2人で157球の日南学園と1人で139球の横浜 投手の使い方が分ける一戦 夏の甲子園 第10日第3試合の見どころ

第108回全国高校野球選手権大会は8月14日、阪神甲子園球場で第10日を迎える。
18時30分から2回戦第3試合として日南学園(宮崎) - 横浜(神奈川)が行われる。

両校の初戦は、ともに8月10日の第6日だった。日南学園は第1試合で明徳義塾を9回2死からの3連打でサヨナラで下し、横浜は第2試合で前年優勝の沖縄尚学を7-2で退けた。同じ日に、まったく違う勝ち方をした2校が、そろって中3日でぶつかる。
1点を守り合った日南学園の継投と、エースが139球を投げ切った横浜。どちらが先にマウンドの枚数を使うかが、そのまま試合の入り方を決める。
試合を前に、両校の戦いぶりを振り返る。


◆日南学園(宮崎)― 9回2死無走者から、3連打でひっくり返した

大会成績
1回戦(8月10日・第1試合) 日南学園 2-1 明徳義塾※9回サヨナラ

「打てるものなら打ってみろ」満塁を二度しのいだ2年生左腕

相手は2年ぶり24回目の明徳義塾。高知大会も投手を中心に守り勝ってきた常連校で、日南学園にとっては格上との初戦だった。

試合は初回に動く。明徳義塾が1死二塁から4番・里山楓馬(3年)の中前適時打で先制した。日南学園の先発は背番号1のエース右腕・田中皐晴(3年)だったが、2回32球・3安打1失点で降板。
3回から背番号9の左腕・谷口銀次郎(2年)がマウンドに上がった。降りた田中はそのまま右翼へ回り、右翼を守っていた谷口と入れ替わる形。あらかじめ用意された役割分担だった。


その谷口が、いきなり試練を迎える。3回、2死からフェンス直撃の三塁打を浴び、続けて連続四球で満塁。それでも左飛に打ち取って切り抜けた。5回にも2死満塁を背負ったが、二ゴロで無失点。7回には1死から一塁走者をけん制で誘い出してアウトにするなど、走者を出しながら決定打だけは与えなかった。

打線は明徳義塾の左腕・藤本優善(2年)に6回まで無得点。流れが変わったのは7回だった。先頭の金城青空(3年)が三塁線を破る二塁打で出塁し、代走に川崎祐翔(3年)。
続く鬼束湧羽(3年)はスリーバントを失敗したが、スタートを切っていた川崎が三塁を陥れて1死三塁とし、鬼塚海月(2年)の中犠飛で同点に追いついた。バント失敗を得点に変える走塁だった。

そして1-1の9回。簡単に2死を取られてから、鈴木貴翔(3年)と荒木未星主将(3年)が連打で一、二塁とし、2番・豊丸蒼大(2年)が左前へサヨナラ打を運んだ。延長タイブレーク突入寸前での3連打。日南学園は2018年以来8年ぶりの夏の勝利を挙げ、宮崎県勢としては令和初の勝利となった。金川豪一郎監督は試合前から「ロースコアの試合になると想定して僅差で勝てれば」と読んでおり、その通りの展開を引き寄せた。

谷口は125球、田中は32球継投の枚数は残っている

谷口の初戦の内容は7回6安打無失点、125球。
試合後は「球数は多い方。練習でそれ以上投げているので大丈夫」と話している。一方の田中は2回32球で降りており、2人合わせても157球にとどまる。

投手を代えても守備の穴が空かないのが日南学園の強みだ。田中も谷口も野手として先発しているため、投手交代が守備位置の入れ替えだけで完結する。宮崎大会の決勝でも谷口から田中へつないで小林西を11-0で完封しており、どちらが先発でも形は崩れない。前戦から中3日、1週間500球の制限にも大きな余裕を残している。

◆横浜(神奈川)― 織田翔希が139球12奪三振、前年王者を退けた

大会成績
1回戦(8月10日・第2試合) 横浜 7-2 沖縄尚学

2回に先制、6回に4点末吉を3回で降ろした

抽選直後から「いきなり決勝」と言われたカードだった。

横浜は2025年の選抜大会を制した学校で、相手は同じ年の夏を制した沖縄尚学。春夏の王者が初戦で当たる形になった。

先に動いたのは横浜だった。2回、8番・脇山魁音(2年)の左前適時打で先制すると、9番・千島大翼(3年)の打球を左翼手がワンバウンドで後逸する間に2点目(記録は三塁打)。その裏に1点を返されたが、3回に5番・江坂佳史(3年)の中前適時打で突き放し、プロ注目の左腕・末吉良丞をこの回で降板に追い込んだ。

