彼の前でもムリはしないで愛される。イタリア流・素の自分の出し方【前編】
初めてイタリアに住み始めたとき、ヴァチカン近くの広場ですごい光景を目にしたことがあります。一見どこにでもいるカップルが、仲良さげに話していました。しかし、突然彼女が怒鳴り始めたのです。一瞬辺りがシーンと静まり返り、辺りにいた人はみんな「何ごとか」とカップルに釘付け。
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どうやら、ジェラートの好みの話でモメ始めたようでした。しばらく見ていると、彼氏が彼女と何か話をしたあと、頬にキス。彼女の機嫌は直ったようで、ふたりで手をつないで地下鉄の駅方向へ消えて行きました。
ジェラートであそこまでキレることができるイタリア人女性ってすごい、そしてそれを軽々とかわして仲直りする男性もすごい…と妙に感心したのを覚えています。
イタリアの人々を見ていると(もちろん怒鳴る人ばかりではありません)、とても自然体。変な遠慮もしませんし、自分の気持ちや意見をはっきり持っていて、きちんと相手に伝えるスキルの高さには、驚かされるところが多いもの。そんな彼らから学んだ、程よく「素の自分」を出すコツをご紹介します。
■「NO」を避けないローマに住み始めたばかりのころ、女友だちとコロッセオ近くを歩いていたときのことです。疲れたのでカフェに入ろう、とうろうろしていたら「カフェ探してるの? こっちに安い店あるよ」と、男性が声をかけてきました。喜んであとをついていき、温かいコーヒーでひと息入れたのはいいのですが、男性が口説きモードに。
気がついたら「これから僕の友だちも来るから、4人で飲みに行こう」という話に。
あまりに早い展開についていけず、目がテンの私をみかね、「カフェを教えてくれてありがとう。いい休憩になった。これから彼氏が迎えにくる(ウソ)から、あなたとは一緒に行かない。じゃあね」と彼女がバッサリ言い、私を外に連れ出してくれました。
「第一印象でイヤだなと思ったら、しっかりNOを言わないと、あとで大ケガするのは自分だよ」と帰り道は説教つきでしたが、「相手のメンツを丸つぶれにしない程度に主張できるのがすごい」とほめたときの彼女は、まんざらでもなさそうでした。