜大会では、1回戦で優勝候補の横浜と対戦し、龍頭が128球6安打完封。2-0で下している。続く2回戦は智弁学園に1-2で敗れたが、龍頭は延長10回まで投げ抜いた。昨夏は組み合わせ上の「49校目」として初戦から勝ち上がりチームと当たり、創成館に0-1で完封負けを喫している。2023年、2024年と2年連続で4強に進んだチームにとって、昨夏の初戦敗退は宿題として残ったままだ。
平均値だけを並べると神村学園の圧勝に見えるが、東筑の数字は序盤2試合の25得点7失点に引っ張られている面がある。5回戦以降の4試合に絞れば東筑は14得点6失点で、1試合平均3.5得点・1.5失点。派手さはないが、競った展開で崩れないチームだ。逆に神村学園は準々決勝以降の3試合が29得点0失点で、勝ち上がるほど数字が良くなっている。
投手起用は対照的だ。東筑は深町、加納、梶原の3人を試合ごとに組み替え、決勝も準決勝も継投で締めた。一方の神村学園は龍頭が終盤3試合を1人で投げ抜いており、完投・完封型である。
1回戦の見どころ
第1のポイントは、龍頭がどこまで投げるかだ。
今大会から夏の選手権でも指名打者制が導入され、投手を打席に立たせずに済むようになった。エース1人に長いイニングを託しやすくなった制度であり、鹿児島大会で21回3分の2を無失点に抑えた龍頭は、その恩恵を最も受けるタイプの投手といえる。東筑の複数投手による継投と、どちらの形が噛み合うか。
第2に、東筑が接戦に持ち込めるかどうか。福岡大会で東筑が挙げた6勝のうち、2試合が1点差、1試合が2点差だった。九州国際大付を9回に、希望が丘を4回の1イニングで仕留めたように、少ないチャンスを一気に得点に変える集中力がこのチームの持ち味だ。ただし神村学園は鹿児島大会で一度もリードを許していない。序盤に主導権を渡せば、東筑の得意な展開には持ち込みにくくなる。第3に、ブランクの差も見ておきたい。神村学園は昨夏、今春に続く3季連続の出場で、阪神甲子園球場での戦い方を知っている選手が多い。対する東筑は9年ぶりで、2017年を経験した部員はもういない。大会2日目の第1試合という早い登場が、どちらに転ぶか。
大会は8月5日から22日までの18日間(休養日3日を含む、雨天順延)。この試合は16時プレーボールの予定だ。
なお「バーチャル高校野球」では、開会式と開幕試合から決勝までの全48試合を無料ライブ配信する。
文:SPORTS BULL(スポーツブル)編集部