「あなたが苗字を変えて」婚姻届を前に、夫に聞いてみた夫婦の話【漫画の作者に聞く】
選挙のテーマに挙げられることもある夫婦別姓の問題。
他の国では、1950年に中国、1982年にスウェーデン、1993年にドイツ、2001年にトルコ、2005年にタイ、2010年にフィリピンと次々に夫婦別姓が法制度化されてきました。
そして「法務省が把握する限りでは、結婚後に夫婦のいずれかの氏を選択しなければならないとする制度を採用している国は、日本だけ」です(法務省HP、選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)についてより引用)。
そんな日本で、「あなたが苗字を変えて」と夫に聞いてみた体験を描いた漫画【結婚で苗字変えるのごねてみた】の作者みぃ子さん(@miico_no_kurashi)に、話を伺いました。
漫画「結婚で苗字変えるのごねてみた」
家が大好きで、自分のことは“ズボラ主婦”だと話す作者のみぃ子さん。
漫画では、婚姻届を書く段階になった当時、みぃ子さんが夫に「苗字どうする?」とフラットな質問を投げかける場面が描かれます。
夫は困惑……
正直な気持ちを伝え……
そして手続きの大変さを説き……
この後、苗字の変更手続きが本当に大変なことや、イニシャルが変わるのが嫌といった主張をするみぃ子さん。
そして夫に「じゃああなたが苗字変えてくれる?」と聞いてみると……
メリットがないことに気づく夫
こうしてみぃ子さんの夫は「実際に自分が改姓するとなったら無理だと思うし、メリットもない」ことに気づきます。
そして最終的にはみぃ子さんが「改姓は自分がするけれど、ちゃんとその重みをわかってほしい」と伝えるのでした。
そんなみぃ子さんに、当時の心境を聞いてみました。
「苗字を変えること」について”ごねてみよう”と考えたきっかけは?
(以下、みぃ子さん)
単純に面倒だからです。
名義変更するものも多く、手続きに各所回らなければいけなかったり……加えてお金もかかる。
ワンチャン旦那が変えてくれるなら変えて欲しかったです!(笑)
今まで、姓に関するトラブルが何かありましたか?
私はないですが、知り合いが離婚の時「私はまた苗字を戻すために苦労するのに元旦那は何もしなくていいの腹立つ!」と言っていて「確かに不平等だなー!」と思いました。
話し合ってみて「よかった」と思うことは?
夫にとって妻が苗字を変えることって他人事なんですよね。
「当たり前」くらいにしか思っていなくって。
変える方はかなりの手間が待ってるわけじゃないですか。
それを分からせるため、恩を着せるために大袈裟なくらいにゴネました。
そうしないと気付いてくれないし、重みを感じてくれないと思ったんです。
その甲斐あって今では事あるごとに「人に苗字変えさせたんだから〇〇して!」とか言えます(笑)
読者からの反響はいかがでしたか?
女性からは共感の声を多くいただきました。
ご自身の経験から、これから結婚する人や日本社会へ伝えたいことは?
苗字を変えたくない!と言いたいわけではなく、苗字を変えやすくしてくれ!と言いたいですね。
例えばマイナンバーカードひとつの手続きだけすれば良いなど……。
名義変更の作業ももうちょっと進化しても良いのでは?と思っています。
背景には手続きの煩雑さも
諸外国をみると、そもそも夫婦別姓が原則となっている国や、姓を自分たちで選択できる国などがあります。そしてみぃ子さんが指摘した通り、改姓に伴う手続きは本当に煩雑で、男性が改姓する場合にも大きなハードルに。
夫婦別姓については、令和2年12月25日に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画で「今後も検討を進めること」とされています。
日本だけ……
「法務省が把握する限りでは、結婚後に夫婦のいずれかの氏を選択しなければならないとする制度を採用している国は、日本だけ。」
皆さんはこの事実を、そしてみぃ子さんのような夫婦が直面する一人一人の負担を、どう感じましたか?
(MOREDOOR編集部)