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8月下旬に行われた『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ』予選リーグ3戦目。福岡の強豪サルツFCは川崎フロンターレU-12に敗れました。試合後、サルツFCの藤川徹監督と、クラブのオーナーを務める、元Jリーガーの馬場憂太さんに話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>サルツFCでは次の年代のためのベースづくりを大事にしているそう写真:新井賢一<<ワーチャレ記事:「普通では絶対にできない経験ができた」初の女子選抜チームが、バルセロナ相手に健闘!■先に動かず、止まるようにした藤川徹監督(C)新井賢一藤川徹監督――試合の感想をお願いします。川崎フロンターレさんと試合をしたのですが、サッカーの質に違いがあると感じました。相手の方が、11人制をしっかりとやれていました。大会前に中学生と3試合ほどやらせてもらいましたが、夏休みは遠征が多く11人制の準備という意味では難しい状況でした。――サッカー面で目指すスタイル、チームのコンセプトを教えてください。後ろに一人、強力な選手(10番・梅津悠吏)がいるので、フロンターレ戦は少し異なる戦略でしたが、普段は彼を中心に守って前からプレスをかけます。ボールを奪ってショートカウンターや、サイドに展開して低いクロスを入れるなどの戦術を取っています。今回は相手との体格差があったので、高いボールでの仕掛けは避けました。昨日の海外チーム、セランゴール戦ではそういった形がうまくはまり、1-0で勝利しました。――ジュニア年代の指導で大切にしていることは、どのようなことでしょうか?この年代では基礎的なこと、特にボール技術を習得させたいと考えています。勝利を求めるのではなく、ジュニアユースのためのベースを作り、スムーズにジュニアユースに上がれるようにしたいと考えています。その意味で、ジュニアユースのスタッフとも連携を取っています。ジュニアユースのスタッフがジュニアの指導も行っていて、U-15の監督は元Jリーガーの中払大介さんです。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■時間の使い方が難しかったワールドチャレンジでは時間の使い方に戸惑ったことも一つの経験になったと監督は言います写真:新井賢一――選手たちには、いろんなチームと対戦した経験を、どのように活かしてほしいですか?この大会は、今まで経験したことがない、夕方だけ試合がある日程でした。そのため、午前中の時間の使い方が難しかったです。一昨日は昼に到着し、夢フィールドでカップ戦に参加しました。翌日の日中はホテルの近くにあるアウトレットに行かせて、1000円ずつ渡して、昼食も自分たちで取らせました。今日は近くの海浜公園の芝生で、昼にトレーニングをしました。普段なら朝から夕方までゲームをするのですが、ここでは時間の使い方に戸惑いました。時間がありすぎて、いざ試合に向かう時に、準備ができていなかったり...(苦笑)。このような経験も、今後重要になってくると思います。特に、上のレベルでプレーする選手たちにとっては、このような状況での対応力が求められるようになると思います。――これまで指導してきた中で、プロなど、上のカテゴリーで頑張ってる選手はいますか?サルツではないのですが、私が以前指導してたチームでは、藤川虎太朗(ジュビロ磐田)が教え子でした。私は現在サルツでは、ジュニアとジュニアユースのフットサルを指導していて、九州リーグのフットサル社会人チームでも監督を務めています。■フットサルを取り入れる――フットサルはジュニアの育成に良い影響がありますか?そう思います。ボールに触れる機会が多く、マークの受け渡しやグループ戦術も学べます。技術だけでなく、状況判断能力も向上するので、ジュニアの子たちも、週1回、自由参加でフットサルをやらせています。――今後の選手たちに期待することを教えてください。サッカーの技術面も重要ですが、それ以外の面でもしっかりできるようになれば、サッカーの部分もさらに向上すると思います。日常生活も含めて、話し方などにも気をつけるよう指導しています。また、「できないからやらない」ではなく、「できないからこそチャレンジする」という姿勢を大切にしてほしいと伝えています。■人間的に成長できる環境を作りたい2024年8月より、サルツフットボールクラブのオーナーに就任した、元Jリーガーの馬場憂太さんにも話を聞きました。馬場憂太さん(C)新井賢一馬場憂太さん――サルツのオーナーになったそうですが、どのような経緯があったのでしょうか?私が九州でサッカースクールをしていた会場で、サルツもトレーニングをしていました。その縁で代表の谷岡さんと知り合い、一緒に取り組むことになりました。オーナーになったのは最近のことで、8月からです。――今後、サルツをこうして行きたいなどのビジョンがあれば教えてください。私は東京の三菱養和サッカークラブで育ち、良い環境、指導者のもとでサッカー選手としてだけでなく、人としても成長することができました。自分が経験してきた指導法を活かし、サッカーを楽しみながら、サッカーを通じて人間的に成長できる環境を作りたいと思っています。九州一の街クラブを作り上げることを目標に、取り組んでいきたいです。ワールドチャレンジ2024の結果はこちら>>
2024年09月03日8月に開催された『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ』。ラウンド32でFCバルセロナと対戦したのが、FC BASARA HYOGO U12です。現6年生が一期生という新しいクラブながら、世界の強豪相手に健闘しました。FCバルセロナ戦後、大津直人監督に話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>バルサはスピードのある中での状況判断力が印象的だったと教えてくれました写真:新井賢一<<ワーチャレ記事:フィジカルに技術で対抗西宮SSが大事にする「ボールの置き場所」■スピードのある中での状況判断力大津直人監督(C)新井賢一大津直人監督――バルセロナと試合をした感想を聞かせてください。止めて蹴るという基本的な技術はもちろんですが、スピードのある中での状況判断力が印象的でした。ハーフスペースに入ってくるタイミングや、遠い位置にいる選手の起点の作り方は、明らかにレベルが違いました。我々のセンターバックが対応するのか、周りの選手を動かすのか、フォワードがコースを切るのかといったところは、普段得意としている部分なのですが、まったく太刀打ちできませんでした。――相手の最終ラインの持ち出しに対して、狙いを絞り切れない様子が見受けられました。ファーストディフェンスが決まらず、相手の動きを限定することもできませんでした。結果として、相手に自由を与え続けてしまったと感じています。――あそこまでやられる経験は?日本にももちろん素晴らしいチームがたくさんあって、苦戦することはあります。しかし今回のように、何もできずに振り回されるというのは、最近ではありませんでした。――そのような経験ができるのは、この大会の良さでもあります。そうですね。本来なら(海外遠征で)50万、60万円かけないとできない相手と対戦できるので、貴重な経験です。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■もっと思い切ってプレーしたかった――バルセロナとの試合を終えて、選手たちにどんなことを伝えますか?まずは「世界レベルを知ることができてよかったね」と言いです。ただし、もっと自分たちがやるべきこと、やらなければならないことを出し切って、世界との差を知りたかったという思いもあります。例えば、相手の脇でボールを受けられるシーンでも、萎縮してしまいました。現在の実力としては仕方ないですが、本来はもっと思い切ってプレーして終わりたかったです。ここで感じたことに感謝し、次に活かすしかないですよね。バルセロナの選手たちでも、プロになれる選手は多くないでしょう。そういった現実も伝えられる、良い機会だと思います。――今回のメンバーは一期生だと聞きました。この子たちは小学4年生の時から見ていて、今年で3年目になります。ジュニアチームを立ち上げたばかりなので、体格が大きくて速いなど、わかりやすい特徴を持つ選手はいませんが、チームとして踏ん張って戦う部分や、アグレッシブなプレースタイルを大切にしています。■この大会に感謝(C)新井賢一――海外のクラブと試合をした経験はあるのでしょうか?バサラはドイツにもクラブを持っているのと、ジュニアユースがマジョルカカップに参加を計画するなど、海外を意識したクラブではあります。ただ、コロナもあって海外遠征になかなか行けず......。 バルサだけでなく、ワーチャレで試合をしたミャンマーのチームもそうですが、海外のチームと試合をして、たくさん良いものを得たので、やっぱり海外は行きたいなって思います。 ――ワーチャレでの経験を、今後に活かすイメージがありましたら、教えてください。このステージに来られたのは、一期生の彼らのおかげです。様々な人のサポートと運も含めて、ここまで来ることができました。しかし、これまで全力を出し切れていると思っていたのが、まだまだだということがわかりました。もっともっと全力を出し切らないと勝てないということを、大会を通じて感じました。指導者としても、多くの経験をすることができました。この大会に感謝していますし、世界を意識しながら、雑草魂で頑張りたいです。ワールドチャレンジ2024の結果はこちら>>
2024年09月02日『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ』。8月22日に行われたラウンド32で、昨年準優勝のソレッソセレクトに勝利したのが、センアーノ神戸です。続くラウンド16では、強豪・柏レイソルU-12を追い込むなど、確かな足跡を残しました。PK戦ではそれまでフィールドプレーヤーだった選手がGKを務め、3本中2本ストップするなどスーパープレーを見せ勝利したソレッソセレクト戦後、大木宏之監督と選手3名に話を聞きました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>試合後、選手たちに「勝敗より大事なこと」を語りかけた写真:新井賢一<<ワーチャレ記事:フィジカルに技術で対抗西宮SSが大事にする「ボールの置き場所」■一致団結して勝てた試合後、選手に話を聞きました。インタビューを受けてくれたのは安田蒼くん(14番)、大内愛志くん(12番)、平松大志くん(10番)。14番安田蒼くん(C)新井賢一14番安田蒼くん――試合の感想をお願いします。自分たちより身長が高い相手でしたが、センアーノの持ち味である「みんなの心が動くサッカー」ができました。みんなの心が一致団結して、勝てた試合だと思います。――今日の試合で通用したところと得意なプレーを聞かせてください。相手に負けない気持ちでプレーをするところです。得意なプレーはカットインです。――将来の夢と好きな選手を教えてください。セレッソ大阪が好きなので、セレッソで8番を背負える選手になりたいです。好きな選手は元セレッソの乾貴士選手です。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■自分が止めてチームを勝たせたかった12番大内愛志くん(C)新井賢一12番大内愛志くん――試合の感想をお願いします。最初、いい形で点が取れたのですが、自分たちのミスで失点してしまいました。僕もミスしていたので、PK戦は絶対に止めようと思ってプレーしました。――PKまではフィールドで出ていましたね。はい。左サイドバックで出ていました。でも、もともとキーパーをしていたんです。(※県トレセンにもキーパーとして呼ばれているそう)――PK戦でキーパーに指名されたときは、どう思いましたか?自分が止めてチームを勝たせようと思いました。――PKでは、どういうことを考えてプレーしましたか?相手の助走が速くて、思い切り足を振っていたので、左に蹴ると思って(自分から見て)右に行きました。2番目の子はインサイドでボールを蹴っていたので、右に来ると思いました。――フィールドとキーパー、どちらがやりたいですか?キーパーです。元はフィールドの選手で、その後キーパーになって、今はまたフィールドで出ていますが、中学ではキーパーをやろうと思っています。――将来の夢と好きな選手を教えてください。まずはJリーグに入って、そこから日本代表に入ってプレミアリーグに行きたいです。好きな選手はエデルソンです。■フィジカルでは負けてても技術で上回って勝てた10番平松大志くん(C)新井賢一10番平松大志くん――試合の感想をお願いします。相手は自分たちよりもデカいし、フィジカルや身体能力的には負けているかもしれませんが、技術で上回って勝てた試合だと思います。――今日の試合で通用したところと得意なプレーを聞かせてください。通用したところは技術です。得意なプレーはスピードやドリブルで相手を抜くことです。――将来の夢と好きな選手を教えてください。将来は海外でプレーしたいです。好きな選手はエンバペです。■狭い距離感でボールを動かそうとしたのが良かった大木宏之監督(C)新井賢一大木宏之監督――昨年の準優勝チーム、ソレッソセレクトにPK戦の末に勝利しました。試合を振り返って、感想をお願いします。相手に早生まれの中学生が何人かいて、彼らが主力だったので、スピードでは負けると思いました。昨日のレジスタ戦の反省から、狭い距離感でボールを動かそうとしたのが、良かったと思います。パワープレーやコーナーで押し込まれるのは想定していたので、頑張るしかありませんでした。選手たちはよく頑張ってくれたと思います。――キーパーを交代した理由は?本来は正GKがいたのですが、ケガをしてしまいまして。交代で入った選手(大内愛志)は、普段はフィールドをやらせているのですが、GKとして県トレセンに参加していて、力のある選手です。試合を通じては第二GKが出場しましたが、本人、選手たちとも話してPK戦になったら彼にしようと約束していました。11人制でゴールが大きいので、サイズ感(身長)を重視したのもあります。――チームとして、どのようなスタイルを目指していますか?長いボールを入れる選択肢を持ちながら、やれるところは中盤でつなぐ。その使い分けであったり、プレーを選ぶことを、下の年代から重視しています。昨日のレジスタ戦では、プレーを選べなかったのですが、今日はしっかり相手を見て選ぶことを徹底するようにしました。それがうまくいったかなと思います。■次の年代でも成長できるよう、サッカー理解の部分を教えたい――この年代を指導する上で、大事にしていることは?原理原則はしっかり伝えながら、その中で相手の立ち位置や、自分たちのどこがストロングで、どこがウィークかを考えながら、自分たちのストロングの方向に持っていく戦い方を選べるようになることです。この子たちが次の年代で、どんな指導者と出会うかわからないので、サッカーIQ、サッカー理解という部分はちゃんと教えていかないと、彼らの可能性を摘んでしまう可能性があると思っています。――次の試合まで時間が空きますが、どう過ごしますか?今からトレーニングマッチに行きます。18人連れてきていて、「帯同選手みんな上手くする」というのが、僕らのコンセプトです。どうしても出場時間にばらつきがでてしまうので、あまり出れていない選手のために、短時間で軽めの内容ですが毎日トレーニングマッチを用意しています。千葉にはいいチームがたくさんあるので、いい勉強になります。ワールドチャレンジ2024の結果はこちら>>
2024年09月02日8月に行われた『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ』。予選リーグで、FCバルセロナと対戦したのが、岐阜県可児市を拠点に活動する、F.C.ENFINI(アンフィニ)です。スコアは0対4と差がつきましたが、最後まで足を止めずに頑張る姿が印象的でした。試合後、志津健一監督に話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之/写真:新井賢一)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>対戦してみてバルサは次元が違うと感じたそう写真:新井賢一<<ワーチャレ記事:「試合だけ頑張る」じゃダメ、全国優勝経験を持つレジスタ中城監督が試合後選手たちに語ったこと■バルサは次元が違う志津健一監督(C)新井賢一志津健一監督――予選リーグでFCバルセロナと試合をしました。組み合わせを見たときは、どう感じましたか?「彼ら(選手たち)、持ってるな」と思いました。(ワーチャレの地区)予選も苦しみながら、一時は敗退したかなと思ったら、奇跡的に次につながって。そこから少しずつ良くなって出場権を勝ち取ったので、彼らの努力の結果ですね。――ひたむきに頑張るチームという印象を受けました。普段の指導では、どんなところを大事にしていますか?サッカーは団体スポーツなので、自分が頑張れば、周りも頑張ってくれるといったように、周囲との関わりを大事にしています。ただバルサは次元が違うというか、選手とも、試合後に少し喋りましたけど、「相手を捕まえたつもりでも、フリーになっている」と言っていました。――バルサは試合後のトレーニングでも、マークを外してボールを受ける練習をしていました。そうですか。ワーチャレは普段の8人制から11人制になり、グラウンドが広くなって、選手同士の距離感も変わります。うちの選手はサイズもないし、蹴れる距離もまだ短いのですが、キックでパスを通すことのできる距離にも違いを感じました。バルサの選手は蹴れるので、キックモーションで相手を外したり、僕らが踏み込んで蹴らないと通らない距離をスパンと通せます。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■このゲームで体感したものを忘れないように――バルセロナの印象については、いかがでしょうか?バルサはボールを運びながら、視野をしっかり確保できていますよね。いつボールを運んで、いつボールを離すかの判断が的確なので、なかなか捕まえられないなと思って見ていました。ただ、途中からは頑張って、対応できたかなとは思います。――選手たちに、この経験をどう生かしてほしいですか?切り替えの部分など、もうちょっと戦えるのかなと思いましたが、この日2試合目ということもあり、なかなか出しきれませんでした。このゲームで体感したものを忘れないように、今、刻まないといけないと思うので、この後、確認して、日常に戻そうかなと思っています。もちろん彼らと一緒に、スタッフとも共有したいです。■可能性を広げるための取り組みを続けたい――ワールドチャレンジは大会名の通り、世界にチャレンジする場ですが、大会の意義については?今、日本代表が頑張って、どんどん成績が上がっていっているのも、こういう取り組みと無関係ではないと思います。ジュニアの頃から世界を経験してきたことの影響は、間違いなくあると思いますし、その分、差も縮まってきているような気もします。僕らは街クラブなので、一人ずつの可能性を広げるための指導や取り組みを、今後も続けていきたいです。ワールドチャレンジ2024の結果はこちら>>
