こだわりもなく、場面の切り替えに何の困難さもなかった乳児期から2歳頃わが家の息子は2歳半で自閉スペクトラム症と診断されました。乳児期から2歳過ぎまで、何に対しても興味が薄く反応が少なかった息子。当時はおもちゃで遊んでいても、おもちゃが目の前からなくなればすぐに諦めてくれたため、場面の切り替えの困難さとは無縁でした。それよりも当時は、敏感でお昼寝中にすぐ起きてしまうことや、運動面の発達がゆっくりなことに悩んでいて、良く遊んでいたママ友があの手この手で子どもを次の行動へ誘っている姿を見て、「大変な部分はそれぞれ違うんだなぁ」と感じていました。Upload By 海乃けだま(この時は知らなかった……そう遠くない未来にめちゃくちゃ悩むことになろうとは!!)少しずつ興味も増え、切り替えが難しくなってきた…3歳前になると、何に対しても興味の薄かった息子も徐々に好きな遊び、物事が増えてきました。その中でも特に電車が好きだった息子のため、実物の電車や踏切を見に行ったりしていたのですが……そこで徐々に「おしまい」を拒否するようになってきました。まだまだ切り替えの困難さは序の口だった息子なので「自我が芽生えてきたなぁ!!成長だぁ!」なんて喜ぶ余裕がありました(……すぐそんな余裕なくなります(笑))。Upload By 海乃けだまこのように成長してきた息子でしたが、息子の1歳下に生まれた娘もまた、当然成長していきます。1歳半を過ぎ、一人歩きもしっかりとしてきて行動範囲も広がった娘は、自我が炸裂するようになってきました(娘は3歳9ヶ月頃にADHDと診断されています)。娘は歩き回りたい、息子は止まって電車を見たい……2人のかみ合わない欲求のしわ寄せは全て私に降りかかります(笑)。あの手この手の切り替え方法一覧月並みですが、わが家の5歳児と4歳児を切り替えている方法がこちらです。・より興味のあるおもちゃや物で誘う→違う遊び(公園や虫取り、外遊び)に誘う→みんな大好きシャボン玉→おやつタイム・カウントダウンで終わりを決める→あと〇回で終わり→時計の針が〇の数字で終わり→タイマーがなったら終わり→10秒カウントダウンする・次の予定を伝える→絵・文字で予定を描いて視覚的に伝える→予定を伝えた後「次は何するんやった?」と確認する・ご褒美作戦→できたらシールを貼る→そのシールが〇枚集まったらご褒美(お菓子orおもちゃ)→頑張れたら行きたいところ(電車に乗る、遊園地に行くなど)に行ける・自分で決める→終わり(回数・時間)を自分で決めてもらう→お昼ごはん前なら、何をお昼に食べたいか決めてもらう・説得する→おしまいにしなきゃいけない理由を説明する→お気に入りのぬいぐるみで説得・説得できたほうと先に楽しい雰囲気を出す→特にお風呂の時、先に入って遊ぶ声を大袈裟に聞こえるようにする・2人とも説得できなかった時は、それぞれのお気に入りのぬいぐるみと先に行くUpload By 海乃けだま上記をその時その場で組み合わせて切り替えられるように持っていきますが、もちろん全てお手上げの場合もあります(白目)。そんなときは時間が許す限り"無"で過ごします。時間がないときはもう力ずくです……。終わりたくない、まだ遊びたいと言う気持ちは大切にしたいけど…切り替えが難しいのは、いろんなことに興味を持ち始め、楽しめること・没頭できることが増えた証なので喜ばしいことなのですが……遊びがやめられずトイレを我慢して結果チョピ漏れすることもしばしばです。私自身が幼少期にトイレを限界まで我慢するタイプだったので気持ちは分からないでもないですが、やはり毎日漏らされてしまうと「いい加減にしろー!」と叫びたくもなります(泣)。行動の切り替え、今後の見通しを立てることはまだまだ長い付き合いになりそうです(白目)。執筆/海乃けだま(監修:新美先生より)みんなが苦労する切り替えできない問題の対策アイデアをたくさん教えて下さりありがとうございます。自閉スペクトラム症のお子さんは、興味のあることに没頭しやすく過集中しやすいこと、今置かれている状況の把握がイマジネーションの弱さからパッとスムーズにいかないこと、社会性の理解の幼さから相手に求められてる行動をとろうするモチベーションが働きづらいことなどから、遊びがやめられず切り替えできなくて次の行動にうつすのに苦労するということは非常にしばしば起こります。興味あることに没頭しやすい特性からは、より強い興味、楽しみを切り替え時に挟むというのもよいですし、イマジネーションの弱さ対策として事前にスケジュールを伝えて、早めに予告するというのも有効です。あいまいな言い方で伝えるよりも、回数やタイマーなど具体的な目安があったり、視覚や音で注意を引き付けるといったこともいいですね。また、自分のペースだと行動しやすい、納得できると行動できるので、自分で決める、理由を本人に分かりやすくメリットがあるように伝えるというのもとても良い方法だと思います。さまざまな観点から、発達特性にあった工夫をされていて勉強になりました。何がヒットするかは、その時の状況によるので、このようにいろんな対策の手数を増やしておくのは素晴らしいです。そして何をやってもヒットしない時、結局泣かせて終わるか大人が諦めるかという日があるのも正直しょうがないですよね。あるあるだよと思って楽しく読ませていただきました。ありがとうございました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年11月15日自分の口から出るのがお姉ちゃんのことばかりで驚愕Upload By カタバミ自宅の近所の育児支援センターに隔月で「言葉の相談日」があり、言葉の専門職である言語聴覚士さんがいらしていました。息子のまちゃには発語がなかったので、2歳になる直前にまちゃを連れて相談に行きました。静かに遊ぶまちゃの脇で、私が言語聴覚士さんからたくさんの質問を受けました。そして、言語聴覚士さんからは「言葉が遅い子はよくいるのですが、指差しなど身体を使ったコミュニケーションは取れていることが多いです。まちゃくんの場合は言葉のこともありますがコミュニケーション自体が取れていないことが問題です」と言われました。そういえば、まちゃは私におもちゃを持ってきて「遊んで」と求めるようなそぶりもなく、「これをお姉ちゃんに持っていって」と私が促しても、2歳年上の姉のところに行くこともできていなかったのです。「上のお姉ちゃんとは全く違うタイプなのだと考えてください。子どもには発信型と受信型がいると言われていて、まちゃくんは受信型だと思います。たくさん話しかけてあげてください」と強めに言われました。しかし私は「でもそうすると上のお姉ちゃんが……」と何度も言ってしまい「それなら上のお姉ちゃんが幼稚園に行っている間に話しかけてください」と言われました。私は自分の口から何度も「お姉ちゃんは」という言葉が出てくることに驚きました。主張が上手な娘にばかりかまって、大人しいまちゃには関わってこなかったことに気づき反省しました。言語聴覚士さんにアドバイスされたことを試す日々Upload By カタバミその日、育児支援センターから帰宅しようと自転車をこぎ出す時、言語聴覚士さんからのアドバイスどおり、まちゃを見ながら「出発進行!」と言いました。そして、帰宅して呼び鈴を鳴らすのを見せながら「ピンポーン」と言いました。その後も「抱っこ」と言いながらまちゃを抱っこをして膝に乗せ「口、目、鼻」と話しかけながら触っていきました。まちゃは鼻を触られるのが楽しい様子でした。飲み物を飲むときには「カンパーイ!」と言ってまちゃのコップと自分のコップを合わせました。とにかく動作と一緒に声を出すこと。まちゃは何も言ってくれないけれど嫌がってもいません。その他にも言語聴覚士さんからアドバイスされたことは、「とって」など短い単語で話しかけることや、同じ物を見て「猫」など指を差して同調することです。テレビについては「見せることがそこまで悪いことだと私は思わないけど、入ってくる情報が一方向にならないように気をつけてあげて」と言われました。そして、まちゃからの反応に大きく返すことや、なるべく体を一緒に動かすことも提案されました。私はまだまだここからだと思うことにしました。通い続ければ良かったのにUpload By カタバミアドバイスを実践した4ヶ月後、まちゃは私に寄ってくることが増え、読んでほしい絵本を黙って渡してくるようになり、ついには犬の人形で遊びながら「ウォンウォンウォン」と犬の鳴き真似することも出てきました。好物のバナナをまちゃの手の届かない戸棚にしまったら「わにゃにゃ」と言うこともありました。再び言語聴覚士さんのところに行き「バナナと言えるまであげないというのは逆効果で、意固地になるから止めること。それより何でもない時に『バナナだね』くらいが良い。脳の発達に繋がるからお手伝いはどんどんやらせること」など、また多くのアバイスをされたのを最後に足が遠のきました。その頃、不安だった私は専門職ではない方にもまちゃの発達の相談をあちこちでしていました。そして、どこでも「大丈夫そうだからあまり不安がらないように」と言われていました。しかし、まちゃが2歳4ヶ月の時、発達センターで発達検査を受けて自閉スペクトラム症があると言われ、小集団での療育が始まりました。数ヶ月おきに臨床心理士さんの訓練も始まり、受給者証も取得して民間の療育にも通い出しました。2年5ヶ月ぶりに言語聴覚士さんに会いに行くUpload By カタバミ結局まちゃは4歳になっても、たまに単語を話す程度で会話はできませんでした。私は年少の終わりに、初めにアドバイスをしてくださった育児支援センターの言語聴覚士さんのところにまた相談に行きました。強めにアドバイスされたことが記憶にあり少し怖かったのですが、予想していた強い調子は全くなく、淡々とアドバイスをいただけました。あちこちに相談に行き、私が鍛えられたせいかもしれないと思いました。部屋の一角にまちゃの好きな物の写真や画像を貼り、一緒に「あんまん!パクパク美味しいね」と言って世界を拡げられる関わりを心がけること、言えたから食べられるのではなく世界を広げることが目標だと言われました。今通っている療育で良いのか迷っていると伝えたら知り合いの言語聴覚士を「この方は確かだ私は思いますよ」と紹介していただけました。そこには今も通っています。今振り返ると、2歳の時に出会い最初に診てくれた言語聴覚士さんに言われたことはまちゃにとても合っていたと思うので、あの頃にもっとたくさん相談に行けば良かったと思います。でも当時は何が良いのかも分からず、あちこちに通って忙しくしていました。見極めは難しいですが、私はやはり専門職の方に診ていただいて良かったと思っています。執筆/カタバミ(監修:室伏先生より)言語聴覚士さんからのアドバイス、そしてカタバミさんが実践され、まちゃくんの力がぐんと伸びた経緯について、詳細をお伝えくださり、ありがとうございました。カタバミさん、とっても頑張られましたね。言語聴覚士さんとの出会いももちろんですが、カタバミさんの努力あってのまちゃくんの成長だと思います。コミュニケーションに苦手さのあるお子さんは、一人遊びがとても上手であったり、ご家族が関わろうとしても反応に乏しかったりして一緒に遊ぶのが難しいなと感じられることも少なくないと思います。助言通りにしても、なかなか期待する反応が得られずご家族が寂しい気持ちになったり、一緒に遊ぶことを楽しめなかったり、あるいは成長の兆しが見えにくいためにこれでいいのかなと不安になってしまったり、というお悩みはよくお伺いします。聞いていないように見えても、遊びを楽しんでいないように見えても、うまく表出できていなかったり、その楽しさにまだ気づいていなかったりするだけで、お子さんの耳には届いているし、他者と関わることの楽しさや喜びをお子さんは必ず感じてくれます。お子さんを信じて、あきめずにご家族のあたたかいお声を届けてあげてほしいと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年11月14日他所のお宅では予想できるトラブルが多すぎて大変!自閉スペクトラム症と重度の知的障害のある次男Pは、親戚やお友達の家などにお邪魔しても、わが家でいるのと同じように過ごしてしまうので就学するまではヒヤヒヤすることが多々ありました。他所のお宅にお邪魔する機会があるときには、Pには障害があることを相手に事前に伝え、もしかしたらこんなことがあるかもしれないけれど……と予測できるトラブルなども、ある程度話した上で、お邪魔するようにしています。初めて行くお家では、このドアの向こうは?階段の上は?何があるんだろう?どうなっているんだろう?とPは気になってしまうことばかりで、じっとしていられずにあちこち触ったり動き回ったりしてしまうため、私はPのそばから片時も離れることができず、何かしようとする度に予防をしていました。Upload By みんいくら気をつけていても、防げなかったトラブル!Pがまだ未就学児だった頃は、私がママ友とゆっくり座って話をしたくても、Pは基本的にお菓子やジュースを与えていないと大人しくすることができなかったので、P用に用意したおやつを多めに持って行き、すぐになくならないように時間をかけて与えるようにしていました。でも自分のお菓子がなくなったら、次は人のおやつまで平気で取ろうとするし、私のかばんの中はもちろん、ママ友のかばんの中まで漁ろうとして、最後は冷蔵庫の前で号泣することもありました。そんな時はこれ以上迷惑にならないようすぐに家から出て散歩へ行くなど、Pの気分を変えるようにもしていました。そんなふうに気をつけて過ごしていても、何か起きる時は起こってしまうものです。ある日、長男のお友達の家へPも一緒に連れて行って遊んでいた時のことです。Pはお友達の玩具を自分の物のように扱ってしまい、玩具を床に落として壊してしまったのです。Upload By みん親としてどう対応し、どう謝罪するのか?お友達のお母さんは「もう遊んでない玩具だから気にしなくても良いよ!」と優しく言ってくれたのですが、だからと言って、やってしまったことが許されるわけではないと思ったので、新しいものを買って返そうと考え、帰宅してすぐ同じ玩具をインターネットで探しました。しかし、もう販売されていない物だったので、残念ながら見つけることができませんでした。仕方なく、ギフトカードに菓子折りを添えて、改めてお詫びに行くことにしました。長男のお友達は快く許してくれましたが、物によっては取り返しのつかない場合もあったと思います。そしてもうP君を家に連れて来ないで欲しいと思われていたかもしれません。Upload By みん障害のある子を連れて訪問をするのは気を遣うし、大変なこともあるけれど……障害のある子どもと外出したり他所の家にお邪魔したりするのは本当に気を遣います。いくら気をつけていても防げないこともあるかもしれません。正直、家で過ごしているほうが気持ちがラクなので、このようなトラブルがあるたびに、家に引きこもってしまいがちになってしまいます。でも、それじゃあ障害がある子どもは家に閉じ込めておけば良いのか?となるのもやはり違うと思うので、私たち親子を受け入れてくれる場所であるなら、私はできるだけPを連れて外へ行きたいと思っています。大切なのは、たとえばトラブルが起きてしまうことを予測し予防することや、念のために保険に入っておくなどの安心材料を増やしておくこと、そしてトラブルが起きたあとの親である私自身の態度や、対応力も大切だと思っています。これらは子どもに障害があるなしはあまり関係ないことかもしれませんが、やはり定型発達の子どもよりもトラブルが起こるリスクが高いと思うので、出先では常に意識しながら過ごしてきました。現在、Pは8歳になり、誰かの家に遊びに行っても、無闇に動いたり物を触ったりすることもほとんどなくなり、おやつを大量に持っていかなくても大人しくしていられることが増えてきました。それでも突然奇声を発したり、ジャンプしたりすることもあるので、まだまだ油断はできませんが、これまで大変な中でもさまざまな場所へPを連れて行く経験を積み重ねてきたことは、P自身にとって初めての場所でも落ち着いて過ごせることにつながっているのかもしれないと思っています。Upload By みん執筆/みん(監修:室伏先生より)お友達のお家でのP君のご様子と、みんさんの工夫やトラブル時のご対応などについて、詳しく共有してくださりありがとうございました。大変な中でもさまざまな場所へ一緒に出かける経験を積み重ねる、みんさんの努力が素晴らしいなと思います。P君がこれから外へ世界を広げていくための重要な経験になっていることと思います。これからもP君がさまざまな場所へ安心してお出かけできるように私も応援しております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年11月14日発達グレーゾーン息子の就学問題。発達検査を受けてみたけれどしのくんは発達障害グレーゾーンの男の子です。現在は年長クラスで、来年から小学生になります。しのくんは言葉が遅く、集団行動が苦手だったこともあり、ことばの教室や療育に通っています。来年小学生になるにあたって、就学先の参考にするために、発達検査を受けることにしました。そして検査の結果……。Upload By keikoUpload By keiko「通常学級でやっていけるのか、それとも特別支援学級のほうが良いのか」については、療育の先生方も判断がつかないようで……。どちらがしのくんにとって良いのかが分からないので、集団生活の様子を一番よく見ている保育園の先生に相談して決めましょう!ということになりました。保育園での面談日。思いがけない先生の言葉に固まってしまい…保育園での面談の日がやってきました。就学先希望の提出期限は7月末、そして面談も7月末……ということで、「いよいよしのくんの就学先が決まる!」と私はドキドキしていました。発達検査の結果を見せて、ことばの教室の先生と療育センターの先生から言われたことを保育園の担任の先生へ伝えました。すると担任の先生から……Upload By keikoUpload By keiko「お母さんはどうしたいですか?」と聞かれ、私は思わず固まってしまいました……。私はその時まで、わが子の進路を親が決めるとは思っていませんでした。先生に特別支援学級と言われたら、その通りにしようと当然のように思っていたのです。私の願いは、しのくんにとって一番良い道に進むことです。だからこそ、専門家に判断してもらいたくて、病院で発達検査したり、療育や保育園の先生に相談したりしていたのですが……急に私の意見を求められて「プロが判断できないことを私が判断できるわけがない」と思ってしまいました。なので、私は正直に「分かりません……。先生の答えに従います!」と担任の先生に丸投げしてしまいました。担任の先生は、そんな私の気持ちを受け取ってくださり、園長先生と話し合って答えを出してみると言ってくれました。面談を終えた日の夜、「ある事実」に気づいた私そして、担任の先生との面談を終えた日の夜、私はふと気づきました。しのくんの就学先について、夫の気持ちを一度も聞いていないということに……!!保育園の先生に決めてもらおうとばかり思っていたので、夫の意見を聞くという発想がなかったのです。Upload By keikoもうすでにウトウトと眠りかけている夫に急いで「通常学級と特別支援学級選べるならどっちを選ぶ!?」と聞いてみると「通常学級」と返事が返ってきました。(その選択の理由については語らないまま、夫は眠りに落ちていきました(笑))そして、ついに就学先決定!翌日、「通常学級が良い」という夫の意見をないがしろにしないためにも、私は朝一番に保育園へ電話しました。すると、もうすでに担任の先生と園長先生との話合いは終わっており、保育園の先生方の意見は「しのくんは通常学級がいいと思います」ということでした。図らずも夫の意見と先生方の意見が一致したので、私の心も決まりました。小学校に入学するまであと数ヶ月あるし、低学年には補助の先生もいるし、まずは通常学級に入ってみて、しんどそうだったら2年生から変更しようということで話がまとまりました!「子どもの就学先」という責任重大な決断をどうするか、とても悩んだ数ヶ月間でしたが、周りの先生方に恵まれたこともあり、また一つ大きな壁を乗り越えることができました!悩みや心配事はつきないけれど、これからも支援者の方々に(そして夫にも……)その都度相談しながら、しのくんにとって一番良いと思える道を進んでいこうと思います。執筆/keiko(監修:新美先生より)就学についてのエピソードをきかせてくださりありがとうございます。検査を受けたり、療育の先生へ相談に行ったりして、就学後の学びの場について検討されたのですね。学びの場については、誰が決めるというのではなく、保護者の方の希望をなにより優先しながら、関わる人たちの意見を参考に総合的に判断されることが多いと思います。とはいえ、いきなり保護者の希望と言われても、未経験なだけに迷ってしまうこともありますよね。お話を伺うと、関わっている先生方も、みんな迷っていたようなので、誰もが迷う微妙なゾーンだったのかもしれません。こうだったらこっちというような、絶対の基準があるわけでもなく、実際先生やクラスメイトの相性などもあり、どっちがいいか迷うことはしばしばあるものです。しのくんについては、ふだんの集団生活を支えて下さっている園の先生のご意見と、お父さんの意見が一致したということもあって、Keikoさんの心も決まったのですね。どちらに決めても、実際入ってみての試行錯誤や先々の変更はあるかもしれませんが、その都度相談しながら進んでいくと決めたKeikoさんとしのくんを、心から応援したい気持ちです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年11月13日やたらとエビ反りする新生児期39週3400gで生まれた息子。よく寝るタイプではないけど、ミルクをよく飲み、声を出したりモゾモゾしたり、元気いっぱいな赤ちゃんでした。そんな息子ですが、私はあることが気になっていました。それは、やたらと体を反らせること。Upload By ネコ山抱っこしていても息子は何だか力が入ってしまうようで、腕の中でよくのけ反っていました。布団に寝かせていても、仰向けで大人しくしていることはまずなく、モゾモゾしたり上向けにのけ反ったり。そして、泣くときは最大級にエビ反り。新生児期のうちから寝返りしてしまうのではないかと思うくらい、泣きながらそり返り、体ごと横向きになっていました。あまりのエビ反りに驚きましたが、初めての子育てということもあり「赤ちゃんってこんなもんなのかな……?」とあまり気にしていませんでした。保健師の新生児訪問で息子が生後1ヶ月を過ぎた頃、市の保健師による新生児訪問がありました。身体測定などをしたあと保健師さんから「何か困っていることはありますか?」と聞かれました。とりあえず発育も良好だしこれといって困り事はなく、初めての育児で分からないことだらけと答えると、保健師さんは息子を抱く私の姿を見て「もしかして抱きにくい?」と一言。すごく反り返ってしまうことを伝えると「まんまる抱っこが良いよ」とアドバイスをくれました。まんまる抱っこは、反っている状態から挑むには抵抗がありましたが、いざやってみると息子は心地よさそう……!それからまんまる抱っこを意識して抱くと、今まで反り返って抱きにくかった息子をなんとか腕の中に収めておくことができるようになりました。Upload By ネコ山反りすぎて生後3ヶ月で寝返り!首もすわっていないのに……保健師さんのアドバイスのお陰で以前より息子を抱っこしやすくなりましたが、布団に寝かせているときや泣くときは依然としてエビ反りのまま。加えて、息子は生後1ヶ月半頃から手足を激しくバタつかせる子で、首もすわらないうちからとにかく動きたがっていました。そんな息子はついに、わずか生後3ヶ月で寝返りができてしまったのです!(寝返りができる目安は一般的に生後6ヶ月と言われています)成長してどんどんと力がついてきた息子は、エビ反りをした勢いでうつ伏せになるようになっていました。しかし首すわりがまだ不完全なため、うつ伏せの状態で顔を上げることができません。「このままでは窒息するのでは!」 と、私は慌てて息子を仰向けにしました。Upload By ネコ山その日から私は息子が起きているときは一瞬も目を離せなくなりました。起きている間は繰り返し寝返りをするようになり、寝返りをする息子をひっくり返しては仰向けに戻すことの繰り返し……。窒息するのが心配でトイレに行くのも困難に……。寝返りしても首が上がらず窒息しないように、首すわりを促すと聞く遊びを取り入れてみたりと、いろいろ試してみました。結果、生後4ヶ月過ぎにはしっかりと首がすわり、寝返りしても首を上げていられるようになりましたが、その間に何事もなくて本当に良かったです。検索すると……首がすわる前に寝返りしてしまったこと、新生児期からエビ反りすることが気になり、思わずインターネットで検索すると『脳性麻痺』や『自閉症』の文字が。思いがけない文字にショックを受けましたが、1ヶ月健診も3ヶ月健診でも全く問題なしの息子。「検索結果が全員に当てはまるわけではないし」と気にしないことにしました。成長と共にエビ反りしなくなる、何だったんだろう?Upload By ネコ山それから息子は順調にずり這いやお座りをし、1歳ちょうどで一人歩きをし始めました。エビ反りは、首がすわった生後4ヶ月を過ぎた頃にはあまり見られなくなり、ずり這いやお座りをし始めた頃にはほぼなくなりました。その後1歳半健診で発達の遅れを指摘され、4歳の頃にADHD+ASDの傾向があると言われた息子。『新生児のエビ反り』とインターネット検索した時に出てきた『自閉症』という検索結果について、当時は気にしていませんでしたが「やっぱり関係あったのかなあ?」と今になって疑問に思うのでした。執筆/ネコ山(監修:新美先生より)新生児期から乳児期早期の「エビ反り」の思い出について詳しく教えて下さりありがとうございます。後に発達障害と診断される方のなかに、乳児期に反り返りが強かったというエピソードをお持ちの方は通常よりは高率にいるようです。