初婚と聞いていたのにバツが…婚約破棄は認められる?
この場合、婚約の破棄は無制限にできるのでしょうか。この点について、裁判所は、男女間の一般的な交際にとどまらず、いわゆる婚約をしているといえる場合には、婚約当事者に対して一定の法的保護を与えています。
いかなる状態が婚約に該当するかについては一義的に決まるわけではないので、別の機会に譲りますが、具体的には、婚約が正当な理由なく破棄された場合には、慰謝料等の損害賠償を相手方に請求できることになります(最高裁昭和38年12月20日判決参照)。
これは、裏を返すと、正当な理由がある場合には慰謝料等を支払うことなく婚約の破棄ができる、ということでもあると理解できます」(大達弁護士)
■正当な理由になるのか?
「では、未婚だと偽っていた相手に離婚歴があったという事情は、婚約を破棄する上で“正当な理由”といえるでしょうか。
この点について、直接判示した裁判例は見当たりませんが、今後婚姻をすることが社会通念上困難な状態であるといえる場合には、「正当な理由」があると考えられます。具体的には、不貞行為、重要な事実について虚偽がある、経済状態の極度な悪化、暴力・暴言、社会常識を相当程度に逸脱した言動などが挙げられます。