もし「黒い10人の女」の主人公が愛人にすべての財産を贈与したら妻はどうなる?
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12月2日に最終回を迎えた、ドラマ『黒い10人の女』(日本テレビ系列)面白かったですね。脚本を芸人のバカリズムが担当したことでも話題となりましたが、船越英一郎さんが演じるTVプロデューサーの主人公・風松吉が、妻がいながらも9人の女性と不倫をしているという愛憎劇な設定が爽快でした。
今回は、この主人公、風松吉がドラマ終了後の時間軸で、もし誰かと再婚し、新しくできた愛人に全財産を遺言で贈与(包括遺贈といいます)して亡くなったらどうなるか、というケースを考えてみましょう。
■よくある誤解~遺言で全財産を包括遺贈されたらすべてお終い~
個人は死後の自分の財産の行方についてもその意思で自由に決することができます(遺言自由の原則)。今回の風松吉のケースでも、風松吉は全財産を愛人に「包括遺贈」することは可能です(民法964条)。包括遺贈されてしまったらすべてお終いで、松吉の妻は何の手も出せない、という誤解が世間にはあります。
「包括遺贈」…たとえば,遺産の100%を人や法人に対して遺言で贈与すること
しかし、本当にそうなのでしょうか?松吉が亡くなった後も、松吉の妻は生活していかなければなりません。