このため、発達障害のチェックリストみたいなものに、乳児期に反り返りが強かったというようなチェック項目があったり、『新生児のエビ反り』と検索すると、「自閉症」というワードが並んだりするかもしれません。ですが、記事にも書いていただいたように、反り返りが強い=発達障害というわけではありません。もし、新生児期~生後4ヶ月の時点で反り返りが強いということで受診されても「自閉症です」などと診断されることはないと思います。反り返りが強いお子さんはどちらかというと過敏だったり、若干体の使い方が不器用だったりするお子さんが多いかもしれないですが、それも必ずしもそうではないです。記事を読んで、「そういえばうちの子もそうだったな」と思い出す方もいらっしゃると思いますが、あの時早く気づけばよかったなとか、相談した時にスルーされたことを残念に思うなど、後悔のネタにする必要は全くないです!「そういえば抱っこしにくくて大変だったよなー」などと思い出して共感していただけるといいなと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月13日中学入学前に支援会議を行った自閉スペクトラム症(ASD)の息子現在高校生の息子(15歳)は、小学1年の時に自閉スペクトラム症(ASD)、中学1年の途中でLD・SLD(限局性学習症)と診断を受けました。小学校入学の頃からこだわりが強く、聴覚過敏があるため、授業中「はい!」と挙手する音に耐えられずパニックを起こした息子は、1年生の2学期から国語と算数のみ特別支援学級で受けるようになりました。静かな環境が息子には合っており少し落ち着くも、トラブルは常につきまとっていました。Upload By ユーザー体験談※通常学級在籍の場合、個別の支援は「特別支援教室」もしくは「通級指導教室」で行われます。もしくは特別支援学級に在籍し、特定の科目を交流級にて受ける形をとります。この体験談のお子さまについては、学校の判断により、通常学級に在籍しながら一部の科目について特別支援学級で受けています。中学生になる前には支援会議を行いました。・特別支援学級、通級指導教室どちらにするのか。・通級指導教室ならば、どの教科を通常学級で受けるのか。・仲の良い子と同じクラスにするのが良いのか、逆に仲の悪い子は誰なのか、クラスを離したほうが良いのか。息子が安心して生活できるように、このようなことを事細かく配慮していただきとてもありがたかったです。中学生も小学生の時と同じように、国語、数学、そして英語の授業を特別支援学級で、それ以外は通常学級で受けることになりました。先生の言葉がきっかけでクラスメイトからかわれ、本格的にいじめられるように……無事中学生になるも、1年生の時にある教科担任から「板書ができないのはサボっているからだ!」と怒られた息子。そしてこの言葉をきっかけに、クラスメイトからからかわれ、クラスで浮いた存在になってしまいました。息子は「お一人様」が好きなので最初は気にしなかったそうなのですが、からかいはだんだんとエスカレートし、ジャージが摩擦で破れる程引きずり回されるというひどいものに発展。いじめている子どもが在籍する部活の先輩も加わって、廊下を歩いているだけで転ばされたり、階段で足をかけられ転落したり……。そして、良くないことに息子もやられっぱなしではと抵抗して相手にパンチをしてしまったのです。そこをたまたま通りがかった学年主任の先生が見たそうで、息子は事情を話すも、相手の子どもたちからは「息子が悪い」と言われ、実際に殴ってしまった息子は何も言えなくなってしまい……。Upload By ユーザー体験談私はこの時点で学校側から連絡がきて、状況を知りました。ジャージが摩擦で破けていることは知っていましたが、息子は床で滑ったと言っていたので信じていました。先生の言葉がきっかけでいじめが始まってしまったこと、どんどんエスカレートしていったこと、そしてそれを息子が隠して堪えていたこと、それを息子が隠して堪えていたこと、そして反撃をしたことで加害者となってしまったこと……ショックでした。その間息子がどんな思いで学校へ行っていたかと思うと……どうすればいいのか悩みました。不登校になり毎日「僕なんていなくなったほうがいいんだ」という息子。そんな息子が前を向いたきっかけは?これがきっかけで、息子は学校に行きたくないと言い出し、夏休みをはさんで計2ヶ月、ほとんど不登校状態になってしまいました。毎日「僕なんていなくなったほうがいいんだ」と言うようになった息子。これではいけないと、私はいろいろな情報を集め、近場に発達障害の子ども向けの寺子屋的な教室があるのを知りました。そして息子にも話したところ、息子はそちらに通い始めました。学校以外の場所を知った息子は視野が拡がったようでした。息子より年下の子が慕ってくれたこともうれしかったのだと思います。そして少しずつ元気を取り戻していった息子は、だんだんと学校へも行けるようになりました。Upload By ユーザー体験談その後LDが分かったこともあり、中学2年生から特別支援学級へ完全に移りました。いじめっ子とも離れることができたので、学校へは問題なく通えるようになりました。どの高校を選ぶ?また不登校になったらと心配する母と息子の志望校は違うところでそして中学校生活も後半になる頃、高校進学について悩むようになりました。高校は義務教育ではありません。以前のように不登校になってしまったら、退学することになってしまいます。ですので、まず私が心配だったのは、全日制にきちんと3年間通うことができるのか?ということでした。できれば出席日数が関係ない通信制の高校、ただしずっと家にいると外に出たがらなくなってしまいそうだったので、週3日通い、レポート提出することで成績がつく高校が息子にはいいのではないかと思いました。ですが息子は、自宅近くの全日制の高校を希望しました。わが家は夫が早くに亡くなっているので、経済面で家に負担をかけたくないと思ったのかもしれません。また、息子はルーティンが好きなので、学校へは週5日通うのが当たり前と思っていた……という節もあります。私はあえて通信制の高校のことは話さず、息子には「目指している高校へ行けるといいね」と応援していました。息子の志望校の体験入学で不登校の原因となったいじめっ子と遭遇。フラッシュバックが!そして中学3年生になって、高校の体験入学に参加した息子。ですが帰りの車の中で、「楽しかったけど、あの子(いじめた子)もいたんだよ……」と真っ青になって語り始めました。そして「きっと学力が同じくらいなんだな……。高校でいじめなんて嫌。知らない子もいじめに加わったりされたら……。せっかく死にたい気持ちがなくなって楽しく過ごせるようになったのに……!」とフラッシュバックを起こしてしまったのです。Upload By ユーザー体験談高校にもいじめっ子がいるかもしれないということで、息子は志望校を変えました。私が希望していた通信制で週3日登校する高校です。自分から通信制にすると話してくれた時に、「実は私、その高校があなたに合ってるんじゃないかなって思ってたんだよ」とカミングアウトしました。すると息子は「そうだったんだ!」と笑っていました。この高校を選んで良かった!自分の信じた道を自信をもって進んでいって現在、通信制の高校を選んで良かったと二人で話しています。学校には、同じ発達障害を持つ子どももいてお互いの特性を知って配慮しあったり、趣味が似ているお友達とはとても深い知識を理解し合える素敵な関係を築くことができました。全日制に比べると校則も厳しくなく、登下校の時間も全日制の高校とかぶらず、朝はゆっくり、帰りは早いことで、息子も疲れることなく休まず通えています。アルバイトも始め、将来やりたい仕事も自分で見つけました。特別支援学級の先生です。そのため息子は今、大学への進学を目指しています。不登校だった時期からは考えられません。「我が身を抓って人の痛さを知れ」これは、私の恩師が教えてくれた言葉です。私の学生時代にもやはりいじめがありました。自分がいじめられたらどんな気持ちになるかという話の時、恩師はこの言葉を使われました。息子は、発達障害のある子どもがどこにつまづきやすいのか、どんなことが嫌なのか、また、いじめられる子どもの気持ちを身をもって経験してきました。そして、そんな子どもたちが1人でも減るようにと思う優しい青年に成長しました。自分の信じた道を自信をもって進んでください。いつでもあなたを応援しています。イラスト/カタバミエピソード提供/しのっぺ(監修:鈴木先生より)神経発達症のお子さんはコミュニケーションが苦手な場合があるため、学校ではいじめのターゲットになりやすい傾向があります。特に出身校が異なり、進学先で初めて一緒になった子どもたちから理解を得られづらいことがあります。IQテストで処理能力が低いお子さんは板書など写して書くことが苦手でマイペースです。ASDのお子さんに多い傾向があります。そういうお子さんにはタブレットで黒板の写真を撮るなど工夫が必要です。細かいところまで配慮してくれる通信制の高校は神経発達症のお子さんには向いています。自宅で自由に勉強できるからです。無理して全日制の高校だけを考えずに肩の力を落とせる通信制の高校も視野に入れつつ本人に行きたい高校を選択してもらうことが重要なのです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年11月12日発達凸凹じゃないと思っていたけれど、父ラクマにも特性が!?Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイわが家は私・ワッシーナを筆頭に、家族全員が個性いろいろな発達凸凹タイプです。それぞれの特性をキャラクター化しており、動物の顔をしています。これまで私は、「家族の中で夫だけは発達凸凹タイプではない」と思ってきましたが、ラクマは、子どもたちと妻の私が発達凸凹と気づいた当初から「自分も当事者では?」と言っていました。でも私は彼に「その程度の苦しみかたでは生ぬるい」と答えました。私と子どもたちに比べて発達凸凹の特性に苦しんでいるようには見えなかったからです。ところが最近になって、福祉の専門家たちから、ラクマに発達凸凹当事者としての手記執筆や講演の依頼がたびたび来るようになりました。この状況に、私もラクマが発達凸凹である可能性を認めざるを得なくなりました。どこに行っても、やってはいけないことを必ずやる子どもだったUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイラクマの家族に聞くところによると、幼い頃の彼は、多動・多弁・過集中で味覚・触覚の過敏があり、好奇心の強い子どもだったようです。思いついたら、すぐにやらないと気が済まないので、見慣れないものがあると、とにかく触りたがりました。ラクマの幼児期は今から60年ほど昔のことなので、どの家庭にも暖房器具として火鉢があったそうです。幼いラクマは親戚の家に入るやいなや火鉢を見るとすぐに駆け寄り、ひっくり返しました。家の者が慌てて片づけるの見てゲラゲラ大笑いしていたとか。どうやらラクマは大人も遊んでくれているものと思ったらしいです。その頃は、彼が親戚の家に行くと、どの家庭もあわてて貴重品を手の届かないところに隠したそうです。また、道路では後ろ歩きをしてドブにはまり(当時は側溝に蓋がない)、街に出ると知らない人について行っていつの間にか隣の席で一緒に映画を観ていたりして、家族をパニックに陥らせていました。高い塀から飛び降りて釘を踏み抜いたり、階段から転げ落ちて頭を縫ったり、急いで窓を開けようとしてガラスを割って手首を切ったり……。考える前に行動して失敗したエピソードは数えきれないほどでした。4歳上のラクマの姉は「ラクマは将来、どんな大人になるだろうか」と心配かつ楽しみであったそうです。親族たちは「ラクマは落ち着きがなさすぎるから、まともに学校へ通えないだろう」と予想していたのでした。学校では問題児でトラブルだらけ。でも本人は問題だとは感じてなかったUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ多くの親戚の予想に反して、ラクマは毎日きちんと学校に通いました。ところが小学生になる少し前に吃音が始まりました。話し始めの言葉がうまく出ないのです。「ぼ、ぼ、ぼ、ぼくは、サ、サ、サ、サッカーがしたい」という感じです。早く、たくさん話したいという焦りがあったのかもしれません。給食はほとんどの野菜が食べられないため完食指導で何度も吐きそうになり、地獄だったそうです。シャツのタグはすぐに破り捨て、セーターは当時から今も着ることができません。授業中は先生と争うようにしゃべりまくり、窓の外の動きや音に気を奪われてボーッとしたりしていました。小学1年生になってもひらがなで自分の名前が書けませんでしたが、2年生になって初めて名前を書いたら、先生が感動してホームルームで「今日初めてラクマ君が自分の名前を書きました」とうれしそうに発表するのを聞いて驚いたそうです。本人からすれば「勉強は簡単そうで、いつでもできるからやらなかっただけ」だったため、教師の評価は心外だったのでしょう。こんな調子ですから、クラスメイトからいじめやからかいの対象にされることが多かったのですが、本人はキレやすいタイプだったので、教室や運動場でよく取っ組み合いの喧嘩をしていました。ラクマ本人は自分に問題があるとは感じておらず、むしろ周りのほうに問題があると思っていたようです。ラクマの母は4年生になっても勉強ができない息子を心配して、大学生の家庭教師をつけました。ある日、家庭教師がローマ字を教えようとしたところ、ラクマは五十音を覚えていないどころか、そもそも五十音というものがあることすら知りませんでした。家庭教師はすぐにやめてしまったようです。どうやら、さじを投げられたみたいです。図書係になって読書にはまると、学業面でも劇的な進歩がUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ家庭・地域・学校で問題だらけの息子に心労が絶えなかったラクマの母は、もともと小柄なのに、10キロ以上も痩せてしまったそうです。悩んだラクマの母は、息子を落ち着かせたい一心で書道などの習い事や野球、サッカー、ゲーム、プラモデルなどを手当たりしだいやらせてみました。ところが何をやってもわりあいすぐに上達するのに、続けることができません。5年生になった時、母はラクマに、図書係になることを強く勧めました。図書係になったラクマは、いきなり読書に没頭するようになりました。書架にある本をかたっぱしから読んで、卒業する前に学校の図書室の本を全部読み、それでも足りずに母親に頼んで新刊が出る度に購入していました。休日になると朝から書店に行って新刊を買うと、すぐに家で読み始め、最後まで読み終えて本から顔を上げると、いつのまにか夜になっていて驚くことが度々あったそうです。読書に熱中して半年ほど経つと集中力がついて、先生の話がしっかり聞けるようになり、周囲が驚くほどいきなり成績がアップ。学年でもトップクラスの成績になりました。吃音も次第に目立たなくなり、中学になるとほとんど消えていました。本の虫になったラクマは「大人になったら本を読んだり書いたりする仕事につきたい」と思い描くようになりました。仕事で培った技術を家族への工夫に活かし、その内容を絵本やマンガ・エッセイで発表Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ小学生の頃、小柄で問題児だったラクマは、高校から背が高くなり、大学中退後に広告代理店に勤務してコピーライター職につき、物静かな大人になりました。少年時代の彼を知る幼なじみや親族からは「まるで別人のようだ」と、よく驚かれるそうです。ラクマは大人になって一見大きく変わったようですが、実のところ、過集中な特性はあまり変わっていないようにも見受けられます。読書にはまると今でも時間が分からなくなり、あまりにも飛行機や電車などを乗り忘れるので、空港や駅では決して本を読まないというマイルールを今も守っています。コピーライターは映像やイラスト、キャラクターなどと言葉の表現を組みわせて、多くの人に情報を伝える技術です。結婚して子どもが4人になり、家族全員が発達凸凹当事者だと気づくと、彼の過集中な特性やコピーライターとしての技術が、家族を元気にするための工夫に活かされてきました。家族それぞれの発達凸凹の特性をキャクター化してデザインし、それぞれのキャラクターを言語化したネーミングで、家族の工夫のストーリーをマンガでまとめています。ラクマは、家族全員の技術を持ち寄って、映画や絵本などを作りたいという夢を思い描いています。4人の子どもたちは、それぞれ商業映画やTVコマーシャル、イラスト、フラワーアレンジ、英会話の分野で活動していますので、その夢の実現も遠いことではないかもしれません。執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(監修:森先生より)発達障害のある方の中には「周りがやっているから自分もやっておこう」という考え方があまり馴染まない方もいます。ですので、子供の頃は勉強をする意味が分からなくて「勉強ができない」と誤解されてしまうケースもあります。しかし、ひとたび興味を惹かれたり、目的のために必要だと本人が考えると、爆発的なエネルギーで勉強に向かうこともあります。「過集中」と呼ばれ、それこそ、興味を惹かれる物事には寝食を忘れて没頭することもめずらしくありません。ラクマさんにとっては、読書や表現に興味を惹かれて、そしてそれが世間からも求められる形で才能を発揮できるコピーライターはまさに天職。ラクマさんのお母様は、ラクマさんにいろいろな習い事を経験させる中で向いていそうなことを探して、図書係を勧めてくれたのでしょうね。このように、才能をうまく発揮できる方向を、親子で探っていけると生きやすくなるでしょう。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年11月10日夫婦共に厳しく育てられた子ども時代。子育て観に違いがあって子育てに関していえば、私は子どもたちに甘いほうだと思います。というのも、私自身が子どもの頃、母に厳しくしつけられたのでその反動かもしれません。私が子どもの頃は、厳しく育てることが当たり前の時代だったかもしれませんが、私としては厳しくされて良かったことは特にないな、と感じているのです。それに、子どもたちにとって家の中は安心できる場所にしたいと思うと、ついつい「いいよ」なんて言ってしまうんですよね。それでは子どもにとっては良くないこともあるとは思うのですが……。Upload By 吉田いらこそんな私とは対照的に、夫は「多少は厳しく育てないと、子どもは世の中を渡っていけない」と考えています。夫も子どもの頃は親から厳しくしつけられたのですが、それが大人になってとても良かったと感じているそうなのです。私が子どもに「無理しなくていいよ、できるだけでいいよ」と甘い対応をしているのを見て、夫がとうとう「俺が叱り役になる」と言い出しました。「そんなんじゃだめだ」「もっと頑張れるだろう」と子どもたちに檄を飛ばしています。逆に、たまに私が怒ったときは夫がフォローに回ります。子どもにとって逃げ場がなくなるのはつらいのではと思うので、わが家はこれで良いバランスなのではと感じていました。Upload By 吉田いらこ発達障害の診断を受けてからは……このように「俺は厳しめでいく」と言っていた夫ですが、長女が小学5年生で発達障害の診断を受けてからは、ものすごく優しく接するようになりました。長女が障害の診断を受けたのは、ちょうど夫が3年間の単身赴任中のことでした。そして単身赴任が終了して自宅に戻ってからは、それはもう甘々の父親になっていたのです。長女の特性の一つである極度の人見知りも、以前なら「もっと勇気を出していきなさい」などとアドバイスしていたのですが、もう長女に無理にさせることはありません。代わりに対応してやり、何も言わずに優しく微笑んでいることが多くなりました。Upload By 吉田いらこ障害がある娘の未来、これからも夫婦で見守っていきたい長女も中学1年生になり、高校進学についてなども考える時期に差し掛かりました。障害の特性への対応や進路相談などは、やはりプロにアドバイスをいただくことが一番だと思いますが、いっぽうで長女の将来については、夫婦でブレずに同じ方向を見据えていくのがいいのかもしれません。障害がある長女にこれからどんな未来が待っているのか分かりませんが、夫婦二人で見守りながら進んでいけたらと思っています。執筆/吉田いらこ(監修:初川先生より)夫婦の子育て観の違いや変化についてシェアいただきありがとうございます。“厳しく育てないと社会に出たときに苦労する、そのおかげで今の自分がある”と考えている大人の方は結構いらっしゃいますね。その方々はおそらく自分を厳しく律しながら頑張ってこられたのだろう、苦労して頑張った結果、今のご自身があるように捉えていらっしゃるのだろうと感じます。そういうお話をうかがうと、その方はその苦労が乗り越えられた経験となっていて良かったなぁと感じます。それは乗り越えられた方だからこその考え方、思いなのだろうということです。対照的に、いらこさんは厳しく育てられて、つらかった、家の中で安心できなかったという思いがあるのですね。「その反動か」、お子さんに甘くなってしまっている自覚があられるのですね。ご夫婦での子育てに対する「こうしたい!」という思いはとても大切です。それぞれ「こうしたいという想い」があると思いますので、ぜひ都度話し合っていただきたいところです。ただ思うのは、親がどう思うか、どう育てたいかも大事ではありますが、子がどんな子であるかがふまえられているか、ということはもっと大事なのではないかということです。どういう性格で、どういう得意不得意があって……そういったお子さんの個性や特性に関することは、きっと父とも母とも同じではない、お子さんだけのものがあるはずです。ゆいちゃんは軽度知的障害など診断が受けたという面もあり、どんなお子さんであるか、また親との違いが見えやすくなったとも言えます。しかし、本来的には、診断の有無に関わらず、そのお子さんにはそのお子さんの特徴的な面があるはずです。そこと子育て観とをすり合わせていく、そうしたことをご夫婦で、あるいは(ひとり親で頑張っておられる方は、特にそうですが)子育てを共に担ってくれる親族、先生、専門家らと一緒に話し合っていけるといいですね。そういう意味では、子育てというものは親がこうしたいああしたいとさまざま願うことはおそらく出産前から多々あったと思いますが、そういうことへの「諦めのプロセス」でもあるのです。自分自身ではない、自分とは別の生命・意思を持った存在としての子ども、その子のありようを受け入れて、こうしたい・こうなって欲しいと願っている面を少しずつ諦め、お子さんにフィットした子育てへと変容していくプロセスということです。ではどうすり合わせていけばいいのか、また、甘えと厳しさとどう折り合いをつけたらいいのか。そこを話し始めたら長くなりますが、少しだけ子育て観への視点をお伝えすると、例えば、「お子さんが困った時にヘルプを出せる」、そこが目標の一つにはなると感じます。親子の関係の中で、安心していないと困った時に親にヘルプは出せません。安心安全の関係性が必要となってくるでしょう。しかし、何も困ることなく至れり尽くせりの環境だと確かに社会(まずは園や学校)で困ることもあると思います。だからこそ、困った時に親にヘルプを出せるにはどうしたらいいか。そこを考えてみると、甘えと厳しさのバランス問題にも打開する方向が見えてくるのではと感じます。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年11月10日「ちょっと」「少し」が理解できない息子、2歳過ぎで支援センターへ現在8歳の息子は、3歳で自閉スペクトラム症(ASD)、ADHD(注意欠如多動症)の診断を受けました。見通し不安がある息子は数字にこだわりがあり、「ちょっと」「少し」が理解できずパニックになるため、あと何分、何回など具体的な数字を使って説明するようにしています。2歳を過ぎても言葉が出なかったこと、動作や言葉の模倣がないこと、他人が公園に入ってくると追い出そうとするなど人との距離感が独特だったことから、2歳すぎに発達支援センターへ相談に行きました。予約から面談当日までの間に言葉が出始めたので、もう支援センターに行く必要はないかと思っていましたが、こだわりが強く様子見が必要とのことで、定期的に通うようになりました。入園式もこれで安心?入園前の民間幼児教室ではまさに優等生幼稚園入園前に小集団を経験したほうがよいとアドバイスをもらい、プレ幼稚園のような民間の幼児教室へ2歳から入園前の1年間通いました。1年の半分は親子通園、後半は母子分離でした。朝の挨拶、お名前呼び、その日の活動、ダンスとだいたい流れが決まっており、お名前呼びのあとにその日の活動内容を具体的に話してくださったり、最後に次回の活動内容の告知があったので、息子は落ち着いて参加できていました。隣の椅子の子が手を動かすだけでテリトリーを侵害されたと感じ、不安がるなど人との距離感が妙ではありましたが、母子分離でさみしがることはあれど大泣きすることもなく、先生の指示を最後まできちんと聞いてから行動するので、教室では優等生扱いでした。なお、児童館での幼児クラスの活動では、部屋から出ようとする、部屋の後ろを走るなどして参加できませんでした。今思うと活動の内容、順番が毎回違うこと、お遊戯や体操が季節によって変わることから、見通しが立たず、不安だったのだと思います。でも幼児教室では模範生と言われるくらいに落ち着いていたので、入園式も大丈夫だろうと思っていました。Upload By ユーザー体験談夫婦で愕然……。入園式で、息子の人生初の大パニックそして入園式がやってきました。息子から「だいたい何分くらい?何をするの?」と聞かれたのですが、私の説明と違うとパニックを起こすだろうと思ったので、「お母さんも初めてだから何分かは分からないんだ。時計の針がぐるっと一周して長い針が6にくるまでには終わるよ。