おみくじと朝マック【彼氏の顔が覚えられません 第9話】
先輩の部屋のシャワーを貸してもらったあと、朝食まで用意してもらって。
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「おせちとかお雑煮とか用意できなくてごめんね~」
「いえ、普段カップラーメンなんて朝食に食べたりしないんで、すごく新鮮です」
なんて会話する。
「じゃあ、その…初詣、でも行く?」
麺をすすってる間、ふと先輩が言ったことに「いいれすよ」と、もごもご返事をし、近所の小さな神社に行くことになった。
この時期、東京の神社はどこも人だらけと思ってたけど、たどりついた神社は、鳥居をくぐればすぐお賽銭箱というほどの小ささで、元旦だというのに参拝客はいなかった。
「既にピーク過ぎちゃってんのかな」
「たぶん私たちが一番乗りなんですよ」
二人それぞれお賽銭を投げる。お賽銭箱の隣には一応おみくじの箱もあって、引いてみると、私も先輩も大吉だった。
「いいかげんだな、この結果」
「いや、これで当たってるんですよ。元気出しましょう」
そのセリフに、先輩は「うぉーっ、ありがとうイズミちゃん、ええ子やーっ」って言いながら、私をぎゅっと抱きしめる。
「え、ちょ、お酒くさいんでやめてください」
「あ…ごめん、つい感極まっちゃって…」
すぐにパッと離れる。びっくりした。