できることなら、我が子を有能な人物に育てたい――そう考える親は少なくないでしょう。しかし、「有能な」と一言でいっても、能力には様々な種類があります。最近は、学校や社会で評価される能力も多様化しています。そんななか、とりわけ今注目されている能力の一つが、考える力=「思考力」です。この能力は、変化の激しい時代のなかで、新しい価値を創造するために欠かせない能力の一つといわれています。そうなると、親としては、子どもの「思考力」を育むためにどうすればいいのか気になるところ。そこで今回は、「思考力」の必要性や意味を踏まえたうえで、家庭でできる育て方について考えていきたいと思います。すでに、授業や入試に取り入れられている「思考力」「思考力」が注目されるようになったきっかけの一つは、大学入試改革です。2020年度から、大学入試センター試験に替わり、「大学入学共通テスト」が実施されます。同テストでは、これまでの知識・技能に加え、「思考力・判断力・表現力」が評価されることになっています。こうした改革を見据え、小学校や中学校、高校においても「思考力」を養う教育が導入され始めています。例えば、かえつ有明中・高等学校で行われている「サイエンス」という授業。思考力をトレーニングする科目として、中学校のカリキュラムに組み込まれています。授業のポイントについて、同校のホームページでは下記のように説明しています。「答え」ではなく「答えを導き出すためのプロセス」を磨くことが“サイエンス”の授業のポイントです。答えのない問題では、自分なりの答えを導き出し、その答えに合う証拠や客観的なデータ、資料で自分の答えの論理性を訴求することが大切です。(引用元:かえつ有明中・高等学校|かえつ有明の教育)また、中学入試においても「思考力」が評価され始めています。ここ数年、「思考力」を問う入試として「適性検査型入試」を実施する首都圏の私立中学校が増えているのです。「適性検査」とは、もともと公立中高一貫校ができたときに導入された、複数の教科を横断して出題されるのが特徴の入試です。知識を組み合わせて解答を導く思考力や、問題文を素早く的確に読み解く読解力などが求められます。私立中学校では、「適性検査型入試」「総合型入試」「思考力入試」「自己アピール入試」など様々な名称で行われており、その数は2018年度入試で過去最高を記録しました。首都圏の中学入試では、2014年から2017年にかけて、「適性検査型(総合型・思考力・自己アピール)入試」を実施した私立中学校は、38校→53校→86校→120校と、年々増加してきましたが、さらに今春2018年度入試では、計136校の私立中が、こうした「適性検査型(総合型・思考力・自己アピール)入試」を実施することが判明しました。(引用元:首都圏模試センター|2018年入試では136校が「適性検査型入試」を実施!)こうしたことから、「思考力」の注目度は今後ますます高まっていくことが予想されます。「思考力」って何?どうやって評価されるのかところで、「思考力」とはどんな能力かご存知でしょうか。通信教育をはじめとした教育事業で知られる株式会社ベネッセコーポレーション、および株式会社Z会は、それぞれが運営するサイトにて、「思考力」の定義について下記のように述べています。『思考力』とは、問題そのものを見つけたり、問題を解決するためのヒント(情報)を探したり、自分が持っている知識を使って解決策を考えたりする力だ。(引用元:Benesseマナビジョン“ミライ応援サイト”|大学入試はどう変わる?思考力・判断力・表現力編)「思考力・判断力・表現力」とは、平たく言うと、世の中や身の回りの問題・課題を、まずは「自分ごと」として考え、さらには他の人の考えにも耳を傾けた上で、「じゃあこうしよう」と新しい解決策を見出していくことと言えます。(引用元:Z-KAI|2021年度以降の新しい大学入試で問われる「思考力・判断力・表現力」とは?_2016.1)これらを読むと、「思考力」はある事柄から問題を特定し、その解決策を見出すまでの過程において使われる能力であることがわかります。そこで、「思考力」を評価するために作成された入試問題の一例として、ある中学校で実施された「思考力テスト」の内容を見てみましょう。【問題1】海外の市場の写真を見て、写真から読み取れる情報をできるだけ多く書き出す。【問題2】(1)日本と海外の生鮮食品売り場の写真を見比べて、気がついた点をできるだけ多く書き出す。