元彼に何とかして復讐してやりたいなら、「今すごく幸せだ」って、見せつけてやることだって、どこかで読んだ。ホントにそうだと思う。この3年間それだけを心のよりどころにして生きてきたくらい。
そうよ、私、変わったわ。すごくキレイになったって言われるし、いまは3人の男からアプローチされてるの。どう?私を振ったこと、きっと後悔するはずよ。
だから、これが、私のあなたへの復讐なの。
■あなたを待つ私
待ち合わせの喫茶店に着いた時、店内を見回して、まだ彼がいないことにホッとする。
そうだった。彼はほんの少しだけ時間にルーズなのだった。
たぶん、約束の時間には5分10分遅れるはずだから、その前に一度、化粧室で鏡をチェックできる。
唯香は、店内に目を走らせて化粧室の表示をとらえると、すぐそんな風に考えを巡らせた。店員が来たので、何か注文しようかと思ったけれど、彼の目の前で、待ちくたびれて冷えてしまったコーヒーなどすすりたくはない。
「連れが来てから頼みます」と言って、メニューだけを受け取って、ポーチを取り、そそくさと化粧室へ向かう。
今日のために、ワンピースを新調した。オフホワイトの、V字で鎖骨がキレイに見える、ふわっとしたニットワンピ。