たぶん先生のあいさつ、園長先生のお話、写真撮影の3つはあると思う。ほかにもお母さんの知らないことがあるかもしれない」と幅を持たせた説明したところ、「分かった」とうなずいてくれ、入園式開始まで1人で園児席に落ち着いて座っていました。Upload By ユーザー体験談しかし、入園式には来賓挨拶や在園児の言葉などがあったのです。親としては誤差の範囲でも、息子にとっては予想外の大事件だったようで大パニックになってしまいました!式の途中から泣き出したのですが、泣くだけでなく「あと何分?」「先生のあいさつはまだ?」と何度も繰り返していました。ほかにも泣く子はいたのですが、式の途中で行われた先生との手遊びなどで落ち着いていくなか、息子の泣き声はより大きくなってしまい……。息子の横に担任の先生がかけつけてくれ、落ち着かせようと話しかけてくれたのですが、「あと『もうちょっと』だよ」など息子の望む答えではなかったので、だんだん激しく泣き、怒って先生をぽかぽかたたき始めてしまいました。Upload By ユーザー体験談私も夫も、大パニックを起こした息子を見たのはこれが初めてでした。式後半からは息子の隣に私がかけつけ、膝の上にのせ、「まだ6まで針が来ていない、先生の挨拶のほかにもお母さんの知らないイベントがあるらしいよ」と説得したことで、泣き方は多少はおさまりましたが、最後まで泣いていました。ただ、式が終わったらけろっと「やっと終わった。もう帰っていい?」とあっさりしていました。ただ私たち夫婦にとって、泣いて怒る息子の姿は衝撃的で、目を閉じてもその光景が消えることはありませんでした。一緒に困りごとを目撃した私と夫。このことで夫婦関係に変化が入園式のあと夫と相談し、医療に一刻も早くつながることを目指しました。それまで仕事で家にほとんどおらず、息子の様子をほぼ知らなかった夫は、私が話す息子のこだわりは私の気にしすぎだと思っていたところがありました。発達支援センターに定期的に通っていたことも、当初の悩みの種であった言葉の遅れが解消してからは無意味だろうと言っていました。私が息子に困りごとがあると思い込み、大騒ぎして障害児に仕立てようとしているのではないかと言われたこともありました。しかしながら入園式でのパニックを見て、息子本人が困っていることに気づき、親が手助けできることはやってやりたいと言ってくれるようになりました。受診の状況や、幼稚園とのやりとりの話について関心をもって聞いてくれ、2人でどうするかを考えられるようになり、私は心からほっとしました。Upload By ユーザー体験談児童精神科を受診し診断へ。問題なく幼稚園時代を過ごし小学生へ……その後はすぐに児童精神科を受診し、自閉スペクトラム症(ASD)の診断を受けました。幼稚園の先生方には丁寧に対応してもらったため、幸いにもスムーズに通い、無事卒園しました。そして小学校の入学式では希望者のみの前日リハーサルに参加し、当日は落ち着いて参加できました。入園式の大パニックの経験をいかすことができ、何事もなく終わってほっとしました。小学校の1年、2年生のあいだは週に2時間、通級指導教室に通い、通級指導教室の担任、通常学級の担任との3人共有の連絡帳のおかげで、ちょっとした困りごともいち早く先生方に伝えられ、即座に対応してもらえました。このことで、「困ったときは先生が助けてくれる」安心感が息子の中でアップしたこともよかったです。私の住む地域では通級指導教室は原則1年限り(延長しても2年まで)とのことで、2年生で通級を卒業しました。3年生の今は問題なく学校に通っていますが、もし困りごとが目立つようなら、再入級を打診するつもりです。「困ったことは工夫すれば対処できる!」ことを経験してのびやかに育ってほしいです入園式以前は、自閉スペクトラム症(ASD)だとしても困り感は少ないだろうと思っていました。数字に強く、文字が読めるようになったのも早かったですし、語彙も豊富でよくしゃべるし、IQも高めだったので安心していた部分もありました。ですが、入園式の様子を見て、できることとできないことの凸凹が激しいところがあると痛感しました。早めに医療とつながり、診断名がついたことで、親や本人のわがままではなくできないことがあると学校側に伝えられたことは助かりました。今も息子にはしつこいくらいに予定を伝え、一緒に確認することで、息子が誤解する余地を与えないように気をつけることでパニックを防いでいます。今後、息子には困ったときに「困っています」と自分で言える子になってほしいです。匂いに敏感で通れない場所があったりするのですが、エッセンシャルオイルを持ち歩くことで通ることができるようになりました。こんな風に困ったことがあっても工夫すれば対処できるといった経験を積みながら、自分でどうすればよいかを考えられるようになってほしいです。願わくば、自身の特性に引け目を感じないでのびやかに育ってくれればと思います。イラスト/海乃けだまエピソード参考/いこま(監修:鈴木先生)神経発達症のお子さんは「ちょっと」とか「少し」のような抽象的な表現の理解が苦手です。具体的に30秒とか時計で示すか、砂時計などを利用して視覚的に訴えることが必要となります。早めに診断することで今後の方向性もわかり、前もって対処することも可能になります。世間のASDに対する理解が広まれば、「自分はASDなので〇〇なことは苦手です」とか「具体的に話してください」などと普通に自己紹介できる社会になっていくのではないかと常々思っています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月09日あっという間に6年生つい先日小学校に入学したと思ったら、あっという間に6年生です。大袈裟でも誇張でもありません。「年齢のせいでは……」と思われるかも知れませんが本当です(笑)。時間の流れがとても早いです。なんなら保育園で過ごした5年間のほうが長かったし濃かったような気がします。あっという間ではありましたが、発達障害グレーゾーンの長男は数々のトラブルや葛藤、わずかな成長を一年一年重ねて来ました。修学旅行はついにやって来たビッグイベントという印象です。Upload By 星河ばよ修学旅行の前準備修学旅行の練習として、長男は2回ほど祖母(夫の母)の家に泊まりに行きました。実は長男が2~3歳の頃も、祖母の家に一人で泊まったことがありました。でも寂しくて泣き止まず、とうとう夜中に祖母に連れられて帰って来てしまったのです。そのことがきっかけで「長男は私がそばにいないと眠れないのでは」と、私はずっと思っていました。ところが、修学旅行の練習で泊まりに行ったその日は祖母からも長男からもなんの連絡もなく終わりました。翌日長男は「楽しかった」と言って祖母の車で送ってもらって帰って来ました。私が心配していたことを話すと、「ぼくはもう6年生だぞ」と長男はむくれました。うれしいやらさびしいやらでしたが、私はホッとしました。ちなみに次男は、長男が不在でママを独り占めできたのでうれしそうでした。登校渋りや欠席が多い長男……修学旅行の当日まで心配だったこと修学旅行で何よりも心配だったのは、長男がドタキャンしたらどうしよう、ということでした。長男はその日の給食の献立や時間割によって登校を渋ったり、休みたがります。修学旅行も本当に行くのか、当日ギリギリまで不安でした。Upload By 星河ばよもし修学旅行に行かなかった場合、当日のキャンセル連絡は旅行費用の100%を自己負担……。キャンセル料が頭から離れなかった私は「あのね、こんなこと言って悪いんだけど、修学旅行、もし行けそうになかったら早めに教えてね……」と伝えました。すると長男はなぜそんなことを言うんだろうとでも言いたげにポカンとした顔をするのでした。当の本人は私の心配とは裏腹に、楽しみにしているようでした。修学旅行のカバンやリュックを楽しそうに選び、ワクワクしながら着替えやタオルを荷物に詰めていました。その姿を見て、「修学旅行、行くのかな?」と私が安心しかけると、長男は登校渋りをしたり欠席したり。修学旅行出発3日前、2日前、1日前、と近づくにつれ「本当に行くのかな?」とドキドキの日々でした。キャンセル料ばかり気にしてしまい、私は長男に申し訳ない気持ちでした。とうとう修学旅行当日。長男は早起きをし、朝ごはんを食べ、簡単に荷物の確認をし、早めに集合場所へと向かっていきました。満足そうな顔で帰ってきた長男私は長男が「無事に帰って来ますように」と、ひたすら祈っていました。心配症で(笑)。先生が保護者にアプリを通じて、頻繁に修学旅行の様子や写真を送ってくれたのはありがたかったです。私は長男が宿泊先から家に電話できるように、小銭とテレホンカードと電話番号を書いたメモを渡しておきましたが、電話はありませんでした(長男談「旅館に着いてからも忙しくて電話する暇がなかった。それに誰も電話してなかった」)。解散場所にお迎えに行くと、長男はお友達のとなりで満足そうな顔をしていました。ああ楽しかったんだなと一目で分かり、私は涙が出そうになりました。みんなケガもなく無事に戻ってきてくれて、先生やお友達には感謝の気持ちでいっぱいでした。あらためて、長男は登校渋りや欠席をするけれど、好きな給食や好きな授業、楽しいことが待っている日は行くんだなと思った出来事でした。Upload By 星河ばよ執筆/星河ばよ(監修:初川先生より)長男君が無事に修学旅行に参加できたエピソードをありがとうございます。親元を離れて数日とはいえ集団生活をする。これは親にとっても子にとってもなかなかどきどきするイベントですね。幼少期に親なしで外泊させてみたもののうまくいかなかった歴史をお持ちならなおのことと思います。長男くんが修学旅行を楽しみにできる心持ちと、共に過ごしたくなるようなお友達、先生方がいて本当によかったなと思います。あっという間の小学校生活、入学したと思ったらすぐに高学年で修学旅行や宿泊の移動教室などが来ますね。保護者の立場からすると、子どもたちが子どもたちなりに成長していることを改めて感じさせてくれるイベントだと感じます。もちろんお子さんによっては、そうした非日常が苦手であったり、日帰りならまだしも泊まるとなるとつらく感じてしまったりする子もいます。そうした場合はそうした場合で、行きたい気持ちとあんまり行きたくない気持ちと本人なりに一生懸命考えていることと思います。行くか行かないかも大事ですが、そうして考えることも成長の一つですね。そばで見守る保護者からするとひやひやと心配になりますが、本人たちが納得できる決断をできることが大事だろうと感じます。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年11月09日中1発達障害娘。だんだんと反抗期が激しくなり…広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、中学1年生。小学4年生頃までは、親が寝る時間を決め、守らせていたのですが、反抗期が激しくなり、私の言う通りにしたくないという気持ちが芽生え始め……Upload By SAKURA半年に一回受診している発達外来の先生のアドバイスの元、「自己責任」「自己管理」という方針に変更。寝る時間も自由にしました。夜更かしすると、自分が翌日眠たい、しんどいということも体験させ、自分で寝る時間を調整してもらっていたのですが、中学生になると、部活を始めたことで帰りも遅く、宿題も多くなり……Upload By SAKURA帰宅してからやるべきことを終えた時には、時間はどうしても遅くなっていて、やるべきことをすべてを終えたあとに堪能していた自由時間は、さらに夜遅くなっていきました。寝る時間がこんなに遅くていいのかと、気にはなっていましたが……Upload By SAKURA「自己責任」ということが頭にあったので、自分で体験して、初めて気がつくこともあると思い、最初は口を出さず、様子を見ていました。しかし……寝る時間は「自己責任」にしていたある日…衝撃の事実がUpload By SAKURA特別支援学級の先生からの連絡帳で、授業中に居眠りしていることを知り、私は娘と話をしました。Upload By SAKURA「授業中眠いのは夜更かしをしているから。それなら、早く寝ればいい」と自主的に思ってほしかったのですが、娘は、授業中眠いことと、寝る時間が遅いことが結びついていないようでした。私たちは、娘にいい成績を取れとは思っていません。でも、授業はしっかり起きていてほしい。私は娘に、もう少し寝る時間を早くするように注意し、娘は「分かった」と言いました。しかし次の日も……Upload By SAKURAまた夜更かし。もう一度、注意したのですが……Upload By SAKURA「早く寝なさいって言ったでしょ?」というと、「昨日より15分早いよ?」と反論。私はあくまでも娘の自主性に任せたかったのですが、娘の特性上、抽象的な「もう少し早く」から察することは難しいようでした。ちゃんと、具体的に時間を指定したほうがいいのか……。しかしそうすると、私たちが今取り組んでいる自己責任、自己管理にならない。Upload By SAKURA一時的に寝る時間を指定することを復活させた結果…迷った私たちでしたが、勉強と体調が優先だと感じ、一時的に寝る時間を指定することを復活させ、22時半までに寝るように言いました。Upload By SAKURA寝る時間を指定している間、娘は時間を守り、22時半までにはベッドに入りました。特別支援学級の先生からも「居眠りしなくなり、集中力も上がりました」と報告もありました。Upload By SAKURA安心してまた「自己責任」に戻したのも束の間…これで分かっただろうと、ほっとした私たちはまた娘に任せることにし、自己責任に切り替えました。しかし……Upload By SAKURA娘は、また就寝時間が遅くなり、しばらくするとまた先生から「居眠りしています」と報告がありました。また私たちが指示した方がいいのか……娘に聞いてみると……Upload By SAKURA寝る時間を指定してほしくないというので、再び任せることにしたのですが、結局娘は、寝る時間を早めることはせず、自分の夜の自由時間を優先させていました。確かに自分たちが中学生の頃、夜更かししなかったか、居眠りしていなかったかと聞かれれば、「してない」とは言えません。娘と同じような生活をしていたように思います。しかし娘は、特別支援学級で一対一で数学と国語の授業を受けています。娘が居眠りすれば授業はできなくなり、先生も進められず困ります。みんなと一緒に受けている授業であれば、一人が寝ていても授業は進みますし、寝ていて授業を聞き逃しても、自分が困るだけですが、特別支援学級で受ける授業はそうはいきません。これでは、何のために特別支援学級で個別に授業をしてもらっているか分からなくなります。私たちは娘と何度も話をしました。すると娘はUpload By SAKURA自分の楽しみを優先になり、先のことを予測したり、考えたりすることは、今の娘にはまだ難しいようでした。しかし、難しいからと言ってやらせないのは成長につながりません。私たちがところどころサポートしつつ、徐々に先を想定するということをできるようになるため、続けることはやめてはいけない。今は娘がギリギリまで、自分で考えて動けるか待ち、それでも夜更かししそうになった時は、タイミングを見て声をかけるようにしています。先生から「居眠りが増えた」と報告があるたび、一時的に寝る時間を管理したりしつつ、試行錯誤しながらやっています。Upload By SAKURA執筆/SAKURA(監修:新美先生より)就寝時刻について試行錯誤のエピソードを聞かせていただきありがとうございます。中学生のお子さんの就寝時刻問題、難しいところですよね。主治医の先生のアドバイスにあるように、中学生ですから本来は自己管理、自己責任にしていきたいところです。遅刻しても居眠りしても「自己責任」と言いたいところですが、特性上、遅刻や居眠りをするとどうなるかを適切にとらえて行動を自己管理するというところにつながりにくい場合、本人任せにし過ぎると自立を促しているつもりがただの放置になってしまい、居眠りを怒られても理不尽に感じるだけで得るものがないというか、まだ自己責任をとれるような段階ではないといえることもあります。特性上、時間通りに動くことが難しい、明日の見通しをもって今夜の行動を自己管理することが難しい、この行動をとった場合のリスクやメリットデメリットに気づきにくいといった点を考慮して、本人の意思を尊重しつつも、一定のサポートが必要かもしれません。とはいえ、中学生。保護者が一方的に寝る時間を決めてうるさく言うという年齢ではないので、期間を決めて本人の申し出を試して振り返る、睡眠時間と居眠りの回数を記録して(先生にも協力してもらい)つながりを自覚してもらう、居眠りと成績の関係性について(意欲の項目で減点されるなど)学校の先生から冷静に話してもらう、余暇時間を確保するために宿題量や部活・習い事の回数などの見直しを考えたり、切り替えやすいスケジュールを一緒に考えてみる、アラームを設定したり、本人の希望に応じて声をかけるなど、さまざまな提案、手配、支援のサポートをしていく必要がまだまだあるかもしれません。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年11月08日自動車免許を取りたいASD息子わが家の凸凹きょうだいの兄、タケル(自閉スペクトラム症(ASD)・現在22歳)は、普通自動車運転免許(いわゆる自動車免許)を取得するため、大学3年生の時に自動車教習所に通い始めました。入学のための書類を揃えるところでかなりバタバタしてしまいましたが……。教習のある日は、大学まで教習所のバスが迎えに来てくれることもあり、遅刻もせず安全に通うことができました。Upload By 寺島ヒロ学科教習はちょっと退屈だけど……自動車教習所の授業は「学科教習」と「技能教習」に分かれています。「学科教習」は50分が一コマ、30人ほどの集団で同じ教室で受けるので、まるで小中学校の授業のようです。部屋を暗くしてのビデオ学習の時間も結構あるので、睡魔に襲われたり、飽きてしまったりすることもあったようですが、元々「お勉強」の好きなタケルのことなので、まずまず問題なく過ごせました。技能教習はつまずきの連続……!しかし問題は「技能教習」!ある程度予想はしていましたが、タケルは発達障害の特性から自分の体をスムーズに動かすことが苦手です。素早く必要な動作ができないというわけではないのですが、なんだか動きが「がちゃがちゃ」してしまうのです。そんなタケルを見て、教習所の教官は「慌てるな、無駄な動きをするな」と指導してくれるのですが、慌てているわけではないので直せません。むしろ注意されたことで慌ててしまい、ミスをしたり、道を忘れてしまったりして、路上教習が滞るようなことがありました。また、タケルの場合、将来バギーや軽トラに乗る可能性が高いということで、MT教習を受けていたのですが、半クラッチがうまくできずに悩んだこともあったようです。これは何度かやっているうちに「分かってきた!!」と言いだし、やがてできるようになりましたが、他の生徒さんに比べるとかなり進度は遅かったようです。特性上の大問題!「左はどっちだ?」また、タケルには「右と左がとっさに分からなくなる」という特性があります。少し考える時間があれば大丈夫なのですが、教官に「はい、そこを左!」と指示を受けた時に瞬時に反応できません。「あわあわ」となってポイントを通過してしまうこともしばしばあり、路上教習が中止になった時もありました。Upload By 寺島ヒロとはいえ、左右の判別は気をつければできるようになるというものではありません。技能教習の検定(見極めテスト)に2度落ち、さすがにこの時はタケルも落ち込んでいました。ただ、タケルの場合「右」「左」という教官からの言葉がハンドルを切る方向と紐づいていないだけで、曲がる方向自体は分かっているわけです。そもそも、自分の目的地は分かっているのですから、教官からの「右」「左」の指示を聞く必要はありません。「指示を聞くのは重要じゃない、つまり技能教習の検定にさえ通過してしまえば良いのだ!」と、気がつきました。検定に使う道、全部行く!そこで、私が車にタケルを乗せて、技能教習の検定に使う道を全て連れまわすことにしました。検定に使う道は6通り(逆順を合わせて12通り)あって検定直前にしか分かりません。教官は教習生が目的地までの道を覚えるのが大変だから「次は右へ曲がって」「ここは左へ」と教えてくれているのです。親切心なのです。でも、タケルの記憶力なら検定に使われる12通り全ての道順を完全に覚えることができるはず!そして道を完璧に覚えていれば、指示を聞かずともどちらに曲がるべきか分かるはずなのです!この作戦は当たり、タケルは教習所の卒業検定に無事合格!運転免許試験場での本試験(学科試験のみ)も一発合格しました。イマドキ鬼教官なんていない?教習所では小さなトラブルはありつつも大きな困り事にはぶつからず、少し時間を消費しただけで何とか運転免許を取得できました。おそらくフロアでも教室でもタケルは「がちゃがちゃ」していたはずですが、教習所の方がさりげなくフォローしてくれていたようです。息子によれば「みんな優しいよ?合理的配慮とか意識してるんじゃない?」とのこと。私が教習所に通っていた頃は怖ーい鬼教官もいたものですが、少しずつ時代は変わっているんだなあと思います。執筆/寺島ヒロ(監修:室伏先生より)タケルさんが運転免許を取得するまでの詳細を共有くださり、ありがとうございました。12通りもある道のりを全て完璧に記憶できるなんて、素晴らしい強みですね!運転は右手と左手、さらには足や目を連動させて動かさなくてはなりません。視覚情報や眼球運動、体の姿勢や手足の動きなどの感覚をまとめて処理し、まとまりのある滑らかな運動を行うことを協調運動と言います。自閉スペクトラム症がある方では、協調運動の苦手さを持つ方もいらっしゃり、運転のような瞬時にさまざまな部位を連動させて動かさなくてはならない作業が苦手だなと感じる方も少なくないと思います。もしかしたら、運転に対してハードルが高いと感じていらっしゃる方もいるかもしれませんが、仮に苦手さがあったとしても何度も繰り返し練習することで技術は上達していきますので、焦らずにトライしていただきたいと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年11月07日自閉スペクトラム症の息子、日常生活の中の不器用とはスバルは幼稚園での生活の中で、明らかに飛び抜けて不器用でした。特に道具を使うことが苦手で、筆、はさみ、縄跳び、楽器はもちろん、日常生活の中でも服のボタンやファスナー、お弁当包みなど、あらゆることにサポートが必要でした。この頃インターネットで「発達性協調運動障害(発達性協調運動症/DCD)」という言葉を知り、本を探して読みました。ダンスや縄跳びなどの協調的運動、ボール投げなどの全身運動、ボタンやファスナーなどの微細運動がとても苦手……。読めば読むほどスバルのことが書いてあるようで一人で納得しました。実際に「発達性協調運動障害」と診断されるのはもう少しあとになりますが、私はこの時からスバルには「発達性協調運動障害」があると思って接し、幼稚園にも配慮をお願いしていました。微細運動ではボタン、ファスナー、お弁当包みなどの身の回りのことは小学校入学までにどうにかマスターしましたが、道具の上達は非常にゆっくりです。全身運動ではブランコなどの遊具で遊ぶ姿はそれなりにサマになっていましたが、ダンスや体操は先生の個別指導がつくほど苦手でした。ちなみに両足ジャンプは4歳、片足立ちは7歳、ケンケンは8歳でマスターしたので年齢と比べてかなりゆっくり成長しているように感じています。※編集部注:発達性協調運動障害は現在、「発達性協調運動症」という診断名となっていますが、最新版『DSM-5-TR』以前の診断名である「発達性協調運動障害」といわれることも多くあります。この記事では、一般的にも使われることが多い「発達性協調運動障害」の名称も合わせて使っています。参考:発達障害(はったつしょうがい)|e-ヘルスネットもう一つの困り事年長になり「小学校」が目前に迫ってくる頃、もう一つ気になることがありました。それはひらがなが書けないことです。このくらいの年齢だと書けない子もたくさんいるのですが、「い」「こ」「つ」くらいの簡単な文字なら見本を見ながら書けると思います。でも、スバルにはそれができませんでした。ひらがなに興味がないわけではなく、むしろ文字が好きで1歳半からひらがなを読み始め、2歳の誕生日の頃には十数個、3歳の誕生日の頃にはひらがなの読みはマスターしていました。年長の春にはひらがな、カタカナ、アルファベット、小学1年生程度の漢字は読めるようになっていました。大人向けの自動車雑誌を愛読していたので「輸入車」「燃費」のような車関係の難しい漢字も読めました。しかし「い」と書かれた見本の真横に「い」を書くことができないのです。Upload By 星あかりこの「読み」と「書き」で、できることの大きな開きが私を不安にさせました。スーパー不器用BOYとして小学校入学。特別支援学級へひらがなに関しては入学直前の春休み中、とあるゲームにどハマりし「登場するキャラクターの名前やアイテムの名前をリスト化したい」という欲求が限界まで高まり、ぼんやりとですが模倣できるようになりました。そして読めるか読めないかギリギリラインではあるものの自分の名前が書けるようになりました。この時は綺麗な丸や三角はまだ書けないくらいの不器用さだったので、自分の名前もしっちゃかめっちゃかなラインではあったものの、人類が月に降り立ったレベルの感動でした。数日前の入学前の面談では「まだ自分の名前も書けません」と相談したばかりだったので、まさか入学までに自分の名前が書けるようになるとは思いませんでした。Upload By 星あかりこの時のスバルは、作業療法士さんの検査で「とても不器用」と言われたものの診断は受けていなかったので、学校にどのように配慮をお願いして良いのか少し悩んでいました。しかしスバルの就学先の特別支援学級では、診断名があろうがなかろうが困り事に向き合った配慮をしてもらえました。