「生涯独身女性は不幸なんでしょうか」と題する女性からの投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。地方に住んでいるという、30歳手前のトピ主さん。職場は9割以上が既婚者で、「年齢を重ねた独身者への偏見がある」と感じていると言います。
トピ主さんも周囲の勧めで出会いの場へ足を運んでいたものの、最近は結婚願望も薄らぎ、疲れて休日は家に引きこもるように。「生涯独身女性の幸せを想像することができない」「自分は一生誰からもお祝いされない人生を生きるのかなと悲観している」と心境をつづっています。
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「マジョリティではないこと」が、つらさの原因なのかも
独身女性に偏見を持ち、あるいは変わっていると判断し、陰で憐む――。全員がそのような人ばかりの職場に、トピ主さんはいるようですね。独身で生き生きと過ごしている女性の例も、誰ひとり思い浮かばないのですね。
こんなふうに断言すると、「いや、全員というわけではないんですが……」と言われるかもしれません。そうなんです。トピ主さんは今、既婚者がマジョリティの組織に属しているから、マイノリティとしての居心地の悪さを感じている。「他の人は“結婚”というアイテムを持ってるのに、私だけが持っていなくて恥ずかしい」「ロールモデルが少ないから、そのアイテムを持たずに生きていく方法がわからない」と感じてしまう――。
しかし国全体で見れば、独身者は確実に増えています。2015年の国勢調査でも、「男性の約4人にひとり、女性の約5人にひとりは生涯未婚」というデータも出ています。仮に独身者のほうが多い環境にいれば、「自分だけ違うから恥ずかしい」とは感じないことでしょう。
つらいのは結婚していないからではなく、「今のコミュニティ内で、マジョリティの側にいないこと」が原因なのかもしれない。
そんな視点もぜひ持ってみてください。
所属するコミュニティやアイデンティを複数持ってみよう
その上で、ではトピ主さんはどうすれば悲観せず暮らせるようになるのか。強くおすすめしたいのは、コミュニティやアイデンティティを増やすことです。
投稿を読む限り、今トピ主さんが所属しているコミュニティは「会社」だけで、アイデンティティも「〇〇会社の会社員」というひとつだけなのかな?という印象を受けました。
ひとつのコミュニティにいることが悪い、というわけではありません。ただ、そこの価値観のなかにいるのが「居心地悪い、つらい」と感じるならば、居心地よく属せる他のコミュニティも積極的に探してみましょう。趣味でも教養でもスポーツの世界でもいいですし、オンラインの世界でも構いません。視野を広げれば、「結婚していようがいまいが楽しめる場所」はたくさんありますし、「立場や状況に関係なく楽しく会える人」は必ずいます。
アイデンティティを増やすことも、それにひも付いています。たとえば、普段は会社員でも「実は市民オーケストラのメンバー」なんて人もいれば、「週末はロードバイカー」「〇〇バーの常連さん」といったアイデンティを持っている人もいますよね。
仕事や義務以外の“別の顔の自分”を持つことは、今ここにある貴重な人生の楽しみ方を教えてくれます。将来への焦燥感や不安感も和らげてくれるはずです。
何より、所属するコミュニティやアイデンティティを複数持っていると、単一のコミュニティの価値観にとらわれずに済むので、心身健やかに、フラットに生きていきやすいです。独身者への偏見を持っている人がいても、「どうでもいい」と思えるようになり、そうして軽やかに日々を過ごしていると、こちら側を支持してくれる人が出てくる……なんてこともあるものです。
自分の人生を豊かにすることに集中しよう
「恋人にひどい裏切りを受けて別れて以来、結婚願望が薄れている」というトピ主さん。であればなおさら、恋愛は副次的な産物と考えて、今はひとりでの楽しい暮らし方を模索してみてはいかがでしょうか。
「やってみたかったけど、やっていないことリスト」を書き出し、どんどんチャレンジしていくのもいいと思います。居心地が悪い職場や、慶び事を心から祝えないような人間関係ならば、思いきって手放してみるのもひとつです。
トピ主さんは“生涯独身女性”なのではなく、「トピ主さん」というひとりの人間です。カテゴリー分けをしてさげすむような人は放っておいて、たったひとりの人間である自分と仲良くしあえる人やコミュ二ティを、ぜひ見つけてみてください。日々を豊かにしようと心がけ、自分自身を楽しませることができるようになれば、そのうちにきっと「一緒に楽しみたい」と思いあえる異性も現れてくるでしょう。
自分がいる環境を変えていく自由があることは、決して当たり前ではありません。恵まれたその力を生かして、まずは自分自身をめいっぱい幸せにしていきましょう。負けないで。
応援しています。
(外山ゆひら)