2024年09月02日『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ』。8月22日に行われたラウンド16で、FCトリアネーロ町田に勝利したのが、川崎フロンターレU-12です。前半は0-2と劣勢の展開ながら、後半に怒涛の3連続ゴールを奪い、逆転で勝利しました。試合後、大田和直哉監督とゴールを決めた安永唯人選手に話を聞きました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>前半0-2も後半3点取って勝利した川崎フロンターレU-12写真:新井賢一<<ワーチャレ記事:東京ヴェルディジュニアが技術で上回るバルセロナの良さを消すためにとった対策■三笘薫選手が好き11番 安永唯人くん(C)新井賢一11番 安永唯人くん――得点場面を振り返って、どうですか?仲間がボールを運んできてくれて、いい感じにパスを出してくれました。コーチからは「前から狙え」と言われていたので、ゴールしか狙っていなくて、思いっきり打ったら入りました。――前半0-2で厳しい展開でしたが、ハーフタイムに指示を受けて、後半はどんなプレーをしようと思っていましたか?後半はリスク管理をしながら前を狙って、フロンターレらしさを保ちながら、点を決めて勝ちたいと思っていました。――好きな選手は?三笘薫選手です。誰にも負けないっていうか、切り替えやドリブルが優れていて、速いところが好きです。――得意なプレーは?カットインです。得点はカットインじゃなかったですけど、ターンしてシュートを打ちました。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■前半0-2からの逆転、彼らはすごいなと思いながら見ていた続いて監督に試合を振り返ってもらいました。大田和直哉監督写真:新井賢一大田和直哉監督――0-2からハーフタイムでガラッと変わり、3-2で逆転勝利しました。試合を振り返っていかがですか?前半は我々らしい試合ができていませんでした。(試合の間隔が空き)6時間ほど室内で過ごしていたため、足が動かない状況でした。ただ、後半は20分あったので、0-2までなら逆転できると考えていました。ハーフタイムに喝を入れたところ、目の色を変えて、全く違うチームになったので、やっぱり彼らはすごいなと思いながら見ていました。――相手のトリアネーロ町田も強豪で、過去に対戦経験もあると思います。この試合に向けて、どんな準備をしたのでしょうか?大会前に練習試合を行ったのですが、相手チームのメンバーが変わっていた印象を受け、少し戸惑いはありました。しかし、それ以上に我々のチームが最初うまくプレーできなかったことが課題でした。――今大会の狙いや課題、目標などは?子どもたちには「バルセロナと対戦したい」という思いがあったのですが、残念ながらそれは叶いませんでした。(注・バルセロナはラウンド16で敗退)。ただ、次の中国チームとの試合など、日本では経験できないような相手との試合を通じて、彼らが何をできるかを見たいと思います。■フロンターレは「止める・蹴る」のイメージが強いが......川崎フロンターレでは個人の技術向上に力を入れているそう写真:新井賢一――フロンターレのジュニアは、個人の技術向上を目指して、ボールを扱うトレーニングの割合が多いと聞いています。フロンターレは「止める・蹴る」のイメージが強いですが、ジュニアではそこはあまり行わず、ドリブルやリフティングなどを取り入れ、ボールを持つ技術など、個人の技術向上に力を入れています。私は昨年からU-12を担当していますが、三笘薫選手や板倉滉選手を指導していた、玉置(晴一)コーチの教えを受け継いでいます。僕は彼を師匠だと思っているので、それを取り入れてというか、その指導方針がフロンターレらしさだと思っています。個人技はジュニア時代にやることで、十分に身につけられると思っているので、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。――玉置コーチは現在U-18のコーチですが、U-12からU-18まで一貫して技術を重視しつつ、学年が上がるにつれて、チームとしての力も伸ばしていく方針なのでしょうか?そうですね。U-18の監督である長橋(康弘)も、コーチの玉置、佐原(秀樹)も、ジュニアでの指導経験があります。クラブ全体として、個人の能力をより高めたいという思いがあるので、ジュニアに関しては勝ち負けよりも、個人の育成に重点を置いています。――成果はいかがですか?まだまだです。僕は過去に宮代大聖選手などを指導した経験があるのですが、この年代の基準というよりも、フロンターレの基準で比べると、正直なところまだまだだと感じています。■三笘選手や高井選手など「こうなりたい」目指すべき選手像が明確にある――三笘選手や高井幸大選手のように、アカデミー出身の選手が活躍していることは、ジュニアの選手にとって、どのような影響がありますか?「自分はこうなりたい!」と、目指すべき選手像が明確にあるのは大きいですよね。高井選手のようなディフェンダー、脇坂泰斗選手のような中盤の選手、少しタイプの違う山田新選手など、いろいろな選手が出てきています。各ポジションの選手が、それぞれ「自分はこの選手のようになりたい」と言いながら練習に励んでいます。――最後に、フロンターレらしさとは、どのようなものだとお考えですか?攻撃的で、見ている人をワクワクさせるサッカーだと思います。今回の試合も後半で3点取れたように、次の強豪相手に対しても、ボールを保持しながらプレーできることを示したいです。(注・続く中国戦は0-0からのPK戦で勝利した)ワールドチャレンジ2024の結果はこちら>>
2024年09月02日『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ』。埼玉の強豪レジスタは、千葉県トレセンU-12と戦ったラウンド32で、PK戦の末に敗退。その後、行われた試合で、サルツフットボールクラブに2対0で勝利し、有終の美を飾りました。サルツ戦後、中城勉監督とキャプテンの鈴木盛弘選手に、話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>試合後、選手たちに「勝敗より大事なこと」を語りかけた写真:新井賢一<<ワーチャレ記事:フィジカルに技術で対抗西宮SSが大事にする「ボールの置き場所」■キャプテンとして雰囲気を上げることを意識している試合後、選手に話を聞きました。インタビューを受けてくれたのは鈴木盛弘くん(22番)。22番鈴木盛弘くん(C)新井賢一22番鈴木盛弘くん――2対0で勝利しました。試合の感想を聞かせてください。チームの意図として、前からはめていこうというのは、11人制でも変わらないことです。監督の指示通り、しっかりと前からはめて、縦パスが入った時を狙いました。前半で2点先制することができ、そのままの流れで押し込んで2-0で勝つことができました。――キャプテンとして心がけていることは?チームが負けていたり、同点で最後の方になって、チームの雰囲気が悪くなった時に、盛り上げたりと、雰囲気を上げるところを意識してやっています。――先輩たちが全国優勝していますが、自分たちもそうなるために必要なことは?日々の練習からしっかりと自分の課題に向き合って、全国制覇に向けて頑張っていきたいです。――将来の目標は?将来はリバプールに入って、ファン・ダイクのような選手になりたいです。競り合いが強くて、コーナーキックからヘディングで決めたりとか、対人に強いところが好きです。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■言われたことをしているだけじゃダメ、目標に近づくためにどうすればいいかを考える中城勉監督(C)新井賢一中城勉監督――試合後、長い時間、選手たちとミーティングをしていましたが、どういう話をされたのでしょうか?試合の勝ち負けよりも、君たちの夢や目標に近づくことが大事だよという話をしました。そのためには、どう取り組んだらいいのか。何が足りていないのか。他のチームの選手と比べて、自分に何が足りないのか。そこにもっと気づくべきで、ただ言われたことだけをしているんじゃダメだよって。もう12歳なんだから、自分からもっとアンテナを張って、いろんなことを吸収して、自分でできることに取り組まないと変わらないんじゃないの? という話もしました。今日の試合は勝ちましたけど、それで満足しちゃダメで、自分が目標に近づくにはどうしたらいいか考えようねって。そんな話を子どもたちとしていました。――試合の結果よりも、成長に重点を置いているということですね。そうですね。今回のワールドチャレンジは、普段の8人制から11人制への変化があり、グラウンドの大きさも変わります。その中で、子どもたちが何ができるのか。素晴らしいチームに対して、どれだけ通用するのかを見て、分析して伝えたいという気持ちがありました。■試合だけ頑張るのではなく、ピッチ外でも子どもたちに自立を求めているレジスタでは、選手にピッチ内外での自立を求めているそう写真:新井賢一――ラウンド32では、千葉県トレセンU-12との試合で、PK戦の末に敗退してしまいました。結果はPKですけど、うちらしさがなかったんですよね。そういうところも含めて、選手として、どうすればいいのか。試合だけ頑張ろうじゃなくて、朝起きてからここに来るまでの時間の使い方とか、そういうのも考えてほしいと思っています。何でもかんでも親に言われてとか、コーチに言われてやるんじゃなくて、自分で逆算して考えてやらないと、パフォーマンスも上がらないんじゃないのという話は、常日頃からしています。それも含めて、今回はちょっと足りなかったのかなと思います。――この年代は大人になる過程、自立する入り口ですね。そうなんです。自立の部分は、子どもたちに求めているところです。もちろん彼らも何をどうすればいいかがわからないし、そこに答えはないのですが、やらないよりはやってみて、成功・失敗を経験したほうが良いと思っています。その中で気がついたり、学ぶことも多くなるので、サッカーに限らず、いろんなことにチャレンジしてほしいんです。自分から気づいたことはやってみるとか、コーチはそうしたほうがいいと思うよという話はしています。■「本気」はコーチが教えるものではない、ワーチャレはたくさんのことが学べる大会――『ワールドチャレンジ』は世界に挑戦する場ですが、大会の意義について、どうお考えですか?日本以外のチームが海外から来ることで、文化の違いもあります。直接は対戦していませんが、中国チームの選手たちを見ると、本気度が違います。それはコーチが教えるものではないと思うんです。その姿勢を見て、うちの選手たちも気づいてほしい。中国のチームは点差が離れても、妥協しません。僕らもそれは子どもたちに言うんですけど、相手にも失礼になるし、最後までやり切って自分たちのパフォーマンスを出そうよって。その視点で中国チームと比較すると、まだ足りないなと感じました。好きなサッカーをしているんだから、突き詰められるだけ突き詰めた方が、今後、自分が生きていく中でも何かの役に立ったり、ヒントになるのかなと。その意味では、たくさんのことを学ぶことのできる大会だったと思います。ワールドチャレンジ2024の結果はこちら>>
2024年08月30日ボールに群がってしまう子どもたち。「広がってパスをもらおう」と言っても、どこにどう動けばいいかわかってない。どうしたら状況判断できるようになる?というご相談をいただきました。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、周囲を見れなくてスペースを使えない子たちが顔を上げて判断できるようになる「鳥かごトレーニングのアレンジ版」を教えます。(取材・文島沢優子)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<速い子がドリブルで仕掛けるだけの攻撃が単調なチーム、攻撃に厚みを持たせるにはどんな指導をすればいいか教えて<お父さんコーチからの質問>はじめまして。U-8の子どもたちを指導しているお父さんコーチです。いつも素晴らしいご指導をありがとうございます。相談したいのは、どうしても団子サッカーになってしまい、子どもたちが顔を上げてプレーすることが難しいことです。ボールに群がってしまい周りの状況を把握できずにいるため、パスやスペースの利用がうまくできません。「みんなでボールに行くんじゃなくて、広がってパスをもらおうね」と言っても、どこに行けばいいのかわからない様子です。このような状況を改善するためには、どのような練習方法や指導が効果的でしょうか?チームは小学校のスポ少で、長く指導しているコーチとかはいなくて、父親たちが経験者からサッカーの知識を教えてもらいながら子どもたちを見ているようなチームです。ちゃんとした指導者がいる強豪などはこんな悩みなんてもっと年代が低い時の課題かもしれません。基礎的な練習が続くと飽きてきて明らかにやる気がなくなるので、子どもたちが楽しみながらも成長できるアドバイスをいただけると大変助かります。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。ご相談者様がおっしゃる「ボールに群がってしまい周りの状況を把握できずにいるため、パスやスペースの利用がうまくできない」はその通り。ここでは、団子サッカーになってしまう子どもたちを変えるための方法やその指導をお伝えします。■顔を上げて「どこを見るか、何を見るか」を理解させるトレーニングさて、皆さんは子どもたちに「顔を上げろ」「首を振れ」「まわりをよく見て」と教えますが、肝心の「どこを見るか?」「何を見るか?」が理解されないままのようです。その点を解決するためには、まず顔を上げなければならないトレーニングを考えましょう。そこで紹介したいのが「7人で2つのボールをつなぐ鳥かごの変形版」です。図Aのように、正方形を二つ並べたような長方形のグリッドをつくります。(図A)真ん中のハーフラインと左右のエンドライン、そしてサイドラインに1人ずつ、計7人がオフェンス側になります。そこにボールが2つとディフェンスが1人ずつ入ります。2つの正方形のグリッドでそれぞれ4対1が行われますが、ハーフラインに立つ真ん中の1人は2つの正方形のどちらにも参加します。つまり、真ん中の選手は前後左右、2つの正方形の様子を見なければいけません。と同時に、他の6人は、真ん中の選手の様子を見ていなくてはいけません。真ん中の選手がどっちを向いているのか、パスを受けられる状態なのかを把握する必要があります。真ん中の選手は大変ですが、4対1なので、指導対象が小学校2年生でもわいわい楽しみながらできるでしょう。ディフェンス2人を合わせて9人で行うので、ディフェンスがボールを取ったらポジションを交代して同時にローテーションするなど、全員がすべてのポジションを経験できるようにしましょう。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■高学年になったらグリッドを2つ重ねて正方形4つ、ボール4つに難易度を上げる小学校高学年になると、正方形を左右つくった下に同じように左右つくります(図B)。(図B)つまり、長方形が2つ並びます。ボールは4つ、4対1が4か所で行われるイメージです。そこでは、前後左右を見なくてはいけない選手が4人になります。ボール、味方、ディフェンスをどうしても見なくてはいけない状態になる。要するに、顔を上げることが必然の状態を作り出すわけです。小学生にそんな複雑なことができるのか?と思われるかもしれませんが、私は実際にこの練習を小学5年生がやっているのを見ました。この夏、ケルン市と京都市が姉妹都市という関係で、京都にドイツ・ケルンFCのコーチが指導に来てくれました。その際、先に挙げた正方形4つ、ボール4つというメニューを、京都の小学5年生たちにやらせていました。選手たちにどこを見たらいいのかを考えさせながら行っていました。■両方のグリッドを見られるようになるとミスが減っていくその後、私も地元で指導している中学生や高校生にやってもらいました。彼らに「どこを見たらいいですか?」と問いかけながら練習を進めます。4つの正方形グリッドで中にいる選手がどっちを見ているか見ないといけない。他のグリッドのボールがどこにあるかも見ないといけません。そこを見られるようになると、ミスは減っていきます。真ん中にいる選手はグリッドを両方見ないといけないので「どう体を向けたらいい?」と問いかけて考えてもらいます。すべての選手がサポートするために動かなくてはいけません。運動量を見ながら、中高校生は時間を区切ってください。また、正方形グリッドのサイズは一辺が7メートルくらいにして、パスが通らなければ大きくし、ディフェンスがあまり取れないなら小さくします。ケルンのコーチは5メートルほどで行っていました。全体的に判断を速くする練習が多かったです。■小2ならグリッドはあまり大きくせずに実践してみよう小学2年生ならばグリッドはあまり大きくせずにやってみましょう。私も選手の中に入って一緒にやりました。最初は何回か失敗しますが、どう見ていれば失敗しないか、少しずつコツをつかめます。もうひとつ、シュート練習ではゴールを2つ置きます。打つ前にコーチが立ち「どっちを狙う?」と言ってどっちかをふさぎます。打つ瞬間にコーチの動き見て蹴る練習です。ゴールの前にコーンを2つか3つ置いてジグザグドリブルをして、ドリブルしてから打ってもいいでしょう。シュートを打つときに、いつ、どこで、どれだけ見ないといけないのか会得します。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■中々うまくできなくてもあきらめず、判断を伴う練習を続けよう(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)このように、練習メニューはやる条件を少しずつ変えてください。選手の状況によって、楽しくできるには?少し難しくするには?もっと簡単にするには?と考えていけば、ボールを増やしたり、減らしたり。グリッドを広くしたり、狭くしたりと、チーム(選手)に合わせて、練習を分解することができます。練習のオーガナイズを自分で考えられるようになっていくことが望ましいです。今回お伝えした練習は、すぐにできる子もいれば、なかなかできない子も出てきます。2年生という学年は成長のスピードが異なるので、自然なことです。時間はかかるでしょう。なかなかうまくいかなくても、コーチがあきらめないことです。まわりをみて、判断を伴う練習メニューばかりをやってください。3年生、4年生と学年が進むうちに変わってくるはずです。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年08月30日練習に行くと大泣きして母親から離れなかった息子。今では行きたくないと言わず楽しくサッカーしてるけど、試合を親に見られたくないらしく私たちが会場にいると泣いてしまう。親は観戦に行かないようにしているけど、配車当番もあるし、ほかの親御さんに乗せてもらってばかりでは申し訳ない。チームを辞めたほうがいいの?というお母さんからのお悩み相談。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに、繊細な子どもへの接し方などアドバイスを送ります。(構成・文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<頑張らないのに文句ばかりの娘にうんざり。どうしたら子育て楽しめますか問題<サッカーママからの相談>[練習に行くと大泣きして母親から離れられません]問題でご相談させていただいた者です。