(2)また、自分が書き出した内容を見て、海外の市場が日本よりも優れている点はどこだと思うかを述べる。【問題3】もしこの国で暮らすことになり、この市場で買い物をする立場になったときに、必要なスキルはどんなことかを書き出す。【問題4】「【問題3】で答えたスキルはどうして必要なのか」、また「今回のテストで感じたこと」を200字以内で述べる。こうして見てみると、「思考力」を評価するための入試問題は、必ずしも暗記した知識がないと解答できないものではないということがわかります。一方で、考えることに慣れていない人にとっては、解答するのが難しいと感じられるかもしれません。このテストの評価ポイントは以下のようなことだと考えられます。■与えられた資料から情報を読み取る力■与えられた資料を比較し、共通点や相違点を見つける力■自らの考えを再構築し伝える力■自らの考えをまとめる力こうしたポイントを日常的に意識し、子どもに働きかけることが、子どもの「思考力」を育んでいくことにつながっていきます。「思考力」を育てるために親が子どもにできること子どもの「思考力」を育てるために、親は普段からどのような働きかけをすればよいでしょうか。3つの例を挙げてみましょう。1. 「与えられたものから情報を読み取る力」を養う特定のものをよく観察できる機会をつくります。例えば、動物園に出かけ、動物を見ながら、「色は何色?」「どんな特徴がある?」「大きさはどれくらい?」「どんな声で鳴いている?」など様々な質問を投げかけます。子どもは目の前の動物から情報を読み取ろうとし、「思考力」を働かせます。動物園でなくてもかまいません、水族館や植物園などの日常から離れた場所へ出かけてみましょう。初めて見るものであれば、上述したようによく観察し、テレビで観たことがあるものや絵本に出てきたものなどは、「頭の中のイメージ」との違いなどを言語化し、さらなる情報を読み取る練習をしてみてください。親子で一緒に楽しめる場所へ出かけ、たくさん質問を投げかけてみましょう。2. 「比較をしながら共通点、相違点を見つける力」を養う複数のものを見比べる機会をつくります。様々な種類の商品が陳列されたショッピングセンターなどに連れて行き、一緒に買い物しながら商品を比較させてみてください。例えば、部屋に飾る花を選ぶとき、「これとこれ、どっちがいいかな?」と子どもに相談してみます。「色は同じだね。じゃあ、何が違う?」などと語りかけることで、子どもは目の前の2つの商品を見比べ、「思考力」を働かせます。また「この油揚げは3枚で100円だけど、こっちは1枚100円だね。〇〇くんはどっちがいいと思う?」という質問もいいでしょう。お金の概念を理解している子であれば、「3枚で100円の方がお得だね!」なんて言うかもしれません。そのときは、「そうだね、お得だね(子どもの考えを認める)。でも、1枚100円の油揚げの方が味がいいかもしれないよ?」など、別の考え方もあるよ、と教えてあげましょう。色々な視点から物事を見てもいいんだ!ということに気がつくはずです。3. 「自分の考えを再構築する力」を養う一緒にテレビを観て、「自分ならどうするか」を考えさせます。身の回りに起きた出来事や、世の中のニュースについて自分に置き換えて考えさせるのです。また、「自らの考えを評価し、まとめる力」を養うために、考えた結果を意見としてまとめ、語らせます。子どもと一緒にテレビを観ているときは、絶好のチャンスです。例えば、ニュースで誰かの行動が取り上げられたのを観て、「この人がした行動について、どう思う?」「自分が同じ立場だったら、どう行動する?」などと語りかけることで、子どもに自分事として考えさせることができます。難しいニュースでなくたってOKです。「メガ盛り天丼!」などの柔らかいテーマであっても、「〇〇ちゃんは、この天丼をどう思う?」と聞いてあげてください。「こんなに大きかったら誰も食べられないと思う」「私がシェフなら、かわいいミニ天丼をたくさん作りたい。だって、女の子のお客さんが増えそうだから」など、親が思いつかないような「考え」を述べてくれるかもしれませんよ。考えをまとめる力は、ペーパーテストだけでなく、プレゼン力やコミュニケーション力にもつながります。家庭で何度も「考えをまとめる」練習をすることで、知らず知らずのうちに「思考力」がアップするはずです。