例えば、文字を書くのが苦手なスバルなら、マスからはみ出ていてもトメやハネがむちゃくちゃでも、丁寧に書いていれば丸をもらえました。そしてスバルの成長レベルに合わせて少しずつ正しい字が書けるように導いてくれました。成長と言っても「読めるか読めないか」から「ギリギリ読める」そして「だいたい読める」レベルのゆっくりとした成長ですが、難しい漢字でも「だいたい読める」字が書けるようになったのは本当にものすごい成長です。さまざまな教科で不器用による困り事がありましたが、先生がいろいろな方法を試してくださったり、私がインターネットで調べた便利グッズを使ってみたり、ときにはスバルから代替案を提案したり、過ごしやすいように工夫していました。それがごく普通に行われる環境でした。さまざまな苦手を抱えたほかのクラスメイトたちも、それぞれが学びやすいように工夫していました。苦手なことに対して配慮してもらえ、自分で提案した工夫が採用されて、クラスメイトもそれぞれ苦手なことを工夫しながら学んでいる環境は、スバルにとってとても過ごしやすそうに感じました。「小学校に入学するまでにひらがなが書けるように」と、気負う必要はなかったなと安堵しました。得意なはずの算数で、まさかのつまずきが……!特別支援学級の中で、得意分野を伸ばしつつ苦手分野を少しずつ底上げしながらのびのびと学んでいたスバルでしたが、特に算数は不器用が影響しないので気に入っているようでした。しかしそんな算数の授業にそれは突然現れたのです。そう、定規です。スバルは定規で直線を引くことが難しかったのです。左手で定規を押さえて右手で線を引くことがなかなかできませんでした。最初は左手で押さえた定規が鉛筆に押されて動いてしまい、まっすぐな線が引けませんでした。そこで左手で定規をしっかり抑えるようにアドバイスすると、マックスパワーの左手で定規を押さえ、同じくマックスパワーの右手で線を引くものだからプリントやノートはビリビリに破けてしまいました。どうやら左手は強く、右手は優しくというような使い分けが難しかったみたいです。これには工夫の達人である先生も悩んでしまいました。結局、裏に滑り止めのついた定規を何本も買い、何度も練習しているうちに「ギリギリ直線……?」が引けるようになりました。スバルはのちに「かけ算よりも直線を引くほうが難しかった」と語っています。そんな苦手だった定規も、いつの間にか使えるようになりました。算数だけでもコンパス、分度器、そろばんと次々と大きな壁が現れますが、アイデアを出し合いながらコツコツと地道に向き合っていると、案外知らぬ間にできるようになっていたりしました。できるようになったと言っても、上手になったわけではないし年相応とは言えないのですが、この日々を通して私とスバルは技術的にも精神的にも苦手との向き合い方を学んでいます。ときにはクラスメイトとの差を目の当たりにし悲しむ日もありますが、アイデアと地道な努力でゆっくりゆっくり進んでいます。執筆/星あかり(監修:初川先生より)スバルくんの著しい不器用さ(発達性協調運動症)に関する育ちと手立ての歴史のシェアをありがとうございます。自閉スペクトラム症、ADHD(注意欠如多動症)、SLD(限局性学習症)の3つの発達障害にくらべると、発達性協調運動症(DCD)は知名度もいまひとつであったり、手立ての方策も詳しい人は詳しいけれど、なかなか詳しい人に出会いづらいという面が残念ながらあります。特別にトレーニングや練習を重ねる方向性ももちろんありますが、日常生活や学校生活の中でできることもあり、そうした面について今回のこちらのコラムでご紹介いただいたように思います。苦手なことを「どうしてできないのだ、練習が足りない!」と無理にやらせてもできるようにはならず、今できることを着実に熟達させていくと共に、少しずつ上手なやり方へと寄せてゆくような関わりが大切です。あかりさんや学校の先生方(スバルくんは自閉症・情緒障害の特別支援学級に在籍されていますね)が一緒に工夫されてきたような、手立て・工夫を施しながら本人の成長を待つ方法、とても素晴らしいと感じました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年11月07日寝つきが悪い、激しい後追い…赤ちゃんの頃から繊細だった長女。初めての育児で悩み続けた日々現在小学6年生のわが家の長女『姉子』は、赤ちゃんの頃からとにかく繊細な子どもでした。一日のなかでも機嫌の良い時間が短く、寝つきも悪い、やっと寝たかと思ってもすぐ起きては泣き、手間暇かけてやっと熟睡に持ち込んでも、“膝のパキ音”だけで完全覚醒するような赤ちゃんでした。私は姉子が初めての育児だったので「赤ちゃんとはこういうものなんだ」と思っており、どうにかご機嫌になってくれないかと日々試行錯誤していました。そして、姉子がハイハイできるようになると、トイレも食事もできないほどに私を追いかけて来て、後追いがかなりひどかったと思います。言葉が出るのも少しゆっくりだったものの、1歳半健診の時には「姉子ちゃーん」の呼びかけに3回に1回くらいの成功率で「はい」と返事ができていました。それでも日常的に機嫌はあまり良くなく、なんで泣いているのか、なにが正解なのか、なにをすれば笑ってくれるのか……。子どもが産まれたら『いいお母さんになりたい』と強く思っていたことも重なって、私は悩み続けていました。Upload By スパ山小学1年生の冬、「発達検査を受けてみては?」と担任から急に言われて2歳3歳と年齢が上がるにつれ、夜泣きや後追いは少しづつ減っていきました。そして姉子が3歳の時に弟が生まれ、年少から幼稚園に通うようになると、「お姉さんになった」という自信をつけたようで、楽しく幼稚園生活を送っていました。年少の途中で夫の仕事の都合で転勤があり引っ越しをしましたが、転園した幼稚園でもすぐに馴染んでいたように見えました。相変わらず言葉はゆっくりだったものの、少しづつ増え、コミュニケーションがとれるようになってからは笑顔になってくれることも多くなりました。私はそんな娘を見て「ひょうきんで明るい子になったなあ」、とうれしく思っていました。しかし、小学校に入学してすぐに行き渋るようになりました。そのため、私がつき添って登校をして、校門まで先生に迎えに来てもらうという形で小学校生活をスタートしました。私は「小学生の頃は、最初はこんなもんだろう」と、のん気に思っていて、その時は何も心配していませんでした。そして小学1年生の冬、個人懇談会で担任の先生から学校での様子を聞いて、本当に姉子のことなのかと私は耳を疑いました。全体指示が伝わりにくい、少しのことで大泣きする、ほとんどのテストが白紙、授業中に教室から飛び出して校舎の外で泣いていたなど……。そして担任の先生から「発達検査(WISC)を受けてみてはどうでしょうか」と言われ、そこで初めて姉子にも発達障害があるのかもしれないと思いました(弟のハジュが既に発達障害の診断を受けていた)。まさに寝耳に水。いや、寝耳に氷水くらいの衝撃でした。正直なところ「あ、この子もか」と目の前が真っ暗になりました。そして同時に、乳児期からの育てにくさを思いだし、何となく腑に落ちる点もありました。すぐに発達支援センターへ相談に行き、2年生になってすぐWISCを受けました。結果はかなり凸凹があり、これまで相当しんどい思いをしてきたのではないかということが分かりました。私は姉子に申し訳ない気持ちでいっぱいで、今まで気づかなかった自分をすごく責めました。そして、わずかにあった母親としての自信のようなものを完全に失ったのでした。Upload By スパ山小学2年生で自閉スペクトラム症と診断。ストレスがかかり、分離不安症と睡眠障害にも……発達検査を受けた翌年、姉子が小学2年生の夏にまた転勤がありました。今度は地方から都心部への引っ越しです。姉子も、都会の小学校に転校したことで環境がガラリと変わりました。姉子は、ストレスからか眠れないことが増え、食事もとれたりとれなかったり……。学校も休みがちになっていきました。そして、引っ越しをしたことで病院も変わり、また一から診察予約をして順番待ちをすることに。発達外来の予約が取れたのは、なんと9ヶ月後でした。その頃には、姉子は小学3年生になっていました。やっと初診の日を迎え、そこからまた検査の予約を取り、2回目のWISCを受けました。やはり凸凹がある結果となり、そこで自閉スペクトラム症と診断されました。さらにコロナ禍で、学校や世の中のただごとではない雰囲気を感じ取った姉子は、登校することはおろか、外出もできなくなりました。姉子はただでさえ小柄なのにどんどん痩せていき、夜泣きをするようになりました。そんな姉につられるようにきょうだいたちも夜泣きをして、寝不足から家族全員が「ここはどこ? 私は誰?」みたいな状態で、ぼんやりした日々を送っていました(当時の記憶があやふやです)。そして、何度目かの通院で姉子は分離不安症と睡眠障害の診断を受け、投薬治療を開始することになりました。医師から診断を受けた時、私の想像をはるかに超えた不安を娘は感じているのだと知り、「この子が消えてしまうのではないか」という気持ちに襲われました。そして、「なんとかして生きてほしい、この子を助けたい」と必死でした。Upload By スパ山小学3年生で再び転勤。3つ目の小学校へ転入そして姉子は、だんだんと回復に向かい、母子登校をしつつ学校にも足が向くようになりました。声をかけてくれるクラスメイトもいて、手を振ったりできるまでになりました。食事や睡眠がとれるようになると、笑顔になることも増え、周囲の協力もあって少しずつ姉子らしさを取り戻していきました。しかし、やっと2つ目の小学校にも慣れてきたタイミングで、またもや夫に転勤辞令が出たのです。姉子は小学3年生で、3つ目の小学校へ転入しました。ここでも母子登校を続けていましたが、やはり環境の変化が与える影響は大きかったようです。すぐ家にこもるようになりました。私は、「前の学校の転入時のようになってはならない!」と思い、SNSやインターネット、役所や病院など……思いつく限りの所で相談をして情報を集めました。そして姉子と一緒に悩みに悩みぬいて、小学4年生に進級するタイミングで特別支援学級へ転籍をしました。小学6年生になった現在は4年生で特別支援学級に転籍した頃は、最初は母子登校から始めました。じっくりゆっくり姉子のペースに合わせて、『焦らずあきらめず、ときどきほんの少し背中を押す』というスタイルで、先生方にも協力していただきました。6年生になった現在では、学校の委員会活動をしたり、下級生の子どもたちの面倒を見たり、私から離れて修学旅行に行ったり(心配で私のほうが一睡もできず(笑))と、姉子の成長に驚きの毎日です。何度もぶつかった大きな壁をぶち破ってはないけれど、その壁に緩やかな階段をつくってみんなでゆっくり乗り越えてきたから今の姉子が笑っているんだなと思います。この個性にあふれる姉子と出会えたこと、どこでもなく、私のもとに生まれてきてくれたことを感謝しています。『いいお母さんとは何なのか』、それは今も分からないのですが、これからも子どもたちの一番の味方でいたいと思っています。Upload By スパ山執筆/スパ山(監修:森先生より)環境の変化には、大人だって戸惑いがあります。スパ山さんのように、役所や病院などで相談をしてできる限りの情報を集め、頼れるところは全て頼る姿勢はとても大切です。ゴールは「学校に行くこと」ではありません。お子さんが笑顔で過ごせるように、お子さんのペースを尊重しながらゆっくり環境に慣れることができるよう、まずは睡眠食事などの生活を整えていくことです。「何度もぶつかった大きな壁をぶち破ってはないけれど、その壁に緩やかな階段をつくってみんなでゆっくり乗り越えてきた」と言える子育て、大変素晴らしいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月06日医師の診断を受けるため、療育医療センターへUpload By プクティわが家の長男は、4歳の時に発達支援センターで知能検査を受け、精神年齢が約2歳遅れていることが分かりました。その際、IQの数値から「療育手帳」を申請することができると案内してもらいました。療育手帳を持っていると、今後いろいろと話がスムーズに進む場合が多いとのことだったので、さっそく申請することにしました。私たちの住んでいる自治体では、療育手帳の申請には「医師の診断書」の提出が必要でした。息子のことを詳しく診てもらいたかったこともあり、すぐに専門病院である療育医療センターに診察の予約をしました。しかし、発達支援センターや療育施設と同様、療育医療センターもとても混んでいるようで、診察の予約が取れたのは、最短で3ヶ月後だったのでした……。3ヶ月待ちの療育医療センター。いよいよ診察開始Upload By プクティ3ヶ月後、待ちに待った診察の日がやってきました。どのような診察が行われるのかドキドキしながら診察室へ……担当してくださったのは男の先生でした。診察室は特に普通の病院とは変わらず、ただ部屋の隅にちょっとした畳のスペースがありました。先生とのお話中、なかなかじっと座れずだらだらしている息子を見かねて、その畳のスペースでお絵描きさせてもらえることに。おかげで、息子はお絵描きに夢中になり大人しくしてくれていたので、私たちは先生とのお話に集中することができました。Upload By プクティ先生とのお話は、事前に記載しておいてほしいと言われていた息子に関する成長の記録と、知能検査の結果を元に進んでいきました。Upload By プクティ先生は非常に慣れているようで、息子の様子を少し見ただけで即座に判断していてすごく説得力がありました……。私たちが心配していた多動も集中力も心配ないとのことで、「好きなことへのめりこむ集中力があるのだから、集中できないことに関してはまだ楽しさを見いだせていないだけ。なので、周りが興味を持てるようサポートしていくことが必要」というお話でした。医師の診断結果は・・・?Upload By プクティそして診察の結果は、IQの低さや息子の様子から、ASDやADHDの疑いもなく、診断を出すとしたら知的発達症(知的障害)に該当するとのことでした。こうして診断名も分かり、診断書もいただき、無事療育手帳の申請をすることができたのでした。執筆/プクティ(監修:新美先生より)診断名決定と療育手帳取得についてのエピソードを聞かせていただきありがとうございます。療育手帳の取得の手順や基準は、都道府県によって若干異なることがあります。プクティさんの地域では、療育手帳取得のために、療育医療センターでの医師の診断が必須なんですね。プクティさんは、診察の日を「待ちに待った」と書いておられますから、息子さんについて有用なアセスメント、診断名が分かることに期待していたのですね。診断名が分かることで、息子さんについての見通しが持てたり、手帳を取得することで受けられる支援の幅が増えるなどメリットがありますよね。診断が出ること自体を不安に思ったり、手帳の取得を迷ったりする方もおられると思いますので、プクティさんのエピソードも一つの参考にしていただければと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月05日老齢の猫がいるわが家。でも自閉症のミミは興味がないようで……わが家には、ペットがたくさんいます。猫が2匹、ヤモリ、カマキリ、クワガタ、カブトムシ……などなど、とてもにぎやかです。なかでも猫は、長男のミミが生まれる前から暮らしています。もう10歳以上と老齢ですが、まだまだ元気でいてくれています。でも、そんなわが家の家族として欠かせない猫に対して、ミミはなかなか興味をもちませんでした。興味がないので可愛がることもなく、(ミミが猫と遊ぶ日はくるのかな?)と私は気になっていました。猫に「あっち行け!」やつあたりをしてしまうミミUpload By taekoミミが3歳になった頃からでしょうか、猫に少しずつ興味を持ち始めてくれました。ですが、「興味を持つ=ちょっかいを出す」になってしまい、猫が嫌がっていてもミミはお構いなし。追いかけたり、さわりに行ってしまいます。また、ミミは自分の機嫌が悪いとき寄ってきた猫に「あっち行け!こっち来るな!」と八つ当たりしてしまって……。一方、猫もやられっぱなしではありません。猫がミミを引っかいたり噛みついたり反撃することもあり、ミミは傷だらけに。ちょっかいを出さないように言っても、忘れてしまうのか1週間ほどするとまたちょっかいを出してしまうミミ。一時的に猫の隔離も試したのですが、わが家は狭いマンションなので完全な隔離はできませんでした。私は、ミミが猫に暴言を言う度に「猫は良いこととか悪いこととか、どんなことを言っているのかとかちゃんと分かってるんだよ。ミミの言葉は猫に伝わっているんだよ」と話し続けました。おやつやりで仲良くなったかと思いきや……そんな関係が長く続きましたが、ミミが小学3年生になってすぐのことです。テレビのCMを見て「猫におやつをあげてみたい」と言うミミ。これは仲良くなるチャンスだと思いミミに猫のおやつを渡すと、猫はミミがあげたおやつをペロリとあっという間に完食!これが新鮮だったのでしょう。翌日もミミはおやつをやりたがったため、猫に「おやつだよ」と声をかけてもらったところ、猫は「にゃ~」とミミにすり寄ってきてくれました。これを見たミミは「かわいい~」と大喜び。この光景には私もかわいいと感動!それからはいつも決まった時間にミミが猫のおやつを用意することになりました。ですが、このおやつの習慣が1ヶ月くらい経った頃から、ミミがうっかりしておやつを与え忘れることが増えました。また相変わらず猫が嫌がることをやったり、暴言を吐いたり……。そんなミミの様子を目撃したパパから「もう猫に近づくな!」と叱られて、ミミはおやつ係を返上することになってしまいました。Upload By taeko3年生後半になって訪れたミミと猫の転機そしてミミが3年生後半になったある日のことです。ミミの歯磨きをしていると猫が近づいてきました。私は猫のしっぽの付け根あたりを軽くトントンと叩きました(こうすると猫がとっても喜びます)。すると、歯磨き中のミミの顔に猫のもふもふのシッポが触れ、ミミは「気持ちいい~」とニコニコ。ほほえましく見ていたのですが、この日の翌日から歯磨きをする度に猫が来るようになり、猫のしっぽがミミを撫でて……。これがミミにとって歯磨きが楽しみになるきっかけになってくれました。Upload By taekoこの時間がきっかけで、ミミと猫の関係は少しずつ改善していきました。ミミは猫にちょっかいを出さなくなり、4年生になった今は猫をとっても可愛がるようになりました。ミミは、少しずつですが猫の様子を気にしてくれるようになりました。猫が窓の近くに居たら「開けてあげるね」とカーテンを開け外が見えるようにしたり、餌の時間になると餌をくれるパパの近くに来て甘えた声で鳴く猫を見て「ご飯が欲しいんだね」と声をかけたり、寒い季節に猫が布団に入って足元で丸まると、「寒いもんね。お布団の中だと温かいね」ととっても喜ぶようになりました。ただ、猫トイレに排泄物があると、ミミは排泄物が見えるのがイヤなので「片して」と言ってきます。まだ自分で片づけるということは難しいようです。私は「ミミがやってくれても良いんだよ~。ペットを飼うときはトイレのお世話もしてあげるんだよ」と伝えつつ片づけています。学校での疲れを癒してくれる欠かせない存在にUpload By taeko今のミミは「学校なんて壊してやる!」と言いながらもなんとか登校している状態です。1日学校で頑張って帰宅したミミは、一番に猫の元へ行き猫撫で声でほっぺをすりすり……。猫が嫌がる時は「ごめんね」と言って優しく謝ります。いつの間にか、ミミにとって猫は癒しの存在になりました。数年間は猫への対応にヒヤヒヤしましたが、弟のふーにも、猫を大事にするよう教えてくれるミミの姿に成長を感じて一安心です。放課後等デイサービスがある日は学校で6時間授業をして帰宅した後、休む時間も短い中すぐにデイサービスに向かうため行き渋りがあるミミ。でも猫を撫でて元気をもらって登室する様子を見て、ミミにとって猫は本当に本当に大事な家族なんだなとしみじみと思っています。執筆/taeko(監修:森先生より)ペットの気持ちを理解するということは、自分と異なる感じ方をする存在を受け入れるということ。自閉症のある方の特性として、他者の感じ方が理解しづらい傾向があります。人間同士では、姿形が似ているために、かえって違いがあることを受け入れにくいこともありえます。同じ人間だから「気持ちをわかってくれて当然」と考えてしまい、「なんでわかってくれないんだ!」という苛立ちをおぼえることもありえますが、動物であれば「自分と感じ方が違って当然」と思えるでしょう。ペットと仲良くなるためにペットの感じ方を理解しようとすることは、社会での他者の感じ方を考えたり、関係性を築くための良い訓練となるでしょう。ペットとの触れ合いはそれ自体が癒しになって心の安定につながりますし、人とのコミュニケーションにも役に立つはずですよ。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年11月04日3歳半の時に、知的障害のない自閉スペクトラム症と診断された息子Upload By みかみかん初めまして。みかみかんです。わが家は4歳のたーちゃんと夫と私の3人暮らしです。たーちゃんは3歳半の時に、知的障害のない自閉スペクトラム症と診断されました。赤ちゃんの頃から気になる点があり、1歳半頃までは私1人で悶々と悩んでいました。2歳からは市の親子教室に通い、続いて民間の療育にも通い始めました。今思えば、早めに外部に相談して療育に繋がれて良かったと思っています。今回は、たーちゃんにはこんな特性があるということを紹介させてください。こんな子いるよね!自分の子どもにも似ているところがある!と身近に感じていただけたらうれしいです。感覚過敏で身に着けられないもの多数!Upload By みかみかんたーちゃんは、素材によって身につけられない服があります。喜ぶと思って買った服を、一度もまともに着られずに終わったことも何回もあります。この特性に気づいてからは、苦手な素材を避けて買うことができるようになりました。帽子を身に着けることも苦手です。サンサンと日光がふりそそぐ公園で、一人だけ帽子を被らないたーちゃん。「被らせたくても被ってくれないんです!」と心の中で唱えていても、他人からの目が気になって仕方がなかったです。コロナ禍でのマスクの練習や、幼稚園の園帽を被る練習も頑張りました。今思えば、私が必死になって頑張らせすぎていたところもあり、反省しています。「身に着けられない物がある」それだけで、当時は落ち込んだり悩んだりして滅入っていました。切り替えが苦手で癇癪!親子共につらい時間に…Upload By みかみかんたーちゃんは公園から帰る時、車から降りた後、玄関についた時、お風呂に入る前、などが荒れやすいです。ほかの多くのお子さんも、楽しいことをやめることは嫌がるかもしれません。しかしたーちゃんの場合は、その癇癪の時間の長さと激しさがお互いにつらすぎて、私の心が折れてしまいそうでした。私が説明をしても余計な刺激になるようで、さらに混乱させてしまいます。最近は、しばらく一人で放っておかれると心の整理ができるようで、お互いに程よい距離感で見守っています。地面に転がる姿にも慣れました。ほかにも、「やめて」と言われてもやめられないこともあります。たとえばたーちゃんが私を叩いたとき「やめて」と言っても、やめられないのです。危険な遊びをやめられなかったり、迷惑になることをやめられなかったりして困ることも多々あります。自分のやりたいことを優先しすぎるあまり、ほかのことに目を向けられないのかなと思います。とにかく落ち着きがない!Upload By みかみかん2歳から通っていた市の親子教室では、椅子に座ることがずっとできませんでした。支援員さんの言う通りに、後ろから腕をシートベルトのようにまわしてガッチリ固定していました。順番を待つことも苦手です。お友達の番でも、やりたい気持ちが強すぎて体が動いてしまいます。動けないように私がたーちゃんをホールドして待っていました。力が強いのと瞬発力があるので大変でした。満3歳児クラス(4年保育)でのエピソードもひとつ。幼稚園に通い始めてすぐの頃、教室の外の廊下に飛び出してしまうことがありました。先生が追いかけると、それがうれしくてさらに速く遠くに逃げていって追いかけっこになってしまったそうです。そこで、その後にたーちゃんが廊下に飛び出しても試しに放っておいたそうです。しばらくすると、ニコニコ笑顔で教室にちゃんと戻ってきたらしいのです。たーちゃんらしいなと思いつつ、先生の寛大な対応に感謝しました(体を動かすことが大好きなおかげか、運動はとても得意です。教えてもいないのに、でんぐり返しや側転や壁倒立をしています)。ほかにも、不安感が強い、表情を読み取るのが苦手などの特性がいろいろあります。毎日が試行錯誤の日々で悩むこともありますが、たくさんの人に支えられながら楽しく暮らしています。発達について悩んでいる保護者の方々に、一人じゃないよと寄り添えるような記事を書いていきたいです。執筆/みかみかん(監修:室伏先生より)たーちゃんの特性と、お母様の努力の日々を共有してくださり、ありがとうございます。みかみかんさんが共有してくださった素直なお気持ちに、励まされたり、一人じゃないんだとほっとされたりする親御さんがたくさんいらっしゃることと思います。みかみかんさんの次の記事を、私も楽しみにしています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年11月04日特に苦手なのが、作文自閉スペクトラム症の太郎は、勉学で特に苦手としているものがある。それは作文だ。小学生の頃から中学生になった今でも、先生に手助けをしてもらわないと作文を仕上げることができない。具体的には、先生に例文を挙げてもらい太郎が考えてみるのだが、結局ほぼ例文と同じような文章に仕上がっていることが多いようだ。作文は自分の気持ちを整理して文章に表す。太郎にとって、これは超高度な作業だ。自分が何を感じたか、今自分がどういう心境なのか、自身を見つめることを不得意とする太郎なのだ。