【夏の甲子園】準決勝・天理 - 健大高崎 両校のこれまでの勝ち上がりを振り返る

第108回全国高校野球選手権大会は8月20日、阪神甲子園球場で第14日を迎える。
午前10時30分から準決勝第2試合として天理(奈良) - 健大高崎(群馬)が行われる。

ここまでの3試合すべてを先発投手が最後まで投げ切ってきた天理と、4試合で6人の投手をつないできた健大高崎。勝ち方の設計図がこれほど対照的な4強はめずらしい。
19日の休養日を挟んで中1日、両校のマウンドに誰が立つのか。試合を前に、それぞれの戦いぶりを振り返る。

◆天理(奈良)― 3試合すべて先発完投、準々決勝は「初登板」の左腕が154球

大会成績
2回戦(8月10日・第6日第4試合) 天理 7-2 福山
3回戦(8月15日・第11日第1試合) 天理 6-3 高川学園
準々決勝(8月18日・第13日第1試合) 天理 7-0 三重

【大会通算】3戦3勝 20得点・5失点(1試合平均6.7得点・1.7失点)

0-3から一挙4点、6回の逆転劇

大会初戦となった2回戦の福山戦は、4回に主将で4番の金本相有(3年)の本塁打で先制すると、6回に打者10人を送る猛攻で4点を加えて突き放した。エース右腕・長尾亮大(3年)が131球を投げて9回2失点、13奪三振で完投している。


試合を分けたのは3回戦の高川学園戦だった。天理は5回まで0-3。だが6回、3番・永井仁之丞(2年)と金本主将の連打で無死一、二塁とすると、5番・関村偉千陽(2年)の適時打で1点を返す。前田奨太(3年)の四球で無死満塁とし、大塚弘登(3年)が押し出し四球、小沢典弘(2年)が押し出し死球で同点。さらに1死満塁から1番・山中喜晴(3年)の犠飛で勝ち越した。1イニング4得点、ここまで15イニング近く続いていた劣勢を1回で消した。山中は8回にも右翼へ2点適時二塁打を放ち、この試合3打点。

長尾は序盤に3点を失いながら6回以降を無失点で締め、自己最多の158球で2試合連続の完投。
2試合連続の2桁奪三振も記録した。初戦から中4日での登板だった。

準々決勝はエース温存、左腕・橋本桜佑が完封

18日の三重戦で藤原忠理監督(60)が先発に送ったのは、今大会まだ登板のなかった左腕・橋本桜佑(3年)だった。2回に金本主将が今大会2本目となる左越えソロで先制。4回は前田の中前打を犠打で送り、8番・小沢の適時打で追加点を挙げた。8回に大塚と小沢の連続適時打で3点、9回にも金本の適時三塁打などで2点を重ねている。13安打7得点。

橋本は6回、7回と続けて2死から走者を背負う場面を切り抜け、最後まで交代せず154球を投げ抜いた。
9回被安打9ながら三重を無得点に封じ、今大会3人目の完封勝利。9年ぶりの4強入りを、大会初登板の投手の完封が呼び込んだ格好になった。

長尾は中4日、橋本は中1日

天理はここまで3試合すべてを先発完投でまかなっている。長尾が2試合で289球、橋本が1試合で154球。20日に向けて長尾は3回戦から中4日、橋本は準々決勝から中1日という並びになる。1週間500球の制限に照らせば、直近7日間で長尾は158球しか投げておらず、数字の上での余裕は大きい。準々決勝が第1試合(午前8時2分開始)だったことも、回復にはプラスに働く。

◆健大高崎(群馬)― 4試合で2失点、夏は初の4強

大会成績
1回戦(8月7日・第3日第2試合) 健大高崎 7-1 八幡商
2回戦(8月13日・第9日第1試合) 健大高崎 1-0 東海大甲府
3回戦(8月16日・第12日第1試合) 健大高崎 4-1 佐野日大
準々決勝(8月18日・第13日第4試合) 健大高崎 1-0 有明※延長10回タイブレーク

【大会通算】4戦4勝 13得点・2失点(1試合平均3.3得点・0.5失点)