***今回の3つの例には、子どもの「思考力」を育てると同時に、親子でコミュニケーションがとれるという共通点があります。「思考力」を育てると同時に、子どもとたくさんの会話を重ね、子どもの考えていることを知ったり、新たな一面に気づいたりできるといいですね。(参考)文部科学省|大学入学共通テストについてかえつ有明中・高等学校|かえつ有明の教育ビジネスジャーナル|中学入試改革、知識だけでは合格困難首都圏模試センター|2018年入試では136校が「適性検査型入試」を実施!Benesseマナビジョン“ミライ応援サイト”|大学入試はどう変わる?思考力・判断力・表現力編Z-KAI|2021年度以降の新しい大学入試で問われる「思考力・判断力・表現力」とは?_2016.1
2018年10月29日体育で「ダンス必修」が決まったのは10年前の2008年のこと。当時、ヒップホップダンスが必修化されるという誤解もあり、賛否両論のあったニュースなので記憶している人も多いのではないでしょうか。その後、2011年に小学校、2012年に中学校、2013年に高等学校で、段階的にダンスの授業が始まりました。ふたを開けてみれば、これまでの体育などでお馴染みの創作ダンスやフォークダンスも含んだ「ダンス」を学び、中学生の7割が「ダンスの必修化はうれしい」という調査結果も。実は、「ダンス必修」に苦手意識をもっているのは、子どもよりも大人の方かもしれません。大人の苦手意識を子どもが何となく感じ取り、ダンスを苦手に思ってしまうのは避けたいものです。ダンスはコミュニケーション能力アップにも効果があると言われています。今回はそんなダンスのメリットについてご紹介しましょう。そもそも、体育の必修科目「ダンス」では何をやるの?体育の授業でダンスが必修科目になったと報じられた当時、メディアではヒップホップダンスを紹介されることが多く、「ダンスの授業=ヒップホップ」というイメージをもってしまった方も少なくありません。しかし、2008年3月に告示された中学校学習指導要領の改訂内容には、以下のように書かれています。ダンスは、「創作ダンス」、「フォークダンス」、「現代的なリズムのダンス」で構成され、イメージをとらえた表現や踊りを通した交流を通して仲間とのコミュニケーションを豊かにすることを重視する運動で、仲間とともに感じを込めて踊ったり、イメージをとらえて自己を表現したりすることに楽しさや喜びを味わうことのできる運動です。(引用元:文部科学省|武道・ダンス必修化)ヒップホップは「現代的なリズムのダンス」に含まれ、さらに改定前の体育授業で行われてきた「創作ダンス」や運動会などの学校行事でお馴染みの「フォークダンス」と並んで記載されていることからも、ダンスの授業で取り上げる1ジャンルにすぎないことが分かります。ただし、学校の実態に応じてこれらの3種類の中から1種類以上を選択して取り扱うことになるので、「ダンスの授業=ヒップホップ」という学校もないとは限りません。「ダンス」を苦手に思うのは、親自身が中学時代にもったイメージ?私たちが普段の生活でダンスに触れる機会はどれくらいあるでしょうか。ほかのスポーツや趣味と同様、スクールに通っている人もいれば、上手なパフォーマンスを見るのが好きな人、まったく興味のない人まで、人によってさまざまでしょう。ダンスが苦手だという親御さんの中には、自身の中学時代にダンスの授業で恥ずかしい思いをしたり、気乗りしない振り付けを皆で行なったりした「苦い思い出」があるかもしれません。また当時、テレビ番組の企画で放送されていたストリート系ダンス版甲子園の高校生パフォーマーやキレのあるダンスが人気のアイドルグループなどを見て、ダンスは特別な才能をもった一部の人のものというイメージをもっている人もいるかもしれません。しかし、ここ10年でダンスを取り巻く環境はめまぐるしく変化しているのをご存じでしょうか。ダンス必修化をきっかけに、Eテレでダンス&ボーカルグループのメンバー2名による子ども向けのダンス番組がスタートし、同時期には高校生のダンス選手権も始まり、大阪の高校ダンス部のキレのある演技が一大ブームとなったのは記憶に新しいところです。動画投稿サイトでは、アイドルグループのヒット曲に合わせてご当地ダンスが披露され、人気ドラマのエンディングテーマ曲の振り付けは社会現象を巻き起こしました。「一般人がやるダンスは恥ずかしいばかりで面白くない」というイメージは着実に変わってきています。