Upload By まゆん言語化がスムーズな時と難しい時しかし、言語化することがまったくできないというわけではない。時と場合によって、太郎もすらすらと言語化することができる。気持ちを伝えることもできる。たとえば家庭内では日常のコミュニケーションに困難さはない。「今日のシチューおいしいね!誰がつくったの?」「星三つやね!」と流暢に気持ちを言葉にする。Upload By まゆんしかし、そのシチューを皿ごとひっくり返してしまった時。こぼれたシチューを前に、太郎は固まって動けなくなってしまう。こうしたイレギュラーな出来事が起こった時に太郎の特性はハッキリと見えてくる。「どうしよう!こぼしてしまった!」「おいしいシチューがなくなった!」「つくってもらったのに!」など考えているに違いない(これは憶測)。その後、しばらくすると声をあげずにその場をウロウロと回り出す場合と、そのまま微動だにしなくなる場合がある。完全に固まってしまうのは、慣れない環境で多く見られる傾向にある。Upload By まゆん社会科見学のことを3年後に…?小学4年生の行事で社会科見学があり、感想を作文にする課題が出た。その時も、太郎は感想が出てこないため作成にずいぶん苦労したと先生から聞いた。その社会科見学から3年後、社会科見学を行った工場の前をプライベートでたまたま通った。すると太郎がその時のことを自ら話し出した。「ここは小学4年の時に学校のみんなと来たところで……」と、見学したその日のことを詳しく話し続けた。感想ではなく、事実を話していた。Upload By まゆん当時は、「社会科見学どうだった?」「何を見て来た?」といった質問をしても、「覚えていない」「分からない」と答えていた太郎。3年後に急に話し出す様子を見て、不思議だなあと感じ印象に残っている。緘黙になる太郎を見ていると太郎が3年後に言葉にしたことを、文章に表せるかといったらあやしいところです。いまだに放課後等デイサービスの先生がつきっきりで作文作成を手伝ってくださっているからです。社会科見学のことだけでなく、日常の中で何年も前の出来事をつい最近のことのように話し出すことが時々あります。太郎には頭の中にはたくさんの気持ちや感覚が記憶されているんだろうと思っています。言語化につまっている太郎に歯がゆさを感じることも以前は多々ありました。それは言語化につまるだけではなく癇癪も伴っている時期でした。太郎の癇癪がおさまってきた頃にはある程度の「YES」「NO」のやり取りができていたので、私も落ち着いて接することができるようになりました。緘黙になる太郎を見ていると胸がつまることもありますが、「今の太郎はどういう状況なのだろう」と私が見守ることで、太郎の気持ちも変わってくるのではないかと思い、客観的に太郎と自分の状況を見るように心がけています。執筆/まゆん(監修:森先生より)発達障害のある方の中には、頭の中での情報が多すぎて処理に時間がかかり、周りから見るとフリーズしているように見えることがあります。本人の中である程度パターン化して蓄積されているケースでは問題がなくても、「こぼしてしまった時」など、あまり経験がないアクシデントに遭遇するとパターン化されていないために情報処理に時間がかかってしまいます。さて、その意味で、作文はかなり複雑な課題となります。基本的には初めての経験に対して、まず事実関係を本人の中で整理して、その中で書くべきことを選別しないといけません。そしてその事実に対しての感想を書くわけですが、「作文向き」でないといけないわけです。たとえば学校行事で工場見学に行った場合、本人としては「〇〇線の電車に初めて乗った、電車内のこんな出来事が印象に残った」「工場の案内をしてくれた人の口癖がこんなふうで面白かった」など、実際には大量の事実と感想があるわけです。しかし、作文として提出するには、その中から先生の期待する事実と感想を選び出して「工場見学の感想文」らしく仕上げないといけません。これは、特に発達障害のある子どもにとっては重い作業です。たとえ感想を述べることが苦手であっても、本人の中ではしっかりと記憶に残っていて、多くのことを感じているので、安心して見守りましょう。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年11月03日水ソムリエと化した息子ですUpload By 丸山さとこある日、学校から帰ってきた中学生の息子のコウが「学校の水は、飲む場所によって味が全然違う」と言い出しました。「そんなに違うの?」と聞くと、「お母さんも一度飲んだら分かるよ」とうなずきつつ、さらに詳しく説明してくれました。「1階の水が冷たくておいしい。特に北校舎前の水道水は日陰にあるから、一番水が冷たくておいしい。においもあまり感じない。3階の水はねー、ぬるくてまずい。サビのにおいを感じるような気がする」Upload By 丸山さとここのように水場ごとの味の違いをとくとくと語るコウを面白く思いながら、私は「あぁ、よかった。コウは学校で水を飲んでいるのだな」と胸をなで下ろしました。なぜなら、神経発達症(発達障害)の感覚鈍麻によるものなのか、コウは小さな頃から喉の渇きを自覚しにくい傾向があったからです。水分をとらない息子と、熱中症の危険性にハラハラする私ADHDの特性からか何かと忘れ物が多いコウですが、その中でも特に心配になる忘れ物が水筒です。体操服であれば学校から借りたり授業を見学したりして対応することが可能ですし、箸やマスクは予備を持つことができます。宿題を忘れても授業を受けることはできます。ですが、水筒の忘れ物は健康面への影響があるため、「何とかなるだろう」で済ませることはできません。家庭でできる対策として、水筒を3本用意しつつペットボトル飲料を常備するようにしています。Upload By 丸山さとここのようにさまざまな工夫をしてコウに水分を持たせるようにしても、ほとんど飲まないまま帰って来ることはよくありました。コウも知識としては水分摂取の大切さや熱中症の危険性を理解しているのですが、「喉が渇かない」という体感のほうを優先してしまうため、なかなか水分をとることが身につかない状態でした。Upload By 丸山さとこそんなコウでしたが、8月に入り暑さが本格的になると少しずつ水を飲むようになり、「見て、水筒がほぼ空だよ!」と自慢する日も出てくるようになってきました。「あまり熱心に褒めると『褒められるために水を捨ててから帰る』などのつじつま合わせをしかねないな」と考えた私は、極力大きく褒めないよう心がけることにしました。その上で、「へ~、コウが水筒を空にするくらい、今日は暑かったんだねぇ!」などの感想を伝えるようにしました。そのかいあってか、たまたまそういう時期だったのか、コウは今年の夏から少しずつ水を飲むようになっていきました。自分で考えて対処したコウに、少しホッとしましたこうして水を飲めるようになったはずのコウでしたが、学校での生活は私には見えないため、本当に水を飲んでいるのか今までは分かりませんでした。だからこそ、「学校の水は、飲む場所によって味が全然違う」というコウの発言にはリアリティを感じてうれしく思いました。また、水筒を忘れた・中身を飲み切ったという状況に対してコウが『美味しい水場を探す』という一工夫を入れたことには、「小さなピンチがあっても楽しみながら対処している様子が見えるようだ」と感じて少しホッとする気持ちになりました。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:藤井先生より)暑くても水分摂取をしないという相談はときどき伺います。ご自身の体調の変化に気づきにくいお子さんもいるので、喉が渇いたらよりは、休み時間に一口飲むなど、具体的に飲んだほうが良い時間を提示して対応する場合もあります。コウさんは、少しずつ水筒のお水を口にすることができるようになり、水筒を忘れたときには、学校の水道水でも対応ができるようになっていたのですね。水ソムリエと化したエピソードから、小さなピンチに対処できるようになったと成長を見つけたさとこさんの、見守り方も素敵です。コラムを読ませていただきありがとうございました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月02日発達障害のある次男の中学校生活がいよいよスタート!Upload By スガカズ発達障害(ADHD、LD)のある次男はこの春から中学校の通常学級に通っています。希望していた週一回の特別支援教室(通級指導教室)にも無事に通えることになりました。次男は昔から、環境の変化が苦手です。環境の変化があるときに対人関係のトラブルが起こりやすくなります。小学校に入学してからは大人(今回の場合は学校の先生など)とのトラブルが大半で、小学校低学年の頃はかんしゃく(暴言、物にあたる)や脱走がときどきありました。そのため、「次男の特性をあらかじめ知ってもらっていたほうがトラブルを未然に防げる」と思い、次男の特性などを中学校に事前に共有しています。学校生活スタート。本人の気持ちは……?次男は小6の秋におこなった、特別支援教室(通級指導教室)の体験での自己紹介で「中学校に入ったら怒るのをなおしたい」と言っていたり、入学直前には「中学校に入ったら新しい友達をつくる」「どんな学校なのか楽しみ」と話していました。小学校卒業前から本人の情緒は比較的安定していて、中学校に通ってからも不安定になることはありませんでした。知らない人も多く小学校とは違った環境でしたが、よい緊張感をもって中学校に通い始めました。入学から1ヶ月ほど経つと、クラスにも徐々になじめるようになり、新しい友達も増えました。また、クラス担任は次男との関わり方が上手く、次男自身も担任を好意的に思っているようで、大きなトラブルもなく毎日学校に通うことができています。Upload By スガカズただ、昔から朝は苦手で、緊張感がなくなった現在は、遅刻が目立つようになりましたが……。部活動はソフトテニス部に入部しました。体を動かすことは昔から得意だったので、テニスは未経験でしたが、どんどんできることが増えていきました。週5日の練習や、休日の試合など熱心に活動しています(平日の朝は遅刻が目立ちますが試合の朝は不思議と遅刻しません)。一度だけ、体育の先生と意思の疎通がうまくいかず、泣いて授業を抜け出したことがありましたが、その際には担任が次男に事情を聞き、学校で話し合って解決することができました。授業は前向きに参加しており、小学校の頃と比べると大きな成長を感じています。初めての定期テストと、課題提出7月、次男にとって人生で初めての定期テストがありました。次男は書字障害があり、文字を書くことが困難なため、書字を含めた勉強が苦手です。ただ、小6の頃から毎月療育に通っており、そのお陰で、文字を書く困難さは改善されました。小学校の頃はノートが真っ白だったのですが、中学校では、困難さを抱えつつも努力して書こうとしているようです。次男の中学校は、普段は課題が出ないのですが、定期テストの日に、課題の提出を求められます。小学校に通っていた時は、宿題の内容を担任の先生と話し合って調整してもらっていました。ですが、中学校では課題の範囲が学年で決まっており、次男だけ調整することは難しいということでした。また、この時期の子どもは友達との時間を優先しがちなので、本人が家にいない時間が増えました。そのため、課題に取り組める時間の確保が難しかったです。Upload By スガカズ【1週間の間にこなす課題】・国語漢字20ページ・数学50ページ・英語20ページ全ての問題を解いて丸つけ間違ったところはノートにやり直して提出結局、締め切りが1週間という限られた時間で次男が課題をこなすことはできませんでした。数学、英語はなんとか提出できましたが、国語の課題は手をつけられなかったので、未提出です。また、テストに向けた復習をする時間はまったくありませんでした。そもそも私は「次男は中学校でテストを受けてくれるのだろうか?」といった疑問がありました。中学校のテストは小学校の時よりも長時間の集中力や、見通しが求められます。もともと小学校でのテストが、書字の困難さを含めさまざまな理由から、白紙のままで0点で返ってくることも珍しくなかったのです。そのため、数日間、みんなと同じようにテストを受け続けることは難しいのでは?と、私は思っていました。Upload By スガカズ期末テストは3日間あったのですが、本人は3日間乗り越えることができました。国語は白紙に近い状態でしたが、受けてくれただけで、十分だと思いました。はじめての定期テストを終えて気付いたこと・漢字にルビがふられていた→ルビふりのお願いはしていませんでしたが、学校側で学習障害(LD)の生徒向けの対応をしてくれていました。・テスト時間の延長は個別で対応ができる→後日、テスト結果を持参して療育に相談しに行った際に、テスト時間の延長ができるかもしれないという話になりました。実際に学校に質問したところ、別室に移動して受けることができるということでした。今のところ本人の当日の意向から、延長の対応はしないでテストを受けています。・プリントをホチキス留めしてプリントの順番がバラバラにならないようにする。→国語のプリントが右とじのスクラム製本だった(ホチキス留めされていなかった)。テスト中にプリントを落としてしまい、順番が分からなくなったので、問題の意味が理解できなかったから白紙に近かったのだそう。学校には、ホチキスを持参する旨を共有した。ホチキス留めをしただけで2学期の国語の中間テストは解いた問題の数が増えた。初めての課題提出で気づいたこと・課題の範囲は先に知ることはできないが、どのワークを使うのかは分かったので、得意な教科は、時間がある時に少しずつ進められるとよい→とは言っても次男の特性から、声かけが重要ですが、「先生から言われてないからやらなくてもよい」と自己判断する場面があったので、先生から「中学生は自主的にやらないといけない」と次男に伝えてもらいました。Upload By スガカズ本当によかったと思うことは、「クラス担任との相性がよい」ということです。次男が通うソフトテニス部の顧問をしているので、テスト後の部活に参加する条件が「数学の提出を完了させること」だったそうです。好意をもっている先生に言われてしまったこと、部活に早く参加したい気持ちが、本人を動かしているんだろうと思います。テストの結果にはあまりこだわりませんが、提出できる課題を少しずつ増やせればいいなと思います。執筆/スガカズ(監修:井上先生より)中学生活で初めての定期テスト、親御さんもお子さんもかなり不安だったと思います。スガカズさんも触れておられましたが、書字障害や感覚過敏など医師や専門機関の診断、所見や意見書があれば、話し合いによって解答欄の拡大や別室受検など症状に応じた合理的配慮が可能になる場合があります。また、提出物に関しても手書きではなく、パソコンやタブレット端末の活用で代替するなども考慮されるかもしれません。合理的配慮の際には、実施前に本人が納得すること、実施したあとに本人の意見を取り入れながら改善していくことが大切です。周囲の生徒と異なる支援を受けることが本人の心理的な不安につながる場合もありますので、お子さんの思いを尊重しながら本人のペースで進めていかれるとよいと思います。スガカズさんも書いておられるように教師との信頼関係も何より大切ですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年11月01日空気が読めず話が飛んでしまう、マシンガントークなのにガールズトークは苦手わが家は母である私・ワッシーナを筆頭に、家族全員が個性いろいろな発達凸凹タイプです。それぞれの特性をキャラクター化しており、動物の顔をしています。私はワシのキャラクターで、よく話が飛んでしまう特性を表現しています。私は14年前、子どもたちが専門家から発達凸凹ではと告知されたことがきっかけで、自身の特性に気づき、工夫をしてきました。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ天真爛漫な父親との想像遊びの日々。海外でのびのびと育った幼児期Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ私が3歳の時に父親のハワイ大学院への留学が決まり、両親と妹と私の家族4人で現地に移住しました。ハワイでは学生の父が主に子守を担ってくれました。母は外で働いていたのでかかわりが薄かったようです。私の父は子どもをそのまま大人にしたようなタイプで、多動・多弁・多飲・多食でした。父は私たちとよく遊んでくれましたが、遊ぶことにも没頭するタイプだったので、父親というより遊び仲間のような感覚で一緒に過ごしていました。ある日のことです。私は、家や公園でばかり遊ぶ父に「映画を観に行きたい」とおねだりをしました。すると父は「OK!映画館をつくってあげよう」と言いました。私とまだ幼い妹が見ていると、父はおもむろにゴザを取り出しテレビの周りを囲みました。「さぁ、ワッシーナ、来てごらん、映画館だよ」とうれしそうに言います。3歳の私は、これは何だろうと不思議に思いつつ、ゴザの囲みの中に入りました。ゴザの中は暗くて、少しだけ映画館みたいな気分になりました。父はテレビの見慣れた天気予報やニュースに、いちいち感激して喜び、その内容をおもしろおかしくオーバーに説明してくれるので、私と妹はすっかり夢中になってしまいました。オーバーに褒めてチャレンジすることを励ますクラスの雰囲気に個性が輝き出すUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイしばらくしてハワイの生活に慣れると、私は現地の幼稚園に通いました。ある日、幼稚園で先生が子どもたちに「片手で上着のボタンを締められる人はいるかな?」と呼びかけました。すると子どもたちは、ものすごい勢いで「ハイ!ハイ!ハイ!」と手をあげて前に出ていきます。どの子どももみんな堂々としていて、自信満々です。ところが、いざボタン締めをやろうとすると、ほとんどの子どもはボタン締めができません。でも先生は「よくチャレンジしたね!」と、子どもたちの行動をオーバーに褒めました。私はその頃、片手でボタン締めができるかどうか分かりませんでしたが、先生からの2回目の呼びかけの時はすぐさま手をあげてチャレンジし、成功することができました。ハワイの幼稚園では、先生たちが元気にオーバーに励ましてくれるので毎日が楽しくてたまらず、私は自分らしさを全開にして楽しんでいました。私のようなタイプには、オーバーすぎるほどの表現がちょうどいい感じだったのです。私のこの時の充実した幼児体験は、4人の子どもたち全員をインターナショナルスクールに通わせる原動力となりました。帰国後、父親を失い、環境の激変に口が利けなくなり周囲から心配されるUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイハワイでのびのびと過ごしていた私ですが、そんな状況が一変する出来事がありました。父が急に体調を崩し、家族みんなで帰国することになったのです。しかし、帰国しても父の病状は回復せず、しばらくして亡くなりました。父が亡くなったあと、私は地元の小学校に通い始めましたが、あまりに急激な環境の変化に、どうしても馴染めませんでした。授業では元気よく質問する子どもや失敗する子どもなどおらず、みんな同じように行動するように指導され、とても戸惑いました。私は入学してからひと言も口を利くことができず、先生やクラスメイトたちから話しかけられても言葉を発することができませんでした。その頃は、休み時間になると誰もいない静かな校舎の裏で、一人でじっと座って過ごすことで、すり減った心を充電していました。自宅に帰ると会話をすることができるのですが、どうしても学校で口を利くことができませんでした。母や周りの大人は、そんな私を見て、とても心配していたようです。ある学年末の最終日のことです。ホームルームの時間に担任の先生が、結婚のため学校を辞めてハワイに移住することになったということで、クラスのみんなに別れの挨拶をしました。ホームルームが終わると、私は先生のところに走っていって、話しかけました。家族で買い物をしたハワイのカラカウア通り、父と遊んだ太陽がいっぱいのワイキキビーチなどを夢中で話しました。私は、ハワイに移住する先生に対して、まるで仲間を見つけたような親近感を覚えたのです。これまでひと言も口を利かず、障害があるのではないかと私のことを案じていた先生は、いきなり雄弁になった私を見て、ものすごく驚いたようです。後日、先生は「初めてワッシーナさんの声を聞きました」と、私の母にその時の様子を語ってくれたそうです。私はこのことをきっかけに、少しずつ学校でも口が利けるようになりましたが、あまり会話ができない傾向は小学校の高学年まで続きました。感覚の過敏や独特の表現が誤解され、厳しくしつけられるUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ帰国して再び沖縄で暮らすようになって、私の目の前にいきなり母が登場しました。私を産んだ実の母ですから、ずっと一緒だったはずですが、私の視界には父しかおらず、母は存在していませんでした。母は父とまるっきり異なるタイプでした。一緒に公園へ遊びに行っても、すべり台やブランコで遊ぶのは私一人で、母は離れたところでじっと見ているだけでした。父と一緒に想像遊びをすることに慣れていた私は、母の味気ない対応にものすごく失望しました。母はしつけが厳しく教育熱心で、私の感覚過敏などの特性を受け入れてくれなかったので、ことあるごとに母と衝突を繰り返していました。ある日、母がおろしたての化繊の肌着を着せてくれました。ところが私は化繊独特の匂いと肌触りに悪寒が走りました。すぐさま肌着を脱ぐと床に叩きつけました。「宇宙人に侵略される匂いだ!」と、私は叫んだのです。母は私の言うことが理解できず、わがままだと誤解して、厳しく叱りました。その後、私は思春期を迎えましたが、クラスメイトとガールズトークができなくて、よくトイレに逃げこんでいました。高校では担任教師の無理解からいじめを受け、一年間、不登校になりました。ほかの先生方の好意でレポート課題の提出で成績評価してもらい、なんとか卒業することができました。結婚後は、子どもたちの学校でのトラブルをきっかけに、子どもたちが専門家から発達の偏りを指摘されました。その後、発達凸凹当事者の家族として、療育施設でさまざまなトレーニングを受けました。そのトレーニングを通して、私自身も当事者だと気づき、やっと安心して自分らしく生きられるようになりました。今は、家族で日々楽しみつつ、工夫をしています。工夫は重ねるほど発見が増えて楽しくなるので、家族に喜びがあふれるようになりました。執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(監修:室伏先生より)ワッシーナさん、ご自身のご経験をお話しくださり、ありがとうございました。ワッシーナさんは、お父様を亡くされるという大きな苦しみや悲しみに加えて、周囲の理解をなかなか得られずにさまざまなご苦労をされ、それらを乗り越えていらっしゃったのですね。特性による困難さというのは、実際に経験していなければ、想像はできても理解したり共感したりということが難しいこともあります。ワッシーナさんは、ご家族の最大の理解者であり、お子様にとって、そのようなお母様がいらっしゃることは最大の強みの一つだと思います。これからも、困難に負けず、喜びと笑顔のあふれるお時間を過ごしてほしいなと、私も応援しております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年11月01日神奈川県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報とことこの発達支援プログラムは、個別支援・運動支援・集団支援をバランスよく取り入れています。一人ひとりの個性に合わせた個別支援計画を作成し、それぞれの「個」の力を伸ばしていけるようサポート。また、とことこ戸塚第2教室は、児童発達支援と放課後等デイサービス、どちらも運営しているため、幼少期から成長期にわたり一貫性のある支援を受け続けることができます。お子さんにとって楽しい場所であると共に、ご家族にとっても頼ることができる場、ほっと一息つける場であることを目指しています。小さな「できた!」が大きな光に変わる。ステラファミリアでは、お子さん一人ひとりの個性に合わせた個別支援や集団支援を行い、成長をサポートしています。小さなことからできることを増やし、お子さんの自信や自立につなげるお手伝いをしています。また、発達支援はもちろんのこと、将来に対する保護者の不安にも寄り添っています。お子さんの大切な人生において、一生を共に過ごせるように信頼関係を築き、「つながっている」という安心感を与えられるように心がけています。事業所は宿河原駅から徒歩5分、送迎も行っています。詳しい活動内容はブログにて発信中です。Upload By 発達ナビ施設情報神奈川県の放課後等デイサービスをもっと見る神奈川県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報とことこは、お子さん一人ひとりの発達課題に合わせた支援を大切にしています。お子さんたちの年齢が同じであっても、個性や発達段階は千差万別。とことこでは、専門スタッフが丁寧なアセスメントを行い、ぬくもりある支援を提供しています。生活能力や社会性を身に付け、経験と自信、そして、自分自身も相手も大切にできる「心」の成長もサポートしています。また、児童発達支援と放課後等デイサービスを行っているため、幼少期から児童期、青年期にかけて一貫性のある発達支援を受けることができます。就学準備のサポートもあるので、気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか。神奈川県の児童発達支援をもっと見る大阪府放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報ジョイランド本店では、お子さんが学校や社会で過ごすために必要なスキルを獲得するため、あいさつや身の回りの動作にも全力でサポートしています。また、お友達との関わり方、適切な距離の保ち方、気持ちの切り替え方法、教科書の理解やノートの整え方など、さまざまな課題や悩みに対応できるよう、スタッフが支援内容を日常的に見直し、準備を進めています。専門的な資格と幅広いスキルを持つスタッフが、お子さんと保護者の方々に寄り添ったサポートを提供しています。随時、見学や体験ができる機会も設けられているので、気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビ施設情報放課後デイサービスくるみは、2023年8月1日にオープンした施設です。個別支援では、お子さんや保護者の方との対話を大切にし、お子さん一人ひとりの成長に合わせ「楽しい!」と思えることを第一に、「できた!」と達成感を増やす活動を組み立てて支援を行っています。また、集団での遊びや活動通じて、友達やスタッフとのコミュニケーションを取りながら、ルールや社会的スキルも身に付けていきます。教育相談も随時、受付中ですので気軽に問い合わせてみては?大阪府の放課後等デイサービスをもっと見る大阪府児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報児童発達支援ぷりもでは、さまざまな専門資格を持つスタッフが、お子さんの発達段階に合わせた支援を行っています。集団支援では、集団生活で必要な動作の練習を通じて身の回りの自立力を育みます。また、運動遊びでは姿勢を保つ力やボディイメージの向上を促し、感触遊び通じて認知機能の向上をサポートしています。保護者の方々と共にお子さんのことを考える「家族支援」や、幼稚園や保育園への通園準備をサポートする「移行支援」も提供しています。随時、見学や体験も受付中です。Upload By 発達ナビ施設情報ジョイランド本店では、お子さんのことを第一に考えて、お子さんの好きなこと、興味関心のあることを支援に反映し、楽しく取り組める支援を提供しています。スタッフはミーティングを重ね、お子さんが学校や社会へ出ていくところまでを考えて、現時点で必要な支援内容を詳細に検討しています。さらに、保護者の方々と連携し、納得を得たうえで支援に取り組みます。情報共有を重ねながら、お子さんが日々できたことや新たな課題を伝え、サポートしていきます。同施設では、随時、見学や体験の受け入れも行っています。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス箕面小野原教室は、2023年1月に箕面市小野原に開校された教室です。まずは、子どもたちの自己肯定感を育むことから始め、「よりよい自分になりたい」という本能的な欲求を大切に、楽しい遊びを通して、内なる能力を引き出しています。スタッフは、楽しく遊びながら学ぶことをモットーに、お子さんのキラキラした瞳にたくさん出会えることを楽しみに日々支援に取り組んでいます。コぺルの発達支援を通じてさまざまな体験をし、お子さんができることを増やし、 自信を持って日常生活を送れるようにサポートしています。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス光明池教室は2023年4月に開校した児童発達支援スクールです。泉北高速鉄道「光明池」駅から徒歩10分の場所に位置しています。コペルプラス光明池教室のスタッフは、保育士や幼稚園教諭など全員が有資格者で、お子さんの発達に関する幅広い知識を備えており、一人ひとりの成長や自己肯定感の育成に全力で取り組んでいます。さらに、充実した発達支援を届けるための研修を受け、理念を心に刻み、お子さんの成長をサポートするために必要なスキルを磨いています。また、さまざまな感覚と幅広い認知を育てる教材を通じ、お子さんの集中力を高め、学びの環境を提供しています。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス阿武野教室は、JR摂津富田駅から高槻市営バス「上土室」停留所より徒歩6分の場所にある児童発達支援事業所です。送迎サービスの提供はありませんが、教室利用者専用駐車場が3台分用意されています。コペルプラス阿武野教室では、お子さん一人ひとりの可能性を最大限に引き出し、新たな一面に出合えるよう、さまざまなサポートを実施。また、保護者の方の不安や悩みに寄り添い、お子さんの成長を共に喜んでいけるよう、スタッフが一丸となってお手伝いしているそう。さらに、毎月異なる教材を通して、お子さんの「できた!」という気持ちを伸ばす発達支援を提供しています。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス藤井寺教室は、2023年4月に新しく開校した児童発達支援の教室です。モットーは「子どもの瞳が輝くとき、美しい未来がはじまる」。お子さんは「おもしろい、楽しい!」といった経験から多くのことを学んでいきます。コペルプラス藤井寺教室では、お子さんの好きを見つけ、楽しい経験から言語、コミュニケーション、社会性などの発達にアプローチし、お子さんの成長を保護者のみなさんと一緒に支えていきたいと考えているのだそうです。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス長居教室は、2022年6月1日に開校した児童発達支援の教室です。JR阪和線、大阪メトロ御堂筋線のいずれの線からもアクセス良好です。個別支援と集団支援、その両方を提供。保護者の方とお子さんが楽しいと感じ、「来てよかった!」と思える支援を目指し、スタッフは日々研鑽しています。スタッフはお子さんや保護者の方との対話を楽しみにしており、一緒に遊び学びながら、お子さんの成長を身近に感じられる環境を提供したいと支援しています。Upload By 発達ナビ施設情報南海高野線「堺東」駅から徒歩約5分の場所に位置するコペルプラス堺東教室では、児童発達支援と放課後等デイサービスを提供しています。日々の支援では、お子さんたちの個性を尊重し、それぞれが持つ潜在的な力を100%引き出し、何事にも前向きに組めるようにサポートしています。未就学児から小学3年生までのお子さんが利用する同教室では、小さなお子さんも落ち着いてレッスンが受けられるように、小さな机と椅子を用意。これを使うことで座ったり、課題に取り組む習慣が徐々に身につくようになり、将来の幼稚園や学校生活へのスムーズな適応にもつながっていくと考えられています。大阪府の児童発達支援をもっと見る京都府放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報コペルプラスジュニア木津教室は、州見台7丁目バス停からほど近い場所に位置する教室です。学校や社会生活で必要なスキルを高めるための課題に取り組み、お子さんの「能力を引き出すための発達支援」を行っています。そして、たくさんの教材に楽しく取り組むなかで、お子さんのキラキラとした笑顔と「やったー!できた!」という自信を引き出していきます。知育だけでなく、徳育も大切にし、お子さんの心の成長もサポート。また、学習支援は、お子さんの発達段階に合わせて個別で提供しています。保護者の皆さんの不安や疑問に寄り添い、お子さんにとってよりよく、そして将来に大きな希望を感じられるような支援を心がけている教室です。京都府の放課後等デイサービスをもっと見る京都府児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス京都市役所前教室は2020年4月にオープンした、京都市中京区にある0~6歳のお子さんを対象にした発達支援スクールです。「言葉の遅れが気になる」、「集中力が続きにくい」といったお子さんの発達について不安を抱えながらも「どこに相談したらいいのか分からない」という保護者の方の心強い味方になることを目指しています。そして、楽しいレッスンを通じて、お子さんのできることを増やしていきます。保護者の方も不安を一人で抱えこまずに、スタッフに話してみてはいかがでしょうか。集団支援や個別支援もあり、無料体験レッスンも受け付けています。京都府の児童発達支援をもっと見る兵庫県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報2023年5月にオープンしたHimawari⁺Academyは、お子さん一人ひとりに寄りそった「オーダーメイド・おあつらえ・マス割授業」を行っている施設です。お子さんの「やってみる!」「できた!」の気持ちを育み、自己肯定感を高めることを目指しています。そして、「昨日の自分より、今日の自分が好きだ」と感じられるよう、お子さん本人はもちろん、保護者の方や指導員、みんなで成長を確かめ支援していきます。施設には保育士、児童指導員、言語聴覚士、作業療法士、児童発達支援管理責任者など、さまざまな資格を持つ経験豊富なスタッフが在籍し、みなさんとの新たな出会いを心待ちにしています。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス加古川教室では、瞳が輝くような楽しい発達支援を通して、自発的に取り組み、自ら能力を発揮していく姿をサポートしています。「できないことをなくす」のではなく、「できることを伸ばす」ことに焦点を当て、お子さん自身が自分の個性を認め、何事にも前向きに取り組む姿勢を目指します。スタッフは全員が有資格者で、お子さんの発達に関するさまざまな知識を持ち、それぞれのお子さんの成長と自己肯定感の向上を全力でサポートします。また、充実した支援を届けるための研修を通し、お子さんの成長をサポートするために必要なスキルを磨いています。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス姫路教室は、未就学のお子さんを対象とした発達支援スクールです。コペルプラス姫路教室の発達支援は、お子さん自身の「学びたい・成長したい」という意欲を最大限に引き出すことを第一に考え、お子さんの「やってみたい!」を引き出せるような楽しいレッスンを心がけています。そして、「訓練」ではなく「楽しい遊び」を通じてお子さんの興味を引き出し、「いやでも頑張る」ではなく「楽しいからやりたい」という意欲を育むことに焦点を当てています。お子さんの瞳が輝くような「支援」を通じて、お子さんが自発的に取り組み、能力を発揮する姿をサポートする教室です。兵庫県の児童発達支援をもっと見る奈良県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス学園前教室は、近鉄奈良線 学園前駅から徒歩5分の距離に位置しています。笑顔と活気にあふれたスタッフたちが、ワクワクするような教材を用意して、お子さんを待っています。お子さんが安心して楽しく通えるよう、保護者の方の気持ちに寄りそいながらサポートしています。コペルプラス学園前教室では「できることが増えることは、世界が広がること」と考え、子どもたちが自発的にどんどん挑戦し輝けるような支援を目指しています。無料体験レッスンも随時受け付けているので、その楽しさを直接体験してみてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス王寺教室は、お子さんの「学びたい・チャレンジしたい」という意欲を最大限に引き出すことを最優先に考えているそう。レッスンを通じて、お子さんが自発的に取り組み、自身の能力を発揮する姿を目指します。個別支援では、お子さんの発達段階を確認し、一人ひとりに合わせた支援プログラムを実施。また、小集団支援では、2~6人の少人数で支援を行い、人との関わり方などを学んでいきます。さらにオリジナルの教材を多数使用し、お子さんの得意分野や苦手な部分、好みに合わせて多角的に成長をサポートしています。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス志都美教室では、お子さん一人ひとりの「瞳の輝く瞬間」を見つけ出し、さまざまな教材を通じて好奇心を引き出す発達支援を提供しています。スタッフ全員で、お子さんの学びたい気持ちや成長への意欲を最大限に引き出すことに力を注ぎ、同時に自己肯定感を大切に育めるようにサポートします。また、親子で通う形態をとっており、保護者の方はレッスンをマジックミラー越しに見ることができ、お子さんの表情や取り組む姿を間近で確認できます。また、広々とした駐車場が完備され、車での通所も便利な教室です。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス大和高田教室では、瞳が輝くような楽しい発達支援を通して、お子さんが自発的に取り組み、自ら能力を発揮していく姿を応援します。「できないことをなくす」のではなく「できることを伸ばす」ことを重視し、お子さん自身が自分の個性を認め、何事にも前向きに取り組む姿を目指します。2000種類以上のオリジナル教材を用意しており、さまざまな感覚や幅広い認知能力を育てるための教材を通じて、お子さんの集中力向上と充実感あふれる学びの環境を提供しています。保護者の方は、マジックミラー越しにレッスンの様子やお子さんの表情を見ることができます。奈良県の児童発達支援をもっと見る広島県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス広島舟入教室では、一人ひとりのお子さんに寄り添った発達支援を心がけています。保護者の方とのコミュニケーションを大切にしながら、お子さんの成長をサポート。お子さんが持つ力を楽しい遊びを通じて自然に、かつ最大限に引き出していきます。「できないことをなくす」のではなく「できることを伸ばす」ことをポイントに、お子さんが自分の個性を認め、そして何事にも前向きに取り組んでいく姿を目指しています。なお、送迎サービスの提供はありませんが、車で通所の場合は、提携駐車場の駐車サービス券が用意されています。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス広島駅前教室は、広島駅新幹線口から徒歩2分の場所にあり、お子さん一人ひとりに寄り添った発達支援を心がける教室です。用意された2000種類以上のオリジナル教材は、さまざまな感覚や幅広い認知を育てることを目的とし、多種多様な教材を通じて、お子さんの集中力向上と充実した学びの環境を提供。また、楽しく遊びながら学ぶことでできることを増やし、園や学校、家庭で自分らしく過ごしてしていくためのスキルを身に付けられるようにサポートしています。保護者の方は、レッスンの際にお子さんがマジックミラー越しにどのように取り組んでいるかを見学することができます。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス広島中筋教室は、広島新交通1号線(アストラムライン)中筋駅からわずか2分の場所に位置しており、駐車場も建物の裏に3台分完備されています。日々の発達支援では、お子さんの「できた!」「もっとやりたい!」という気持ちや、瞳の輝きを大切にサポートをしています。お子さんや保護者の方から「コペル楽しい!」「来てよかった!」という声をたくさん聞けるよう、魅力ある教室づくりに努め、そしてお子さんが「コペルに行きたい!」と思えるようなワクワクするレッスンを届けることを目指しています。広島県の児童発達支援をもっと見る福岡県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス八幡教室では、個別支援と小集団での発達支援を提供しています。言葉の遅れが気になる、じっとしていられない、就学準備をしたいなど、それぞれのお子さんの困りごとに寄り添い支援しています。通所の際には、保護者の方がお子さんにつき添い、マジックミラー越しにレッスンを間近で見ることができます。コペルプラス八幡教室のスタッフは児童指導員など全員が有資格者。お子さんの発達に関する幅広い知識を持っており、お子さん一人ひとりの成長と自己肯定感の育成を全力でサポートしています。Upload By 発達ナビ施設情報JR城野駅 西口から徒歩6分、北九州モノレール 城野駅から徒歩8分、西鉄バス城野四角停留所から徒歩1分の場所にある教室です。車で通所の場合は、提携の駐車場も利用できます。子どもたちが「これ、おもしろそう!」と興味を示したとき、子どもたちの瞳は大きく開いてキラキラと輝きます。城野教室では、この「子どもの瞳が輝くレッスン」を大切にしています。子どもたちが自ら学び、考え、課題を乗り越えるスキルを身に付け、持っている才能を最大限引き出すお手伝いをしています。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス春日原教室は、西鉄「春日原」駅から徒歩4分、JR「春日」駅から徒歩9分の場所に位置しています。また、駐車場は建物の左側に設けられており、2台駐車可能です。コペルプラス春日原教室では、お子さんの困り事や悩みを共に相談し合いながら、楽しさを大切にした発達支援を提供しています。教室は一軒スタイルで「ただいま」「おじゃまします」といった言葉が行き交うアットホームな雰囲気です。そのあたたかい空間のなかでお子さんが自信を付け、いろいろなことに挑戦できるようサポートしていきます。福岡県の児童発達支援をもっと見る「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、Webからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2023年10月31日2年生の時に初めて知能検査を受けることに次女は小学1年生の入学後から学校で場面緘黙の症状が目立つようになり、2年生の時に児童精神科クリニックを受診、初めての知能検査(田中ビネー知能検査)を受けることになりました。次女は、家族以外とは話せないし、緊張が高くなると動けなくなってしまう(緘動)ので、少しでも不安が解消できるように、検査について本人に説明をしてから挑みました。初めての知能検査の様子は…?そうして準備をして挑んだ検査。担当の臨床心理士さんと2人で部屋に入り、検査を開始……したものの、次女は全く答えることができませんでした。言葉での質問はもちろん、道具を使ったものなども、固まってしまい手を出すことができずに、検査結果は得られませんでした。Upload By まりまり担当の臨床心理士さんからは、もっと関係性ができてからであれば、取り組めるようになるかも……とのことで、この時はこれ以上取り組ませるのはやめにしました。それから4年後の6年生になって…その後、検査を受ける機会はないまま、次女は6年生になりました。私自身は、客観的な指標がほしいという思いもあって、ずっと「検査は受けられるものならぜひ受けてもらいたい」という気持ちでいました。そんな折、中学校の就学時相談の際に発達検査(WISC-Ⅴ)の結果提出が必要だと分かり、6年生になった今、再度検査を受けてみることになりました。Upload By まりまりあれから4年も経過しているので、「もしかしたらいけるのでは……」と淡い期待を寄せつつ……。本人に発達検査のことを話してみる「昔、心理の先生とやったような検査を、もう1回やってみたいんだけど」と発達検査について本人に話してみると、最初はもちろん拒否。しかし、「(次女の)得意不得意が分かったりして、今後の勉強とかに生かしていけるものだよ」と説明すると、興味を示してくれました。ずっと、カウンセリングやことばの教室に通ってきたこともあって、今までより、家族以外の他者と1対1で何かをすることに対してのハードルが下がってきた成果かもしれません。思っていたよりあっさりと受け入れてくれました。Upload By まりまり一人で検査室に入る次女担当の公認心理師さんは、以前にも場面緘黙の子どもの検査を何度かされているとのことで、安心してお任せすることができました。言語面での検査は無理に実施しないとのことで配慮をしていただき、それを次女に説明して、いざ検査室へ。Upload By まりまり場合によっては時間がかかるかもしれないと言われていましたが、時間内にスムーズに終えることができました。発達検査後、公認心理師さんからのお話検査終了後に、担当の公認心理師さんから少しお話がありました。検査をしてくれたのは初対面の公認心理師さんだったのですが、次女は、最初は緊張気味だったものの、緘動が出ることもなく、かなりスムーズに検査に取り組むことができたとのことでした。ただ、言語面での検査はハードルが高かったようで、実施できませんでした。それでも、全く何もできなかった前回の検査から4年経過して、ここまでできるようになったことに、次女の成長を感じてうれしくなったのでした。Upload By まりまり発達検査をしてみて場面緘黙の次女は家族以外と話せないので、次女自身の本来の能力を見ることができるのがほとんど保護者(私か夫)に限られてしまい、常に「本当に大丈夫か」「本当にこの判断でいいのか」という葛藤と共に過ごしてきました。今回の検査で、次女の成長を感じたと同時に、客観的な視点(検査結果)が得られたことにとても安心しました。今までなんとなくブラックボックスだった次女自身の能力に少し光があたり、次女への関わり方の道筋が、今までより見えやすくなったように感じたのでした。執筆/まりまり(監修:新美先生より)場面緘黙の娘さんの発達検査についてのエピソードを教えて下さりありがとうございます。場面緘黙がある場合でも、言葉を使わずに知的水準を測るフォーマルな検査もいくつかあり、またWISCなどでも言葉を使わない検査のみ実施するという場合もあります。また音声言語で話せなくても、筆談ができるならそれで言語性の水準も(参考値になりますが)算出できることもあります。といっても緘黙の方は、緘動(動けなくなってしまう)になってしまうこともあり、検査自体実施できないということもあります。無理して検査を実施しようとして、検査自体を嫌な記憶にしてしまうと、その後も抵抗感が強まってしまうこともあります。実施できない場合は無理せず、時を待つのがよいでしょう。成長して検査の目的を理解して実施のモチベーションを持てるようになったり、話せずとも他者との関わりに抵抗感が減ってきたりすることで、まりまりさんの次女さんのように、再挑戦で検査を受けることができるようになることはよくあります。フォーマルなアセスメントを受けることは必須ではないけれど、客観的な指標が見えたことで、ご本人の特徴や支援の方向性の参考になることもありますよね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年10月31日脳のタイプ僕は、人間はさまざまな「脳のタイプ」をもっていると思っています。つまりいろいろなタイプの人がいる、ということです。当たり前だよと、言われるかと思いますが、すでに知られている「発達障害」って、そのいろいろな人のなかのあるタイプ(特性)を言っているのです。すでに1977年にトーマスとチェスは子どもの気質を研究し、平均的な子以外に、育てやすい子、気難しい子、順応の遅い子が一定の割合で存在しているという結果を出しています。子どもはあるいは人間は十人十色というわけです。でも、そのなかで、現代社会を生きていく中で、「生きづらさ」を抱えてしまう子どもがいます。その子どもたちの行動や感情表現、あるいは物の見方、感じ方、考え方や気づき方などから、いくつかのタイプ分けをして、そこに名前をつけたものが「発達障害」となりました。個性とも言えるのですが、この名前がついた脳のタイプをもつ人は、現代社会でよく理解していただき、適切な関わりをしていただくことで、生活のしにくさが、ある程度安定すると思われます。脳のタイプを理解することは、その方の生活を安定させる一歩になります。「彼を知り己を知れば百戦殆からず」というように、まずは相手をよく知ることです。ただし、脳のタイプといっても、きちんと分別できるものではなく、ここにも十人十色の混合色が混じり合います。どれほど似た者同士であっても、まさに一人ひとり異なる世界を持っています。特性としての理解Upload By 田中 康雄かといって、千差万別、いろいろだねとなると、あまりにも漠然としていて、理解と適切な対応の基本形が見えてきません。何事も基礎は大切です。そこでそれぞれの「発達障害」のタイプについての理解は重要です。このタイプは、こだわりや対人関係が苦手で、特定の感覚が鋭すぎたり鈍かったりするようです。このタイプの子どもたちと出会うと、僕は彼らの心にあるいいようのない不安感を感じてしまいます。こだわりは不安を軽くする自分の世界観であり、対人関係になじまないのも、状況が見えない不安からであり、感覚の鋭さは不安の強い自分を守る諸刃の刃のようなものと、僕は仮に理解しています。とても繊細で慎重な子どもと思うことで、こちらも無理に関わろうとか、急に距離を詰めるような関わりを控えることで、少なくとも不安を強めないようにします。Upload By 田中 康雄このタイプは、じっとしていることが苦手で、考えるまえに行動が先になり、集中注意が行き届かず、生活では注意やお叱りを頻回に受けてしまいます。本人は注意されても次の瞬間に別なことに気が移ってしまうので、周囲からすると、反省しない子と、また評判を落としてしまいます。でも、僕は、彼らがとても豊かな発想力をもち、いざというときにびっくりするほどの力を発揮することも知っています。でもそんな彼らが日々の失敗と叱責にこころを痛め、悩み、自分を責めているようにも感じます。時々、彼らの笑顔がこころから発せられていないこと、さらには笑いながら涙することにも再三遭遇しています。Upload By 田中 康雄このタイプは、知的な能力な維持しているのに、学習で獲得する「読み・書き・計算」がなかなか身につかず、学校生活がつらくなってしまいます。