4試合で許した点は、わずか2

1回戦の八幡商戦は5回に6点を集めて7-1。
エース右腕・石垣聡志(2年)が4安打完投し、毎回の11奪三振を奪った。8回を終えて102球という省エネぶりで、青柳博文監督(54)が続投を託した一戦でもある。

2回戦の東海大甲府戦は、投手戦のまま5回まで0-0。1死一、二塁から4番・佐藤麻恩(3年)が右前へ適時打を放ち、これが決勝点になった。
佐藤は「4番・DH兼投手」で先発しており、今大会から導入されたDH制を二刀流の起用に生かしている。2番手・北田莉玖(2年)、3番手・石垣とつなぐ完封リレーで1点を守り切った。

3回戦の佐野日大戦は2回に先制されたが、その裏に岩井由来(2年)の右前適時打で同点、豊永飛輝(3年)の左前打で勝ち越し、さらに神崎翔斗(2年)の適時打で3点を奪って逆転。6回にも狩野蓮義(1年)の中前適時打で加点した。
マウンドは1年生左腕・大橋叡刀が2回1失点、新倉大輝(3年)が2回無失点、北田が4回無失点、9回は三塁を守っていた石田翔大(3年)が最速147キロで締める4投手の継投。青柳監督は「早め早めの継投ができたこと、そして石垣などの主力投手を温存できた」と、捕手・大岩翔斗(3年)のリードを挙げた。

延長10回、110球の完封

そして18日の準々決勝。3試合連続の逆転勝ちで勢いに乗る有明を相手に、9回まで0-0の投手戦が続いた。延長タイブレークに入った10回表を無失点でしのぐと、その裏、1死二、三塁から二塁への内野安打が出てサヨナラ勝ち。石垣は延長10回を110球、5安打無失点で投げ切った。3回戦で完全に休ませていたエースが、大一番で1人で投げ切った形になる。

主将・石田雄星(3年)を中心に、2024年のセンバツ優勝を経験した学校が、夏はこれが初のベスト4。
夏の最高成績だった2014年の8強を12年ぶりに更新した。

【夏の甲子園】準決勝・天理 - 健大高崎 両校のこれまでの勝ち上がりを振り返る

得点力は天理、失点の少なさは健大高崎。3試合で20点を挙げた天理に対し、健大高崎は4試合で2失点しか喫していない。
ただし健大高崎の13得点は準決勝4校で最も少なく、1点差勝ちが2つ含まれる。打ち合いになれば天理、ロースコアに持ち込めば健大高崎、という構図は分かりやすい。

投手の並びも鏡合わせに近い。両校とも18日に完投・完封した投手を抱え、そのうえで「もう1枚」がいる。天理は中4日の長尾、健大高崎は北田や佐藤ら5人の控え。

違いは、天理の2枚目が実績十分のエースであるのに対し、健大高崎の場合は複数を細かくつなぐ設計になっている点だ。

準決勝の見どころ

石垣は中1日で行くのか。
最大の焦点はここになる。石垣は18日に延長10回110球を投げ、試合が終わったのは日が落ちてから。
一方の天理は同じ日の第1試合を戦い、午前中には終えている。休養日を挟んで中1日という条件は同じでも、実質的な回復時間には差がある。健大高崎はここまで4試合で6投手を使い、3回戦では石垣を完全に温存した。そのやりくりの余力を、準決勝でどう配分するか。青柳監督の継投は序盤から動く可能性が高い。

天理は長尾か、橋本か。長尾は3回戦から中4日で、直近7日間の球数も158球にとどまる。順当ならエースの先発だが、準々決勝で完封した橋本が右打者の多い健大高崎打線にどうはまるかという判断もある。3試合すべてを先発完投でつないできた天理が、準決勝で初めて継投を選ぶかどうかも見どころだ。健大高崎は「機動破壊」の看板通り、1番・神崎を起点に足を絡めてくる。天理は準々決勝で2年生捕手の強肩が光った。
1点を争う展開になれば、盗塁とバントの1つが試合を決める。

勝者は21日の休養日を挟み、22日午前10時からの決勝に進む。もう一方の準決勝第1試合(午前8時開始)は智辯和歌山(和歌山) - 横浜(神奈川)。

なお「バーチャル高校野球」では、開会式と開幕試合から決勝までの全48試合を無料ライブ配信する。

文:SPORTS BULL(スポーツブル)編集部

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