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明日の神話と伊勢うどん【彼氏の顔が覚えられません 第11話】

ウーマンエキサイト
待ち合わせの場所へ、3時までに着くのは余裕だった。メイクに何十分と時間かける子もいるけど、私は顔なんてわからないから手短に済ませるし。「って、単にズボラな性格まで病気のせいにしちゃだめよ」私の脳内ユイがしゃべる。ちょっと黙ってて。

明日の神話と伊勢うどん【彼氏の顔が覚えられません 第11話】

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京王井の頭線とJR山手線、それぞれの渋谷駅の間の連絡通路。岡本太郎の『明日の神話』が飾られている。私が渋谷で指定する待ち合わせ場所は、ハチ公前でもモヤイ像前でもなく、いつもそこだ。


カズヤは、今日は新しい年にちなんだものをつけてくるって言ってた。
なんだろう、干支のかぶりものでもしてくんのかな。あ、例えば今、目の前を通り過ぎた馬のマスクみたいな。ドンキとかでよく売ってるやつ。新年早々、変な人いるな。カズヤもあんなだったら、ちょっとイヤだな。


…って思ったら、馬マスクの人、こっちを振り返ってすたすた歩いてきて。え、何? 目が合ったから? えっ? 一瞬、パニックになりかけると、


「あけおめー、イズミ」


…え。この声、まさか。



「どう? 目立つだろ、このマスク」


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