ダンスはコミュニケーション能力がアップするそれでも、急にダンスを好きになる自信がないという人もいるでしょう。ここで、ダンスが子どもたちの教育にどのような効果があるのか紹介します。【ダンスはコミュニケーション能力がアップする】先に引用した学習指導要領にもある通り、ダンスの授業では「仲間とのコミュニケーションを豊かにすること」が重視されています。上手くダンスを踊ることよりも、仲間とのダンスを通して自分の意見を伝え、相手の意見を聞き、コミュニケーションを図ることが第一。学校のダンス授業にも関わっている、振り付けユニット「振付稼業air:man」の杉谷一隆さんはインタビューで、次のように話しています。自意識が強すぎる人ほど、「人より下手かもしれない」「遅れているかもしれない」と思ってしまう。「うまくならねば」という価値観だと、「自分はダンスは向いてない」「苦手だ」となって、ダンスが嫌いになってしまう。 そういう人を減らしたくて、学校のダンスの授業に関わっています。下手でもいいし、動きがバラバラでもいいんですよ。楽しくコミュニケーションできれば(引用元:withnews|学校の授業でダンスやるのダサくない?有名振付師の答えが深かった)また、コミュニケーション能力は社会に出ても必要とされるもので、企業の採用活動においても常に重視されるものです。ダンスそのものの上達ではなく、その先にあるコミュニケーション能力アップの効果を期待できるのがダンスです。【ダンスはバランスのとれた体をつくる】全身を使って表現をするダンスは体幹や下半身の筋力アップに効果があります。加えて、日常生活であまり使わない筋肉も使うことが多いのが特徴。ヒップホップでは、腕を付け根からグルグル回す振り付けがあったり、足を左右に開いて股関節を動かしたりします。このような動きを繰り返すことで柔軟性がアップするのです。また、ダンスは持久力を必要とします。1曲あたり約3分間、リズムに乗って体を動かし続けると、慣れないうちは息が上がるもの。繰り返していくうちにスタミナがつきます。お子さんのコミュニケーション能力アップや体力づくりに大きく寄与してくれると考えれば、体育のダンス授業を積極的に応援したくなりませんか?***最近は、女子中高生の間で指だけの振り付け動画の投稿が人気ですね。あれもダンスの一部だと考えれば、日常生活の中に意外とダンスは入り込んできているのかもしれません。お子さんが「やってみたい」と言ったら、親御さんも一緒に楽しさを体験してみるのもいいですね。(参考)Study Hacker こどもまなび☆ラボ|ダンス必修化の問題点と今後の課題ベネッセ教育情報サイト|ダンス必修化に中学生の7割が「うれしい♪」と回答!文部科学省|武道・ダンス必修化文部科学省|新学習指導要領に基づく中学校向け「ダンス」リーフレットwithnews|学校の授業でダンスやるのダサくない?有名振付師の答えが深かった
2018年10月29日音楽に合わせて「動」と「停止」を繰り返すダンス。この動きが、脳の運動野を刺激して、脳が活性化するのだそう。そして、「見る力」や「聞く力」などの観察力も鍛えられるとも言われています。まずは体験レッスンから参加してみませんか?■参照コラム記事はこちら↓脳の活性化にも効果あり!幼少期におすすめのダンス6選とそれぞれの教育効果。
2018年10月28日場所も道具も要らない「手遊び歌」は、子どもとのコミュニケーションに欠かせないツールのひとつではないでしょうか。病院での待ち時間や、電車やバスに乗っている間の退屈しのぎに何度も助けられたことあれば、子どもが園で教えてもらってきた手遊び歌がメロディーは同じでも歌詞が違っていて、世代を感じたり新鮮に感じたりしたこともあるかもしれません。そんな手遊び歌は、ただ楽しむだけでなく、その歌や動作にさまざまな教育的な効果があるようです。歌いながら手を動かすのは幼い子どもにとって複雑な動きであり、脳への刺激も大きいと考えられます。今回は、懐かしの手遊び歌や最近の手遊びをいくつか実例として挙げ、それらにどのような教育的効果が期待できるのか紹介します。脳も身体もフルに動かす「手遊び歌」手遊び歌と聞いて、園の先生や友だちと一緒に「げんこつ山のたぬきさん」や「トントントントンひげじいさん」などを歌いながら遊んだことを懐かしく思い出す人も多いことでしょう。もしくは、今まさに手遊び歌に付き合っている親御さまもいるかもしれません。