(子ども9歳)試合にもっとでたいということで彼の意向でクラブに所属しもう一年が経ちました。一度も行きたくないと言わず友達も多く楽しくサッカーをやっております。これだけでとても嬉しい成長なのですが......。わたしたち親には試合を観にきて欲しくないという気持ちを尊重し、一度も観に行っておりません。しかし、会場までの車だしがあり、他の親御さんばかりにお願いするわけにも行かず、行きのみ本人に少し頑張ってもらい車出しをし、試合を観ずに帰るなどしております。少しでもわたしや夫がその場にいて見られてると泣いてしまうようです。落ち着いてるときに本人に気持ちを聞いたところ、理由は「見られると緊張する」とのことでした。プレッシャーがあるのでしょうね......。この一年で大きな成長しとても頑張っているのは伝わります。しかし、配車など他の親御さんに申し訳ない気持ちもあり少し悩んでおります。(チームをやめたほうがいいのか)このまま、そっと見守りの気持ちが大事でしょうか。長々申し訳ありませんがアドバイスをいただきたいです。よろしくお願い致します。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。なんと二度目のご相談、ありがたいことです。お母さんは息子さんに丁寧に寄り添っていると感じます。■このままで大丈夫、やめる必要なんてないこのままで大丈夫ですよ。チームをやめたほうがいいかも?などと考えないでください。他の保護者に気兼ねしてやめてしまえば、それは息子さんにとって「自分のせいだ」となり、余計に追い込んでしまうことになりかねません。他の人の目が気になり、心配になってしまいますよね。その「心配」という感情が湧き上がってしまうのは、もしかしたらお母さん自身の不安になりやすい気質もあるかと思います。お母さんが繊細であれば、お子さんもそうなりやすい。遺伝子がありますから。しかし、繊細で敏感なことは悪いことではありません。人の気持ちを感じとることができるので、他者にやさしくなれるはずです。良い点もあると考えてください。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■繊細さを理解して包んであげる環境であれば成長できる先日、HSCのお子さん(小学3年生)をもつご夫婦を取材しました。米国の心理学者エレイン・N・アーロン博士が提唱したHighly Sensitive Childの略で「繊細な子ども」「人一倍敏感な子」と呼ばれています。生まれながらに感情に対する繊細さと、刺激に対する敏感さを併せ持つと言われています。その子は不登校になっていますが、周囲の理解もあって今は元気にフリースクールに通っています。子どもの繊細さを理解し包んでくれる環境であれば、しっかり成長できます。近頃では、お母さんとお父さんが夫婦げんかをすると「今のはお母さんの言葉が強すぎた。お父さんは辛いと思う」とアドバイスしてくれるそうです。頼りがいのあるいい子に育っています。そこで、私もお母さんに3つほどアドバイスさせてください。■アドバイス①今の対応を続けて。往路だけでもチームは助かる1つめ。冒頭でお伝えしたように、現在の対応を続けてください。車出しが往路(行き)だけでも、チームの保護者は十分助かっていると思います。私も経験がありますが、朝早い出発の試合などで車出し当番になると、当番でない日より30分は早く起きなくてはいけません。当番でなければお弁当を作って朝ごはんを食べさせたら「行ってらっしゃい」と送り出して終わり。そのあと応援に行くにしても、ゆっくり出かけられます。そう考えると、遠方で朝早い試合のときなどはぜひ積極的に「行きだけになってしまいますが、車出ししますよ」とご自分から手を挙げてはいかがでしょうか。もし遠方だったり、拘束時間が短い場合は、その周辺に車で移動してご夫婦で散歩したり、お買い物をしたりしては?試合が終わるころにまた迎えに行けばいいのです。子どもたちは試合が終わってすぐ帰るわけではなく、ダウンしたり、着替えたり、コーチとミーティングするはずです。試合当番の親御さんに状況をみながら何時に迎えに行けばいいか連絡してもらってもいいですね。もしくは他の方の都合に合わせて帰りだけ手伝ってもいいでしょう。そのような片道要員の保護者がいると、他の方も有難いはずです。もっといえば「車や試合当番以外で、チームのために何かできることはありませんか?」と尋ねてみてください。保護者会のリーダー的な方がいるはずです。■アドバイス②可能であれば息子さんの状況をほかの保護者に伝えてみて理解が得られるかも2つめ。もし可能なら、ほかの保護者に今の息子さんの状況などを伝えることはいかがでしょうか?どんな集団かわからないので、そこは強く勧めるわけではありません。ただ「こういうところがあるのでこんなふうにサポートさせてほしい」と直接話すことで、周囲から息子さんに対する理解も進むかもしれません。そもそも、他人の事情というのは、伝聞で情報が流されると誤解が起きやすいものです。何人を経て伝えられると、ほんの小さなズレがどんどん大きくなって最後にはまったく違う話になっていることはよくあることです。チームのグループラインなどSNSで伝えることもできますが、文章というのは万人に同じ内容を100%理解してもらうには限界があります。文章を書いてこうやって皆さんにお伝えしている私がこんなことを言うのもおかしなことかもしれませんが、伝え手の思いと受け手の理解に乖離が生まれることは珍しくないのです。したがって、対面で会って話すことをお勧めします。そこで質問を受けたりと双方向のコミュニケーションが生まれるからです。■アドバイス③息子さんにも親が困っていることを理解してもらおう(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)3つめ。冒頭ですでにお伝えしましたが、「チームを辞めたほうがいいのか?」とお母さんが揺れていることはすでに息子さんに伝わっているかと思います。辞めるか辞めないかを決めるのは、あくまで息子さんです。ただし、息子さん自身も自分の親が困っていることは理解したほうがいいと私は思います。「見られていると緊張するなら、お母さんたちは試合を見ないから、車の中にいるとか、そのあたりを散歩するとかしてもいいかな?そうすれば、他の親御さんに迎えの車当番を頼まなくて済むから、お母さんも安心なの」このように、「あなたはこうするべき」「こうしたほうがいい」というように、「あなた」が主語ではなく、「わたし」を主語にして伝えましょう。つまり「私はあなたがこうなったらうれしいよ」というものです。当然ながら、時期やタイミングをみるべきでしょう。とりあえず今は「見られていると緊張する」という気持ちを受け止めましょう。と同時に、こう伝えてみてはいかがでしょうか。「緊張するのはわかったよ。無理に見ないよ。ただ、なぜ緊張するのかな?って考えて、何か出てきたら教えてくれるとうれしいな」島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2024年08月29日『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ』。西宮SSはラウンド32で、中国足球小将に敗退しました。負けはしたものの、体格に優れた相手に、持ち前の技術で対抗。体格差をものともしない技術で、鮮烈な印象を残しました。中国足球小将戦後、杉田勝彦監督と6番の足立旬翼くん、7番の鈴木悠太くん、名に、話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>体格差に技術で挑んだ西宮SSの選手たち写真:新井賢一<<ワーチャレ記事:大会を通じて柏レイソルU-12が見せた攻撃的スタイルの本質■ボールの置き場所にこだわっている、フィジカルが追い付けば技術で追い越せる杉田勝彦監督(C)新井賢一杉田勝彦監督――中国足球小将とは予選リーグに続き、2試合目の対戦でした。まずは初戦の感想をお願いします。フィジカル面では追いつけなかったのですが、相手チームが「ボールが取れない」と言っていたので、うちらしさは出せたと思います。――学年で言うと2学年上くらいの、体格差がある相手でした。それでもボールを隠して取られないようにしたり、ターンをしたりと、高い技術で対抗しました。うちはボールの置き場所にこだわっているチームです。今は体格差があるので勝てないかもしれないですけど、将来フィジカルが追いついた時に、技術で追い越していけると思ってやっています。ボールの置き場所、ステップ、タッチの速さ、ボールを触る前にフェイクを入れて相手を騙す、相手に線を見せずにパスを出すといったところにこだわっていて、それが日本人が世界と戦うために必要なことだと思い、小学生年代からやっています。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■世代別代表クラスの選手を輩出――『ワールドチャレンジ』は世界と戦う場ですが、Jクラブでも、中国チームほどのフィジカルを持つチームはありません。こんなに大きい相手とやるのは、初めての経験でした。予選リーグと決勝トーナメントと、2回できたのでありがたいです。――この経験を、選手たちにどう繋げていってもらいたいですか?今、取り組んでいるトレーニングが、将来、ヨーロッパの大きい選手、フィジカルの強い選手と戦っていくために必要な技術だと思うので、そこは大事にしてもらいたいです。――まさにOBの堂安律選手がそれを体現していますね。そうですね。うちから、毎年プロ選手や代表クラスの選手が出てきています。エゼモクェ・チメヅェ海(セレッソ大阪西/U-15日本代表)やヴィッセル神戸の瀬口大翔(U-16日本代表)、ガンバ大阪の長田叶羽(U-17日本代表)など、何人かいます。■「テクダマ」は反応のトレーニングになる西宮SSでは細かいステップとタッチで「足が埋まらない」トレーニングをしているそう写真:新井賢一――西宮SSは『テクダマ』をトレーニングに取り入れていますが、使ってみて、どのような感想をお持ちですか?思いもしないところにボールが動くので、反応のトレーニングになりますよね。足が出るというか、足が固まらない。うちは細かいステップとタッチで、足が埋まらないようにするトレーニングをしています。基本、ボールを失うのって、足が地面に埋まったときなんで。それと足が広がったとき、ボールが内側に入ったとき。そのために、なるべく細かいタッチとステップをして、足が埋まらないように練習しています。■みんなで全力を尽くせた試合後、選手たちに話を聞きました。インタビューを受けてくれたのは足立旬翼くん(6番)、鈴木悠太くん(7番)、山中蓮くん(25番)。インタビューに答えてくれた選手たち(C)新井賢一6番足立旬翼くん――試合の感想をお願いします。2点決められて、厳しい試合になったけど、最後はみんなで点を取りに行って、全力を尽くせたのでよかったです。――得意なプレーと、今日の試合で通用したと思うところを教えてください。得意なプレーは、裏へのスルーパスです。通用したと思うプレーは、ワンタッチプレーやドリブルです。――将来の夢を教えてください。日本代表に入って、遠藤航選手みたいになりたいです。■ヒールリフトとかいろいろな技をした7番鈴木悠太くん――試合の感想をお願いします。前半に1点決められて、厳しい状況になって、後半にもう1点決められたけど、飲水タイムが終わってから、みんながちょっとずつ自分の力を出し始めて、最後はいい試合になったと思います。――得意なプレーと、今日の試合で通用したと思うところを教えてください。得意なプレーはスピードに乗ったドリブルです。相手が疲れてきたときに、自分の得意なドリブルをして、ヒールリフトとかいろいろな技をしたのですが、通用したと思います。――将来の夢を教えてください。三笘薫選手みたいに、世界で通用するドリブラーになりたいです。■もっと技術を高めたい25番山中蓮くん――試合の感想をお願いします。グループステージで同じ相手とやって、みんな負けて泣いて、もう一回やることが決まって、みんなでめっちゃ喜びました。勝つ気持ちでいたけど、負けてしまったので、もっと技術を高めたいなと思いました。――得意なプレーと、今日の試合で通用したと思うところを教えてください。得意なプレーは細かいタッチでドリブルをすることです。通用したプレーはターンやドリブルで相手の股を抜くこと、ワンタッチパスです。――将来の夢を教えてください。自分は左利きなので、メッシみたいな選手になりたいです。ワールドチャレンジ2024の結果はこちら>>
2024年08月28日8月23日に行われた『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ』決勝戦。柏レイソルU-12は、バディーサッカークラブに0対4で敗れました。優勝はなりませんでしたが、大会を通じて、高い技術を生かした攻撃的なサッカーを披露。強烈なインパクトを残しました。決勝戦終了後、張ヶ谷知樹監督と高いテクニックで存在感を放った井出翼選手、キャプテンで守備の要・奥村翔依選手に話を聞きました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>ワールドチャレンジ2024決勝進出した柏レイソルU-12の選手たち写真:新井賢一<<ワーチャレ記事:東京ヴェルディジュニアが技術で上回るバルセロナの良さを消すためにとった対策■試合の入りがすべてだった張ヶ谷知樹 監督(C)新井賢一張ヶ谷知樹 監督――決勝戦の感想をお願いします。試合の入りがすべてというゲームでした。バディーさんが前から来る中で、僕らはそれを剥がしていこうという話をしていました。ゲームの入りは、流れをつかむために大きなプレーや相手の矢印を折るプレーが必要です。そこまで見えてプレーできていたかが、勝負の肝だったと思います。――立ち上がりに連続失点したことは、過去にこのチームではあったのでしょうか?今大会の初戦で、中国のチームに持っていかれたシーンはありました。ミスが重なってしまったこともあり、ゲームの入りについては、流れをつかむ意味でも、もう一度みんなで意思を合わせていく必要があると感じています。――優勝はできませんでしたが、とても良いチームでしたね。選手たちには、この大会に対する強い想いがありました。彼らは普段積み上げているものを、このような大きな舞台で発揮するために、日々トレーニングをしています。それをもっと表現したかったのですが、悔しい結果になってしまったので、次に生かしたいです。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■レイソルのアカデミーでサッカーの本質を教わった――今、監督になられて何年目ですか?U-12は去年から担当していて、6年生自体は2年目です。それ以前はU-11や10などのジュニアカテゴリーを見ていました。指導者としては6年目です。――28歳と若くして、名門のジュニアで監督をするプレッシャーもあるのではないかと想像しますが、そのあたりについては?いやぁ、そうですね。僕もアカデミー出身で、このクラブで育ち、クラブに対する愛があります。このクラブがどういう選手を育てたいかというのを、僕自身も教えてもらってきたので、それを選手たちに伝えたいと思って指導しています。――現役時代はテクニシャン系だったんですか?ボールを大事にプレーするタイプで、レイソル以外では活躍できなかったと思います。あ、別に活躍はしていませんが(笑)。僕はレイソルのサッカーが好きで、アカデミーでサッカーを教えてもらいました。サッカーの本質というか、今僕が大事にしているものは、レイソルで培ったものです。■ボールと自分の関係だけでなく、オフ同士の繋がりを大事にしている育成年代では、攻守において主導権を握り、ボールトスペースを支配することを大事にしている写真:新井賢一――レイソルの育成哲学は、どのようなことでしょうか?攻守において主導権を握り、ボールとスペースを支配するところは、どのカテゴリーでも大事にしています。ただ、カテゴリーによって獲得しやすいものや、その時期に獲得してほしいものもあります。それも踏まえて、学年ごとに少しずつ異なるものにフォーカスしている形です。――U-12年代で大切に指導していることは?U-12では、ボールを持っていない選手同士が繋がってプレーすることと、個人で相手を剥がしていくことを重視しています。11人制が始まるこの年代では、ジュニアユースに繋がることを考え、複数の選手と協力して、グループで相手を剥がしていくことが大切です。ボールと自分の関係だけでなく、ボールを持っていない選手同士の関係がとても重要になるので、オフ同士の繋がりを特に大事にしています。――その部分に関して、準決勝の川崎フロンターレU-12戦(3対0で勝利)では、表現できたのではないでしょうか?そうですね。うまく噛み合って、選手同士もいい距離感でプレーできたと思います。決勝戦でも、後半にそのようなシーンが何回か見られました。ただ、ゲーム状況を考えると、より前に行かないといけないこともあり、そのバランスが難しいところでしたね。■ゲーム状況を理解してプレーすることが大切――決勝は悔しい敗戦でしたが、選手たちには、次にどう活かしてほしいですか?決勝戦に関して言えば、ゲームの流れを読むこと、ゲーム状況を理解してプレーすることが本当に大切だと感じました。これは、今後彼らがサッカー選手として生きていく上で、非常に重要なことだと思います。今大会は普段の8人制から11人制に移行したことで、繋がる選手が増えたり、ピッチの大きさが広くなりました。彼らは将来、11人制でサッカーをしていくので、この段階で得たものを大切にしてほしいです。12月までは8人制が続きますが、この大会で感じたことを、個人個人に合わせてアプローチし、彼らの成長に活かしていけたらと思っています。■後半は自分たちのペースでボールを握れた試合後、選手たちに話を聞きました。インタビューを受けてくれたのは奥村翔依くん(4番)、井出翼くん(10番)。4番奥村翔依くん写真:新井賢一4番奥村翔依くん――決勝戦の感想を聞かせてください。2位という悔しい結果になってしまいました。自分たちの入りが悪くて、そこから流れも悪くなりましたが、後半は自分たちのペースでボールを握れていたので、そこは今後に繋がるかなと思います。――普段、どんなことを心がけてプレーしていますか?自分はバックなので、プレッシャーがかかる中でも、丁寧にプレーすることと、チームを引っ張っていくことを意識しています。――自分の特徴や得意なプレーは何ですか?対人や空中戦の対応です。――将来の夢を教えてください。プロサッカー選手になって、日本代表で活躍できるようになりたいです。■みんなで努力して、次の大会に生かしたい10番井出翼くん写真:新井賢一10番井出翼くん――決勝戦の感想を聞かせてください。前半の入りでセカンドボールなどが拾えず、気持ちから負けていました。それが試合の結果に出たと思います。後半は押していましたが、決めきれないところが今後の課題です。みんなで努力して、次の大会やこれからに生かしていきたいです。――準決勝では2点決めて、2つとも素晴らしいゴールでした。1点目は仲間から良いボールが来たので、コースを狙ってシュートを打つだけでした。2点目は、誰かが相手を引きつけてくれたのか、ドリブルのコースが空いたので、そこに入っていきました。シュートコースが見えたので、打ったら入りました。――テクニシャンですが、どのようなことを考えてプレーしていますか?目指しているのはゴールなので、常にゴールを見ながらプレーしています。ゴールの素振りを見せると、相手を引きつけることができて、仲間が空いたり、相手が来なかったらシュートを打ったりします。得意なプレーはドリブルやトラップです。――将来の夢と好きな選手を教えてください。将来の夢は日本代表に入って、ワールドカップで優勝することです。好きな選手は、メッシ選手です。ワールドチャレンジ2024の結果はこちら>>