決して努力不足ではありません。僕が昔関わった子は、「漢字を1つ覚えると2つ忘れてしまう」と言いました。その時の寂しげな笑顔が忘れられません。Upload By 田中 康雄このタイプは、いわゆる運動神経が鈍いと言われ、昔は運動オンチと言われていました。かくよう僕がまさに運動オンチでした。この協調運動は体育の授業だけでなく、鉛筆が上手に持てない、リコーダーが吹けない、コンパスが使えないなど、さまざまな場面で不器用さを発揮します。そしてこの「できなさ」は、その子にとって「恥ずかしい」体験としてこころに植え付けられます。Upload By 田中 康雄特性の理解から、その子の思いを想像する今回監修させていただいた『発達障害・グレーゾーンの子どもが見ている世界」は、そんなタイプをもつ子どもたちが、どんな気持ちで日々を送っているかを考えてみたものです。こうした特性のない人からすると、なぜそんな感じ方、考え方をするのか、どうしてこれができないのか、きっと不思議なことでしょう。でも、こうしたタイプがある方からすると、逆に、どうしてそれができるのか?なぜそんな風に感じて、考えるのか、不思議でなりません。この本のChapter1では、そんな子どもが見ている、感じている日常を想像してほしくて、16の「ナゾ行動」にたいして、子どもの世界をそれぞれ2つほど展開しました。十人十色といっても、1つのナゾ行動に対して10も20も展開していては、本書がこの10倍以上の厚さになってしまいます。ここに示したナゾ行動の説明は一つの仮説にすぎず、こんな子もいるよ、という提案です。もっともっと、別の理由を持った子どもはたくさんいます。わが子の、保育士や教師の方なら目の前の子どもたちの、その言動の理由を想像して探ってみませんか?あるタイプだからこの言動でなく、Aくんだからこの言動、そうかBくんだからそうしたのか、と思えるようになれば、なによりもAくん、Bくんが、分かってくれたと思って、とても喜んで、安心してくれると思います。例えば、ナゾ行動8にあるような、遊びのルールが守れないというナゾ行動にも、守れないという以前に、そのルールが理解できていない場合や、分かっていても自分の思い通りにしたくて結果ルールを確信犯的に破ってしまう場合もあります。Upload By 田中 康雄Upload By 田中 康雄このようにある場面の言動を、その子はどのような理由から表出しているのか、日々の言動を観察し、あれこれと心情を想像し、こんな気持ち?あんな気持ち?と考え続ける。そうすることでその子の理解が進んでいくと、僕は思うのです。注意や叱ることの前に、「そうか、こうしたかったんだね」「もしかして、こんな気持ちだったのか」と、子どもの思いに少しでも近づき、思いを重ねようとするだけで、きっと、その子は、安心する、守られている、と感じるのではないでしょうか?脳のタイプを知ることは前提として大切です。同時に、一人ひとりの生活の癖、関係の取り方など生活から見えるその子の有り様を、重ねることで、多面的に、そしてより深く、子ども理解が進むように思います。どんなことにも、わけがある。そこに、その子の唯一無二の「思い」が隠れていると、僕は信じています。ナゾ行動に隠れた意味を考えるとき、保育士や教師の方であれば、複数人であれこれと考えてみるのも一つです。僕たち応援する大人も、みな十人十色なので、想定外の仮説が聞けるかもしれません。こうした議論は僕たちの理由を知るための引き出しを増やすことになります。分からないときは、その子に聞くのも大事です。実は、きちんと説明できるかもしれません。想像しましょう。話し合いましょう。分からないことは聞きましょう。そして、何事もよいと思ったことを試してみましょう。僕たちができることは、いつも「仮に理解している」に過ぎません。でも「実際に」支援することで、その子を理解することができるものです。その叩き台の一つが、本書の16のナゾ行動です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年10月30日930グラムで生まれた早産児の息子の子育てUpload By 鳥野とり子在胎27週930グラムで生まれた息子のねこ太。現在小学校1年生になり、体重は少し軽めだけど身長は平均ど真ん中でスクスク成長中。ADHDグレーゾーンで特別支援学級に在籍していて、週4で放課後等デイサービスも利用しています。年齢を重ねるにつれて大きな困り事は殆どなくなりましたが、小さな困り事がいくつかあるので、学校の先生や療育の先生と相談しながらどうしたらねこ太が過ごしやすくなるのかを模索中です。息子の乳児期、私の中で膨らんでいった違和感Upload By 鳥野とり子赤ちゃんの頃の息子は【寝ない】【飲まない・食べない】子で育児に苦戦する日々でした。それでも目は合っていたし、あやしたら笑うので「これはこの子の性格なのかな?」とそこまで気にすることはなく過ごしていました。でも断乳しても離乳食を食べなかったり、夜泣きが一向に収まらなかったりと、少しずつ私の中で違和感を感じるようになってきました。発達遅滞は早産児あるあるだけど……Upload By 鳥野とり子ねこ太は運動発達が特に遅く、首すわりは生後10ヶ月頃、ハイハイをしたのは1歳を少し過ぎてからでした。出産時のNICUにいた頃から主治医に「ねこ太くんは運動発達が遅いと思う」と言われていたので、この位の発達遅滞は想定の範囲内でした。しかし、1歳3ヶ月でつかまり立ちができるようになった後はいつまで経っても歩く気配がなく、ずっとハイハイのまま。早産児健診のたびに「伝い歩きもしているしもう少し様子を見よう」「そろそろ歩けそうだから……」と様子見を繰り返していましたが、満2歳を迎えた頃ついに主治医から「さすがに遅いので、PT(理学療法)を開始しましょうか」とリハビリを勧められました。2歳2ヶ月でPTリハビリと児童発達支援の利用を開始!Upload By 鳥野とり子発達障害は支援に繋がるまでに時間を要することが多いと聞いていましたが、ねこ太は運良く希望する施設に空きがあり、主治医からのリハビリの提案から2ヶ月後にはPTリハビリを開始することができました。そして運動発達だけでなく、「バイバイの手がぎこちない」「呼んでも振り向かない」など、ほかの発達にも遅滞がありそうだったので、すぐに受給者証の申請をして児童発達施設を調べて見学に行き、4ヶ月後には療育を開始することができたのです。今思うとすごいスピードで動いたなと思います。療育を開始してひと安心かと思いきや、この頃からねこ太の特性がどんどん濃くなり多動が激しくなっていくとは、この時の私は思いもしていなかったのでした……。母も息子も日々アップデートUpload By 鳥野とり子そんな息子も現在小学校1年生。療育やリハビリのおかげで、どんどんできることが増えて毎日楽しく過ごしています。でも特性が消えたわけではないので、何か困り事が出てきたらその都度療育の先生や発達外来の先生に相談しています。初めの頃は特性に対して戸惑うことだらけでしたが、先生方のアドバイスのおかげで息子の個性に寄り添って過ごせるようになりました。それでもまだまだ至らないことだらけで、本を読んだりインターネットで情報収集をして息子と一緒に日々アップデートをしています。私は息子の発達に対してどうしたら良いのか分からないことだらけで、たくさん悩んでたくさん戸惑いました。そんな時、私はLITALICO発達ナビで知識を得たり、先輩ママさんの体験を読んで気持ちが救われたことが何度もあります。今度は私が同じような境遇の方のお力になれるようなコラムをお届けできればと思います。執筆/鳥野とり子(監修:鈴木先生より)27週930gは週数相当の発達です。決して子宮内での育ちが悪かったわけではありません。ですが、1000g未満で出生したお子さんには発達の遅延がみられる割合が多いとの報告があります。NICU医療の進歩もあり、モニターのアラーム音を下げて保育器内の音環境を整えストレスの少ない状態を保つようにしたり、適切に栄養補充したりすることで、健やかに発達・発育ができるよう試みています。なお、小児科医は発達の観点から新生児の体重よりも脳の発達の指標である頭囲を重要視します。頭囲が週数相当で正常であるかをみています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月30日わが子はことばが遅い?どこに相談すればいい?発達障害と「ことば」の関わり発達ナビのQ&Aコーナーには「ことば」に関わるお悩みが多く寄せられています。Q.2歳2カ月の娘のことなんですが、言葉がまだあまり出ていません。あお、パパ、パン、グーチョキパー、あと数字を何個か言えるぐらいです…歳8ヶ月で単語2.3語~言葉も遅く2歳8ヶ月から単語がたくさん出だしました。2歳8ヶ月の時に2歳半検診に行き、「言葉が出てないは関係なく、集団生活が厳しいかも」と保健師さんに言われました。~中略~現在は2語文話しますが、一方的で会話はあまりできません。(簡単な質問に単語で答えれるくらい)まだエコラリアか無視が多く、あとは独り言が多いです。本記事では、ことばの支援の専門家、言語聴覚士(ST)の日本福祉大学中央福祉専門学校言語聴覚士科学科長 大岡治恵先生に発達障害と「ことば」の関わり、また発達ナビのQ&Aコーナーや「みんなのアンケート」に寄せられているお悩みについてご回答いただきました。まずは、発達障害と「ことば」の関わりについてのQ&Aをご紹介します。Q ことばについて悩む親御さんから、どんな相談を受けることが多いですか?また、子どもの年代別の相談内容や、月齢・年齢によっての発達の目安なども教えてください。「ことばが遅い」という場合、どうしても今何語話せるか、どのくらいの長さで話せるか、つまりしゃべっていることばが気になってしまいます。でも、ことばというのは遅れのないお子さんでも、まず理解できるようになって、それから少し後になって分かるようになった単語が話せるようになります。ですからことばが遅いかどうかの判断には、実は「どのくらい理解できているか」が重要になってきます。まずはことばの理解面の発達の目安をみていきましょう。多くのお子さんが1歳のお誕生日を過ぎると、カタコトで「マンマ」「ワンワン」など意味のある単語が言えるようになります。実は話せるようになる少し前には、大人が話しかけた単語が理解できるようになっているのです。まずはパパやママが「ワンワン」といったらそちらを見るか、「ブーブー」といったら車を指さすかどうかを観察してみてください。1歳から1歳半くらいの間にいくつかの単語が理解できるようになるのが目安です。2歳前後には語彙がかなり増えてきます。具体的なものの名前だけでなく、動詞や「大きい」「小さい」などの概念を表す形容詞などが分かるかが目安です。またこのころには2語文が分かるようになります。「手を洗うよ」「ゴミ、ポイしてね」などの2語文の指示が分かって行動できるかどうかを観察してみてください。3歳くらいになると色の名前やさまざまな形容詞、「動物」「食べ物」などのカテゴリーを表す語も分かるようになります。うまくお話できなくても、「黄色い帽子持ってきて」など3語文くらいの指示どおりに行動できるかどうか観察してみてください。5、6歳くらいまでに、おおよその文法的な機能が発達してくると考えられています。長くつなげてお話しできるだけでなく、接続詞や助詞の使い間違いもなくなります。語彙的には、「左右」や「昨日、明日」など、時間や空間に関する概念、「約束」や「親切」などの抽象的な概念も理解できるようになります。1歳半健診後~2歳くらいまでにことばが全く出ていない、2、3歳になるのにカタコトの単語のみでつなげて長くお話できない、といったご相談が多くあります。そのほかには、ことばは出てきたけれど、出だしが詰まってスムーズにお話しできない、発音がはっきりしない、オウム返しになってしまって会話がかみ合わないなどのご相談も多くあります。出だしが詰まってスムーズにお話しできない、発音がはっきりしない、オウム返しになってしまうなどのご相談については、また別で詳しく回答させていただきます。相談に行ったほうがよい目安ですが、乳幼児期の子どものことばの発達は個人差がとても大きく、周りに同年代のお子さんがいるかどうか、大人がどのくらい話しかけているかといった環境でも変わってきます。また引っ込み思案かどうかといったそのお子さんの性格も関わってくるため、上記の目安に当てはまらないからと言って、すぐ「ことばが遅れている」とは断言できません。理解面が大きく遅れておらず、話しかけると身振りや指さしで答えようとする、指示に応じようとする様子が見られれば、様子を見ていてよいと思います。でも、理解面も実際の年齢より1年以上遅く感じられる、3歳近くなっても全くことばが話せない、などの場合は、早めに専門機関へ相談に行ったほうがよいかもしれません。Upload By 発達障害のキホンQ 「ことば」に困難さを抱えている子どもに対して、心がけたい接し方や声掛け、逆に保護者が避けたほうがよい行動や態度にはどのようなものがあるのでしょうか?まだ単語の理解ができていないようだったら、実物を見せてから行動しましょう。例えば園に行くときは通園の鞄や帽子を見せる、車に乗るときは車の鍵を見せてから行動するなどです。単語がいくつか分かるくらいの理解力でしたら、なるべく幼児語で話しかけましょう。「犬」よりも「ワンワン」、「洗う」よりも「ジャージャー」「ゴシゴシ」などです。幼児語は発音も簡単で、より具体的に様子を表すことばですので、ことばが芽生え始めのお子さんたちにとっては、理解しやすく、やさしいことばです。単語が分かるようになってきたお子さんには、身振りもつけながら具体的な単語で話しかけましょう。ことばが芽生え始めのお子さんは、犬を見て指さす、帽子を取ってほしくて頭に手をやるなど、身振りで表現しようとすることがあります。そんな時はお子さんの意図をくみ取って「ワンワンだね」「帽子?」などと正しいことばで返してあげましょう。また、身振りではなく声を出すけれど、正しく言えず「りんご」のことを「・・ゴ」、「救急車」のことを「……シャ」などと、語の一部の音だけを発することもあります。そんなときも、「りんごだね」「あ、救急車来たね」などと正しいことばで表現してあげます。この時、決して「りんごだよ、リンゴ、言ってごらん」などと復唱を強要しないでください。ことばは、真似て言わせたからと言って、たくさん話せるようになるわけではありません。子どもが「シャ!」と言った時は、「ママ、見て、救急車が通ったよ!」と、珍しいものを見てうれしい気持ちを共感してほしくて表現しています。その気持ちを大切に「ほんとだね!救急車だ!」と共感してあげることで、コミュニケーションする喜びを感じることができ、「また表現しよう」「ことばで伝えよう」という原動力になるのです。ある程度分かる単語の数が増えてきたら、今話しているより一つ語を付け加えて話しかけるようにしてみましょう。単語なら2語文、2語文なら3語文です。例えばお子さんが「ワンワン」と言ったら「大きいワンワンだね」「ワンワン行っちゃったね」、お子さんが「大きいワンワン」といったら「大きいワンワンかわいいね」といった具合です。なるべく今目の前で起きていること、子どもが興味を持ったことについて、意識してことばに出してみましょう。ことばが遅いお子さんに対しては、どうしても「ちょうだい」と言えたらあげる、という対応をすれば、やがて出てくるようになるのではないかと思われがちです。でも、これで表現できるようになるのは、「ちょうだい」や、取ってほしいおもちゃやおやつの名前くらいです。もちろん「ちょうだい」の身振りが少しできるようになったお子さんには、表現できるまで少し待ってあげて、表現できたら渡してあげる、という対応はとても良いと思います。でも、まだその段階でないお子さんにとってはストレスになってしまいます。コミュニケーションする喜び、「また表現しよう」「ことばで伝えよう」という原動力を育てることが大切です。Upload By 発達障害のキホンQ 言語聴覚士(ST)へ相談したいときはどこに行けばいいのでしょうか?また相談に行く際、用意をしたほうがいいものはありますか?1歳半健診や3歳児健診などの乳幼児健診で、「少しことばが遅い」と言われたのであれば、その時担当してくれた保健師さんなどに相談してみるのがよいでしょう。その地域にある言語聴覚士がいる施設、機関を紹介してもらえると思います。多くの自治体で、子ども発達センター、療育センターなどの名称で、総合的に子どもの発達支援をする機関を設置しています。そういったところには言語聴覚士、作業療法士などの専門家がいて、それぞれ専門的な助言や支援を行っています。総合病院、リハビリテーション病院、小児科、耳鼻咽喉科、歯科などのクリニックの中にも、言語聴覚士などの専門家をおいて、お子さんの発達支援を実施ししているところがあります。どこの施設に言語聴覚士がいるか、日本言語聴覚士協会、各都道府県言語聴覚士会で調べることができます。ホームページに検索サイトがある、メールで問い合わせをすると答えてくれるなど、都道府県によって対応は異なりますが、分からないことがあればまず問い合わせてみてください。一般社団法人日本言語聴覚士協会病院・施設検索一般社団法人日本言語聴覚士協会都道府県士会一覧最近はこれらの事業所で言語聴覚士をおいて専門的な支援をしているところが増えています。ただサービス内容は事業所によって異なり、言語聴覚療法をやっているという記載があっても、毎日専門家がいるわけではないところもありますから、詳細は直接問い合わせて確認をしてください。全国の発達支援施設検索【LITALICO発達ナビ】療育センターや病院、クリニックに行く場合は、出産前後の状況や、これまでのお子さんの発達の経緯について聞かれることが多いため、母子手帳を持っていくとよいと思います。また普段どのようなことばに反応するか、どのくらいのことばをしゃべっているかについてのメモだけでなく、好きなおもちゃやお友達との遊び方の様子などについてもメモして準備していくとよいでしょう。Upload By 発達障害のキホンQ 1歳半健診でことばの遅れを指摘されましたが、「まだ様子見で構わない」といわれています。子どものことばをのばすために、家でなにかできることはないでしょうか。健診で「様子を見ましょう」と言われた場合、「様子」って何を見ればよいのか、家庭で何かできることはないのかと不安になると思います。「様子」を見るとは、何を見ることなのでしょう。先ほどご説明したことばの発達の目安を参考に、お話しできることばの数がそんなに変わらなくても、理解できることばが増えてきているかを観察していくとよいと思います。毎日見ていると以前どうだったかなど記憶があいまいになってきますから、半年ごとくらいに「今理解できることばの数や長さ」「今お話しできることばの数や長さ」をメモしておくとよいと思います。ことば以外に、かんしゃくやこだわりなどの気になる特徴があるかどうか、それがだんだん強くなってきているか、目立たなくなってきているかなどの変化の様子についても、半年単位でメモしておくとよいと思います。着替えやトイレなど生活習慣の自立ができるようになるかにも注目してみてください。同じくらいの年齢のお子さんと比べて遅いような気がするなど、「様子を見て」いて不安なことがある場合は、上記の相談先へ相談してみましょう。専門機関へ相談というと、ちょっと不安がある方も多いと思いますが、子育てのヒントやよい対応の仕方の助言をもらえるはずです。Upload By 発達障害のキホンQ 3歳の娘のことばがほかの子と比べると遅く、言っていることは親にしか通じないという状態です。保育園や小児科で相談すると、絵本を読みなさいといわれることが多いのですが、かなり多くの本を読んできたつもりです。このような場合、読み方が悪いということでしょうか?絵本を読み聞かせするとよい、動画を見せっぱなしにするのはよくないなど、ことばの発達のためにこうしたほうがよいという情報が氾濫しています。でも絵本も動画もその時にお子さんと楽しい時間を共有するためのツールにすぎません。要は使い方次第だと思います。動画も、見せっぱなしにするのではなく、出てきた動物や食べ物など子どもが興味を持ったものについて、その都度タイミングよく大人が話しかける、子どもが指さしたものの名前を言って共感するなど、うまく使えば楽しくことばをはぐくむことができます。単純に「絵本を読めばことばが出てくる」というわけではありません。大人でも、まったく聞いたことのない外国語で延々と読み聞かせをされても、つまらないだけで、その外国語を習得できるわけではありません。絵本というのはおもちゃと同じ遊びのアイテムのひとつですから、子どもが分かる内容でなければ、楽しくありません。単語がまだ分からないお子さんにとっては、オノマトペの音感を楽しむような絵本が適しています。単語がいくつか分かるようになってきたお子さんには、具体的な名詞が絵と共にたくさん出てくるような絵本がおもしろいでしょう。2、3語文が理解できるお子さんには、短いフレーズが繰り返し出てきて、少しずつ変化していくような絵本が楽しめます。もっと長い文が理解できるお子さんにとっては、ストーリー性のある絵本が適しているでしょう。そこでお子さんが興味を持って視線を向ける、絵を指さす、笑顔を返すなどの反応がみられたら、すかさず大人も反応を返してあげる、そのやり取りの中でことばが育っていくのです。Upload By 発達障害のキホン発達障害のある子どものことばにまつわるエピソード発達ナビライターの方々のことばにまつわるエピソードをご紹介します。発達ナビ「Q&Aコーナー」にあなたのギモンをぜひ投稿してください今回は発達ナビQ&Aコーナーや「みんなのアンケート」に寄せられたことばにまつわるギモンについて大岡先生からアドバイスをいただきました。発達ナビのQ&Aコーナーに気になることを質問するとユーザーの方が経験をもとに答えてくれます。話題の質問に専門家からアドバイスともらえることも!あなたの子育てに関する疑問や悩みを質問してみましょう!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年10月29日幼稚園では理解が得られなかった息子。就学へ向けて少しでも過ごしやすくなるよう「練習」をしました!現在は7歳の息子は3歳で聴覚過敏気味、視覚優位の自閉スペクトラム症、ADHDの診断を受けました。現在は通常学級在籍、特別支援教室に通っていて、粗大運動がぎこちないところがあるのですが、発達性協調運動症(DCD)の診断名まではつかないと言われています。幼稚園の頃は、無理解な先生が多く、「息子にほかのお子さん方と同じことを求めるのは難しいと思うんです。頑張って頑張っても頑張っても、ほかのお子さんの足元くらいにしか到達しない。ほかのお子さんの6~7割いけば十分だと思っています」とお伝えしても、「子どもはみんな同じ。特別扱いはできません。発表会等の行事も経験させたいので疲れていても幼稚園を休ませないで下さい、甘やかさないで下さい。こんなんじゃ小学校上がってからが心配です」と言われ続け、お迎えの時には、あれができないこれができないと、できないことばかり報告される日々……。できないことは息子や親の努力不足といわれつらい思いを抱えていました。Upload By ユーザー体験談そんな状態だったので、小学校では息子ができることも増やして自信をもって過ごせるように、学校側と連携がとれるように、就学へ向けて家や療育でいろいろと練習をしてきました。今回は、わが家が行ったことと、小学校入学前の校長先生との面談から1年生になった今の様子をご紹介します。就学までに一歩一歩!わが家で取り組んだ3つのこと就学までを目標に取り組んだことは大きく3つあります。トイレと着替え、そして連絡帳の書き方です。息子は年長になっても用を足すときは洋式トイレに座ってしていました。立って用を足すと、おしっこが飛び散ってしまい、濡れることに過敏な息子はパニックになってしまうからです。そこで絵を使いました。1.どの位置に足を置くかを示す2.ズボンとパンツは膝下まで下ろす(おしっこが飛んで濡れてパニックになるので)3.膝を少し曲げるこれらを毎日見せて教えてました。幼稚園では、子ども用の立ってするトイレに抵抗があったようで、大人用を特別に使用させてもらっていました。回数を重ねるごとに飛び散ることも減っていきました。Upload By ユーザー体験談年少の頃から、「自分で脱いで自分で着替え自分でたたむ」ことを毎日幼稚園で実施していたので、家庭でもそうしました。うまくできないところは手伝う、頑張ったら褒める、を繰り返しました。ただ、息子に疲れが見える時は、家庭では無理にさせませんでした。たたみ方は、幼稚園の先生が絵に描いてくれていたので、家庭でもそのやり方に合わせました。また、年長の頃からタイマーを使って着替えトライアルを開始!成功するごとにじょじょに時間を短くしていきました(例えば10分→5分)。時間内に一人で着替えができたらご褒美シールをつけ、たまったらご褒美をあげるを繰り返し、今では、一声かけたら2分で着替えられるようになっています。ただ、気分が乗らないと時間がかかりますが……。年長の冬頃からは連絡帳の練習も始めました。通っていた療育の小集団で連絡帳を書く練習をさせていただくのと、自宅でも「学校ごっこ」として、ホワイトボードに時間割を書き、それを写す、できたらご褒美ポイントをつけるといったことを遊びを通して行っていました。小学生になった今は、しっかり連絡帳を書いてこられるようになっています。就学前の面談で、校長先生に息子のことをしっかり説明そして就学前健康診断の際には、息子と私と校長先生とで面談をしました。私は準スーツのような動きやすく落ち着いた服装で参加。気合いが入って体がガチガチに固まっていました。面談には診断名が書いてある診断書と発達検査の結果を持って行き、子どもの性格、幼稚園や家庭ではこんなことに困っている、でも、こうしたらスムーズに行く、というような内容を説明しました。面談中の息子は、目を輝かせてウロチョロしながら、目新しい教室で好奇心をかき立てられて「これは何?」