手軽で場所を問わずに楽しめる手遊び歌には、次に挙げるような「子どもが成長していく上で欠かせない要素」がぎゅっと凝縮されています。■脳が手指からの刺激によって発達する手指は「第二の脳」または「外部の脳」と言われるほど、刺激を与えれば与えるほど脳の発達を促すことができる重要な器官です。手遊び歌で動かす指の動きは、左右をどちらもバランスよく動かすものが多く、右脳左脳ともに活性化が期待できます。■手指が器用になるグーパーを繰り返す初歩的なものもあれば、左右の手指を別々に動かして向かい合わせの相手と遊ぶような複雑なものまで、多種多様な手遊び歌があります。子どもの発達段階に合わせて遊んでいると、徐々に技巧的な動きもできるようになり手先の器用さにつながります。■リズム感や反射機能を養う手遊び歌に使われる歌は、繰り返しが多いものや覚えやすいリズムものなど種類も豊富です。楽しく歌っているうちに子どものリズム感は養われ、手指や体をリズムに合わせて動かせる反射機能が鍛えられます。このように、手遊び歌は教育効果が高いのです。親子で、お友だちと、1人でも、どんどん手遊び歌を楽しんでみましょう。親子で一緒に!「一本橋こちょこちょ」親子で遊ぶなら、「一本橋こちょこちょ」のようなスキンシップが取れる歌がおすすめです。まだ自ら言葉でコミュニケーションを取ることが難しい、0~1歳の子どもたちでも楽しむことができるとされています。子どもの手のひらを叩いたりつねったりする手の動き、手首から肩へ向かって指先でやさしくタッチする感触、最後の「こちょこちょ」でくすぐりながらスキンシップを図りましょう。子どもは、さまざまな手指の動きや強さを感じ、また父親や母親の歌声やスキンシップを通して楽しく心地良い気分や安心感を得られます。「一本橋こちょこちょ」のほかには「ちょちちょちあわわ」「あたま・かた・ひざ・ポン」など長く歌い継がれているスタンダードナンバーがおすすめです。想像力を養う!「ぐーちょきぱーでなにつくろ」子どもは2~3歳ごろから、想像力をはたらかせる手遊び歌が1人でできるようになります。おなじみの「ぐーちょきぱーでなにつくろ」は、特に「ちょき」を指でつくるのに四苦八苦する子もいると思いますが、複雑な指の動きによって脳に刺激が与えられます。この歌は、ジャンケンに使うグー、チョキ、パーの手の形を覚えるのに便利な上に、この3つの形を両手で作るところがポイントです。あるときは左右一緒の形、またあるときは左右別々の形と変化に富み、手の動きでイメージを形づくることで想像力が養われます。このほかに「トントントントンひげじいさん」「キャベツのなかから」などが楽しく遊びながら指の複雑な動きで脳を鍛えることができておすすめです。協調性を育む!「アルプス一万尺」お友だちとの関係が作られはじめると、2人で向かい合って遊ぶ「アルプス一万尺」のような手遊び歌が楽しくなります。向かい合った相手の左右と自分の左右が違うことに気づきがありますし、リズムに合わせて一緒に同じ動作をすることで協調性が育まれます。同様の手遊び歌には「茶摘み」「みかんの花咲く丘」などがあり、子どものころ友だちと一緒に遊んだ人も多いのではないでしょうか。2人で行なう手遊び歌は大きくなっても遊ぶ子が多いようで、小学生になってからも、雨の日の休み時間やちょっとした空き時間に楽しんでいることもあるようです。2人で行なう手遊び歌は、同じ曲でも地域や年代によって手の動きが違っていたり、歌詞を替え歌にして遊んだりといったアレンジ版も増えます。子どもが園や学校で友だちから教えてもらってきた遊び方が、パパやママが子どものころに遊んでいたものとは違うことも。そのようなときは訂正するのではなく、子どもが覚えてきた遊び方で一緒に遊んでから「パパやママが子どものころはこんなふうにして遊んでいたよ」と当時の遊び方を教えてあげると、他の人の意見を受け止める許容性を学ぶことができるとともに、遊びにも多様性が生まれます。***手遊び歌は、どんなところでも道具もなく遊べるので何曲かレパートリーを作っておくと便利です。最近は、手遊び歌の動画をアップしている保育関連施設や行政の子育てサイトなども出てきました。こうした動画サイトを参考にしてもいいですね。(参考)品川区公式チャンネル しながわネットTV|子どもと一緒に、手遊びしましょう!! 3歳児編品川区公式チャンネル しながわネットTV|子どもと一緒に、手遊びしましょう!! 4・5歳児編てあそび.com|手遊び歌児嶋輝美(2012年),『手遊び歌の種類と成り立ちについて』,徳島文理大学研究紀要第84号YOKOHAMA-YUME-NETWORK|手遊び歌研修~手遊び歌を楽しもう~
