とはいえ、婚約が一方的に破棄されてしまった場合にこのような外形的な事実が全くないとなると、裁判官に「そもそも婚約が成立したとは言えない」と判断されてしまう可能性もあります。
理屈上のことはともかく実際には、ある程度の外形的事実がなければ婚約の事実を証明することができないために、婚姻は成立していないと判断される傾向にあります。
■婚約成立後に別れることはできる?
婚約が成立しているといえるときに、相手が多額の借金を背負っていると判明した場合には、別れることはできるのでしょうか?
結論から言えば可能です。何故かというと、婚姻はあくまで純粋に自由な意思に基づいてなされるべきものですので、「一旦婚約したのだからその約束どおり婚姻しろ」と強制することはできないからです。
あなたとしては相手方に婚約破棄を通告するだけで足り、それ以上特に何かをする必要はありません。
■損害賠償について
なお、一般論としては、婚約破棄に正当な理由がない場合には、破棄された側に損害賠償を支払う義務が発生する場合はあります。
しかし、具体的な状況にもよりますが、相手が多額の借金をしているという事実は婚約破棄の正当な理由にあたるといえる場合が多いと思われますので、その場合は損害賠償を支払う義務はないと考えられます。