と質問攻めでした。そんな様子も校長先生に見て頂くことができたので、なぜ息子がこのような動きをしているのかを説明し、このようなときはこういう声かけをして頂けたら望ましい行動に移れますと、たまたまですが先生の前で普段の対応の仕方を実践でき、よかったと思います。校長先生は、うんうんと穏やかににこやかに返答してくださり、ほっと安堵しました。Upload By ユーザー体験談また、良い機会だと学校のトイレを使用させてもらいました。1度でも経験があると違うので、ありがたかったです。無事小学校へ入学。担任の先生は?支援員の先生は?校長先生には理解していただけたはずと安心していたのですが、担任の先生はどういう方なんだろうと不安でした。ドキドキしていましたが、担任の先生は息子と似たような特性がある生徒さんを受け持ったことがある方でした!先生ご自身もイヤイヤ期のお子さんを子育て中で、してはいけないことは叱るけど、なぜそれをしてはいけなかったのか、どうしてそれをしたのか、今度からどうするか、を会話するような形で息子と向き合って頂けました。フランクな会話の仕方が息子にはよかったようです。先生のおかげで、息子は、嫌なことがあっても教室を飛び出さず、先生がパッと見てすぐに見つけられる範囲内に留まるようになりました。信頼関係が構築されていたのだと思います。また、望ましい行動を楽しく行えるように、『今日のミッション』という形で導いていただけました。苦手だった運動も、楽しめるようなコツを教えて頂き、周りのお友達の動きも見て覚えられるまでに成長しました。また、支援員の先生にも恵まれました。こだわり行動でなかなか教室にスムーズに行くことができない息子を見て、「これはルーティーンだから」と発達障害に詳しくないほかの先生方にも伝えて頂き、「ルーティーンやったら行こうね!できたね!」と、毎日息子に寄り添っていただけました。Upload By ユーザー体験談たった一学期の間に急成長を遂げ、周りも驚くほどでした。やっぱり環境調整が大事だと痛感しました。先生方に恵まれた1年生。発達障害に詳しくない先生にはどう伝えればいいか模索中です校長先生も1年生の時の担任の先生も、特別支援の経験があり理解していただける方だったのでこちらの希望が伝わりやすかったですが、経験が浅い先生や、教員歴が長くても発達障害に無理解な対応をされる先生にどのように伝えていけばいいかは現在も模索中です。息子は学校で嫌な出来事があっても「仕方ない」と言い、目の前の楽しいことに切り替えて、不登校になることもなく毎日楽しいと学校に通っています。息子の子育てをしてまだ7年ですが、いろいろと嫌なことを言われ嫌なことをされ、胸がえぐられるようなつらい思いを何度もしてきました。でも、つらいことがあっても楽しいことに夢中になる息子です。これからはつらい思いより楽しい思いを増やしてほしい、失敗して責められる経験より成功体験『できた!』を多く積んでほしい、わくわくする気持ちを忘れないでほしい……いつもそう願っています。イラスト/吉田いらこエピソード参考/七転八起(監修:藤井先生)「できた」を多く積むことができるように、息子さんにあったペース、スモールステップで「できた」を積み重ねる工夫に溢れるコラムをありがとうございます。合理的配慮を求めることができるようになったとはいえ、小学校や園によっては、環境調整が難しいと言われる場面もあるのかもしれません。環境調整の大切さを息子さん自身の成長が示していると思います。ときには、療育先や医療機関などからの情報提供書なども用いて、環境調整について学校や園と模索されると良いと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月28日ネフローゼ症候群とは?原因や症状などネフローゼ症候群とは何らかの原因によって尿内にたんぱくが多く出てしまうことで、血液中のたんぱく質が減り、身体にむくみなどの症状が表れる病気の総称です。ネフローゼ症候群では顔や下肢にむくみが出現することが多いほか、お腹や胸に水がたまる(腹水や胸水)こともあります。また、腸がむくむことによって、吐き気や腹痛などの症状を訴えることもあります。ネフローゼ症候群には特発性(一次性)ネフローゼ症候群と続発性(二次性)ネフローゼ症候群という種類があり、子どもの場合は約90%が特発性ネフローゼ症候群と言われています。本コラムでは、子どもに多い特発性ネフローゼ症候群を中心に解説していきます。ネフローゼ症候群の原因は種類によって異なっています。明確な原因がないものは特発性ネフローゼ症候群、糖尿病などの全身性疾患が原因となるものは続発性ネフローゼ症候群と呼ばれています。ネフローゼ症候群の症状としては主にむくみが見られます。むくみは、体内において正常な範囲を超えて水分が溜まることにより生じます。ネフローゼ症候群では、血液中にあるたんぱく質の中でもアルブミンと呼ばれる物質の減少が多く見られます。アルブミンは血液内の水分をとどめておく働きをするため、アルブミンが減少することで水分が流出しむくみが生じやすくなってきます。ネフローゼ症候群のむくみは顔や下肢に生じることが多いほか、皮膚だけでなく胸部や腹部にも水が溜まる(胸水や腹水)場合もあります。また、腸内にむくみが発生することで、吐き気や嘔吐、腹痛、下痢などさまざまな不調が表れます。加えて、急激な血液中のたんぱく質の減少により、循環不全によるショックを引き起こすこともあります。ほかにも、敗血症、腹膜炎、肺炎などの感染症や、急性腎障害や静脈血栓症などの合併症の可能性も指摘されており、適切な治療を行うことが重要です。小児特発性ネフローゼ症候群は、子どもに多く見られる原因が明確でないネフローゼ症候群のことで、日本における小児腎臓病の領域で重要な位置を占める疾患とされています。日本においては16歳未満の小児の10万人に6.5人の割合で発症すると言われていて、これは欧米に比べて約3倍という高い数値になっています。2~5歳までに発症することが多く、男児の方が女児に比べて1.1~2倍の頻度で発症すると言われています。小児特発性ネフローゼ症候群ではむくみを主な症状としているほか、急性腎障害、血栓症、感染症などのリスクもあり、生活に支障が出ることも珍しくありません。自然に治ることはほとんどないため、ステロイドなどを用いた治療を行っていきます。また、小児特発性ネフローゼ症候群は小児慢性特定疾患にも指定されていて、申請することで医療費の助成を受けることが可能です。経済的な負担を減らすためにも、活用していくといいでしょう。小児特発性ネフローゼ症候群は治るの?治療のガイドライン小児特発性ネフローゼ症候群は自然に治ることはほとんどないため、病院を受診し適切な治療を行っていくことが重要です。治療にはガイドラインが確立されており、多くの場合はステロイドを用いた薬物療法が行われます。小児特発性ネフローゼ症候群はステロイドを用いた治療が効果が高く、治療においてはまずはステロイドを用いた治療が試されます。ステロイドを服用することで、約90%の方が尿たんぱくがなくなって症状が改善されていくとされ、この症状が落ち着いた状態を寛解(かんかい)と呼んでいます。寛解とは症状が落ち着いている状態のことを指して使う言葉で、完治とは異なり何かのきっかけで再度症状が表れることもあります。また、対症療法としてむくみが激しい場合には利尿薬を使用して尿の量を増やすことで、水分量の調整を行うこともあります。そのほかにも、血液量の循環が少ない場合にはアルブミン製剤という血液製剤を使用することがあるなど、症状に合わせてさまざまな治療法を行います。小児特発性ネフローゼ症候群は再発が多い疾患として知られており、約70~80%の方が一度寛解しても再び症状が表れることがあります。また、30~40%の方は再発を繰り返す頻回再発型とも言われています。さらに、約20~50%の方は、成人後も引き続き治療を継続していくと言われています。頻回に再発を繰り返す場合、再発を防止するためには免疫抑制薬が使われることが多く、それでも再発がある場合にはリンパ球に対する抗体である生物学的製剤を用いた治療などが行われることがあります。なお、ステロイドが効きづらいステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の場合にも、ステロイドだけでなく免疫抑制薬も組み合わせたさまざまな治療を行います。ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の方は、以前は人工透析や腎移植を行う方も多くいましたが、現在では治療方法の進歩などで症状の改善が見込まれるようになりました。しかし、治療による効果が薄く、末期腎不全に陥る可能性もあります。いずれにしても、小児特発性ネフローゼ症候群は長い期間の治療と経過観察が必要な疾患であり、ステロイドや免疫抑制薬を用いた治療を2年以上継続しなくてはならない方も少なくありません。日常生活でどんなことに気をつける?医師QA小児特発性ネフローゼ症候群の再発を防止するためにも、日常生活で制限や気をつけたほうがいいことがあります。ここでは、よく聞かれるポイントを小児科医の室伏佑香先生に解説していただきます。(質問)小児特発性ネフローゼ症候群では、食事に制限などありますか?(回答)寛解時には食事制限をする必要はありません。ただ、ステロイドを引き続き服用している場合は副作用として食欲の増進や体重の増加が考えられるため、カロリーの過剰摂取にならないように気をつける必要があり、確認のために定期的に体重測定を行います。たんぱく尿が出ている再発時にはむくみの悪化防止として、食事の塩分を控えめにする必要があります。たんぱく質の制限は基本的に行われません。ステロイドだけでなく、シクロスポリンやタクロリムスなどの特定の免疫抑制薬を服用している場合は、血中濃度に影響するためグレープフルーツ類など一部の柑橘類の摂取を避ける必要があります。Upload By 発達障害のキホン(質問)運動に制限などはありますか?(回答)小児特発性ネフローゼ症候群では運動を制限する必要は基本的にありません。運動会などの学校行事への参加も可能です。ただし、再発時にむくみが強く現れているときには運動を控えるように医師から告げられることがあります。ほかにも、長期間ステロイドを使用している場合は骨がもろくなる可能性があり、骨密度の低下が強い場合には身体をぶつけ合うラグビーなどの激しいスポーツは制限されることもあります。Upload By 発達障害のキホン(質問)どんな症状が見られたら、病院を受診すべきでしょうか?(回答)身体にむくみが生じる、尿量が減少する、体重が急に増加するといった症状が見られたときは、病院で小児科を受診するようにしましょう。小児特発性ネフローゼ症候群は再発を繰り返すことが多い疾患です。しかし、早めに受診し、見つけることができれば、感染症などの合併症が生じる前に治療を開始することができ、お子さんの負担も少なくなります。そのため、一度寛解していても定期的に自宅で尿検査や体重測定をすることが推奨されています。定期的な受診も重要です。Upload By 発達障害のキホン(質問)小児特発性ネフローゼ症候群の再発とストレスは関係あるのでしょうか?(回答)小児特発性ネフローゼ症候群の再発は、精神的なストレスと関係があるとされています。患者本人とそのお母様を対象としたあるアンケート調査では、精神的ストレスによって再発した経験があるという方が61%いらっしゃったとの結果が出ています。また、このうち44%の方が精神的ストレスがなくなったことで再発しにくくなったと答えています。こういった調査から、小児特発性ネフローゼ症候群の再発には精神的ストレスが関係していると考えられていて、再発防止のために精神的ストレスを回避することが推奨されています。精神的ストレスとなるものとしては、学校や家庭での出来事などが挙げられています。治療を行うことももちろん大事ですが、再発防止のためにも子どものストレスへのケアも合わせて取り組んでいくことが大事です。Upload By 発達障害のキホンまとめネフローゼ症候群とは、身体のむくみといった症状が現れるほか、感染症など合併症のリスクもある病気の総称です。ネフローゼ症候群には種類があり、原因が不明で子どもに発症するものは小児特発性ネフローゼ症候群と呼ばれています。小児特発性ネフローゼ症候群は治療のガイドラインも確立しており、ステロイドを用いた薬物療法で多くの方に症状の改善が見込まれます。また、小児慢性特定疾病として指定されており、医療費の助成を受けることも可能です。子どもにむくみや尿量の減少、体重増加など気になる症状が見られたら、早めに小児科を受診するようにしましょう。ガイドラインライブラリ(運営:公益財団法人 日本医療機能評価機構)小児特発性ネフローゼ症候群診療ガイドライン2020|日本小児腎臓病学会※トップページの検索窓より診療ガイドラインのタイトルを入れて検索してください参考:医療費助成|小児慢性特定疾病情報センター参考:エビデンスに基づくネフローゼ症候群 診療ガイドライン 2017|東京医学社
2023年10月28日「東大卒はなるべく隠しておきたい」という当事者の言葉『ルポ高学歴発達障害』は、世の中で言われる「高学歴」の発達障害当事者10人のインタビューや、大学教員、精神科医、支援団体への取材を通じて「理解が得られにくい不条理」に迫った1冊です。このコラムでは、著者である姫野桂さんのインタビューをお届けします。Upload By 発達ナビ編集部――姫野さんはご自身の経験も合わせて、発達障害についてさまざまな発信をされてきました。今回、「高学歴発達障害」をテーマに選ばれたのはどのような思いからですか?姫野桂さん(以下、姫野):以前、高学歴なのに発達障害の特性で仕事がうまくいっていない方の記事を読みました。今まで取材してきたなかでも京都大学を卒業している方で、同僚はすぐに覚えられる電話対応などの仕事が覚えられずにうつ病になってしまったとお話ししてくださった方がいました。高学歴というとエリート道を進んでいると思われがちですが、実は悩みも抱えている人が多いことを伝えたくて本にしました。また、私自身は超高学歴ではありませんが、就職活動や会社員時代に苦労したのでそういった苦悩も書きたかったからです。――大人の発達障害当事者の方からは、「ケアレスミスが多い」「マルチタスクが苦手」「職場でのコミュニケーションがうまくいかない」といった声が聞かれますね。姫野さんご自身の苦労とは、どのようなものだったのでしょうか?姫野:就職活動で例を挙げると、当時は自覚がなかったのですが算数障害があり、SPI(適性検査)の数学がまったくできませんでした。大手企業はSPIを導入しているところが多かったため、大手企業は避けるようにして中小企業に絞りました。――そうすると面接に進めるように?姫野:そうですね。ただ、自分をより良く見せることが不得意なこと、本音を話してしまうことなどから、うまくいきませんでした。例えば、「なぜ弊社を選んだのですか?」と聞かれた際に「福利厚生が良かったからです」と答えたり、「何か質問はありませんか?」と聞かれた際に「残業はどのくらいありますか?」といった質問をしたりしていました。――今回、10人の発達障害当事者の方を取材されています。印象的だった言葉を教えてください。姫野:東京大学法学部卒の女性の「東大卒はなるべく隠しておきたい」という言葉です。東大卒ということで期待されるボーダーラインが上がってしまうという点は、理不尽だと思いました。※本書では当事者の方のプライバシー保護のため、氏名や年齢、事実関係などが一部変更されています最後に、石川さんに東大卒であることを“損”に思ったことはあるか聞いてみた。「それはあります。やはりハードルを上げられてしまうので、「東大卒だったら何でもできるだろう」というような感じで“合格ライン”が上がってしまう感じがあるんです。だから、なるべく隠しておくほうが得だなと思います。石川真里さん(東京大学法学部卒業)の言葉――早稲田大卒の男性も同じようなことをお話しされていますね。結果的にその会社は辞めたのですが、そのとき僕を怒鳴っていた上司は学歴コンプレックスがあったんです。「お前は俺が行きたかった大学を卒業しているのになんでそこまで仕事ができないんだ」と言われたことがあって。(中略)必要のない限りは、大学名を口にしなくなりました。三崎達也さん(早稲田大学経済学部卒)の言葉――そして、お二人とも「東大は自分にとても合っている場所だったので、それはすごく良かった」「自分のポジティブな部分を作ってくれたのは早稲田のおかげ」というように、誇りに思われているのも印象的でした。プライドとの折り合い――精神科医の熊代先生とは、高学歴の発達障害者が自身のアイデンティティと向き合っていくことの困難さについてお話しされていますね。ご自身の体験と重なるようなことはありましたか?姫野:私自身、発達障害が分かったのが30歳のときでした。就活を始めた頃、鬱病を疑って心療内科にかかったのですが、発達障害については何も言われず、抑鬱状態という診断を受けました。もっと早く発達障害があると分かっていたら、就職活動の仕方や仕事選びも変わってきていたのではないかと思います。当時はリーマンショックの影響で周りの友人もなかなか内定が出ない人が多かったので、発達障害が原因ではなくリーマンショックのためだと考えていました。それでも、「なぜ人事受けが良いはずの大学なのに受からないんだ」という葛藤がありました。そのあたりのプライドの折り合いをつけられたら良かったなと思います。子どもの頃から学業では優れていても、社会関係の部分ですごく弱みや苦手があるということを踏まえて、天狗にならないようにするというか、学歴を鼻にかけないようにするのが処世のあり方として結構重要になります。そのためには自身の発達適性の早い段階での把握は肝要です。(中略)ただし一方で、「自分には何かできるはず」「秀でたものがあるはず」といったアイデンティティを持つことには可能性もあるんですよね。ここも高学歴発達障害者の方のアイデンティティの形成戦略としてかなり難しいところです。熊代亨さん(精神科医)の言葉「大学が一番楽しかった」という声――筑波大学における学生支援についても取材されていますね。姫野:筑波大学のヒューマンエンパワーメント推進局の取り組みは素晴らしいと感じました。特に発達障害のある高校生へ向けた「大学生1日体験講座」で、10名限定ですが高校生一人ひとりに学生のメンターがつき、中には「障害学生支援技術」などを履修したピア・チューター(有償のボランティア)がいるのはとても魅力的だと思いました。ピア・チューターになるには自由科目の「障害学生支援技術」を履修したうえで、視覚障害、聴覚障害、発達障害といった形でコースに分かれた集中講義を受けてもらいます。佐々木銀河さん(筑波大学ヒューマンエンパワーメント推進局)の言葉ただ、多くの高学歴発達障害者を取材してきて、ほとんどの人が「大学が一番楽しかった」と答えています。社会に出てからどう自分の特性とつき合っていくかが課題だと思っています。――たしかに、「社会に出てから」「就職してから」直面した困難がインタビューからも強く感じられますね。最後に、本書をどのような方に読んでほしいとお考えでしょうか。姫野:高学歴発達障害当事者だけでなく、同僚や家族、友人など身の回りに高学歴発達障害の方がいる方にも読んでいただき、周りの期待やエリートのイメージと実情との乖離、活躍している大学時代の友人との比較、アイデンティティとの折り合い……といった「高学歴であるからこその葛藤」があることを知ってほしいです。そして、「あの人は高学歴だから」という前置きを外して個として見てもらえたらと思いますし、彼らが苦手そうなことにぶち当たって困っていたら「何か手伝おうか?」と声をかけるなど、そっとさりげなくフォローしていただきたいです。――ありがとうございました。姫野 桂さんフリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。著書に『私たちは生きづらさを抱えている発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)『生きづらさにまみれて」(晶文社)電子書籍『ダメ恋やめられる!?発達障害女子の愛と性」(集英社)。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年10月27日多動、衝動……病院へ行くだけでも大変現在小学2年生の長男けんとは、3歳の時に自閉スペクトラム症と診断を受けました。不安が強く、とても怖がりなけんとは、注射が大嫌い。病院で予防接種や採血がある時は、待合室まで響き渡る大号泣に、大暴れ。それが年長の時にピタリと収まり、泣くことも暴れることもなくなった出来事を書かせていただきます。病院へ行き、注射や検査を受けるというのは、老若男女、お子さんや赤ちゃん……多くの人にとっても気が重いことだと思います。自閉スペクトラム症がある長男のけんとは、じっとするのが苦手、興味があるものを見つけると衝動的に行動してしまいます。そんなけんとを病院へ連れて行くのは、ひと時も気が抜けないため、注射があってもなくても気疲れしてしまいます。Upload By ゆきみけんとには、成長ホルモンが分泌されにくく、身長が伸びにくい病気があり、その検査のために大きな総合病院へ行く必要があります。そこには、エレベーターやエスカレーター、電光掲示板に駐車場の事前精算機など……けんとの大好きなものがたくさんあるので、衝動的に走り回るけんとを追いかけ、小児科までなかなかたどり着かず診察前に私が疲れていることも多かったです。初めての検査は大暴れ待合室まで響く大号泣けんとが初めて採血を受けたのは3歳の時。低身長の原因を調べる検査のためでした。身体が動いてケガをしないよう、布ベルトで身体を固定し、数名の看護師さんで採血をしてくれました。しかし、けんとが大暴れしすぎたため、抑えきれなかったようで……他の看護師さんを大声で呼び寄せるほどでした。その検査の結果、『成長ホルモン分泌不全性低身長症』という病気であることが判明。この病気の治療をには、3ヶ月に1度の診察と、半年に1度の頻度で検査のための採血が必要とのことでした。3歳から治療を開始したけんと。そして、採血のときは毎回、大号泣&大暴れでした。Upload By ゆきみ大号泣と大暴れは年長になっても変わりませんでしたが、ある日、布ベルトで身体を固定するのではなく、夫がけんとを背後から抱えて、座った状態で採血する方法をとってみることになりました。しかし、やはり大暴れ。看護師さん2名と夫だけでは、けんとの身体を抑えきれなかったようで、待合室にいた私に「お母さん、助けてください!無理、無理!」と看護師さんからの声が響き渡り、走ってヘルプに行ったこともありました。見通し不安の解消で泣き止んだ!?Upload By ゆきみそんな大暴れが、ピタリと収まった日がやってきました。いつものように大人数の大人たちで、けんとが暴れてケガをしないように身体を抑えて採血を行っていましたが、相変わらずの大号泣&大暴れ。採血が始まると急に、けんとが泣きながら「あと何秒で終りますか?」と質問をしてきたのです。看護師さんが「んー、30秒くらいかな」と答えると、ピタリと泣きやみ、暴れなくなりました。ゆっくり「1~、2~、3~、……」と私が30秒数えだしました。途中「もう少しかかりそうです」と、看護師さんが教えてくれたので、更にゆっくり数えたりもして微調整。無事、30秒を数える間に採血が終わりました。あんなに大号泣して、大暴れしていた子どもが、急に泣き止み、大人しくなった状況を見ていた看護師さんたちも大変驚いていました。けんとは自閉スペクトラム症の特性からか、見通しがたつと安心して行動できることが増えます。でも、病院へ行くときは、そのことをすっかり忘れて何も対策をしていなかったのです。それに気がついたのは、けんとが言った「あと何秒で終りますか?」の一言の質問でした。私がもっと早くに気がつき、病院での行動に見通しをもたせていれば、怖さや不安を軽減してあげられていたのかも……と後悔した出来事にもなりました。泣くことも、暴れることもなくなった注射Upload By ゆきみ注射が終るまでの時間に見通しをたてるようになってから、その後は一度も泣くことも、大暴れすることもなくなりました。もっと小さい頃だったら、終るまでの時間が色で可視化されているタイマーを使って採血が終るまでの時間を示したり、病院でやることの順番も絵カードなどを使って、しっかり事前に説明をしてから行く方法を取ったりしても良かったなと、今となっては思ったりします。現在も、じっと座って待っていることが苦手で、衝動的に動いてしまうことは多いので、病院へ一緒に行くのは大変だと感じることはありますが、注射や採血の大変さが和らいだだけでも、気の重さがとても減りました。けんとはまだ採血や注射をするのが怖いようで、少し身体を動かしてしまいます。背後から抱えて身体を固定し採血を受けていますが、いつか大きくなったらサポートなしでもできるように……と祈りながら、少しずつ少しずつ成功体験を重ねていけたらと思っています。執筆/ゆきみ(監修:室伏先生より)けんとくんの、採血にまつわるエピソードを共有してくださり、ありがとうございました。痛みへの恐怖や抑えつけられることへの嫌悪などもあったかもしれませんが、見通しがもてないことへの不安や恐怖も大きかったのですね。あとどのくらいかで終わるのか質問をする、という解決策をご自身でとることのできたけんとくんに拍手を送りたいです。ゆきみさんは、普段の生活の中でたくさんの工夫をしてくださっていることと思いますが、今回の件についてはゆきみさんが助け舟を出さなかったことで、けんとくんが不安を解消するために自ら動くことを学んだ、大きな第一歩になりましたね。泣かずに採血できることもそうですが、不安を自らの力で解消できたことも、けんとくんにとって大きな自信になったことでしょう。けんとくんが今後たくさん成功体験を積んでいけるよう、私も応援しております!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月27日