2024年08月28日『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ』。横浜F・マリノスプライマリー追浜は、ラウンド32で川崎フロンターレU-12に敗退しましたが、続くスポーツクラブ和歌山ヴィーヴォまつえ戦に1対0で勝利。大会を勝利で締めくくりました。和歌山ヴィーヴォまつえ戦後、チームを率いる、山崎佑基監督に話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>横浜F・マリノスプライマリー追浜の選手たち(C)新井賢一<<ワーチャレ記事:決勝前半で4得点!強豪街クラブ、バディーサッカークラブが大会初優勝■攻撃的なサッカーを展開するというスローガンのもと一人ひとりがよくやった山崎佑基監督(C)新井賢一山崎佑基監督――1対0で勝利しました。試合前、どのように選手を送り出したのでしょうか?この試合は予選リーグで対戦した、和歌山さんと二度目の試合でした。6年生が9人しかいないので、最後は5年生主体でプレーしました。うちのクラブの「アタッキングフットボール」というフィロソフィーを11人制の中で体現しようという話をしました。――内容面はいかがでしたか?基本的には、しっかりボールを握りながら「攻撃的なサッカーを展開する」というスローガンのもと、一人ひとりがよくやってくれたと思います。――大会を通じての感想を聞かせてください。いろんな戦術を持っているチームと多く試合ができた中で、できた部分とできなかった部分があり、選手個々が感じるところがあったと思います。6年生は次、中学生になると11人制になるので、これがいい経験になってくれればと思います。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■個人戦術が備わっていなければグループ戦術もできない個人戦術を徹底して教えているそう(C)新井賢一――ジュニアユースに進む子も、外のクラブに行く子もいると思いますが、このチームでどのようなことを身につけてほしいと考えていますか?11人制であっても8人制であっても個人戦術は重要です。具体的には、ボールを持っているときとボールを持っていないとき、つまりオンとオフの状況です。守備のところも同じで、個人戦術が備わっていなければ、グループ戦術もできません。低年齢だからこそ、そこは徹底して教えています。ゆくゆく彼らがどこのチームに行ったとしても、重要な要素だと思うので、その部分を大事にしています。■ワーチャレは中学以降に向けて必要な経験になる――ワールドチャレンジは「世界にチャレンジする場」ですが、この大会の意義はどう感じていますか?普段、なかなか11人制のゲームをする機会がない中で、この大会には多くの良いチームが参加しています。6年生の半ばを迎えて、半年後に中学生になる選手たちにとって、必ず必要な経験になると思います。そういった意味で、この大会を捉えています。ワールドチャレンジ2024の結果はこちら>>
2024年08月27日『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ』。見事、優勝に輝いたのが、バディーサッカークラブ(神奈川)です。決勝戦では、強豪・柏レイソルU-12を4対0で下す、圧巻の勝利でした。チームを優勝に導いた梅澤勇人監督と、準決勝、決勝でゴールを決めた、田中譲選手。大会MVPの浅利蓮生選手に、話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2024優勝したバディーサッカークラブ(C)新井賢一<<ワーチャレ記事:決勝前半で4得点!強豪街クラブ、バディーサッカークラブが大会初優勝■梅澤勇人監督「立ち上がりの早い時間帯に点が取れた」 梅澤勇人監督(C)新井賢一梅澤勇人監督――優勝おめでとうございます。決勝戦を振り返って、感想を聞かせてください。最高です。嬉しいです。――立ち上がりから中盤のプレスがはまり、先制点に繋がりました。(相手の攻撃を)ペナルティエリアぐらいまでは我慢しようと思っていたんですけど、プレスがはまって、立ち上がりの早い時間帯に点が取れたのが勝因だと思います。――準決勝では先制された後に追いつき、決勝は無失点で勝ち切りました。大会を通じて、勝負強さを発揮していた印象ですが、どう感じていますか?バディーの歴史として、粘り強く、魂を込めて戦うところがあります。終了間際の得点や逆転勝ちが多いのがバディーなので、そこは受け継げているのかなと思います。――その辺りは普段の指導の賜物だと思いますが、向上させるために心がけていることは?最後は諦めないことと練習ですね。練習の量と質だと思います。普段から球際だったり、そういうところはしっかり厳しくやっていると思います。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■心や気持ちが強くなってきた――U-12監督という立場で何年目になるんですか?U-12の監督としては今年が初めてですが、この子たちが1年生のときから、僕が指導してきました。――下からの積み上げがあるんですね。そうですね。いろんな人たちのおかげで、ここまで来ることができました。成長という意味では、まだまだ子どもな部分がありますけど、心というか気持ちの部分が強くなってきたかなと思います。――U-12は上に繋げる年代ですが、大事にしていることは?ありきたりですが、常に全力で、練習をしっかりやることです。競争が多いチームなので、試合に出ていることに感謝の気持ちを持ってプレーすること。ピッチに立ったからには、戦うことが大切です。選手たちには「試合に出たい選手はたくさんいるんだよ」という話をしながら、「試合に出るからには、しっかりやろう」と言っています。――選手みなさん、運動能力が高いように見えました。どのような取り組みをしているのでしょうか?バディーは幼児体育もやっています。私たちスタッフは横浜を拠点にいろいろな幼稚園、保育園、子ども園に行き体育指導を行っています。選手の大半がそこで幼児の時期からサッカーだけで無く、いろいろな運動を経験し育っています。そんな環境で育つことがサッカーに繋がる部分の一つだと思います。■世界を肌で感じることがプロに繋がる――ワールドチャレンジは海外勢に挑戦する大会ですが、大会の意義についてはどう考えますか?いまの子どもたちは、世界のサッカーが身近にある環境にいます。世界を肌で感じることは、プロに繋がる一歩なのかなと思います。本当はバルサとやりたかったんですけど、バルサに勝った強いヴェルディさんとやれて良かったです。――MVPの浅利蓮生選手は、どのあたりが評価されたと思いますか?献身性と球際の強さ、狙いどころですね。彼があそこでガッツリ行ってくれたことで、1点目のゴールも生まれています。(ボールホルダーに)寄せて、プレーを遅らせることはみんなできるんですけど、そこで奪い切る力が、彼はすごいと思います。――監督も納得のMVP?そうですね。(大会側が)よく見てくれたなと思います。ほかに(決勝で2点決めた)田中譲や、(攻守の中心として活躍した)10番(徳武魅)とかも、見てくれているかなと思っていました。■チームのために点を取れるように意識している試合後、選手たちに話を聞きました。インタビューを受けてくれたのは田中譲くん(7番)、浅利蓮生くん(19番)。7番田中譲くん(C)新井賢一7番田中譲くん――決勝戦の感想を聞かせてください。コーナーのこぼれから2ゴールできて、チームも4対0で勝てて本当に良かったです。 ――準決勝でも点を決めましたが、普段から点を取るタイプの選手なのですか? はい。チームのために点を取れるように、普段から意識しています。 ――得意なプレーは? 前を向いた状態から仕掛けたり、オフ・ザ・ボールの動き出しから点を取るプレーです。 ――好きな選手と将来の目標は? クリスティアーノ・ロナウド選手が好きで、将来は世界で活躍する選手になりたいです。 ――優勝という結果で終わりましたが、自分にとって、どういう大会でしたか? 正直に言うと、バルサとやりたかったんですけど、11人制という、いままでとは違う大会で優勝できたことは、良い経験になったと思います。■守備でボールを奪い、攻撃に繋げるプレーが良かった大会MVP19番浅利蓮生くん(C)新井賢一19番浅利蓮生くん――優勝とMVPおめでとうございます。この大会はどんな大会でした? 海外からいろんなチームが来て、11人制なので難しい部分もあったのですが、チームが一つになって、優勝できた大会でした。 ――MVPに選ばれると思っていましたか?いや、全然思っていませんでした。――監督が「ボールを奪い切るプレーが素晴らしい」と言っていましたが、自分としては? そこが武器なのでもっと伸ばして、全体的にバランス良く、武器を活かしながらプレーできたらいいなと思います。 ――この大会で通用したプレーは?守備でボールを奪ってから、攻撃に繋げるプレーが良かったんじゃないかなと思います。決勝の1点目もその形でした。――将来の目標と好きな選手は? 将来の目標はプロサッカー選手になって世界で活躍すること。好きな選手は自分のプレースタイルとは違うのですが、三笘薫選手が好きです。チームを勢いづけるプレーをして、チームを勝たせられるところが好きです。 ――今後に向けて、気持ちを聞かせてください。 優勝できて嬉しいですし、これから次の全国大会の関東大会があるので、そこでも自分のプレーをして、チームを勝たせられる選手になれたらいいなと思います。ワールドチャレンジ2024の結果はこちら>>
2024年08月27日千葉県のフクダ電子アリーナで開催中の『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ』。最終日となる23日は、準決勝、3位決定戦、決勝戦が行われました。優勝を果たしたのは、バディーサッカークラブ(神奈川)。準決勝で東京ヴェルディジュニア、決勝で柏レイソルU-12を下し、堂々のチャンピオンに輝きました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>(決勝では前半で4得点、柏レイソルを下し優勝したバディーサッカースクール写真:新井賢一)<<関連記事:東京ヴェルディジュニアが技術で上回るバルセロナの良さを消すためにとった対策 ワーチャレ3日目■バルサに勝った東京ヴェルディジュニアはPK戦で3位決定戦にまわる準決勝第1試合は、東京ヴェルディジュニア対バディーサッカークラブ。主導権を握ったのは、ラウンド16でFCバルセロナに勝利した東京ヴェルディジュニアでした。前半25分、バルセロナ戦でもゴールを決めたエースの山本崇翔選手がスルーパスに抜け出すと、GKが出てきたところを浮き球で流し込み、東京ヴェルディジュニアが先制します。しかし、バディーサッカークラブも意地を見せます。後半7分、鈴木朝陽選手が左サイドを得意のドリブルで突破すると中央にクロス。これを田中譲選手が詰めて、同点に追いつきます。勝負の行方はPK戦に委ねられると、終了間際にPK戦用に投入されたGK園田純也選手が、ヴェルディの3人目をストップ。素晴らしいセービングでチームを勝利に導きました。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■柏レイソル対川崎フロンターレのJクラブ対戦はレイソルが勝利もう1つの準決勝は柏レイソルU-12対川崎フロンターレU-12。この試合、柏のファンタジスタ、背番号10をつける井出翼選手が躍動します。前半8分、右からのパスを中央で受けると、ゴール左に狙いすましたシュートを突き刺し、レイソルが先制します。前半25分には、再び井出選手が鮮やかなミドルシュートを沈めて2対0。後半アディショナルタイムには眞下竜輝選手がダメ押しゴールを決め、柏レイソルU-12が決勝に駒を進めました。■3位決定戦はゴールゲッターの才能が光ったその後、行われた3位決定戦は、東京ヴェルディジュニアが川崎フロンターレU-12から3ゴールを奪って勝利。山本崇翔選手は、この試合でも2ゴールを決め、ゴールゲッターの才能をアピールしました。■決勝戦は前半で勝負あり、大会MVPに選ばれたのは優勝チームの......そして迎えた決勝戦。バディーサッカークラブ対柏レイソルU-12の試合は、意外にも大差で決着がつきました。前半3分、バディーサッカークラブが矢ヶ部敢太郎選手のミドルシュートで先手を取ると、6分、8分とコーナーキックの流れから田中譲選手が連続してゴールを決め、早々に3点のリードを奪います。攻撃の手を緩めないバディーサッカークラブは、前半22分に関智也選手がミドルシュートを決めて4対0。その後も、粘り強い守備で強力な柏攻撃陣を封じ込め4対0で勝利。攻守にアグレッシブな姿勢を見せたバディーサッカークラブが、見事優勝を果たしました。大会MVPに選ばれたのは、鋭い出足で相手の攻撃の芽を摘み、先制ゴールの起点になった浅利蓮生選手(バディーサッカークラブ)でした。4日間に渡って熱戦が繰り広げられた、『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ』。参加した選手たちにとって、夏の終わりにかけがえのない経験ができたことは間違いありません。12回目を迎えた『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ』ですが、過去の参加者の多くがプロになり、ワールドカップやオリンピック、欧州選手権などで、国を代表して戦っています。はたして、今大会に出場した選手の中に、彼らに続く選手は現れるのでしょうか?大会に参加した選手たちの今後が楽しみです。ワールドチャレンジ2024最終日の結果はこちら>>
2024年08月23日『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ』。8月22日に行われたラウンド16で、FCバルセロナに勝利したのが、東京ヴェルディジュニアです。攻守に高い強度でプレーを展開し、チャンスを確実にゴールに結びつけました。この試合で活躍が光った3人の選手と松尾洋監督の試合後のコメントを紹介します。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>(2-0でバルセロナに勝利した東京ヴェルディジュニア写真:新井賢一)<<関連記事:バーモントカップ優勝の戸塚FCJはインドネシアチームと熱い攻防を見せたワールドチャレンジ2日目結果 ■バルサはパスをギャップに入れてくるので大変だった(バルサとの対戦を楽しみにしていたという松本くん写真:新井賢一)3番 松本眞大朗くん――バルセロナと試合をした感想を聞かせてください。バルサとの試合を楽しみにしていたので、やれて良かったのと、味方が点を取ってくれて、最後まで守りきれたので良かったです。――バルサの印象は?パスをどんどんギャップに入れてきたり、ボールを回してくるので大変でしたが、キーパーとか、みんなが引っ張ってくれたので良かったです。――自分のプレーで通用したと思うところは?フィジカルは通用したと思います。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■狙い通りにシュートが打てた(バルサにも自分のスピードが通用したと感じたと教えてくれた山本くん写真:新井賢一)7番 山本崇翔くん――バルセロナと試合をした感想を聞かせてください。パス回しやワンタッチプレーが凄かったです。中盤でパスコースを切ってはいるんですけど、サイドに出されて、そこから一気に前に運ばれるのが嫌でした。――自分のプレーで通用したと思うところは?スピードは通用したと思います。――得点場面もドリブルで独走していましたね。ハーフウェイラインを過ぎたあたりでボールをもらって、そこから前向きに仕掛けて、スピードで抜いていきました。――シュートまでのイメージがあった?最初は縦に行って、ゴール前に差しかかかったところで中に行って、シュートを打とうと思っていました。狙い通りにできました。――守備の時間が長かったですが、攻撃でボールをもらったときはどういうことを意識していましたか?自分でドリブルをしてゴールを決めたいので、とにかくドリブルをして決めようと思っていました。■2点目につながったプレーは狙っていた(ビッグセーブを連発した木村くん写真:新井賢一)1番木村航之介くん――バルセロナと試合をした感想を聞かせてください。相手はパスを回してきたので、逆サイドでサイドバックの人と1対1になることも多かったのですが、中への折り返しの対応が、チームとしてよくできました。――2点目は、キーパースローを素早く左に展開したところから始まりました。狙っていたプレーだったのでしょうか?はい。みんな足が速いので、そこにボールを投げて行くぞって感じでした。――ビッグセーブを連発しましたが、自分のプレーについては?良かったプレーもありましたが、課題もあったかなと思います。■監督が語るバルサの良さを消すためにとった戦い方(攻守にわたってハードワークを続けた選手たちを称賛した松尾監督写真:新井賢一)松尾洋監督――バルセロナに2対0で勝利しました。試合を終えて、どのような感想をお持ちですか?苦しい戦いでした。予選から試合を見ていた中で、テクニカルでポジションをしっかり取るスタイルはわかっていたので、いかにその良さを消すか。プレスをかけてしっかり守って、いい形で攻撃に繋げることができればと思っていました。この試合では、そこのところで良い部分が出たのかなと思います。――得点場面は相手の背後を突く形でしたが、イメージ通りだったのでしょうか?はい。相手の背後を狙うことや、ボールを奪った後のワンプレーでスペースを突くことは意識してやらせました。守備に関してはみんながスライドして走って、しっかり守ってくれました。僕もピッチサイドから、声をかけながらやりましたけど、よく走ってくれたと思います。――全員のハードワークが素晴らしかったです。日本チームにも意地があるし、負けられない気持ちがありました。試合前も「バルサだからとかは関係なく、いつも通りやりましょう」という話をした中で、頑張りを見せてくれたので良かったです。■バルサに逆を取られる場面は多かった――試合をしてみて、バルセロナの印象は?やっぱり上手いですよ。狙いを持って奪いに行ったのに、ワンタッチで剥がされたり、いいところにスパンッてパスを入れられたり、逆を取られて運ばれる場面は多かったですよね。ただ、この試合に関しては、何度かあったオフサイドを含めて、あまり合っていなかった印象を受けました。あそこでしっかりと繋がっていたら、違った展開になったのかなとは思います。■ボールを相手が触れられないところに置くことにこだわっている――今までバルサと対戦した日本のチームは、ボールを奪ったとしても、すぐに奪い返されたり、顔を上げられないことが多かったのですが、ヴェルディの選手たちは奪いに来られても相手を外すとか、いなして前にボールをつけることができている印象を受けました。そこは、こだわりながらトレーニングしているところです。相手の逆をとったり、ボールを相手から隠したり、触れないところにボールを置くことはこだわって練習しているので、バルサを相手にしても、日頃やっていることが自然に出たのは良かったと思います。■バルサとの対戦は子どもたちにとっていい経験――『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ』は、世界に挑戦する大会ですが、この大会の意義やバルサと試合ができたことについては?みんながバルサとやれるわけではないので、子どもたちにとっていい経験になったと思います。実際に(ヴェルディジュニア出身の)山本理仁(シント・トロイデン)は、第1回大会に出て、(当時バルセロナの)エリック・ガルシアたちと試合をしています。そして今回のパリ五輪で再戦しているので、そういう姿を見ると、感慨深いものがありますよね。今回の選手たちも10年後ぐらいに、今日のメンバーと真剣勝負ができるようになってもらいたいと思っているので、その意味で、意義のある試合だったと思います。ワールドチャレンジ20243日目の結果はこちら>>