2018年10月27日運動会の花形競技といえば「かけっこ」。走るのが速い子どもはいつの時代もヒーローとなりますよね。そして、多くのお子さんは「せっかく走るなら、少しでも速く走りたい!」と思っているはずです。それなのに、「うちの子は運動が苦手だから」「両親ともに運動が苦手だから」と心の中で思っている親御様はいらっしゃいませんか?実は、足の速さは遺伝とあまり関係がありません。きちんとした練習をすれば、誰でも足が速くなれるんです。今回は、かけっこの極意を3つに絞ってご紹介します。正しい走り方、できてる?理想的な走り方とはみなさんは正しい走り方を意識したことはありますか?何も意識せずがむしゃらに走っているという子どもがほとんどだと思いますが、速く走るには正しい走り方を身につけることが大切です。1. 姿勢は首を垂直にまっすぐ伸ばし、首を伸ばすように肩を落とす。2. 走り出すときには、頭からつま先まで一本の芯が通っているようにまっすぐな姿勢を保つ。3. 踏み込む時の足は、つま先から体の中心近くの地面に着地する。4. 体をまっすぐな状態に保ち、体の中心近くに足をつま先から着地させて走る。これが、理想的な走り方です。正しい走り方をマスターすれば、重力の抵抗が少なく、地面の反発力を使って論理的に効率よく走ることができるため、自然とかけっこも速くなりますよ。とはいえ、上述した4つの走り方を子どもに教えるには、親の根気と時間が必要になってしまうかもしれません。そこで今回は、上の4つが簡単に身についてしまう、「歩き方」「体躯」「ジャンプ」の3つの動きをご紹介します。この3つは、かけっこだけでなく、どんな運動をするときでも必要です。子どもの運動能力アップのためにぜひ取り入れてみてくださいね!かけっこが速くなるための極意1:正しい歩き方を身につけよう特に幼稚園~小学校低学年頃までは、足の速さと運動神経はあまり関係がありません。あることを習得すると誰でも上達させることができるんです。それは「正しい歩き方」。「歩く」という動作は「走る」動作の基本です。それでは、「正しい歩き方」の習得法をご紹介しますね。1. 姿勢をよくする背筋を垂直に保ち、猫背にならないように注意して姿勢よく立ちます。壁に頭、お尻、かかとをぴったりくっつけて立ってみるのが簡単でおすすめです。このとき、スマホで撮影して「まっすぐに立ててるね!」などと声をかけながら、本人にも確認させてあげてください。2. 目線を下げないまっすぐ立つことができたら、そのまま自分の前方に足幅の2本のレールがあることをイメージし、レール上に左右の足を着地させるような感覚で交互に足を踏み出します。このときのポイントは「目線を下げない」ことです。お子さまが下を向いているようであれば、目線を上に上げてまっすぐ先を見るように声かけを。3. 体の真ん中を意識する体の軸を意識して歩くことがポイントです。「体に1本串が通っているよ~」「〇〇くんはお団子になってるよ」などとイメージを持たせてあげましょう。その際、上半身の移動とともに土踏まずの上に自分の頭が乗るようなイメージで着地をすると、綺麗な姿勢のままで前進できます。この正しい歩き方は、走るときのフォームにも影響します。元日本代表選手やプロのアスリートが指導にあたる運動教室を運営する『NPO大江戸』代表の橋本直和さんが話していたように、「走るフォームがきれいな子は、タイムも良い」のです。かけっこが速くなるための極意2:体幹を鍛えよう「正しい歩き方」を実践してみて、お子さまの体の軸がぶれやすいように感じたり、姿勢がぐらつきやすいように感じた親御さまも多いのではないでしょうか。軸がぶれて正しい歩き方をするのが難しいときは、体幹を鍛えてみてください。「歩く」「立つ」などの日常の動作も、複雑な動きをするスポーツも、すべての動きにおいて、体幹部の筋肉が体を動かすためのエンジンのような存在を担っています。体幹をしっかり作っておくと、正しいフォームで歩きやすくなり、その結果、走るフォームも安定して走るのが速くなるのです。さあ次は、体幹を鍛えるための“楽しい”トレーニングをやってみましょう。1. 