それでも食べた側にありがとうを言いました。
本来ならば逆の立場の人間が言うべきセリフを言えてしまうのが、この言葉のすごさです。では彼女はなぜ「ありがとう」を言うことができたのでしょうか?
■凄さその2:感謝に感謝で返せるのがすごい
本人に直接聞いたわけではないのですが、彼女が「誰かが柿を美味しく食べてくれたこと」で感謝できる要因は主に次の2つが考えられます。
まず、「夫婦二人では食べきれなかった柿を、誰かが美味しく食べてくれた。それにより柿を腐らせずに消費することができた」からありがとうと言えるパターン。
あるいは、「自分が送った柿で、誰かが喜んでくれたのなら、自分もとても嬉しい気持ちになった」からありがとうと言えるパターンです。
いずれの場合にせよ、僕が妻の立場だったら「おぉ、それは良かった。どういたしまして」で済ませていたと思います。
一見すると「柿を送った側」から「柿を食べた側」で片道切符で終わるはずだった贈り物を、彼女は感謝に対して感謝をすることで、往復切符に進化させてしまったのです。
■凄さその3:それが当たり前なのがすごい
そして何よりすごいのが、このすごさを本人が認識していないところにあります。