2024年08月23日千葉県のフクダ電子フィールド/フクダ電子スクエアで開催中の『U12ジュニアサッカーワールドチャレンジ』。3日目を迎え、ラウンド32、ラウンド16、準々決勝が行われました。この日、優勝候補のFCバルセロナが敗退。勝利したのは、攻守に高い強度でプレーし続けた東京ヴェルディジュニアでした。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>(大観衆の中行われたバルセロナ対東京ヴェルディジュニアの一戦写真:新井賢一)<<関連記事:バーモントカップ優勝の戸塚FCJはインドネシアチームと熱い攻防を見せたワールドチャレンジ2日目結果 ■大観衆のなか行われた東京ヴェルディジュニアvsバルセロナ(東京ヴェルディジュニアは始めから終わりまで攻守にわたって強度の高いプレーでバルサを完封した写真:新井賢一)ピッチサイドに溢れんばかりの観衆が詰めかけたラウンド16。東京ヴェルディジュニアとFCバルセロナの一戦は、開始早々のゴールで幕を開けました。前半5分、東京ヴェルディジュニアの山本大翔選手が右サイドからシュートを流し込み、先制点を奪います。1点ビハインドのバルセロナは、フォデ・ディアロ・コンデ選手とダビッド・モレノ・ロビラ選手を軸に攻撃を展開しますが、GK木村航之介選手と松本眞大朗選手を中心に跳ね返します。すると前半16分、左サイドでボールを受けた山本崇翔選手がドリブルで切れ込み、強烈なシュート。観衆もどよめく一撃でリードを2点に広げます。1点返したいバルセロナは猛攻を繰り広げますが、東京ヴェルディジュニアは体を張った固い守備でシャットアウト。2対0の完勝で、見事な勝利を果たしました。東京ヴェルディジュニアは、続く準々決勝でFC ZEROに1対0で勝利。準決勝に駒を進めました。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■もう一つの優勝候補と目された中国足球小将も敗退、関東勢がベスト4独占(川崎フロンターレはラウンド16でトリアネーロ町田に逆転勝利写真:新井賢一)その他の準々決勝では、バディーサッカークラブがWings U-12に4対0。川崎フロンターレU-12が、優勝候補の中国足球小将にPK戦の末に勝利。柏レイソルU-12が、千葉県トレセン選抜U-12に4対0と大量得点で勝利しました。ついに明日23日が最終日。準決勝のカードは1試合目が東京ヴェルディジュニア対バディーサッカークラブ。2試合目が川崎フロンターレU-12対柏レイソルU-12に決まりました。関東勢がベスト4を独占した今大会。果たして、優勝するのはどのクラブなのでしょうか?■最終日はプロのピッチが舞台入場無料なので夏休みの思い出にも準決勝1試合目は、フクダ電子アリーナで9時キックオフ。2試合目は10時10分キックオフです。3位決定戦を挟み、15時からは決勝戦が行われます。この世代トップクラスの試合が見られること、間違いありません。入場無料なので、夏の終わりの激闘を観にぜひスタジアムへ足を運んでみてはいかがでしょうか。ワールドチャレンジ20243日目の結果はこちら>>
2024年08月22日千葉県のフクダ電子フィールド、フクダ電子アリーナで開催されているU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジの2日目が行われました。グループリーグ、ラウンド32の結果をレポートします。(取材・文:鈴木智之/写真:新井賢一)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>(女子の選抜チームは今大会初出場となる写真:新井賢一)<<関連記事:バルセロナは2連勝で早くも決勝トーナメント進出決めるワールドチャレンジ初日■バルサは今回初出場となる女子選抜と対戦(最後まで体を張ってボールに食らいつく姿勢を見せてくれたJSWCなでしこ選抜写真:新井賢一)注目のFCバルセロナは、今大会が初参加となる女子の選抜チーム、『JSWCなでしこ選抜』と対戦。試合はバルセロナがボールを保持し一方的に押し込む展開ながら、なでしこ選抜はGK山岡千鶴選手の好セーブを中心に、前半を1失点で折り返す大健闘。最終スコアは4対0でしたが、最後まで体を張ってボールに食らいつく姿勢は、強く咲き誇るなでしこの花のようでした。(バルセロナはFC BASARA HYOGOに勝利しラウンド16進出を決めた写真:新井賢一)予選リーグ3連勝でラウンド32進出を決めたバルセロナは、続いてFC BASARA HYOGO U12と対戦。前半8分にアラン・ガルシア選手のミドルシュートで先制すると、17分にもサナ選手が豪快なシュートを決めて勝負あり。後半にも1点を追加し、トーナメントに入ると一段ギアを上げる、バルサらしいエンジンのかかり具合で、ラウンド16進出を決めました。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■元興国高校・内野監督が監督を務めた街クラブ選抜の結果は......前・興國高校監督の内野智章さんが監督を務めることで注目を集めた、大和FUTURESはラウンド32で強豪・東京ヴェルディジュニアと対戦。一時は同点に追いつくなど、チーム一丸となり戦いましたが、1対4で敗戦。ラウンド16進出はなりませんでした。■バーモントカップ優勝の戸塚FCJは強力な個の力を誇るインドネシアのチームと激突(バーモントカップ優勝の戸塚FCJはインドネシアのアシアナサッカースクールと一進一退の攻防も......写真:新井賢一)強力な個の力を誇る、アシアナサッカースクール(インドネシア)は、ラウンド32で戸塚FCJと対戦。戸塚FCJは先日行われた、フットサルの全国大会『バーモントカップ』で日本一に輝いた注目チームです。試合は戸塚FCJが、小島維地太選手の豪快なゴールで先制すると、アシアナも強力な攻撃陣が食い下がり、一点を返す攻防が続きます。引き分けのまま試合は終わり、勝負の行方はPK戦へ。全員が成功したアシアナに対し、1人が失敗した戸塚FCJ。悔しい敗戦となりました。大会は明日、3日目を迎え、ベスト16が出揃いました。また下位トーナメントも行われるため、たくさんの試合が繰り広げられます。バルセロナを始めとする海外勢はもちろんのこと、日本各地から集まった強豪クラブの試合を見ることで、プレーや指導のヒントが得られることは間違いありません。入場無料なので、会場のフクダ電子スクエアに足を運んでみてはいかがでしょうか?ワールドチャレンジ20242日目の結果はこちら>>
2024年08月21日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジで、街クラブ選抜の『大和ハウスFUTURES』を率いるのが、昨年まで興國高校サッカー部の監督を務め、毎年のようにプロを輩出してきた内野智章さんです。選手育成に定評ある内野さんに、初めてジュニア年代のチームを率いた感想をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>(内野監督が選手選考の段階からかかわった大和ハウスFUTURES写真:新井賢一)<<初日結果:バルセロナは2連勝で早くも決勝トーナメント進出決めるワールドチャレンジ■初戦のシステムはレバークーゼン方式――初戦は3対0(vs.Fibra Football Club U-12)、2戦目は2対2(vs.V・ファーレン長崎)でした。選手個々の能力が高く、フィジカルもあり、これぞ選抜チームという印象でしたが、2試合を振り返ってどのような感想を持ちましたか?内野:今回、システムは3‐6‐1で、レバークーゼン方式でやっています。3バックにはスピードのある選手を選び、ウイングにはドリブルが得意な選手、センターフォワードは体の大きい選手を起用しています。すばしっこいドリブラーを中盤に固めて、自分のやりたいサッカーを実践できる選手を選んだので、かなりうまくいっています。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■選手選考では興国高校式でドリブラーを重視――個性を活かすというか、キャラクターが重要なんですね。選手選考の段階から関わったのですか?内野:はい。興國高校方式で、とにかくドリブラーを重視しました。小柄な選手は中央に、大柄な選手はサイドに配置するなど、徹底しています。――V・ファーレン長崎戦のハーフタイムでは、戦術的な立ち位置の指示もしていました。内野:相手は4‐3‐3で、うちは中盤ボックス型のダブルボランチ+2シャドーでした。相手の中盤と噛み合ってしまったので、ずらすために中盤をダイヤモンド型に変えました。――そうすると、間のポジションを取りやすくなりますね。内野:選手たちは能力も高いし、走れるので、相手の3トップに対して3バックで守りました。せっかくこの舞台に来ているので、1対1の技術も上達してほしい。そのために「カバーはいないぞ!」と伝えて、1対1で守ることを徹底しています。■バルセロナとの対戦を意識して選手選考(普段の環境と違う中で自分を出せるようになってほしいという内野監督写真:新井賢一)――大和FUTURESの選手たちは個の能力が高いので、バルセロナと試合をすると、面白いのではないかと感じました。内野:それを想定して選手を選んでいます。重視したのはスピードのある選手、ドリブルが上手い選手です。そして中盤の後ろには、賢い選手を配置しています。所属クラブでサイドバックをやっている選手がいるのですが、彼は(元ドイツ代表の)ラームのような選手になると思ったので、「君は中盤の方が合っているよ」と伝えました。すると「本当ですか?」と驚いていました。体はまだ小さいのですが、守備の感覚が素晴らしく、ボランチにコンバートしたところ、抜群の能力を発揮しています。――選抜チームの監督をする機会はなかなかないと思いますが、好きな選手を選べることについては?内野:選考した選手が思い通りに動いてくれるので、とても楽しいです。代表監督のような感覚ですね。ただイメージと違うのは、ケガとメンタル面です。今時の子どもたちなので、すぐに足が痛いとか、しんどいとか言い出します(笑)。それと、攻撃の主力にケガ人が出て、離脱してしまったのはとても残念です。彼らも悔しいと思いますが。■普段のチームとは違う環境の中で自分を出せるようになってほしい――このチームに選ばれた選手たちに、どのような経験をしてほしいですか?内野:まずはバルセロナと対戦できたらいいなと思います。それと、普段のチームとは違う環境の中で、自分を出せるようになってほしいです。それはずっと言っています。自分の考えを言わせたり、話をさせたり、感想を話したりするように促しています。あとこだわっているのは、「君たちはボールを扱うのが上手いから、ボールゲームはもうできるでしょ。この大会は海外のチームも来るし、選抜だし、ボールゲームじゃなくてボードゲームをしよう」と伝えています。――ボールゲームじゃなくてボードゲーム、ですか。内野:はい。相手を見て、攻撃も守備もどうすればいいのか。どういうふうに陣取り合戦をするのかを考えさせています。昨日も選手たちに書かせて、相手が4‐4‐2だったらどうする、4‐2‐3‐1だったらどうするかを考えさせました。その理解がとても早いのは、嬉しい誤算でした。■選手たちはポジションごとの役割についての理解がとても早い(監督がやりたいサッカーとポジションごと役割の理解が早い選手たち写真:新井賢一)――今時の子どもたちは、普段からそのような情報に接しているんでしょうか。内野:最初はみんな戸惑っていましたが、理屈が分かってきたので、飲み込みが早いです。最初にしたのは、プレーモデルの説明です。ポジションを番号で表記して、キーパーが1、スリーバックが2、3、4、ダブルボランチが5、6。ウイングが7、トップ下が8、センターフォワードが9、もう一人のトップ下が10、左ウイングが11で、番号で覚えさせました。――わかりやすいですね。内野:例えば5番はスリーバックなので、センターバックの1つ前に出たようなイメージで守備をします。6番はゲームを作るバランサーの役割。8番は攻撃的なバランサー。10番は点も取るし、アシストもするし、ドリブルもする。9番は自由に動いて点を取る。11番と7番はとにかく仕掛ける。2番はサイドバックとセンターバック。3番はセンターバックとボランチ。4番はセンターバックと左サイドバック。それぞれのポジションを数字で示して、役割を説明し、「このシステムだから、ここに優位性を持って、こういうサッカーをしたい」というのを、大会前日の練習試合で落とし込みました。その理解がめちゃくちゃ早いんです。――ピッチの中で具現化するのは難しいですが、試合を通じてチャレンジする姿が印象的でした。内野:もっとボールプレイヤーばかりなのかなと思っていたのですが、ドリブルが上手くて、すばしっこい中でも、賢さがある選手を選んでいます。能力のある選手がそろっているので、これからが楽しみです。ワールドチャレンジ2024初日の全チーム対戦結果はこちら>>
2024年08月21日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ初戦で、FCバルセロナと対戦した、ジェフユナイテッド市原・千葉U-12。終了間際にバルセロナにゴールを決められ、0対1で敗れましたが、見事な戦いで会場を沸かせました。今大会で通算3度目のバルセロナ戦となった、ジェフ千葉の茂垣将太監督に、話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之/写真:新井賢一)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>(堅い守備で優勝候補バルセロナを追い詰めた写真:新井賢一)<<昨年大会:バルサが決めればジェフが追いつく一進一退の好ゲームもワールドチャレンジ2日目■狙いは奪ってからのショートカウンター(ボールを奪ってからのショートカウンターを狙っていた写真:新井賢一)――今回の試合では、過去一、相手を追い詰めた印象がありました。試合を振り返って、感想をお願いします。茂垣:ある程度、我々が狙っていた展開に持ち込めたと思います。狙いは、ボールを奪ってショートカウンターを仕掛けることでした。これは例年の戦略でもあります。バルセロナの能力を考えると、現実的にそのような形になるのはしょうがないかなと思います。――茂垣さんにとって、バルセロナと3度目の対戦となりましたが、過去の経験を踏まえて、準備したことはありますか?茂垣:基本的な戦い方は毎年変わりませんが、今回は守備のオーガナイズを意識しました。失点してしまいましたが、後半は相手を抑えられたと思います。また、ボールを奪った後のカウンター攻撃については、今年は前線に能力の高い選手がいるので、それを意識しました。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■ジェフがとったバルサのサイド対策――バルセロナには、毎年サイドに速い選手がいます。そこは例年の課題だと思いますが、今回はどのような対策をしたのでしょうか?茂垣:サイドの対応は、サイドバックとセンターバックでカバーしながら行いました。うまく相手を抑えられていたと思います。DFの間をパスで割られたり、サイドをえぐられる場面もなく、大きく崩されることはほとんどありませんでした。――ショートカウンターを仕掛けるには、高い位置でボールを奪う必要がありますが、リスクもあります。その難しさについては、どう感じましたか?茂垣:初戦ということもあり、また0対0の状況が長かったので、リスクを抑えた戦い方をしました。もちろん、より積極的に攻めればチャンスは増えたかもしれませんが、逆に失点するリスクも高まっていたでしょう。実際、初めてバルサと試合をしたときは、積極的な戦い方をして、失点してしまった経験があります。今回は最後にカウンターからチャンスがあったので、そこで決められれば良かったです。ただ、シュート数で言えば、相手とそれほど変わらなかったのではないでしょうか。■バルサは試合巧者緊張感のある中でも自信をもってボールを扱えている――バルセロナとの試合を終えて、選手たちにどんなことを伝えたいですか?茂垣:去年もそうでしたが、今年も最後に一瞬の隙を突かれて失点してしまいました。相手は毎年、試合巧者というか、勝負強さを持っています。ボール保持の面では、緊張感のある環境の中で、バルセロナの選手たちは自信を持ってボールを扱えるのに対し、我々の選手たちはまだそこまでには至っていません。我々も同様のスタイルを目指しているからこそ、そこを突き詰めていく必要があると感じてました。■選手たちが自信を持って戦えるようなコーチングを心がけている(選手たちが勇気と自信をもって戦えるような声かけを心がけている写真:新井賢一)――茂垣さんの試合中のコーチングが印象的でした。選手の背中を押しつつ、的確な指示を出されていましたが、コーチングで心がけていることはありますか。茂垣:このような試合では、戦術的な指示も重要ですが、何より選手たちが勇気を持って、自信を持って戦うこと。「自分たちはできる」という思いを持ってゲームに臨むことが大切です。その上で、彼らが困っていることに対して、アドバイスを与えたいと思っています。戦術的な指示だけでは気持ちがついてこないので、メンタル的な部分も踏まえて、両方のアプローチが必要だと考えています。――過去の大会を通じて、ジェフの選手たちがボールボーイをしたりと、バルサの試合を間近で試合を見る機会があったそうですね。茂垣:はい。この試合でも、ピッチの横で応援していた選手たちは、去年出場していた中学1年生と今の4年生、5年生です。この3年間、ワールドチャレンジに参加させてもらっているので、その経験が少しずつ生きて、クラブ全体としても成長していると感じています。■元ジェフの工藤浩平さんと役割分担しながら指導している――今大会では工藤浩平さん(ジェフのアカデミー出身でトップチームまで昇格)がコーチとしてベンチに入っていました。どのような役割分担をしているのでしょうか?茂垣:私が監督で、彼がコーチという関係です。現役時代の経験を生かし、セットプレーを中心に担当しながら、チーム戦術についても的確なアドバイスをしてくれています。私が話す前に、彼が選手に声をかけてくれたり、アドバイスをしてくれるので、非常に助かっています。現役時代同様、広い視野で子どもたちに関わってくれていて、去年引退したばかりでバリバリ動けるので、トレーニングにも入ってもらっています。――バルセロナとは0対1の惜敗でしたが、2試合目以降の結果次第で決勝トーナメントで再戦の可能性もありますね。茂垣:はい。それを目指して頑張ります。ワールドチャレンジ2024初日の全チーム対戦結果はこちら>>
