このような場合、民法上は、裁判所が競売を命じることができると規定していますが(民法258条)、ペットの競売は考えがたいものです。従前の飼育状況や別居後の飼育環境などさまざまな条件が考慮されて、いずれかの単独所有と判断されるものと思われます。」
所有権を主張するには
法的手続きに至った場合、所有権取得に有利な材料となるものがあれば教えてください。
川浪弁護士「あらゆる事情から考慮されますが、従前の飼育状況、別居後の飼育環境、ペットがどちらになついているのかといったことに加えて、ペットへの愛着、資力もそれなりに大切でしょう。
ペットの場合は子供と違って養育費という概念がありませんので、えさ代や病院代などが払えるかどうかが相当程度考慮されるのではないかと考えます。
これらを示す証拠として、従前の飼育状況(どちらが世話をしていたかなど)や別居後の飼育状況を表す写真、えさ代などのレシートなどが必要になるかもしれません。」
家族同然にかわいがっていたとしても、法律ではペットはあくまでも「物」として判断されます。所有権を得るためには法律上どう判断されるのか考え、準備をしたほうがよいようです。