あなたのともしび【自由が丘恋物語 〜winter version〜 第30話】

冬の日の午後8時。とっぷり黒い闇に包まれ、風が頬に痛かった。カフェでちぢこまった身体をあたため、伝えるべきことを整理した。冬馬が小走りで入って来る。寒い中を走ってきたので頬が赤くなっている。

「おう、待たせた?」

「お疲れさま。あったかいココアおいしいよ。」

「で、明日、俺と過ごすことに決めたって言いに来た?」

本当に自信があるのか、自信がなさの裏返しなのか恋の経験が少ない桃香にはわからない態度だ。もし自信たっぷりなのだとしたら、こんな自信がある男の人と付き合えば頼りになっていいのかもしれない。


でも自分はちょっぴり心が弱い慎吾をサポートしてゆくことを決めたのだ。スッと背筋を伸ばし、冬馬を見つめた。冬馬は察したかのように、店員を呼んだ。

「すみませーん、俺もココア。クリーム浮かべてくださいねー」

ココアの上にちょこんと座ったホイップクリームをスプーンですくいながら冬馬はそっと声を出した。

(続く)

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