2024年08月20日本日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジが開幕。千葉県のフクダ電子スクエアで行われた大会初日。暑い日差しが照りつける中、熱戦が繰り広げられました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>(U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2024ジェフ千葉とバルセロナが対戦)<<昨年大会はFCバルセロナが初出場のソレッソセレクトとの対戦を制し優勝■バルサは初日2勝で決勝トーナメント進出決定注目のFCバルセロナは、初戦でジェフユナイテッド千葉と対戦。ジェフの堅い守備と素早い攻守の切り替えに攻めあぐねる展開ながら、終了間際にゴールを決め、1対0で勝利しました。試合後、ジェフ千葉の茂垣将太監督は「去年もそうでしたが、今年も最後に一瞬の隙を突かれて失点してしまいました」と悔しがる一方、「守備に関してはある程度やれましたし、相手を抑えることはできたと思う」と、選手たちを称えていました。バルセロナはその後、F.C.ENFINI(岐阜)と対戦。一方的にボールを支配し、4対0で快勝。2連勝でラウンド32(=決勝トーナメント)進出に大きく前進しました。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■大和ハウスFUTURESは選抜チームと思えないコンビネーションを披露前・興國高校監督で、プロを30人以上輩出した、内野智章氏が監督を務める、大和ハウスFUTURESは、選抜チームとは思えないコンビネーションを披露。内野監督も「戦術面での飲み込みが早い」と驚くほどで、終始アグレッシブなプレーを展開し、Fibra Football Club(北海道)に3対0で勝利すると、元Jリーガーの松下年宏氏が率いる、V・ファーレン長崎に2対2の引き分け。攻撃の主力をケガで欠く厳しいチーム事情の中、1勝1分と好発進を見せました。■「ワールドチャレンジ」の名の通り、国際色豊かな大会「ワールドチャレンジ」の名前のとおり、たくさんの海外勢が参加するのも、この大会の醍醐味です。グループリーグ2試合を終えて、インドネシア・ジャカルタから来日した、アシアナサッカースクールが2連勝を達成。ミャンマーサッカー協会の選抜チーム、MyanmarU-12も1勝1分で健闘するなど、国際色豊かな対戦が繰り広げられています。大会は23日まで開催。入場無料なので、ぜひ足を運んでみてください。バルセロナの個の強さ、チームとしての完成度はもちろんのこと、各地の予選を勝ち抜き、本大会にたどり着いたチームのプレーから、たくさんの発見や学びを得られることでしょう。ワールドチャレンジ2024初日の全チーム対戦結果はこちら>>
2024年08月20日子どもが夏休みで普段より接する時間が多く、サッカーと子育てについて考えることも増える時期ではないですか?本日は、少年サッカーの保護者向け情報サイト「サカイク」で2024年1月から7月に配信した記事の中でみなさんの注目度が高かった、親からのお悩み相談記事をランキングでご紹介します。サッカーを頑張るわが子をサポートするための参考になることがたくさんありますので、記事配信当時に見逃した方も、いま一度ご覧ください。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>第3位息子は補欠。私は若いママたちのノリについていけず孤独。サッカーが苦痛です問題第3位は、チームのママたちと距離感が合ってツライという相談記事でした。スポ少のお母さんたちと年齢差があることもあり、距離を置かれていて切ない。ママ友を作る場じゃないことは分かっているけど、試合当番だと朝から同じ場にいなければならない。子どもはずっと補欠だし、話し相手になるママもいない。それなのに長時間拘束されるのが苦痛でたまらない、というご相談です。スポ少に限らず、子どもの年齢は一緒でも親は年齢差があったりすることはよくあるので、共感された方も多いのでは。島沢優子さんが授けた、親の心を軽くするアドバイスをいま一度ご覧ください。記事を読む>>第2位試合があることさえ知らされない息子が情けない。移籍したほうがいいかな問題第2位は、試合があったことをチームのインスタで知ってショックという記事。試合があったことをチームのインスタで初めて知る、ということが何度もあった。同級生は呼ばれているのに息子が呼ばれてない。親として恥ずかしいしショック。これから頑張っても試合のメンバーに選ばれないなら移籍すべき?というご相談。チームとして試合の連絡をどうするかはクラブによって違うかもしれませんが、試合があったことすら知らされない、というのは衝撃ですし気になった方が多かったようです。ショックを受けた親御さんの心を癒すアドバイスをご覧ください。記事を読む>>第1位努力もしないのに「プロになりたい」なんて気軽に言わないで!自主練もしないのに「上手くなりたい」などと言って欲しくない問題第一位は、子どものやる気、向上心についての相談記事。子どもがやりたいと言うからサッカーをさせているのに、やる気が見えないとイライラしてしまいますよね。親としては、向上心と自主性が大事であり、継続して練習を行うことが一番の上達方法だと思っている。なのに、自主練もしないし向上心もないなら気軽に「上手くなりたい」なんて言って欲しくない。という正直なお悩みに共感した親御さんが多かったようです。そんな親御さんに授けた島沢優子さんのアドバイスを改めてご覧ください。記事を読む>>いかがでしたでしょうか。これからも親御さんご自身が子どものサポートについて考えるきっかけになったり、チームがよくなるきっかけになる記事を配信していきますので、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2024年08月16日子どもが夏休みで普段より接する時間が多く、サッカーと子育てについて考えることも増える時期ではないですか?本日は、少年サッカーの保護者向け情報サイト「サカイク」で2024年1月から7月に配信した記事の中でみなさんの注目度が高かった、親のかかわり方に関する記事をランキングでご紹介します。サッカーを頑張るわが子をサポートするための参考になることがたくさんありますので、記事配信当時に見逃した方も、いま一度ご覧ください。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>第3位2児の父・松井大輔さんが語る、サッカー少年少女が「楽しい」「上手くなりたい」と思うようになる親のかかわり方第3位は、松井大輔さんのインタビュー記事でした。元Jリーガーで、フランス、リーグ・アンなど海外経験も豊富な松井大輔さんの子育て論。松井大輔さんが実践している子どものやる気の引き出し方は、「ああしろ」「こうしろ」といった命令口調でないのに、「自分もやろう!」と気持ちが刺激される方法でした。サッカー上達に一番大事なのは本人のやる気です。子どものやる気を引き出したい保護者の皆さんは、いま一度ご覧ください。記事を読む>>第2位「サッカー少年少女の親として何より大事なのは、子どもをプロにすることではない」昌子源選手の父・昌子力さんが語る親の心得第2位は、昌子源選手のお父さん、昌子力さんのインタビュー記事。息子の昌子源選手(町田ゼルビア)はプロになり、日本代表としてワールドカップにも出場しましたが、親として一番大事なのは子どもをプロにすることではない、という昌子力さんのインタビューは、今サッカー選手を育ている保護者の関心を集めました。プロになることの大変さを知っているからこその持論や、これまで長く育成にかかわってきた経験から、育成年代に必要なことを聞かせてくれました。夏休みで時間がある今、じっくり読んでみてください。記事を読む>>第1位干渉しすぎて自立を阻害する「ヘリコプターペアレント」になってない?過保護にならないための対処法第一位は、過干渉についての記事。親のあり方について目にする機会が増え、保護者の皆さんの「過干渉」への関心も高くなっていることを感じさせます。聞きなれない「ヘリコプターペアレント」というワードにも興味を持ってみてくださった方も多いのではないでしょうか。過干渉で子どもの自立を妨げるのは親としても本意ではないですよね。見守りとサポートは匙加減が難しいものですが、大きくなっても自分で決められない子にしないために、具体的な対策を紹介していますので改めてご確認くださいませ。記事を読む>>いかがでしたでしょうか。これからも親御さんご自身が子どものサポートについて考えるきっかけになったり、チームがよくなるきっかけになる記事を配信していきますので、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2024年08月15日サッカーのポジションで「ウイング」は、前線左右両サイドの攻撃的なポジションです。主に3トップを採用した際に配置される、左右のサイド(タッチライン沿い)を主戦場とします。サイドハーフよりも高い位置で、ドリブルで仕掛けたりクロスボールをあげることはもちろん、中に切れ込んでシュートを放ったり、逆サイドからのクロスボールに合わせてゴールを狙ったり、より得点に直結するプレーが求められるポジションです。<目次>1.ウイングの役割2.ウイングに必要な能力3.有名なウイングの選手4.まとめウイングの役割ウイングは、主にサイド midfieldの位置で、タッチライン際を上下動するポジションです。主な役割は以下の通りです。チャンスメイク:ドリブルやパスでサイドを突破し、センタリングでゴールチャンスを演出します。得点:サイドからのカットインや、クロスに飛び込んで自らゴールを狙います。守備:相手のサイドバックやウイングの攻撃を封じます。ウイングに必要な能力スピード:サイドを突破するために必要不可欠です。ドリブル:相手をかわして突破する技術が必要です。パス:精度の高いクロスやパスでチャンスを演出します。シュート:カットインからのシュートや、クロスに合わせたヘディングシュートなど、様々な形でゴールを狙う能力が必要です。スタミナ:攻守において、サイドを何度も上下動する必要があるため、高いスタミナが求められます。有名なウイングの選手リオネル・メッシ(アルゼンチン)クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)ネイマール(ブラジル)モハメド・サラー(エジプト)などまとめウイングは、スピードとテクニックを活かして、チャンスメイクや得点に大きく貢献するポジションです。現代サッカーにおいて、非常に重要な役割を担っています。
2024年08月13日夏季休暇のこの時期、サッカーと子育てについて考えることも増えるタイミングではないですか?本日は、少年サッカーの保護者向け情報サイト「サカイク」で2024年1月から7月に配信した記事の中でみなさんの注目度が高かった、「厳しい指導」や「ダメ出し」をしていた指導者・親が変わったという記事をランキングでご紹介します。サッカーを頑張るわが子をサポートするための参考になることがたくさんありますので、記事配信当時に見逃した方も、いま一度ご覧ください。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>第3位違和感を感じながらも怒る指導をしていたコーチが、チームの保護者に「180度変わった」と言われるようになったきっかけ第3位は、かつて厳しい指導をしていたコーチが始動スタンスを真逆に変えたきっかけの記事でした。「厳しい指導」とは怒鳴る指導ではありません。最近は減っているとはいえ、未だにそのような指導をしている方もいます。現代の指導はそうじゃない、と思いつつも周囲に影響され大声で怒鳴る指導をしていたコーチがかつての自分を振り返り、自分自身が変わったことでチームもよくなり、保護者からも好評をいただくようになった、という体験談がリアルで興味を引いたようです。実際どんなきっかけや心の変化があったのか、いま一度ご覧ください。記事を読む>>第2位子どもの自立より「自分が世間にどうみられるかが大事」な親たちが心を入れ替えた、サッカー少年の親の心得10か条第2位は、子どもより自分の世間的評価を気にしていた保護者の心が軽くなった記事。「親の自分がどうみられるか」を気にするあまり、先回りして子どもの行動をあれこれ制限して管理しがちだった保護者のみなさんが変わったきっかけ、に関心が集まりました。「自分も子どものサッカーをもっと楽しんでいいんだ」と、保護者の皆さんの心が軽くなったお話、ぜひご覧ください。記事を読む>>第1位「何やってんだ!」と叫んでいた親たちが変わったサッカー少年の親の心得10か条とは第一位は、子どものミスに「何やってんだ!」と叫んでいた親たちの応援が変わった記事。子どものサッカーを見ていると、ミスや粗が気になって「何してるんだ!」と言いたくなった経験がある親御さんは多いのでは。ですが、ダメ出しは子どもを委縮させ、チャレンジしなくなってしまいます。わかってはいるんだけど......、という親御さんもいるでしょう。そしてそれを見て苦々しく思っている方も。そんな親御さんたちの応援スタンスが変わった、という点に多くの保護者やチーム関係者が興味を持ってアクセスしてくれました。育成年代の子どものサッカーで一番大事なことは何か、親も子も楽しんでサッカーにかかわれる親の心得をご確認ください。記事を読む>>いかがでしたでしょうか。現在、希望チームに「親の心得10か条」を配布しています。ご希望の方はこちらからお申し込みください>>サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2024年08月13日ボールを運ぶことはできてもゴール前での連携がうまくいかず、決定的なチャンスが作り出せない。どうしたら攻撃に厚みが出せる?という質問をいただきました。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、シュートチャンスにつなげるための選手配置や仲間との連携について具体的な練習メニューとともにお伝えします。(取材・文島沢優子)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<1年生から始めた子と4年生から始めた子がいてレベル差がある、歴の浅い子はチームを分けて基礎から教えるべき?<お父さんコーチからの質問>いつもご指導やアドバイスを参考にさせていただいております。クラブチームを指導している保護者兼コーチです。今担当しているのはU-12年代です。チームの悩みですが、攻撃の厚みが足りず、なかなかシュートまで持っていくことができません。具体的には、ボールを前に運ぶことはできても、最終局面での連携がうまくいかず、ゴール前での決定的なチャンスを作り出せていません。速い子がドリブルで仕掛けるだけの単調な攻撃になりがちです。手詰まりになった時に味方との連携で裏に抜けるとか、そういうのがあまりできません。このような課題を解決するためには、どのような練習方法が効果的でしょうか?攻撃の厚みを増し、シュートチャンスを作り出すための具体的な練習メニューがあれば、ぜひご教示いただければ幸いです。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。「速い子がドリブルで仕掛けるだけの単調な攻撃になりがち」とあるので、つまりはパスをつなげられないため足の速い選手がドリブルすることになってしまうのでしょう。もしくはまわりがその子についていけないのかもしれません。■ドリブルを効果的に使うにはタイミングと場所が大事!「どこで使うか」を教えようドリブルを効果的に使うには、タイミングや「場所」の選択が必要です。ゴールから遠い場所からドリブルで突っ込んでいってしまえば、ひとり抜いても次のディフェンスにつかまります。ご相談者様のチームの子どもたちはもう6年生なので、だんだんスピードについていけるようになっています。そこで、ドリブルしてしまう子には「君の速さをどこで使うか考えよう」と言い、まわりの選手たちにも先述したことを説明してください。子どもたちが知っている海外の有名選手のプレーを例に挙げるとわかりやすいかもしれません。「世界のサッカーを見てごらん。足の速い選手はサイドにいるよね。例えば、フランス代表のムバッペや日本代表の三苫は左サイドにいるよね」などと話してみてください。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■速い子をどこに置くかでシュートチャンスが変わるドリブルが速い子をサイドに置いてそこから展開すると、他の子が真ん中に走り込めばゴールに近づくのでシュートが入りやすくなります。もしくは、ボールをつなぎながら敵陣に入って、他の子がペナルティエリアの手前くらいからいいスルーパスを出してあげると、足の速い子がそれに合わせて飛び込めます。そうではなく、速い子がひとりで真ん中からドリブルで抜け出したとしても、シュートしかありません。他の子は追いつけないので、要するに孤立したプレーになります。相手のゴールキーパーが前にはじいたり、相手ディフェンスがシュートをカットしてゴール前にこぼれたとしてもボールを拾えません。他にも、足の速い子がディフェンスの裏に抜け出して、バックの選手からロングボールをもらうやり方もあります。縦にポンと蹴るので「縦ポンサッカー」などと揶揄されますが、ひとつの点の取り方です。ただし、そればかりだと攻撃に厚みが出ません。中盤を省略するのでボールを持つ回数を増やしたいジュニア世代には頻繁にやってほしくない戦法でもあります。■全員攻撃参加のつもりで上がる、奪われてもすぐに味方が取り返せる位置にいるやってほしいのは後ろにいる選手がもっと押し込むこと。みんなが攻撃参加するつもりでゴールを目指して上がって行けば、どこかでボールが引っかかっても味方がボールを取り返せるようにしておきます。これはプロのチームでも同じ作戦をとっています。大人のサッカーになると、ハイプレスでボール取って高い位置から攻めます。もし相手にボールを奪われても、押し込んでいれば複数の選手が敵陣にいるのですぐに奪って攻撃に転じることができます。とはいえ小学生はハイプレスまでやる必要はないでしょう。■2対1の練習でワンツーの感覚を養おう練習についてはまず2対1をやってみてください。攻撃の形を考えたとき、例えば足の速い子にボールを当ててワンツーパスを受ける。ワンツーはダイレクトパスでなくていいので、パスを出した子がもう一度もらうために走れば一瞬2対1になります。ボールをもらってまた裏に蹴れば、足の速い子はゴール前でフリーになります。その感覚を養うためにも2対1をやって、そのなかでワンツーのトレーニングをしましょう。プロチームのビデオを見せてあげるのもいいでしょう。イメージをふくらませるのに役立ちます。■欧州の子は5歳でもパスがつなげるのに日本では無理?指導者が語るその理由先日、対面式でドイツ在住の指導者と対談をしました。その際に、スペインのビジャレアルで仕事をされている佐伯夕利子さんがネットにあげていた5歳児の練習を撮影したビデオの話になりました。小さな子どもたちが実に見事にパスをつないでいます。私たちは「日本の小学1年生でも、どこにいればボールがもらえるかを伝えれば理解できますよね?間に相手守備の子がいて、その子の後ろに隠れているともらえないけれど、どこにいったらもらえる?