取り返せると思ったのに!婚約破棄したときの婚約指輪の行方
という趣旨の合意があったと判断されるような場合は、入籍しない場合は所有権がTさんに戻ると考えられる余地もあります。
また、婚約指輪は入籍を前提とするものだから入籍しない場合は返還すべき、という考えが社会通念上当たり前といえるような場合は、2人の間に返還の合意があったと認定されることがあるかもしれません。」
費用を別途請求できるケースも
近藤弁護士:「微妙な判断になりますが、今の日本において、そこまでの社会通念があるとまではいえないのではないでしょうか。したがって、何も言わず婚約指輪を渡した場合に、そのような合意があったと判断される可能性は小さいのではないかと思います。
以上より、彼女が自由意思で返してくれる場合はともかく、そうでない場合に取り返すのは難しいのではないでしょうか。したがって、彼女が指輪を質に入れたりして売ってしまったとしても、自分の財産を処分したにすぎないと考えられるため、罪にはならないでしょう。なお、彼女が不合理な理由で婚約破棄をしたような場合には、婚約破棄に対する慰謝料を別途請求できる余地があります。その場合は、婚約指輪の購入費用も損害と認められる可能性があります。」