3-1で迎えた6回、相手2番手の左腕から1死一、二塁とし、千島が左越えの二塁打で4点目。さらに1番・小野舜友主将(3年)の中前2点適時打、4番・川上慧(2年)の中前適時打が続き、一気に4点を加えて7-1とした。打線は10安打7得点。
上位と下位が交互に打点を挙げる形で、特定の打者に頼らない厚みを見せた。

マウンドの織田翔希(3年)は8回2/3を6安打5四死球12奪三振2失点。4回に今大会最速の154キロを計測し、8回まで毎回の三振を奪った。139球を投げた9回2死の場面で降板し、左腕・小林鉄三郎(2年)が締めている。横浜はこれで出場5大会連続の初戦突破となった。

139球のあと、中3日でどう使うか

織田の139球は、この一年の起用の延長線上にある。春季神奈川大会の桐光学園戦では186球を投げて完投。神奈川大会では準決勝の慶應義塾戦で自己最速157キロを記録して4-0と完封リレーの中心となり、決勝の桐光学園戦も130球を投げ切って11-1で勝っている。
村田浩明監督は、簡単にはエースを降ろさない。

1週間500球の制限で見れば、8月10日の139球から数えて残りは361球ある。14日に完投しても3回戦(16日)に投げる余地は残る計算だ。
ただし2試合続けて130球台を投げれば、その先の残りは一気に細くなる。9回2死で小林鉄三郎に代えた交代は、勝敗が決した場面での温存であると同時に、この先の日程を見た采配とも読める。

2人で157球の日南学園と1人で139球の横浜 投手の使い方が分ける一戦 夏の甲子園 第10日第3試合の見どころ

登板間隔は中3日で並んだ。差が出るのは、その3日で何を回復させたかだ。
横浜は織田1人に139球を集中させた一方、日南学園は125球と32球に分けている。1週間500球の制限までの距離も、日南学園は谷口が375球、田中が468球を残しており、極端に言えばどちらを何イニング投げさせても制度上の問題は起きない。横浜の361球も十分な数字だが、勝った場合に3回戦が中1日で来る点は日南学園と同じ条件になる。

勝ち方の質は対照的だ。日南学園は9回まで1点を追い、あと1本が出ない状態を7イニング続けたうえで逆転している。走塁とバントミスの後始末で1点をもぎ取った試合でもある。
横浜は打線が2回・3回・6回と間隔を空けて10安打7得点、前年王者から早い段階で主導権を握った。接戦を戦い切った経験と、打線が振れている状態。どちらが2試合目に効くかは、序盤に点が入るかどうかで決まる。

2回戦の見どころ

第一に、日南学園がどこで谷口を出すか。初戦は田中が2回で降り、3回から谷口という形だった。横浜打線は左腕の末吉を3回で攻略しており、左投手だから抑えられるとは限らない。逆に、田中を長く引っ張って谷口を終盤に残す選択もある。田中・谷口とも野手兼任のため、交代の自由度は高い。先発が誰かよりも、2人目を出すイニングのほうが試合を分ける。

第二に、横浜が織田を初回から立てるかどうか。139球を投げた中3日で、しかも勝てば中1日で3回戦が来る。ここで林田滉生(3年)や小林鉄三郎ら他の投手を先発させ、織田を後ろに置く選択肢もある。日南学園は初戦で相手投手に101球を投げさせており、走者を出し続けて球数を増やす攻め方を徹底している。織田が出てくるとして、そのイニングまでに横浜が何点を取れているかが焦点になる。

第三に、1点差の展開になったときの日南学園の集中力。初戦は9回2死無走者からの3連打で試合を終わらせた。金川監督が「最後ヒットをつないでくれた3人に感謝している」と語った通り、下位から上位へつなぐ打順の設計が機能している。横浜が中盤までに突き放せなければ、終盤に同じ形が出てくる可能性はある。

この試合の勝者は、8月16日(第12日)の第4試合で3回戦に臨む。相手は同じ14日の第2試合で対戦する鳴門渦潮 - 霞ケ浦の勝者となる。

なお「バーチャル高校野球」では、開会式と開幕試合から決勝までの全48試合を無料ライブ配信する。

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