と理解を深めながらトレーニングすればいいよね」といった話をしました。そんな話をしたときに、会場に来られていた方が「いや、そんなことはできない」とおっしゃいました。そこで「どうしてそう思われるのですか?」と尋ねたら、「(小学1年生では)ボールの止める・蹴るができないのに、そんな(パスを回す)ことができるわけがない」と話してくださいました。そこで私たちは説明しました。「小学1年生はうまくボールを止めたり蹴ったりはできないけど、動きは理解できますよね?」■ほかの選手の位置や動きも理解させるから「みんなで守り、みんなで攻撃」の意識が育つ守備の子の後ろにいたらパスする子には自分が見えないから、守備の子から離れて味方に見えるところに行ってみる。もしくは守備の子の前に動いてみる。そんなことを子どもに問いかけながら答えを導き出します。子どもは自分で答えた動き方を「あ、それいいね。やってごらんよ」とコーチに言われると、うれしくてやろうとします。パスする側もその子が見えるから蹴ってみる。そうやって動き方がわかるようになるのです。欧州の子たちはそんなふうに育っています。みんなで守る、攻撃する。そうやって育っています。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■問いかけながらサポートの概念を育てよう(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)足が速い子はひとりでドリブルしたくなります。そこで「でも、どう?その子はひとりぼっちにならない?」とみんなに問いかけてください。そのことは6年生だから理解できはずです。「仲間がひとりぼっちにならないためにはどうしたらいいのかな?」そんな問いかけから、サポートの概念が育つのです。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年08月11日夏休み、学校がないので子どもがダラダラしている姿が気になってイライラしがちな保護者に向けて、宿題や課題を自ら行うようにするには「脳の使い方」が大事だと前編でお知らせしました。脳の使い方とは、脳が動きやすいに設定をつくってあげること。それによって、誰でもパフォーマンスをあげることができるとのことでしたが、後編ではサッカーに活かせるポイントを『あなたの人生を変える睡眠の法則』の著者である菅原先生に教えていただきます。生活リズムを整えることは、スムーズに2学期をスタートするためにも大事なことなので、ぜひ皆さんも参考にしてください。(取材・文木村芽久美)<<前編:夏休み、ダラダラ過ごす子どもにイライラ!親をイラつかせるダラダラ解決のカギはたった4日間の「脳の使い方」にあった親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■生活リズムを整えるために、「光環境」に気を配り睡眠ホルモンを出そう前編でも生活リズムについてはふれましたが、まずは脳の設定の前に、朝の光が大切だということをお伝えしました。同様に、夜の光環境にも注意が必要なのだそうです。「例えば、夜、部屋の照明が天井の四隅がきれいに見えるくらいの明るさ(500ルクス)で3時間位過ごすと、メラトニンという物質が大人だったら半分位、お子さんの場合は90パーセント位減るっていうデータもあります」と菅原先生は話します。メラトニンとは脳の松果体と言われる部分から分泌されるホルモンのことで、自然な眠りを誘うためにとても重要なことから「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。夜に明るいところで過ごしていれば単純に眠くならなくなってしまいます。お子さんに早く寝てほしいのであれば、生活に支障のない範囲で部屋を暗くしてみて眠くなる環境を作ってあげることが大切です。■生活リズムがうまく刻めているかどうかはどうやって判断すればいい?朝の光と、夜の暗さでメラトニンのリズムが整うと、「早く寝なさい!」と注意しなくても、自然に眠そうな様子になるそうです。「例えば、浴室の照明を消して脱衣所の照明だけで入浴したり、入浴後はリビングの照明を暗くするなど、生活スタイルに合わせて暗くなる時間を決めておけば、自然に眠くなるリズムが出来上がります」と菅原先生は言います。子どもは、眠くなると眠気に抗ってはしゃいだり、大きな声でしゃべったりすることがあります。これは、脳の中で起きている神経の活動と眠る神経の活動がせめぎ合っている状態。このせめぎ合いは脳にとって負担なので、眠い時に眠っておけば脳はラクになるし、脳をラクにしてあげれば明日の朝は頭が冴えるよ、ということを伝えることも大事です。脳のために行動しよう、と考えれば、睡眠を上手に使おうと考えることができるはず。「おやすみ」と言って、お子さんが自分から寝に行ってくれたら、それは「メタ認知」(自分と脳を切り離して認知し、客観的に把握すること)を使って、リズムをつくることができている証拠です。■上手に昼寝をするためにはどうすればいい?成長期のお子さんは、練習の後など、昼寝をすることもあると思います。菅原先生によると、これから眠くなることを見越して、先に昼寝をしておき、昼寝後の頭をスッキリさせることは、大人になってからも使える、高い技術なのだそうです。子どもの頃から、上手に昼寝ができるようにしておきましょう。座って寝られるのであれば睡眠の脳波は出ないので、起きた時もすんなり起きられますが、横になって寝るのであれば、10分後に起きるのか、それとも1時間後に起きるのかなど、どの位で起きるのかを設定しておくと良いと言います。「昼寝をする前に『○分後に起きる』頭の中でつぶやけば、その時間には心拍数が上がってきて、スッキリ目覚めることができます。しかも、練習するほどピッタリ起きられるようになります。」もし昼寝の途中でお子さんを起こす場合には、「何分後に起こす?」などと先に話しておくといいでしょう。また最低7時間は起きている状態で夜をむかえた方が良いので、夕方は昼寝をしないように気をつけた方が良いそうです。■サッカーノートを続けるカギも「4日」だった「サッカーノートを書くことが難しい」「うちの子はなかなか続けられない...」といった声をよく耳にしますが、環境設定を工夫し、難易度を低くしてあげることが大切なのだと言います。ノートを決まった場所に置いておき、練習を終えて帰宅したらそのままノートの前に行く動線をつくってみましょう。また、練習の前に日付だけ書いておくなど、ちょっとだけ手をつけておけば、脳は、続きを書きたくなります。」前編で脳が苦手なことを避けると良いとお伝えしました。※脳が苦手なこと:あいまいな予想や予定、同じ場所で色々なことができてしまうこと、2つ以上のことを同時に行うことですので、書く場所を決めておく、帰宅からノートまでの動線をつくる、「ノートを書く」と言う。そして、それらを4練習日続けると、無理なく自然に続けられるでしょう。■サッカーのパフォーマンスアップにもつながる、メタ認知の習得前編でも触れたメタ認知(自分と脳を切り離して認知し、客観的に把握すること)ができれば、夏休みの宿題や苦手な教科も、脳を上手に使うための材料になり得ます。課題(宿題)をどうやってクリアしていくのか、脳がどうやったら宿題をやりやすくなるのか、まるでゲームをするように考えられたら、お子さんも楽しくできそうな気がしませんか?「脳の設定ができる力がつけば、それはサッカーのパフォーマンスアップに繋がります」と菅原先生は言います。大好きなサッカーであっても、やっていく中で小さな課題がたくさん出てきます。その小さな課題のクリアの仕方を、夏休みの宿題を通して覚えることができるのです。夏休みもあと残りわずかですが、宿題も意図して取り掛かかれるといいでしょう。菅原洋平(すがわらようへい)作業療法士、ユークロニア株式会社代表、アクティブスリープ指導士養成講座主宰国際医療福祉大学卒業後、国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事。2012年にユークロニアを設立。東京都千代田区のベスリクリニックで外来を担当しながら、ビジネスパーソンのメンタルケアを専門に、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。著書に『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)、『すぐやる!』(文響社)などがある。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>
2024年08月09日子どもが夏休みで普段より接する時間が多く、サッカーと子育てについて考えることも増える時期ではないですか?本日は、少年サッカーの保護者向け情報サイト「サカイク」で2024年1月から7月に配信した記事の中でみなさんの注目度が高かった、親の悩み解消記事をランキングでご紹介します。サッカーを頑張るわが子をサポートするための参考になることがたくさんありますので、記事配信当時に見逃した方も、いま一度ご覧ください。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>第3位部屋干しのにおい対策は「干し方」ではなく「洗い方」!洗濯王子に聞いた、におわない洗濯のコツ第3位は、部屋干しのにおいについての記事でした。泥汚れ、部屋干しのにおいはいつの時代も親の悩みですよね。大事なのは干し方ではなく洗い方だった、という事実に驚きと興味を持っていただけたようです。洗濯王子が教える、お手持ちの洗剤だけで今すぐできる方法なので記事を見逃した方も、一度見たけど改めて確認したい方もこちらからご覧ください。記事を読む>>第2位サッカー少年のママたちの大敵「人工芝」先輩ママがやってる対策を紹介第2位は、ママたちの大敵「人工芝」の記事。子どもがサッカーを始めると、技術がどうこうの前に「人工芝問題」にぶつかります。洗濯機に入れる前の下準備も必要だし、洗っても全部は取れない。気づくと床付近の壁紙にもついてる!など保護者の大敵「人工芝」。先輩ママたちによれば「取り方」だけじゃなく、「そもそもつけない方法」があるのだとか。人工芝に悩まない家庭はない。ということで注目を集め、上半期2位でした。予防するだけでも洗濯がだいぶラクになるので、いま一度確認してみてください。記事を読む>>第1位子どものやる気が見えない時どうすればいい?先輩ママがやってる声掛けなどを紹介第一位は、子どものやる気が見えない時の親の対応についての記事。自主練もしない、練習も行きたがらない時がある。最近なんだかサッカーに対してのやる気が感じられない。というのも親の悩みとしてよく聞かれます。先輩ママであるサカイクアンバサダーの皆さんが実際にどうしているか、という体験談に多くの関心が集まった結果となりました。やはり実体験だからこそリアリティーがあって、参考になりますよね。高校生のサッカー少年をもつお母さんからは、小学生年代のお母さん方へ「焦る必要ないよ」というアドバイスも。「高校生になると、今までサッカーが好きで続けてることにすごい価値を感じるようになりました。仲間やいろんな人とふれあえて。そう思うと、小学生の時は『もっとうまくなって欲しい』と思っていたけど、大事なのはそこじゃなかった......」ぜひ記事で全文をご覧ください。記事を読む>>いかがでしたでしょうか。これからも親御さんご自身が子どものサポートについて考えるきっかけになったり、チームがよくなるきっかけになる記事を配信していきますので、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2024年08月08日ずっとベンチの娘。試合でもほとんどパスが回ってこないし、本気で走ればいいのに、いつも遅いしボールに追いつくのを諦める。親が助言しても「無理!」と突っぱねる。娘のスポ少に振り回されてるのに、そんな態度にうんざり。どうしたら子どものサッカーを楽しめるの?というお母さんからの悩み。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとにアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<5年生より弱い6年生。6年だけで戦うか、実力主義でいくのか迷います問題<サッカーママからの相談>娘はスポ少に所属してますが、ずっとベンチでした。6年生になりそれなりには出してもらえるようになりましたが、試合でもほとんどパスが来ずボールタッチの回数が下の学年の子よりも少ないです。自分でもそれは分かっている上ですねたり、「無理!頑張ってる!」と私たちの助言を突っぱねます。本気で走ればもっと速く走れるのに、何だかいつも遅い、諦める、ボールを待つの繰り返しです。下の兄弟も振り回され、文句ばかり言う娘にうんざりした父母(私たち)が怒るという流れが毎回です。どうしたら親も子も楽しめるか知りたいです。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。試合に出られないわが子に対し、親御さんが意欲が足らないと怒ってしまう。これは少年サッカーあるあるのひとつ。どの競技にもよく聞かれます。そして、それは私が少年スポーツにかかわり始めて20年弱になりますが、普遍的な問題のようです。■わが子が頑張っているように見えないとイライラしてしまうのはよくあること以前も「息子が自主練をしない、積極的にボールにかかわらない、スクールで友達とおしゃべりをする、ドリブル練習を最後までやらず諦めてしまう」という悩みが舞い込みました。私も皆さんと同じように子育てをしてきたので、目の前のわが子の立ち振る舞いにイライラしてしまう気持ちはよくわかります。私の息子もサッカーをしていましたが、走れない子でした。他の選手が一生懸命走っているのに、ひとり下を向いたまま歩く姿にこちらはあきれ果てていました。一緒にビデオで観ながら「なんで地面見てるの?ボール見なきゃダメじゃん」と怒っていました。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■走らないのではなく「走れない」のかもしれないところが数年前のことです。高校から部活動のエンジョイサッカーに転換し成人した息子が「俺、小学生のころ、なんであんなに走れなかったのか、わかったよ」と行ってきました。アメリカ大陸でも発見したかのように目を輝かせています。息子はフォワードでした。私は「きついのが嫌だったんじゃないの?」と冷たく言い放ちましたが、違っていました。「動き方がわからなかったんだ」サッカーの成り立ちがわからなかった。コーチは走れ、走れと怒るけれど、どこをどう走ればいいかわからなかった。高校くらいから少しずつ分かり始めたけれど、成人して海外のサッカーをたくさん見るようになって、よりサッカーの戦術眼が磨かれたそうです。よって、現在草サッカーを楽しんでいますが「小中学生のころよりも、いま走れるんだよ」と嬉しそうに言うのです。そこではたと気づきました。息子は少々こだわりの強い子でした。人と同じようにすることをよしとしない。自分が論理的に納得がいかなければ腰が上がらないところがありました。根性論好きの大人が好む「がむしゃら」というやつが苦手でした。ああ、走らなかったのではなく、走れなかったのだ。私はそうやって怒ったことをとても後悔しました。子育て自体は、親がガミガミ言ったとて子どもが変わることはあり得ないことを、脳科学や心理学を学んで理解していました。サッカーで走れないことも、息子自身の問題だとうすうすは悟っていましたがネチネチ言ったと思います。■自分と他社の「課題の分離」をすることそこで、アドバイスをひとつ。オーストリアのアルフレッド・アドラーが提唱し、後継者たちが発展させてきた心理学の体系である「アドラー心理学」をご存知でしょうか。そのなかに「課題の分離」という概念があります。アドラー心理学の中心的な考え方のひとつでもあるこの「課題の分離」は、自分の課題と他者の課題を明確に区別したほうがいいよ、という考え方です。自分の課題については真摯に向き合い責任を持ちますが、他者の課題には立ち入らないようにする。 他者の課題に不必要に介入することは、相手への支配や依存につながる危険性があるためです。ところが、親子や夫婦、はたまた上司と部下のように、関係性が近ければ近いほど分離できません。■お母さんの主観と娘さんの課題を分けるこのことを娘さんに当てはめてみると「試合でほとんどパスが来ずボールタッチの回数が下の学年の子よりも少ない」のは娘さんの問題です。お母さんが「本気で走ればもっと速く走れる」というのはお母さんの主観であり、「何だかいつも遅い、諦める、ボールを待つの繰り返し」であることも娘さんの課題です。もっといえば、娘さんがそれを課題であると考えるかどうかも娘さんの問題であり、お母さんの課題ではありません。それらは本人にしかコントロールできませんし、その結果試合に出られなかったり、上達できなかったとしても、それも含めて子どもの体験です。■子どもは親と別人格、自分の力で力強く歩めるようにすることを考えよう子どもは親の思うようにすることなどできません。自分とは別人格であり、親たちとは異なる時代を自分の力で力強く歩めるようにするにはどうしたらいいか考えましょう。それは、親が子どものためにできることをしてあげるだけでいいのです。経済的に許す限り必要なものを与える。毎日おいしい食事を作る。汚れたユニフォームを洗ってあげる。サッカーのお当番をやる。加えて子どもの心理的安全を確保できるよう、夫婦間の人間関係をなるべく良好に保つ(けんかばかりしていると子どもが安心できません)。そして、それらをエンジョイする。それで十分です。二度と戻らない子育ての黄金期を、娘さんのダメなところばかりを数えて暮らしますか?お母さんがおっしゃっているように、楽しく子育てしたいのであれば、お母さんたち親が変わるしかありません。■「頑張らない子」を育てているのは誰?(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)以前、都内のサッカースクールで指導していた30代のコーチが私にこう言いました。「親が子どもに『なんで頑張らないの!?』と怒っています。でも、そういう子どもを育てているのは誰なんですか?って僕は思う。天に唾(つば)してるわけですよね」顔に唾が落ちてきませんか?本気で走っているかは本人しかわからないことです。じりじりしますが結果も含めて達観して待ちましょう。待つ時間は、わかり合う時間です。娘さんのサッカーからまずは距離を置くこと。それって誰の課題だっけ?と常に考えること。「課題の分離」をぜひ実践してください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2024年08月07日夏休み中の自由な時間、子どもが長時間ゲームをしたりゴロゴロしていると、無意味にダラダラしているように見え、イライラしてしまう保護者もいるようです。イライラしたくないために、子どものスケジュールを詰め込むという人もいます。一見、時間の無駄のように見える「ダラダラ」も、「脳の設定」次第で自分をコントロールできるようになるようです。『あなたの人生を変える睡眠の法則』の著者である菅原先生に脳を上手に使えるようになるために大切なことをうかがいました。夏休みもそろそろ折り返しという方たちも、今からでも実践してみてください。(取材・文木村芽久美)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■脳には使い方があるということを理解する「脳が良い状態になるように自ら設定してあげると、やりたいことをやりたいようにできるようになります」と菅原先生は言います。