水をこぼさないように座る、立つ水の入ったコップを胸の前で両手で持って立ちます。水面が揺れないように、コップを見ながらゆっくり立ったりしゃがんだりします。ここで体幹部をしなやかに使えないと、水がこぼれてしまいます。できれば親子でチャレンジしてください。親子で一緒に挑戦し、子どものやる気を引き出しましょう。2. 水をこぼさないように動く立ったりしゃがんだりができるようになったら、次はコップを胸の前で持ったまま片足立ちしたり、その場で足踏みを行なってみましょう。その際、体幹部をゆるく動かすことを意識して、上体や腕を固めず柔らかく使いながら、脚を動かすことが大切です。3. 水をこぼさないように歩く足踏みができるようになったら、そのまま歩いてみましょう。このときには、すでにお子さまのほうが上手にできているかもしれませんね。「正しい歩き方」を思い出しながら、親子で楽しく歩いてみてくださいね。このときのポイントも「目線はまっすぐ先!」ですよ。かけっこが速くなるための極意3:つま先ジャンプをしよう歩き方と体幹を鍛えたら、最後は足の動かし方です。足の裏の使い方、といったほうが正しいかもしれません。かかとから足を地面にべったりつけるのではなく、つま先から着地することで、地面の反発力を利用して速く走ることができるのです。この足の動かし方に有効なのが、ジャンプすること。ジャンプするときは、つま先から着地した方が軽く弾むことができますよね。これは走るときも同じなのです。走ることは、地面から足を離すことと着けることの繰り返し。いわばジャンプの連続なのです。まっすぐな姿勢を保ったまま、つま先で軽く弾むジャンプの練習を続けることで、効率的に走ることができるようになりますよ。コツをみてみましょう。1. まっすぐ上にジャンプお子さまはその場でまっすぐ上に跳ぶことができますか。まっすぐな姿勢を保ったままジャンプができるようになりましょう。縄跳びの後ろ跳びがこの練習に適しているので、できる子はぜひやってみてくださいね。このとき気をつけることは、前傾姿勢にならないこと。頭の上からつま先までまっすぐに伸びていることを意識して、かかとから地面に下りないように注意しながら軽やかに跳ぶことが大切です。2. 腕振りジャンプまっすぐ上に跳んで、つま先から着地する感覚を掴んだら、今度は腕を振りながらのジャンプもしてみてください。このときお子さまが、ジャンプする瞬間に腕を大きく振ることでジャンプの力が大きくなる感覚を掴めているかチェックします。また、必ずひざを曲げずに“つま先から”着地することも忘れずに意識するように声かけをしてあげましょう。3. 前進ジャンプ最後は前進ジャンプです。靴2足分を目安に印をつけ、ジャンプしながら前へ進んでいきましょう。前に進もうとして頭を前に振ったり、着地の際に膝が前に出たりしてしまうと姿勢が崩れ、ジャンプの距離も伸びせません。縄跳びジャンプのときのように、まっすぐな姿勢で跳ぶことが重要なのです。今回お伝えしたことは、かけっこだけでなく、どんなスポーツにおいても有効です。世界で活躍するスポーツ選手で、姿勢の悪い選手はいないと思いますし、ベタベタと足裏をつけたまま歩く選手もいないでしょう。外遊びや自宅でのリラックスタイムなど、ちょっとした時間を利用して、親子でトレーニングをしてみてくださいね。続けるうちに、運動能力はもちろんのこと、姿勢も美しくなりますよ。***そして、かけっこで1位になれなかったとしても「フォームがきれいだったよ!」と声をかけてあげたなら、お子さまはきっと「走るときには姿勢に気をつけよう」と思うでしょう。即効性はないかもしれませんが、お子さまが高学年になったとき、今よりも走ることが好きになっているはずですよ。(参考)All About|運動会のかけっこ練習!みるみる足が速くなる法則とは日本経済新聞|ランニングの基本、正しく歩くことにこだわる大阪府柔道整復師会|体幹って身体のどの部分?廣戸聡一(2016),『 こどもの運動力は4スタンス理論で引き出せる』,日本文芸社.Benesse|足がどんどん速くなる!かけっこトレーニング~ジャンプ~Benesse|足がどんどん速くなる!かけっこトレーニング~基本姿勢~ログミー|スポーツは感覚じゃない、理論だ!理想的な“走り方”を徹底解説秋本真吾(2016),『スプリント力を上げる!つま先力トレーニング』, KADOKAWA/角川マガジンズ.
2018年10月27日