「まあいいか」がハッピーな結婚生活のカギ

ところでこの詩を読んで、さらに思い出したことがありました。田辺聖子さんがお書きになった小説で、趣味のサークルが一緒の男性に、家庭のグチをこぼす主婦の話があります(すみません、タイトルは失念してしまいました)。

彼女の夫は浮気をしており、そのため彼女は「自分はきちんと家庭を守り、妻としての役目を完璧に果たしているにもかかわらず、家庭を顧みない悪い夫」のことをいつもこきおろし、自分がかわいそうだと嘆いています。

そしてさまざまなエピソードを話すたび、必ず最後に「あたしの言うこと、間違ってる?」とサークルの男性に聞くのです。男性は必ず「…いえ、間違ってません。」と答え、女性は満足するのですが、サークルからの帰り道、男性は一人「ダンナさんが浮気する気持ち、わかるなあ…」と呟くのです。

小説の中で彼女の語る「家庭での自分」は、確かに良妻賢母を絵にかいたような素晴らしさなのです。もし私もこの女性に「あたしの言うこと、間違ってる?」と聞かれたら「もちろん、間違ってません。」と答えるでしょう。

でも、人は誰しも完璧ではありません。
まして同じ生活を共にする夫婦であれば、お互いの至らなさを受け入れる「余裕」がなければ、つい相手を「なぜ○○しないの、できないの」と追いつめてしまいそうです。

幸せな結婚生活を送るためには「正しいこと」が必ずしも夫婦間の正答にはならない。なぜなら上記の詩にあるように「正しいことを言うときは相手を傷つけやすいもの」であり、相手を傷つけることは結婚生活に決してプラスにはならないからです。

共働きだから家事は半々の約束で結婚したのに、気付いたら自分ばかりがやっている。約束と違う! きちんと家事は半分やってほしい! と正しく夫に言ってみたとしても、それができないダンナさん側からしたら、自分が悪いとわかっているだけに辛くなり、家にいる時間も心が休まりませんよね。

真面目で頑張り屋さんのあなた。そんなあなただからこそ、彼は安心してあなたを人生のパートナーに選ぶことでしょう。ただし、結婚したら「まあいいか」と少しユルむ気持ちも必要です。


この詩は円満な結婚生活のコツがギュッと詰まっていると実感します。もう少しで銀婚式を迎える私自身も、初心に帰る思いがしました。

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