自分と脳を切り離して認知し、客観的に把握することを「メタ認知」といいますが、この能力が身についていると、良いパフォーマンスをうむことができるのだそうです。メタ認知は脳の使い方を練習すれば、誰でも習得することができるのです。脳を上手に使うためには、設定をしてあげる必要があるのだそうです。例えば「朝起きたら宿題を1問だけ解いてみる」というように、これくらいだったらできるかも......。と思えるような楽なことから始めてみると良いようです。■自分は「監督」で脳が主役と考える菅原先生は「自分はプレイヤーではなくて、『監督』として、自分が頑張るのではなく、脳ががんばれる環境をつくってあげることが大事です」と言います。脳の特性に合った環境や順番、やり方を設定してあげれば、脳は上手に動くようになるというのです。「自分ではなく、脳が頑張れるようにする」と考えると、「できない」という思考から、「やってみよう」という思考に変わります。思考が変われば、具体的な対策が立ちます。胃やほかの臓器と同じように、「脳」も臓器のひとつだと理解し、使い方を学んで設定してあげれば良いのです。■宿題をやろうとしてたのにゲームを始めちゃう......の改善は、迷いをなくすこと脳には3つ苦手なことがあるのだと菅原先生は教えてくれます。まずは、この3つを避けた設定をすることを理解しましょう。1.あいまいな予想や予定が苦手例えば、宿題をやろうとしていたのにゲームをやり始めてしまう......。というのはよくある話です。こんなときは、頭の中で「宿題をやらなきゃ」とつぶやいていることが多いですが、これでは予定があいまいで脳にわかりにくい。ゲームをやり始めた原因は、誘惑に負けたからではなく、予定があいまいだったからです。そこで「宿題をやる」とセリフを変えれば、脳に分かりやすい命令になって実行できるそうです。2.何をする場所なのかわからない状況に置かれることが苦手脳には場所と行為をセットで記憶するという特徴があるのだそうです。ゲームもできるし、宿題もできるし、寝ることもできる......。というように、同じ場所で色々なことができてしまうと、脳は何をすればいいのかわからなくなってしまいます。脳は、見えた物に手を出す仕組みで、見えたのに「やらない」と判断するには、とても多くのエネルギーを使って神経活動を抑制しなければならないそうです。そこで、勉強やゲームをそれぞれ決まった場所で行い、その場所ではそれ以外のことはしないようにすると、すぐに取り掛かれて、なおかつ切り上げやすいと言えます。3.脳は2つ以上のことを同時に行うのが苦手「ながら作業」は、効率の良いように思えますが、脳は、2つ以上のことを同時に行うと疲れやすいそうです。作業をするときはひとつずつ行うよう設定をしましょう。■親子で動線作りを確認してみるやろうとしていたことをつい先延ばしにしてしまったり、面倒臭いとストレスに感じてしまう場合、動線がうまくいっていない可能性があるのだそうです。「行動がつながる動線が作れているかどうか、親子で確認してみてほしい」と菅原先生は言います。例えば、「先に宿題を済ませようと思っていたのに、ゲームをしてしまった」とお子さんが言うならば「動線はどうなっていたっけ?」と聞いてあげましょう。玄関から自分の部屋に行く途中にゲームが置いてあれば、ゲームをするのは当然です。大切なのは、あくまでも脳からどのように見えているかを一緒に確認することだそうです。脳は、見えていれば手を出してしまうことが分かれば、脳のために、必要な物だけが見える動線をつくってあげようと思えるでしょう。■朝の光を浴びて、脳と体のリズムを作ることが大事脳は起きてから4時間までが一番頭が良く、冴えているのだそうです。その時間帯をうまく活用して、1日をより良く過ごしたいものです。そのためには、朝に脳と体のリズムをスタートさせる必要があります。脳と体のリズムを整えるのにとても重要なのが「光」です。「お子さんは、光に対する感受性が高いので、目覚めたら、脳に光が届けることが重要です」と菅原先生は言います。通常、子どもの脳には、起きてから約14時間後、6時起床の場合は20時には眠くなるリズムがあるそうですが、朝の光に当たらなければ、夜になっても眠くならず、夜更かしや寝つけない原因になることがあります。朝の光といっても何も外に出なければいけないというわけではなく、目覚めてすぐ、窓ぎわ1メートル以内に入りさえすれば、脳に光は届けられるそうです。お子さんが朝起きたら、まずはカーテンを開けて、窓際に行く動線をつくってみましょう。■習慣化のカギは「4日」人間の生体リズムである「3.5」日を超えるよう親子で一緒にやってみよう「脳を使って主体的にお子さんが動くようになるためには、親御さんが対等な立場で話すことが大事。だからこの夏休みは親御さんもお子さんも同じように脳の使い方を変えてみて、自分の体験を話してほしいんです」と菅原先生は言います。例えば、帰宅したらそのまま浴室に行って風呂洗いをしたら、すんなり湯張りできてお風呂も早く済ませられた。動線を変えるだけで、お風呂が面倒くさく感じなかった......。というような話をお子さんと共有してみましょう。他人の体験を聞くと、お子さんも試したくなりやすいですし、実験感覚で楽しめればお互いにできたことを報告できて、前向きなコミュニケーションになります。また、私たちが生きていく上で持っている生体リズムとして「3.5日リズム」というものがあり、3日で飽きてしまうという性質があります。よく言う「三日坊主」はこれにあたるのですが、そのリズムを破って4日間続けてしまうと、やらずにはいられなくなるのだそうです。メタ認知を習得することはより良い人生を送ることにもつながります。自分で自分をコントロールすることができるようになるので、当然学校でもサッカーでも役に立つのです。この夏休みを利用して、自分の脳の使い方について、親子で共有してみてください。後編では、サッカーをもっと楽しみ自ら成長できる子になるための脳の使い方をお伝えします。菅原洋平(すがわらようへい)作業療法士、ユークロニア株式会社代表、アクティブスリープ指導士養成講座主宰国際医療福祉大学卒業後、国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事。2012年にユークロニアを設立。東京都千代田区のベスリクリニックで外来を担当しながら、ビジネスパーソンのメンタルケアを専門に、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。著書に『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)、『すぐやる!』(文響社)などがある。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>
2024年08月06日成長期の小中学生の子どもたちにとって、食事はとても大切。サッカーという激しいスポーツをしているなら、たくさん食べてほしいところですが、少食や偏食の子どもの食事に悩む保護者は多いものです。そこで、成長期ならではの栄養摂取に関しての基本から応用までを管理栄養士の坂口望さんに聞きました。家庭でできる具体的なノウハウから、親の気持ちの置き所まで、今日からできる対策です。ぜひご覧ください。(構成・文:小林博子)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■まずは身長を伸ばすことを目指して「サッカーや野球などに真剣に取り組んでいると、大きな体作りを目指す保護者は多いものです。でも小中学生の体づくりとしてまず意識してほしいのは身長を伸ばすこと」取材の最初にそう話してくれた坂口さん。体格は後から大きくすることはできますが、背が伸びる時期は限られているからだと言います。理想論としては、縦にも横にも大きくしたいところではありますが、それを小学生のうちから望むのは難しいと思う、とのことです。そのために大切なことは2つ。・3食、しっかり食べること・早く寝ることこれは、坂口さんが実際に3人のお子さんを育て、よかったことだと実感していることでもあります。なんだか基本的なことに思えますが、意外とできていないご家庭は多いのではないでしょうか。「長男と次男は野球、未っ子の長女はバレーボールをしています。3人とも身長が高くて大きいので、周りからは私の仕事柄もあり、栄養摂取がしっかりできているからと思われがちです。でも我が家では睡眠時間も食事と同じくらい重視してきました」どんな栄養を摂るかは大切なのですが、まずは難しいことは抜きに「3食をしっかり食べる」そして「21時には寝る」を実践することから始めることがおすすめだそうです。まずは基本的な生活習慣を確立し、そのうえで摂るべき栄養素を工夫すること。それが「縦にも横にも大きなスポーツに有利な体づくり」へ導いてくれます。夜練習や塾で帰宅が遅く、毎日21時に寝るのが難しいという子もいるはず。その場合は、「できる限り早く寝る」「早く寝られる日はなるべく早く寝る」を意識すると良いそうです。■成長期の子どもの「食事の適量」が知りたい!食事と睡眠をしっかりとれる生活習慣が身に付いたら、成長期の子どもが食べるべき具体的な食事量が知りたいところですね。でも身長や体重、運動量によって適量はまちまちです。確実に知りたい場合は栄養士さんへの個別相談を行い、体の計測や採血などをして数字を出してもらうものですがなかなか難しいはず。そこでおすすめの計算方法は「基礎代謝量の約2倍のカロリー」を知ること。これが成長期のサッカーなど激しい運動をする子どもに必要なエネルギー量となります。なお、基礎代謝量の計測は家庭にある体重計でも、ものによってはすることができます。また、身長と体重からある程度の基礎代謝量も調べればわかるので、それを目安にしても良いでしょう。例えば、12〜14歳男子だと約3,000Kcalが1日に必要なエネルギー量になります。提供:坂口望さん■まずは糖質をしっかり摂り、身長と体重を測ること1日に必要なエネルギー量がわかったら、それを目指して食べながら、身長と体重が順調に増えているかをチェックするようにしましょう。身長も体重も数字の伸びが鈍化してきたら、エネルギー不足かもしれないことがわかるようになります。成長期に最も必要なのは「糖質」、つまりエネルギー源です。「性別、体重、運動量にもよりますが白いご飯を1食250〜300g×3食」が、子どもたちが1日に摂るべき糖質量の目安。3食を均等に割ったグラム数なので、朝昼晩合計で「750~900g」を目標にしましょう。■少食な子が必要量を食べられるようになる3つのコツちなみに、一般的に、大人サイズのお茶碗1杯のご飯の量は150gと言われています。毎食1回おかわりをする量と考えると、なかなかに多いですよね。少食で量を食べられない子には苦痛でしかないのでは。そこで、1日に必要なエネルギーを摂取するためにできる3つのコツをご紹介します。①脂質を味方につける脂質は糖質よりも少ない量でカロリーが高いため、エネルギー量を効率的に摂ることができます。脂身がある豚肉や牛肉を選ぶ、鶏肉は皮付きにする、ブリは天然よりも脂身の多い養殖ものにするなどの工夫でプラスしていきましょう。ただし、胃もたれしやすい子にこの方法は向いていないので注意しましょう。②野菜は「今は」優先順位を下げてOK食生活の悩みで保護者から多く挙がる「野菜を食べない」という悩みに関しては、成長期かつ少食・偏食な子どもに関しては優先度を下げていいと坂口さんは話します。「とにかくエネルギーを摂ってもらいたいので、ごはんと肉・魚が最優先。野菜を食べることでそれらが減ってしまうことがないようにしたいです。また、大人が意識する"サラダファースト(野菜を先に食べてから糖質やたんぱく質を食べること)"も無視してください。野菜はごはんと主菜を食べられたら最後に......、で良いくらいです」③丼ものを増やして皿の数を減らす主菜に副菜が複数......というメニューは見た目だけで量が多そうに見え、少食な子はそれだけでプレッシャーになってしまうかもしれません。そこでおすすめなのが親子丼やカツ丼などのどんぶりメニュー。同じ量でもお皿の数が少ないだけで食べやすくなります。■エネルギーが枯渇する時間を作らないことがポイント小中学生の子どもたちの食習慣で特徴的なのが、朝ご飯から給食までの時間がかなり空くこと。7時前には朝食を食べて学校に行き、給食は13時近いという学校がほとんどではないでしょうか。朝ご飯をたっぷり食べないと、お昼前にエネルギーが枯渇してしまいます。この「枯渇」の時間を少なくすることも成長期の栄養摂取のポイントです。そのため、朝ご飯をしっかり食べることは特に意識してほしいことなのだとか。「成長期なんだから朝からたくさん食べなさい」と親がどんなに言っても、素直に聞き入れる子どもは少ないはず。そこでぜひ実践してほしいのが、保護者のみなさんも朝ご飯をしっかり食べる姿を子どもに見せること。朝食を食べない親御さんには大変かもしれませんが......。同じ方向をみて一緒に「食トレ」ができる環境が子どもの食に対する意識の変化に良い影響を与えるはずです。■食事にも主体性を。自分の意思で「食べる」子どもに坂口さんは、長男が大切な試合の直前に熱中症になってしまったことがあり、その際にお子さんが自ら「しっかり食べなくてはいけない」と気づいた日があったそう。それ以降、本人の食への意識が大きく変わったという実体験から、親が何度も「食べなさい」と言うより、自らの意志で「食べよう」と思うことが大切だと語ります。なりたい自分になるために、どう食べるかを本人に語ってもらうために、こんな問いかけをしてみてはいかがでしょうか。・憧れのあの選手みたいになりたいならどうしたらいい?・どうやってああいう身体になる?・食べるためにどうすればいい?・どうやって食べる量を増やす?サッカーで良いパフォーマンスをすることと、身長を伸ばして体を大きくすること、どちらにも多大な影響がある食習慣。大切なことなだけに保護者の悩みはつきませんが、成長期の今に特化した考え方もあることがわかりました。子どもの気持ちを尊重しながら、あたたかく見守っていきたいですね。次回は、サカイクアンバサダーさんの食事に関する悩みの解決策や、この時期ならではの熱中症対策につながる食事法をご紹介します。坂口 望MOGUらいふ代表管理栄養士、公認スポーツ栄養士として、選手の栄養相談や栄養セミナー講師、アスリート向けの献立作成などを行っている。プライベートでは高校生から小学生までの、スポーツをする3児の母。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>
2024年08月02日EURO2024で見事12年ぶりの優勝を果たしたスペイン代表。大会前は優勝候補ではなかったにも関わらず、イタリア、ドイツ、フランス、イングランドと名だたる強豪国を打ち倒し、優勝に相応しいパフォーマンスを見せ続けました。決して選手層で圧倒していたわけではないスペイン代表は、大会最年少出場であるラミン・ヤマル選手をはじめとした、若い選手の活躍が特徴的でした。開催当時16歳だった青年が大会随一の活躍を見せたのは、スペインの育成力の高さがうかがえたといえるでしょう。長年ラ・リーガの解説を務め、自身でスペインの育成年代の指揮をしたこともある小澤一郎さんは著書『自主練もドリブル塾もないスペインで「上手い選手」が育つワケ』で、スペインの育成について語っています。本記事ではその一部を抜粋してお届けします。(写真提供:小澤一郎)■スペインの「普通のサッカー」とは何かスペインの育成年代は特別な練習はしておらず、魔法のようにサッカーが上手くなる練習法もありません。プロサッカーの最先端の戦術トレンドを無闇に追いかけているわけでもなく、日本で流行中の「ドリブル塾」のような個別の技術に特化したスクールもありません。本当に、「普通のサッカー」をやらせているだけです。より具体的に書くと、サッカーを始めたばかりの5~7歳の子どもの練習でも、ごく普通にシステムがあり、各自のポジションがあり、ポジションごとのタスクが与えられるサッカーをしています。つまり、スペインのサッカー選手たちは、子どもの頃から「戦術的な指導」を受けています。子どもたちは様々なシステムや戦術を経験しながら、それぞれの場面で求められるポジショニングなどを、しっかり指導されているのです。言い換えれば、サッカーの基礎や本質を、子どもの頃からしっかり教えているということです。それが可能なのは、スペインには「育成年代は選手の土台となる能力を育むもの」という極めて真っ当な考え方が浸透しているからでしょう。元日本代表監督の岡田武史さんも「スペインの選手が16歳までにサッカーのプレーモデル(型)を覚えることに強いインパクトを受けた」といったことを著書『岡田メソッド』(英治出版)で書かれていましたが、同じように驚く日本人は多いはずです。日本の育成は、小さい頃は基礎的な足元の技術を身につけたうえで、試合では自由にプレーさせて、そこから徐々に戦術を教えていく...という流れになっており、スペインとは順番が逆だからです。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■「認知」「分析」「決定」「実行」のプロセスがあるという共通認識この本では「普通のサッカー」や「サッカーの本質」といった言葉を繰り返し使います。そこでまず、スペイン人のサッカーの捉え方を簡単に紹介しておきます。まず、サッカーの本質を理解するうえで知っておいてほしいのが、スペインの「PAD+E」という概念です。(イラスト提供:小澤一郎)これは、サッカーのプレーの4つのプロセスを表す、以下のスペイン語の頭文字をとったものです。・ぺルセプシオン[Percepción 認知]・アナリシス[Análisis 分析]・ディシシオン[Decisión 決定]・エへクシオン[Ejección 実行]最初のぺルセプシオン[認知]とは、周囲に目を配って敵味方、スペースなどの周辺状況を把握することです。その次のアナリシス[分析]は、認知した状況を自分なりに分析することです。次のディシシオン[決定]は、分析した状況を踏まえて、「右にトラップしよう」「左にドリブルしよう」「ワンタッチではがそう」とプレーの選択を決めることです。そして最後のエヘクシオン[実行]が、実際に行うプレーになります。日本においては、最後の「実行」の部分のドリブルやパス、シュートの技術ばかりが注目され、その技術が高い選手が「サッカーが上手い」と言われることが多いです。しかし、ボールの扱いの上手さは、「サッカーの上手さ」の一側面に過ぎません。スペインには「認知」「分析」「決定」の能力が高く、「サッカーを上手くプレーする選手」という意味での上手い選手がたくさんいます。具体的にどんな選手が「サッカーを上手くプレーする選手」なのかというと、試合の場面や、監督から求められた役割に応じて、常に適切で効果的なプレーを選択・実践できるような選手です。日本人が使う言葉で言えば「サッカーを知っている選手」という言葉に近いかもしれませんし、スペインでは「プレーすることを知っている」と表現します。サッカーのプレーに「認知」「分析」「決定」「実行」という4つのプロセスがあることは、実際にプレーをする子どもはもちろん、その保護者の方にもぜひ知ってほしいことです。足元の技術(「実行」の能力)を磨くことだけが「サッカーが上手くなること」ではないと理解できると、サッカーへの取り組み方は大きく変わるはずです。
2024年07月29日